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転職で年収が下がる理由とは?年収ダウンを回避する方法を解説

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「転職したいけれど、年収が下がるのは避けたい」と考えている方は少なくありません。年収ダウンとならない転職を実現するためには、「なぜ年収が下がるのか」を理解した上で転職活動を進めることが重要です。転職で年収が下がるケースの特徴、年収を下げないための対策、年収が下がっても転職するかどうかを判断するポイントについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

転職で年収が下がる人は約3割

転職によって年収が上がる人・下がる人の割合に注目してみましょう。厚生労働省が発表している「令和6年上半期 雇用動向調査」の「転職入職者の賃金変動状況」によると、前職の賃金に比べて「増加」した割合は40.0%、「減少」した割合は28.9%、「変わらない」の割合は29.5%です。増加している人のほうが多い傾向が見てとれ、「増加」した割合と「減少」した割合の差は、「増加」が「減少」を11.1ポイント上回っていることがわかります。また、「増加」のうち、「1割以上の増加」は29.7%、「減少」のうち、「1割以上の減少」は21.1%です。

(※)出典:令和6年上半期雇用動向調査結果の概要 転職入職者の状況(厚生労働省)

なお、リクルートエージェントを通じて転職した人のデータを見ると、2024年10~12月期、前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者の割合は 35.8%です。2023年同時期より0.8pt増えています。

人手不足の深刻化・採用難を背景に、採用にあたって給与額を引き上げる企業が増えていることが考えられます。

転職決定者の算出式

2024年4-6月期 転職時の賃金変動状況グラフ
(※)出典: 2024年10-12月期 転職時の賃金変動状況(株式会社リクルート(現:株式会社インディードリクルートパートナーズ))

転職で年収が下がるケースの特徴

転職で年収が下がるケースとして、以下が挙げられます。

異業界・異職種へのキャリアチェンジ

キャリアチェンジとは、これまでとは異なる業界・職種への転職を指します。企業にとって、未経験者は入社後の育成に時間がかかる場合もあることから、即戦力となる経験者に比べると低めの給与額を提示するケースが見られます。

また、経験年数やポジションが同じであっても、業界によって給与水準に差があります。金融・製薬・コンサルティングなど給与水準が比較的高い業界から給与水準が低い業界に転職する場合は、同職種の転職であっても年収ダウンとなるケースがあります。

役職を変える転職

「前職では管理職だったが、転職先企業にメンバークラスとして入社」「前職は部長だったが、転職先企業に課長クラスとして入社」など、転職によって役職が変わる場合、年収ダウンとなるケースがあります。

なお、管理職経験者の場合、入社後に組織になじんでから、あるいは実績を挙げれば早期に管理職に昇進することを前提に、メンバークラスで入社となることもあります。その場合、転職時には年収ダウンとなっても、早い段階で元の年収水準に戻る可能性もあります。

人事制度が異なる企業に転職

人事制度(評価・等級・報酬など)が異なる企業に転職した場合、年収ダウンとなることがあります。具体的な例を挙げると、「個人の業績が評価される企業からチーム単位で評価される企業に転職」「賞与・インセンティブ制度がある企業から制度がない企業に転職」「賞与・インセンティブの金額が高い企業から低い企業に転職」といったケースです。資格手当の有無、住宅手当などの福利厚生面の充実度も影響するでしょう。

また、企業によっては「年齢◯~◯歳で役職:係長(リーダー)クラスの等級」といった規定があり、前職の実績や年収にかかわらず、転職先企業の等級に該当する給与水準となることもあります。前職年収が高い場合、それによって年収ダウンにつながることもあります。

大企業から中小企業への転職

厚生労働省が発表している「令和6年 賃金構造基本統計調査」によると、企業規模別の賃金は、大企業で364.5千円、中企業で323.1千円、小企業299.3千円と差がついています(いずれも男女計)。

(※)出典:令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況(厚生労働省)

一般的に大企業は「市場への参入障壁が高く競合が少ない」「分業化が進み生産性が高い」「ブランド力があり販売や採用力に長けている」などの理由から、年収水準が高い傾向にあります。そのため、現職または前職よりも規模の小さい企業に転職すると、年収ダウンになる可能性があります。

なお、規模が小さい企業に転職した時点では年収が下がるとしても、その後企業が成長を遂げれば、前職企業に勤務し続けるよりも年収が上がるケースもあります。

大都市圏から地方の企業に転職

地域によっても給与水準に差があります。「令和6年 賃金構造基本統計調査」の「都道府県別(都道府県別にみた賃金)」によると、全国計(330.4千円)よりも賃金が高かったのは4都府県(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府)となっており、最も高かったのは東京都(403.7千円)です。

一方、低いのは宮崎県(259.8千円)、青森県(259.9千円)などで、上位の都府県とは大きく差が開いています。もちろん、給与水準は個々の企業によって異なりますが、全般的には大都市圏のほうが給与水準は高い傾向があるため、大都市圏から地方の企業に転職した場合、年収が下がる可能性があります。

(※)出典: 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況(厚生労働省)

残業時間が短い企業への転職

たとえ基本給が同じであったとしても、残業時間の有無によって年収が下がるケースもあるでしょう。近年、働き方改革によって労働時間を抑制する企業が増えています。現職よりも残業時間が少ないと、残業手当が減る分、年収が下がる可能性があります。

転職で年収を下げないための対策とは?

