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転職の自己PRで「調整力」を上手に伝えるコツ<回答例文も紹介>

自己PR_調整力

転職活動の自己PRでは、自分の強みを応募先企業でどう活かせるかを伝えることがポイントです。そして、どんな仕事でも発揮しやすく、汎用性が高い強みのひとつが「調整力」といえます。

今回は、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏に、「調整力」を上手にアピールするコツを聞きました。

自己PRで「調整力」が評価されるのはどんな仕事?

どんな仕事も、個人の力のみでは成立しないものです。仕事には、顧客や社内のメンバー、協力会社など、さまざまな人と一緒に取り組む場面が必ずあるので、それぞれの意見や要望を取りまとめていくことに役立つ「調整力」は重要といえます。

どの業界、どの企業においても、調整力があることは一定の評価につながるといえますが、入社後に任される立場やミッションによっては、特に評価される可能性もあります。チームや部署を率いるリーダー・マネージャーなどのポジションや、プロジェクト・プロダクトのマネジメントを行うなど、「組織や案件の中心に立ち、全体を取りまとめる仕事」がこれに当たります。顧客やチームのメンバー、社内の関連部署、社外の協力会社など、より多くの人とかかわりながら進めていく仕事ほど調整力が必要とされるため、強みとして評価されやすいでしょう。

企業が求める「調整力」とは?

企業が求めている調整力とは、「さまざまな立場の人々を取りまとめて、成果に結びつける力」であり、「それぞれの利害をすり合わせ、目的・目標を達成できる力」ともいえます。これを前提に、自己PRではより具体的に「どんな調整力を発揮できるのか」を伝えることが大事でしょう。

また、「周囲に合わせてうまくやれる。だから調整力がある」などのアピールをするケースもありますが、調整力とは、周囲に合わせる力ではなく、「周囲を動かしていく力」です。伝え方を間違えれば、「自己主張ができないだけでは?」「調整力そのものを理解していないのでは?」と捉えられる可能性もあるので注意しましょう。

調整力を構成する4つの力

調整力は、具体的には4つの力で構成されています。それぞれの力を各場面で発揮することで、「関係者全員が納得できる形に取りまとめ、本来の目的を達成すること」ができるといえます。以降で、「調整力を構成する4つの力」について解説するので、これを参考にして自分が調整力を発揮した経験を掘り下げていきましょう。

1:ブレずに目的の達成に向かう力

他人の意見に左右されず、「ブレずに目的の達成に向かう力」は、チームや関係者の中心に立って仕事を進める際に必要な力のため、評価のポイントとなるでしょう。案件を進めたり、組織をまとめたりする際には、関係者から上がってくるさまざまな立場の意見や考えを取りまとめていくことが必要となります。人の意見に影響を受けやすい場合、本来の目的を見失い、進むべき方向性も見失いがちになります。自分の考えをしっかり持ち、目的の達成に向かう力があれば、意見を整理した上で、調整すべき点や課題となる部分を明確にすることができます。

2:相手の潜在的なニーズを理解する力

ただ相手の意見や要望を引き出すのではなく、その背景にある利害関係や状況・事情なども理解する力が、「潜在的なニーズまで理解する力」です。顧客やチームのメンバー、関係部署、協力会社など、立場の違う関係者を取りまとめていく際に必要な力として、評価につながるでしょう。相手の言葉をそのまま受け止めるのではなく、それぞれの求めていることを理解する力によって、全関係者が納得のいく落としどころを見つけることができます。また、顧客によっては、直接の担当者と上長、経営陣の求めるものが違うケースもあるため、顧客先の内部を調整し、要望を取りまとめていく際にも力を発揮できるでしょう。

3:人脈形成・情報収集の力

社内の他部署や他職種などに人脈を持ち、さまざまな情報を入手する力は、部署をまたぐプロジェクトやチームの取りまとめに役立つため、評価されるでしょう。社内における役割や立場、各所との関係性などを知り、物事を多角的に捉える視点を身につければ、利害関係のある交渉もスムーズに進めやすくなりますし、調整時に協力を仰ぐこともできます。また、顧客や協力会社などに対する社外調整を担う場合は、窓口となる担当者との関係性をしっかりと築き、業界や企業の周辺情報を引き出すことができれば、より適切な判断を下すことができるでしょう。

4:合意形成する力

関係者全員が納得のいく落とし所を提案し、相互理解を深めて合意を形成する力は、プロジェクトや案件をまとめる際に必要とされます。関係各所のニーズやそれぞれの関係性を把握・整理した上で、全員が納得できるような形へと調整し、最終的なゴールへ導くことができる力といえます。多くの人がかかわるプロジェクトや案件で「合意形成の力」を発揮したエピソードを伝えれば、より評価されるでしょう。また、合意形成の際に、論理的に説得したり、感情に訴えかけて同意を得たりするプレゼン能力を発揮したことなども伝えれば、さらなる評価につながるでしょう。

自己PRで「調整力」を上手に伝えるコツ

調整力を伝える際に役立つコツを紹介するので、自己PRの参考にしましょう。

1:「どのような力なのか」を端的に表現する

最初の一文では、自分が持つ調整力を端的に表現しましょう。ただ単に「調整力が強み」とするのではなく、先に挙げた「調整力を構成する4つの力」にフォーカスを当て、自分なりに定義付けをするといいでしょう。例えば、「部署ごとの潜在ニーズを理解し、組織課題を整理できる調整力」「社内外の関係者をまとめ、合意形成する調整力」など、続いて語るエピソードを1行に要約するようなイメージで、「どのような力なのか」を先にわかりやすく伝えることが大事です。面接はもちろん、職務経歴書の自己PR欄に書く際にも、最初の1文で相手に興味を持ってもらうことが大事だと意識しましょう。

