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2回目の転職は厳しい?20代・30代に対する採用担当者の本音とチェックポイントを解説

キャリアアップ

20代~30代で2回目の転職を考えるとき、「転職を重ねるとマイナスイメージを持たれないか?」という不安を抱く方は少なくないようです。2回目の転職は企業にどう捉えられ、選考でどのようなポイントがチェックされるのでしょうか。2回目の転職を実現するためにどのようなことを心がければよいのか、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

「2回目の転職が気になる」と回答した採用担当者はわずか3.6%

企業の採用担当者は、応募者の転職回数が何回目から気になり始めるのでしょうか。株式会社リクルート(現:インディードリクルートパートナーズ)が企業の採用担当者にアンケートを行ったところ、「転職回数は気にならない」と回答したのは37.0%。約3人に1人は転職回数を気にしていないことがわかります。

そして、「転職1回から気になる」(※今回が2回目の転職)と回答した採用担当者は、わずか3.6%にとどまっています。

転職 2回目_採用担当が気になる転職回数の割合のグラフ
(※)出典:転職回数と採用実態の関係(株式会社リクルート(現:インディードリクルートパートナーズ))

「転職歴」に対する考え方は、業界や企業によって大きく異なります。1~2回の転職でも懸念を抱く企業もあれば、求める経験・スキルさえ持っていれば転職回数を問わない企業もあります。
転職を重ねて最新のスキルやノウハウを身につけることで、むしろプラス評価につながるケースも少なくないようです。

業界問わず人手不足が深刻化している近年は、転職回数を問わない企業が増えているとも考えられます。

2回目の転職と1回目の転職で違うことは?

2回目の転職では、選考において「転職理由」「志望動機」がより注目される可能性が高いでしょう。
1回目の転職は、「社会に出て仕事を経験してから新たな気付きや仕事への価値観に変化があった」というストーリーが納得されやすい傾向がありますが、2回目となると1回目以上に「目的意識」を問われやすくなると考えられるからです。

例えば「1回目は年収を上げたかった、2回目は社風を大事にしたい」など、1回目の転職と2回目の転職の理由に一貫性を感じられないと、「キャリア観や目的意識があいまいな人」という印象を持たれるかもしれません。

2回目の転職で採用が見送りになる可能性のある人とは

2回目の転職で採用が見送りになる可能性があるのは、どのような人なのでしょうか。もちろん、2回目だけに限らず、企業によって視点や評価基準が異なると考えられますが、一例として次のようなケースが挙げられます。これらを参考に、選考対策を行いましょう。

2社目での在職期間が短い

応募企業が納得できる明確な転職理由がある場合はその限りではありませんが、2社目での在職期間が短い人、つまり1回目の転職後、短期間で再び転職をしようとしている人は「深く考えておらず、行き当たりばったりなのではないか」「不満があればすぐ辞める人なのではないか」といった懸念を抱かれる可能性があります。採用担当者が転職理由を聞いて納得しなければ、採用を見送られるかもしれません。

なぜ短期間で転職することになったのか自己分析を行い、反省すべき点があれば正直に伝えましょう。そして、今回はキャリアについてしっかり考えたこと、応募企業を十分に研究した上で志望したことを伝えるとよいでしょう。

「退職理由」と「志望動機」に一貫性がない

面接では、しばしば「退職理由」と「志望動機」を聞かれることがありますが、その回答にズレがあると、納得を得にくいでしょう。

退職の理由となった不満や課題が応募企業で解消できること、前の会社でしたくてもできなかったことがあること、などを一貫性のあるストーリーで語れるように準備しましょう。

キャリアに対して主体性が感じられない

「これまで2社で経験を積みました」のみで終わってしまい、主体的に取り組んだこと、成果を挙げたこと、学んだことなどまで踏み込まないケースも見受けられます。

1社目・2社目それぞれについて、「どのような取り組みに力を入れたか」「それによってどのような成果を挙げたか」「その経験で培ったスキルやノウハウを応募企業でどのように活かしたいと考えているか」を語れるようにすることが大切です。

2回目の転職でチェックされるポイント

採用担当者が選考においてチェックしていると考えられるポイントを、「履歴書・職務経歴書」と「面接」とに分けてお伝えします。2回目の転職だけに限ったことではありませんが、1回目以上に注視される可能性があるポイントのため注意するとよいでしょう。

履歴書・職務経歴書:「在職期間」

履歴書・職務経歴書では、1社目と2社目の「在職期間」が注目されるでしょう。特に2社目となる直近の勤務先での在職期間が、評価や印象を左右する可能性があります。数カ月など短期間の場合は、「安易に企業を選んだのではないか」「不満があればすぐ辞めるのではないか」といった懸念を抱かれるかもしれません。

もちろん、「事業撤退・縮小」や「仕事内容や待遇が面接時の話とまったく異なっていた」など、会社側の事情や本人に非がない事情などがある場合は理解を得やすいでしょう。

履歴書・職務経歴書:「業種・職種の関連性」

1社目と2社目の「業種・職種の関連性」も見られることが多いポイントの一つです。一つの分野で経験を積んできたのか、あるいはキャリアチェンジを図ったのか。そして、その経験が自社にどうつながるのか。そこから、採用担当者が「これまでの経験・スキルが自社で活かせる可能性がある」と判断すれば、書類選考を通過できる可能性があるでしょう。

面接:「退職理由」「志望動機」「経験・スキル」

面接では、1社目・2社目についてそれぞれ「退職理由」「志望動機」「得た経験・スキル」などが問われると考えられます。このとき、「退職理由」と「志望動機」に一貫性を持たせることが大切です。「○○がしたかったが、現職企業ではできないので退職した」と語る一方、応募企業を志望した動機が退職理由で語った、したかったことではないとしたら、「目的が明確でない」と思われるかもしれません。