転職によって年収を下げたくない場合は、以下の対策を試してみましょう。年収ダウンを防げるかもしれません。

キャリアを活かせる企業に転職する

これまでのキャリアが評価される企業を選ぶことで、経験・スキルに見合った報酬が期待できます。自身の専門性を活かせる場合、即戦力としての価値が高まり、給与に反映されやすくなるでしょう。

応募する際には企業研究をしっかりと行い、その企業が求める人材像をつかみましょう。企業ニーズと自身のキャリアをすり合わせ、ニーズに応えられる経験・スキルを強調してアピールすれば、高く評価され、高年収でのオファーにつながるかもしれません。

成長している業界・企業に転職する

成長している業界や企業は積極的に採用活動を行っていることも多く、競合他社よりも高い水準の年収で募集し、採用するケースがあります。

また、業績が向上すれば、収益拡大に伴って賞与の増加も期待できると考えられます。各業界のマーケット動向や、興味がある企業の市場優位性・取り巻く環境などを調べてみると良いでしょう。

給与水準が高い業界・企業に転職する

これまでと同職種・同様の業務であっても、給与水準が高い業界や企業に転職することで、年収が上がるケースがあります。先にも挙げたとおり、金融・製薬・コンサルティングなどの業界は比較的給与水準が高めといえるでしょう。

外資系企業、インセンティブの割合が高い企業なども、比較的給与水準が高い傾向が見受けられます。

副業が可能な企業に転職する

副業が認められている企業であれば、前職より給与が下がったとしても、副業による収入の上乗せが可能です。副業に関する規定を調べて企業を選択する方法もあるでしょう。

年収が下がっても転職するかの判断ポイント

応募企業で年収ダウンとなる金額が提示されたとしても、「年収以上の魅力があるか」「中長期的視点でキャリア構築や年収アップにつながるか」という観点で捉えてみると良いでしょう。年収にこだわりすぎてしまうと、キャリアの選択肢を狭めることにもなりかねません。

年収が下がっても転職するメリットがあるかどうか、以下の観点で考えて判断しましょう。

生活できる給与水準か計算する

年収を12分割し、月額で考えてみましょう。最低限必要となる生活費に加え、必要に応じてローンや教育費などのコストを月額で算出します。家族やパートナーがいる場合は、転職直後だけでなく「○年後に転居」など、将来的に必要となりそうなコストも洗い出しましょう。

生活に無理が生じる転職をした場合、金銭面に不安を感じて再度転職を検討することになるかもしれません。もし年収が下がっても転職したい場合は、家族やパートナーと相談して「世帯収入を増やす」「支出を減らす」などの余地があるか探ってみるのもひとつの方法です。

年収減を上回る魅力があるか考える

年収が下がる以上の魅力やメリットがあるかどうかを考えてみましょう。 以下に一例を挙げます。

  • 「修業期間」と捉えて市場価値が高いスキルを身につければ、将来の年収アップ転職につながる。
  • 年収が下がっても、労働時間が減少したり休日が増加したりすることにより、プライベートを充実させられる。
  • 各種手当など福利厚生が充実しているため、トータルで収支が合う(可処分所得は変わらない/増える)。
  • 業務内容に満足感がある。

入社後に年収上昇の可能性はあるか考える

前提として、応募先企業から現職よりも低い年収を提示されたとしても、「人材としての評価が下がった」「市場価値が低くなった」などというわけではありません。現職の年収は、あくまでその企業でこれまで築き上げてきた信用や実績によるものです。転職先の企業でも一から信用や実績を積み上げることで、リカバーできる可能性はあります。

転職時点では年収が下がったとしても「成果を挙げることでインセンティブが支給される」「ストックオプションが期待できる」など、評価制度や企業の成長によっても年収アップの可能性があるかどうかを考えてみましょう。

年収ダウンの転職でもらえる可能性がある補助金とは

年収が下がる転職をした場合、国から「就業促進定着手当」を受けられる可能性があります。「就業促進定着手当」とは、再就職手当を受けた人が再就職先に6ヵ月以上雇用され、再就職後6ヵ月間の賃金日額が離職前の賃金日額よりも低い場合に受けられる手当です。

「就業促進定着手当」は再就職手当の支給申請を行ったハローワークで申請できます。該当する場合は、受給資格の条件などを確認し、相談してみましょう。

(※)参考:「再就職後の賃金が、離職前の賃金より低い場合には 「就業促進定着手当」が受けられます」(厚生労働省)

転職後の年収について転職支援のプロからアドバイスをもらうことも一案

転職市場動向を把握している転職エージェントに相談すると、自身の「市場価値」のアドバイスを受けられます。自身を高く評価してくれる企業を選ぶことで、年収維持・アップにつながる可能性があります。

転職エージェントは「マネジャー」「プロジェクトリーダー」「新規事業担当」など、重要なポジションの「非公開求人」も多く取り扱っていることもあるため、年収が高いポジションの求人情報を入手できることもあります。

また、職務経歴書でのアピールや面接への受け答えによって評価が上がれば、年収アップのオファーにつながるかもしれません。応募書類作成や面接対策のサポートサービスも活用すると良いでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2022年08月02日
記事更新日:2023年11月07日
記事更新日:2024年12月07日
記事更新日:2025年07月18日 リクルートエージェント編集部

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

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