2:エピソードでは「状況」と「成果」を明確にする

裏付けとなるエピソードでは、どのような状況で調整力を発揮したのかを具体的に伝えることがポイントです。まずは、「どんな『相手』に対し、どのような『目的』を果たすために動いたのか」「どんな『状況』に対して、どのような『課題意識』を持ったのか」を説明しましょう。さらに、「自分がどんな『行動』をしたのか」「その結果、どんな『成果』を得たのか」を具体的に語りましょう。取り組んだ状況と挙げた成果を明確にすることで、調整した案件の難易度や自分自身の貢献度がわかりやすくなります。また、リーダークラスなどの場合は、エピソードに伴う成果だけでなく、そのポジションで積み重ねた実績もしっかりアピールするとより評価されやすいでしょう。

調整力をアピールする回答例文とNG例文

ここでは、自己PRの回答例文とNG例文を紹介します。伝えるべき要素を把握し、表現も参考にしながら、自分自身がアピールしたい内容に置き換えてみましょう。

営業職の回答例文

◎営業:銀行の法人営業

<最初の一文>
実現できるかわからない難易度の高い課題に対しても、社内外を調整しながら現実的な案を見出し、解決する力が強みだと考えています。

<相手・目的>
大口の担当顧客より、新規事業立ち上げに向けて数億円の大型融資を受けたいとの要望があり、加えて短期間での融資実行も希望されました。

<状況・課題意識>
単一行で巨額の融資をする場合にはリスクがあるため、対応そのものができない状況がありました。しかし、何とか顧客の役に立ちたい思いがあり、また、ここで貢献すれば今後の取引の広がりも期待できると考えました。

<行動>
実現可能な方法を考え、「他行と連携するシンジケートローンの組成」を上司に提案・相談した結果、了承を得ることができました。その後、他行への参加打診を開始し、短期間で銀行5行の参加意思を固めさせ、条件や金額などのスキーム調整を行いました。さらに社内の審査部門や法務部門や、他行の担当者と密接に連携し、融資の目的やメリットを丁寧に説明していきました。顧客との協議も重ね、融資実行を2回に分ける方法を提案するなど、互いに納得できる着地点を見つけるために動いていきました。

<成果>
最終的に、顧客側から「融資タイミングを分ける形で問題ない」という回答を得て実行に漕ぎつけました。銀行団側の負担やリスクを軽減し、顧客側が予定通りに新規事業に着手できるよう、現実的な着地案を見つけたことで、双方から感謝の言葉をもらうことができました。

マネジメント職の回答例文

◎前職:ITサービス企業(SIer)のプロジェクトマネージャー

<最初の一文>
「現状・課題・目的」の整理などを行い、根本的な課題解決に向かってプロジェクトをまとめる調整力があります。

<相手・目的>
顧客、自社、多数のパートナー企業がかかわる大規模な開発プロジェクトを取りまとめました。

<状況・課題意識>
顧客の要望変更が多く発生したことで、開発そのものが遅延し、自社内の開発担当者やパートナー各社からの不満も高まっている状況がありました。その際、ひとつ一つの問題に対処するよりも、根本的な課題の整理をすることが必要だと判断しました。

<行動>
顧客側に対しては、開発目的の整理や納期確認などを行い、細部まで目線合わせをするように働きかけました。一方、開発側に対しては、主要開発パートナーの代表を集めた定例会議を設定し、進捗状況や問題点などの情報共有を行うことで全体像を把握できるようにしました。

<成果>
これによって、顧客側の認識・知識不足のために要望変更が頻発していることが判明しました。その後は、プロジェクト共有ツールでの進捗共有や、週次の定例会の開催で、全関係者の目線合わせを常時行えるような仕組みを作り、納期通りにプロジェクトを完遂することができました。

NG回答の例文

◎営業:銀行の法人営業

大口の担当顧客から「新規事業立ち上げに向けて、短期間で数億s円の大型融資を受けたい」との要望を実現する際、調整力を発揮した経験が私の強みです。
当初、単一行で巨額の融資を行うにはリスクがあるため、対応が難しいと感じていました。そこで、この状況を上司に相談し、「他行にシンジケートローンへの参加を打診してみては?」というアドバイスをもらいました。そこで、5行に打診した結果、参加してもらえることになりました。実現に向かう際には、社内や社外の意見を調整する部分で難しいところもありましたが、上司にサポートしてもらいながら対応していきました。いろいろ苦労した結果、何とか期限内で融資を実行でき、顧客にも他行にも感謝されました。

NGポイント解説

まず、最初の一文で、「自分の調整力とは、どんな力なのか」を具体的に表現できていないという点が挙げられます。また、「課題意識」や、課題解決に向かう「行動」において、他者と連携する視点がなく、自分の調整力を活かそうという意図や意思も見えないため、評価につながりにくいといえるでしょう。「相談した結果、上司にアドバイスをもらった」「他行に打診した結果、参加してもらえた」などの行動を挙げても、「すべて他人任せ、成り行き任せで、調整力があるとは思えない」と捉えられかねません。社内外を調整して「成果」を出せたエピソードでも、受け身の調整をしたことを伝えるのみでは、「今後、同様の場面があったときに、調整力を発揮して課題解決していけるかは周囲の状況次第であり、再現性が見込めない」と判断される可能性も高いでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

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