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転職後の確定申告はどうしたらいい?─専門家が書類や手続きを解説

転職 確定申告

「転職した場合、確定申告は自分でしなければならない?」「自分で確定申告をするなら、どんな書類や手続きが必要?」──そんな疑問について、ファイナンシャルプランナー資格も持つ社会保険労務士の岡佳伸さん監修のもと、お答えします。

確定申告とは?

確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)で得た所得にかかる税金を自身で計算し、税務署に申告して納める手続きです。所得税および復興特別所得税の額を「申告納税」する手続き、あるいは、納め過ぎた所得税と復興特別所得税が戻ってくるように「還付申告」をする手続きに分かれます。

転職をした場合の確定申告はどうなる?

転職した場合、タイミングなどによって確定申告をする必要がないケース、必要があるケースがあります。退職後でも、確定申告を行うことで所得税が戻ってくることもあります。

転職後、自分で確定申告をする必要がないケース

入社時に提出する書類の中に、「源泉徴収票」があるのは年末調整のためです。会社員であれば、「年末調整」として、会社が納税作業を代行してくれます。転職した場合も、年末調整の時期(11月末~12月中旬)に新しい会社に在籍していれば、自身で確定申告をする必要はありません。

転職後、自分で確定申告する必要があるケース

自分で確定申告をする必要があるのは、次の2パターンです。

●年末の時期にどの会社にも所属していない状態

上記のとおり、会社に在籍していれば会社が「年末調整」をしてくれますが、年末調整の時期である11月末~12月中旬に転職活動を続けており、どの会社にも所属していない場合、自身で確定申告する必要があります。

前職を退職して次の会社が決まっていない人、あるいは「その年の途中で退職し、翌年1月以降に入社予定」など年末時点では会社に所属していない人などがこれにあたります。

●年末時期に新しい会社に在籍しているが、年末調整を受けていない

会社で年末調整として納税作業を代行するには、前職の源泉徴収票が必要です。転職先の企業が年末調整をするために必要な書類や条件を満たしておらず、年末調整を受けられないケースとしては、大きく分けて2つあります。

(1)転職先で年内の給与が支払われないケース
例)転職先に12月に入社し、翌月末払いのため年内は給与が支払われない。
(2)源泉徴収票がないケース
例)転職先の発行が間に合わない、前職の発行忘れ、本人の提出漏れなど。

(1)の転職先からの支払いがない場合は、自身での確定申告が行うことになります。(2)に関しては、退社が決まった段階で、転職先企業にいつまでに源泉徴収票が必要か確認し、その期日に合わせて発行してもらうよう伝えておきましょう。期日に間に合わなかった場合や本人の提出漏れは、自身で確定申告を行わなくてはいけなくるなるので、注意しましょう。

転職後の確定申告に必要な書類と手続き

確定申告に必要となる書類は以下のとおりです。

・源泉徴収票(※退職時に前の会社から受け取る)
・生命保険料控除証明書
・住宅ローン控除証明書
・控除証明書類(小規模企業共済等掛金控除、医療費控除など)

社会保険料については、同一世帯の家族の分も自分が支払っている場合、控除の対象となりますので、控除証明書を用意しましょう。失業保険や、生命保険・医療保険の保険金(入院一時金など)は、確定申告において「収入」とは見なされません。なお、確定申告の手続きは、定められた期間内に行います。原則、翌年2月16日から3月15日の間に申告をします。

国税庁のサイト内にある、「確定申告書等作成コーナー/e-Tax(国税電子申告・納税システム)」から手続きが可能。画面の案内に沿って金額などを入力すれば、税額などが自動計算され、申告書を作成することができます。作成した申告書などはe-Taxで送信するほか、印刷して郵送で提出することも可能です。

【Q&A】転職後の確定申告、こんな場合はどうする?

転職時の確定申告に関する疑問に、岡さんが答えます。

Q.副業をしている場合はどうすればいい?

まず、転職する・しないに関わらず、副業によって2カ所以上の会社から給与を受け取っており、副業所得が20万円を超えている場合は、確定申告が必要です。

転職した場合、前の会社・副業先の会社・新しい会社と、3カ所から源泉徴収票が発行されることになり、「同時期に2カ所以上の事業所から給料が支払われている」状態ですので、確定申告が必要です。

Q.確定申告するのを忘れていた。どうすればいい?

確定申告を忘れていた場合の対応は、2つのパターンがあります。払い過ぎた税金が戻ってくる「還付」がある場合、5年前までさかのぼって確定申告をすることができます。

特に、医療費控除については年末調整では受けられず、会社に勤務していても確定申告で控除を受ける必要があります。多額の医療費がかかった場合は、後からでも申告しましょう。

一方、納めるべき税金がある場合は、2月16日から3月15日の期間中に申告を済ませる必要があります。期間を過ぎると延滞税などのペナルティを課せられますので、申告を忘れていた場合は、なるべく早く申告しましょう。「期限後申告」として受け付けてもらえます。

自分の状況に応じた確定申告をしよう

前の会社を退職した時期、新しい会社に入社する時期によって、確定申告が必要かどうかは変わってきます。前の会社で源泉所得税を納め過ぎており、確定申告をすれば戻ってくるケースも多いので、申告することをおすすめします。

転職エージェントでは、転職に際して必要な手続きについての情報も入手できますので、相談してみてはいかがでしょうか。

社会保険労務士法人 岡 佳伸事務所代表 岡 佳伸氏

アパレルメーカー、大手人材派遣会社などでマネジメントや人事労務管理業務に従事した後に、労働局職員(ハローワーク勤務)として求職者のキャリア支援や雇用保険給付業務に携わる。現在は、雇用保険を活用した人事設計やキャリアコンサルティング、ライフプラン設計などを幅広くサポート。特定社会保険労務士(第15970009号)、2級キャリアコンサルティング技能士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士など保有資格多数。

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