
学校卒業後にアルバイトをしていた人が正社員への転職を希望する場合や、正社員として働いていた人が離職後の転職活動中にアルバイトをした場合、履歴書の職歴欄はどのように書けば良いでしょうか。履歴書の職歴欄におけるアルバイト経験の書き方やポイント、そして面接で聞かれたときの答え方などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
履歴書の職歴欄にアルバイトを書くかはメリットの有無で判断する
履歴書の職務経歴欄にアルバイト経験を記載するかどうかは、メリットがあるかどうかで判断すると良いでしょう。
書いたほうが良いケース、書かなくても良いケースについて解説します。
なお、リクルートエージェントではメリットの有無に関係なく、1週30時間以上就業するアルバイト・パート社員として雇用契約を締結した場合に社数を記載いただいています。
アルバイト経験を書いたほうが良いケース
以下に当てはまる場合は、アルバイト経験を書いたほうが良いでしょう。アルバイト経験がプラスに評価されたり、マイナスイメージを払拭したりできるでしょう。
- 学校卒業後はアルバイト経験のみである場合や、社員経験が少なくアルバイト期間が長い場合
- 応募企業の仕事に関連性のあるアルバイト経験がある場合
- リーダーとして現場を取りまとめていたなど、アルバイトながら社員と同等の役割を担っていた場合
- ブランク期間が長く、その間にアルバイトをしていた場合
アルバイト経験を書かなくて良いケース
次の場合は、アルバイト経験を書かなくても良いと考えられます。
- 短期間や単発のアルバイト、社会保険加入に満たないアルバイト(週30時間未満の場合)
- 社員経験が長く、アルバイト経験が特段アピールにならないと考えられる場合
履歴書でのアルバイト経験の正しい書き方の例
履歴書の職歴欄におけるアルバイト経験の書き方例をご紹介します。

【書き方のポイント】
- 勤務先の正式名称を記入した上で「(アルバイト)」と括弧書きで雇用形態を添えます。一段下の行に、一行で簡潔に仕事内容を記載すると良いでしょう。
- 応募企業で活かせるアルバイト経験があり、職務内容をよりアピールしたい場合は、社名の一段下の行にアピールしたい業務経験を列記しましょう。より詳しくアピールしたい場合は、「(詳細は、職務経歴書に記載します)」と記し、職務経歴書に誘導する方法もあります。
- 複数のアルバイト経験がある場合は、応募先で活かせる職務内容を優先して記載しましょう。短期間のアルバイトなど、特に強調しなくても良い職歴は、「ほか○社」とまとめる方法もあります。
職歴欄のアルバイト経験を採用担当者はどう見る?
企業の採用担当者は、職歴欄の「アルバイト」をどのように見ているのか解説します。
そもそもアルバイトは職歴として認められるのか
アルバイト経験は職歴として認められています。実際、厚生労働省では「応募書類の作り方」として、次のようにアルバイト就業の記載方法を示しています。
「学業期間中のアルバイト就業については通常記載しません。ただし、卒業後のアルバイト就業や、学業期間中のアルバイト就業のうち、就業職務内容が応募先企業の職務内容に関係している場合、責任を与えられた仕事であった場合、ビジネスマナーの基本を習得していることをアピールできるような場合などは、アルバイト就業であることを明記の上で記載します」
(※)出典:応募書類の作り方(厚生労働省)
企業の採用担当者も、募集職種に活かせるものや、正社員と同等の働きが求められるようなものであれば、アルバイト経験も評価する傾向にあります。
ただ多くの場合、アルバイト経験の有無だけでなく、「なぜアルバイトを選び、また再び正社員を目指すのか」「スキルレベルはどれぐらいか」などを知りたいと考えています。職務経歴書などで、アルバイトという働き方を選択した理由や背景、アルバイト経験の中で身につけた経験・スキル、アルバイトから正社員雇用を希望する理由など、採用担当者が知りたいと思うポイントについて説明すると良いでしょう。
アルバイト経験を職歴欄に書くとマイナスポイントになるのか
アルバイト経験が職歴として認められる以上、それだけで評価が下がるということはないでしょう。ただし、前述した「アルバイト経験を書かなくても良いケース」であるにもかかわらず記載すると、場合によっては不安感を抱かれる可能性はあります。
例えばですが、短期間の単発アルバイトは、書かなくて良いと考えられます。にもかかわらず、「転職活動の合間につなぎとして短期間のアルバイトを4つ経験したので、それをすべて職歴欄に記載」すると、ぱっと見たときに転職回数が多い印象を持たれるかもしれません。読み込めばわかることではありますが、はじめの印象に引っ張られて懸念を抱かれてしまう可能性があります。
書かなくても良い場合は記載せず、もしも「この期間は何をされていたのですか?」などと面接で問われたら、説明できるようにしておくと良いでしょう。
「アルバイト経験」について面接で聞かれたときの答え方
履歴書の職歴欄にアルバイト経験を書いたとき、面接でそのことを質問されるのではないかと不安に思うかもしれません。実際、アルバイト経験について掘り下げて聞かれることはあるため、次のような質問に対して準備をしておくと安心でしょう。
質問例:アルバイト経験から何を学びましたか?
回答例
採用担当者はこの質問で、アルバイト経験で得た経験やスキルレベル、そして自社の業務でも活かせそうな経験があるかどうかを確認したいと考えていることが多いでしょう。また、仕事に対する向き合い方や姿勢なども確認しています。
したがって、「自己PRをしてください」という質問と意図はほぼ同じと考えると良いでしょう。「アルバイト経験をPRする」という意識を持ち、できれば応募企業で活かせそうな経験やスキル、学びを抽出して伝えると良いでしょう。
質問例:なぜ正社員ではなくアルバイトとして働いていたのですか?
回答例
「ダメ出しでは?」と感じるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。この質問を通して、アルバイトを選んだ明確な理由や意図があるかどうか、そして自己理解ができているかどうかを確認しています。事実ベースでアルバイトを選んだ理由や背景を端的に答えた上で、今の気持ちや考えを伝えると良いでしょう。
質問例:アルバイト経験は今回の仕事にどのように活かせますか?
回答例
アルバイト経験で身につけた経験・スキルレベルと、自社での活躍可能性、マッチ度の確認をしています。また、「どのように活かせると思うのか」を聞くことで、仕事理解ができているかどうかも確認しています。
これも「自己PR」と同等と捉え、回答を考えると良いでしょう。まずは「活かせると思う経験」を結論として伝えた上で、具体的なエピソードで補足し、最後に「具体的にどのように活かせると思うのか」という流れで伝えるとわかりやすいでしょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2024年11月05日
記事更新日:2025年06月19日 リクルートエージェント編集部
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