とはいえ、企業が確認していると考えられるのは、「経験・スキルを活かして自社で活躍できるかどうか」です。2つの会社での在職期間に関わらず、「このような経験を積み、このスキルを身につけた。それを御社でこのように活かせる」という具体的なアピールができれば、プラス評価につながりやすくなるでしょう。

【年代別】採用担当者の本音と2回目の転職を実現するコツ

20代と30代について、2回目の転職に対する採用担当者の捉え方、2回目の転職を実現させるコツを紹介します。

20代で2回目の転職をする場合

株式会社リクルート(現:インディードリクルートパートナーズ)のアンケート調査によると、20代では転職経験がない人が約6割以上を占めています。転職経験者が比較的少ないため、転職経験を気にする採用担当者もいるかもしれません。20代前半か後半か、これまでの経歴、転職に至った事情などにもよりますが、1社あたりの在職期間が短いと、懸念を抱かれる可能性もあるでしょう。転職回数を気にしない企業が増えているとはいえ、採用担当者によっては「スキルが身についていないのでは」「少しでも不満があると転職をする傾向があるのでは」「1つのことを継続する力が低いのでは」などと思うかもしれません。

転職回数の割合

転職 2回目_20代の転職回数の割合のグラフ
(※)出典:転職回数と採用実態の関係転職回数と採用実態の関係(株式会社リクルート(現:インディードリクルートパートナーズ))

転職を実現するには、1回目、2回目(今回)の退職理由・転職理由を整理し、企業側に理解してもらえるように伝えましょう。加えて、その企業を志望した理由、今後のキャリアビジョンに一貫性を持たせて語ると、定着への懸念の払しょくにつながる可能性があります。

そして、1社目・2社目で身につけた経験・スキル、実績を踏まえ、応募企業に貢献できることをアピールしましょう。

30代で2回目の転職をする場合

前述のアンケート調査によると、30代では転職2回目の人は22.8%。それ以上の転職回数も含め、転職経験者は半数以上(55.5%)に達します。転職経験者のほうが多数派になるため、2回目の転職はそれほど気にされないかもしれません。ただし、1回目の転職後、すぐに2回目の転職活動に踏み切っている場合、入社後の定着や活躍への懸念が生じることは、年代問わずあり得るでしょう。

転職回数の割合

転職 2回目_30代の転職回数の割合のグラフ
(※)出典:転職回数と採用実態の関係転職回数と採用実態の関係(株式会社リクルート(現:インディードリクルートパートナーズ))

20代より多くの経験を積んでいると考えられる30代は、即戦力性やマネジメントスキルに期待が寄せられる傾向があります。1社目・2社目での経験・スキルを活かし、応募企業での活躍可能性をアピールすることで、比較的、転職回数を問われない可能性があります。

なお、異業種・異職種への転職を図る場合は、ポータブルスキルを活かしましょう。ポータブルスキルとは、課題分析力・交渉力・調整力など、業種・職種問わず持ち運べるスキルを指します。応募企業を研究して求める人材像をつかみ、企業のニーズと自身の強みの接点を見つけ、アピールするとよいでしょう。

「転職2回」がプラス評価につながった事例

転職の目的が明確であれば、2回の転職経験がプラスの評価をされ、キャリアアップにつながっていくケースもあります。2つの事例を紹介します。

営業、経理の経験を活かしてM&Aコンサルタントに転職

Aさん(20代後半)が新卒で入社した企業では、「経理の仕事がしたい」という希望が叶わず、営業部門に配属となりました。異動で経理部門に移ることは難しいと判断したAさんは、簿記2級資格を取得し、1年ほどで退職。経理職を「未経験OK」で募集していた企業に転職しました。

2社目で約3年、経理・財務および子会社の経営企画も経験した後、「さらにキャリアの幅を広げたい」と、2回目の転職を決意。新卒入社した企業で営業として身につけたコミュニケーション力・折衝力、2社目の企業で得た経理・財務・経営企画の経験を組み合わせてアピールし、M&Aコンサルタントへの転職を実現しました。

大手企業とベンチャー企業での経験が買われてスタートアップ企業に転職

Bさん(30代前半)は、新卒で大手企業に入社。営業からスタートし、マーケティングやサービス企画などにも携わりました。しかし、細かなマニュアルやルールに縛られる社風に抵抗感を抱き、入社3年目に「スピード感」「自由な裁量」があるベンチャー企業に転職しました。

その5年後、Bさんは2回目の転職を決意。より成長が期待できるAIサービス分野を目指し、市場から有望視されているスタートアップ企業に転職を果たしました。

入社したスタートアップ企業のターゲット顧客は主に大手企業。Bさんは1社目の経験から「大手企業が抱える課題」「大規模組織の決裁の流れ」などを理解しており、かつ2社目のベンチャー企業では「スピード感」「主体的な行動力」「幅広い業務への対応力」を培っていたことが評価され、採用に至ったのです。

2回目の転職を検討するなら転職エージェントに相談を

2回目の転職に対する採用担当者の懸念を払しょくする、かつ2社での経験にポジティブな印象を持ってもらうためには、これまでの経験から得た強みを整理すること、今後につながるキャリアのストーリーを描くことが大切です。

1人で考えるよりも、客観的な視点を持った転職エージェントと対話することで、経験や考えが整理できるかもしれません。職務経歴書の書き方や面接でのアピールのコツについてもアドバイスを受けられることがあるため、転職エージェントのサポートを活用してみてはいかがでしょうか。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2022年12月23日
記事更新日:2025年07月28日 リクルートエージェント編集部

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

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