髙松グループの次の事業を、不動産開発から生み出す。新会社・髙松都市開発の構想。

1917年の創業以来、建設を中心に事業を広げてきた髙松コンストラクショングループ。そのなかで2025年、新たな総合デベロッパーとして本格始動したのが髙松都市開発です。現在、約30名の少数精鋭組織で、超富裕層向けサービスアパートメントを皮切りに、ホテルやオフィス、データセンターなどへ事業領域を広げようとしています。東証プライム上場グループの基盤を持ちながら、会社そのものをつくっている最中でもある髙松都市開発。どのような構想を掲げ、どんな事業を生み出そうとしているのでしょうか。代表取締役社長の髙城昌弘氏と、現場で事業を動かす中村尚寛氏、菊地萌香氏に話を聞きました。

株式会社 髙松都市開発/代表取締役社長

髙城 昌弘

株式会社 髙松都市開発/開発事業本部 投資開発グループ 兼 コンサルティンググループ グループ長

中村 尚寛

株式会社 髙松都市開発/開発事業本部 資産運営グループ 兼 分譲推進グループ メンバー

菊地 萌香

後発だからこそ、狙う市場から考える

── まず、髙松都市開発が本格始動した背景について教えてください。

髙城:建設業界を取り巻く環境が変わってきたことが大きいですね。建築費が高騰し、コストが上がっていくなかで、髙松コンストラクショングループとしても、土地の取得や企画から開発、運営まで手掛け、建設につながる事業そのものを生み出す機能が必要だという問題意識がありました。
私は前職で長くデベロッパー事業に携わっていたこともあり、もともとはグループの顧問としてアドバイスをしていました。新しいデベロッパー会社をつくるので、誰かいい人はいないかと相談されていたのですが、「髙城さん、やってください」と。それでお引き受けすることになりました。

── そのとき、どのような会社にしたいと考えたのでしょうか。

髙城:後発のデベロッパーですから、すでに多くの会社が競い合っている市場にそのまま入っても面白くありません。私が狙いたいと考えたのは、いわば三角形の頂点にある市場です。グローバル化が進み、日本を行き来する富裕層も増えています。その一方で、そうした方々のニーズに応えられる住環境は、まだ十分に整っていないと感じていました。そこで、最初のテーマとして掲げたのが、超富裕層向けのサービスアパートメントです。赤坂、青山、麻布、いわゆる「3Aエリア」を中心に、スーパーラグジュアリーホテルのスイートルームのような空間に、キッチンなど生活に必要な機能も備える。中長期で暮らせる住まいとして提供する構想です。

── 今後も超富裕層向け住宅を中心に展開していくのでしょうか。

髙城:サービスアパートメントは、あくまでスタートラインです。後発の会社なので、まずは特徴のある商品をつくり、ブランドを確立する。そこからホテルやオフィス、商業施設、物流施設、データセンターへと対象を広げ、さまざまなアセットを扱える総合デベロッパーを目指します。
3年後の目標は、社員40名ほどで営業利益50億円です。人数を大きく増やすというより、一人ひとりの専門性を高め、40名ほどの組織で大きな事業を動かしていきたいと考えています。

── 40名ほどの少数精鋭の組織を目指しているのは、なぜでしょうか。

髙城:一人当たりで1億円以上の利益を生み出せるような生産性の高い会社にしたいと考えています。そのために、分業してそれぞれの工程に大勢の人を置くような組織にはしたくありません。
私は、不動産開発の仕事は「組み立て」だと思っているんです。一つの土地があったときに、住宅がいいのか、ホテルがいいのか、オフィスがいいのか。その場所の商圏やニーズを見ながら、最適な用途を考えていく。土地の取得から企画、建設、運営、売却まで、事業全体を理解しているからこそできる判断があります。
もちろん、一人ですべてを担えなくてもいいですが、それぞれが専門性を持ちながら、前後の工程まで理解している。そういう人材をそろえた組織にしたいと思っています。

住宅、ホテル、データセンター。アセットごとに事業を組み立てる

── 超富裕層向けサービスアパートメントでは、どのような商品をつくろうとしているのでしょうか。

髙城:FF&E(Furniture,Fixture and Equipment)と呼ばれる領域ですが、家具や調度品、アートまで含めて空間をつくり込みます。同じ広さの部屋でも、企画次第で商品価値は大きく高められます。どんな空間にするのか、どんな家具や調度品を置くのか、どんなサービスを組み合わせるのか。全体をコーディネートしながら、「ここに住みたい」と思っていただける空間をつくり込んでいきます。高い賃料を払ってでも住みたいと思っていただける商品をつくり、中長期で利用していただく。完成後のオペレーションまで自分たちで担っていく考えです。売却する案件に加えて、自社で保有し、継続的に賃料収入を得る物件も増やしていきたいですね。

── 住宅以外では、どのような領域に可能性を感じていますか。

髙城:ラグジュアリーホテルも面白いですし、アパートメントホテルや、今後のAI時代の社会インフラとして必要になるデータセンターにも力を入れたいと考えています。データセンターの場合は、土地をまとめ、電力や通信、水などの条件を整え、外資系のデータセンターデベロッパーやその先のテナントまで見据えて事業を組み立てます。事業化まで長い時間を要するケースもあるため、コンサルティングとして参画し、土地仲介や造成などをグループ各社が担う形も考えられます。SPCやTMK(特定目的会社)を活用し、外部の投資家と共同で事業を進めることもできます。アセットが変われば、必要な機能も収益の生み方も変わります。一つのやり方に当てはめるのではなく、その案件に合った形を考えていきます。

── 中村さんは、こうした髙城社長の事業方針をどのように受け止めていますか。

中村:転職する前から、社長には「自分たちでマーケットをつくるくらいの仕事をしよう」と言われていました。そこにはすごく共感していましたね。
私は現在、投資開発グループで、事業用地の仕入れや投資案件の検討をしています。土地や建物を直接購入する案件もありますし、SPCへの出資を検討することもあります。前職でも仕入れをしていましたが、現物不動産の取得が中心だったので、金融寄りの投資スキームは今の会社に来てから取り組み始めた領域です。
富裕層向けの商品は、自分の生活感覚だけではなかなか判断できません。例えば、月300万円の賃料を払う方が何を求めているのか。外資系のホテルオペレーターの方と話したり、実際にハイグレードな物件を見たりしながら、その市場を知っていく必要があります。

── 菊地さんは現在、どのような仕事を担当されているのでしょうか。

菊地:私は、仕入れた土地や物件を実際のプロジェクトとして形にしていく、開発推進の仕事をしています。設計や施工会社、さまざまな業者の方とやり取りしながら、完成に向けて進めていく役割です。
私はもともと不動産業界の出身ではなく、前職では飲食店で接客や店舗管理をしていました。その後、髙松建設に転職して土地活用の営業を経験し、新しく分譲事業の部署ができたタイミングで異動しました。そこで開発に関わるようになり、現在は開発推進を担当しています。
これまでは賃貸マンションや分譲マンションを中心に経験してきました。今後は富裕層向けの商品やホテルなど、扱うアセットも広がっていく予定です。仕様がどう違うのか、どこまでつくり込むのか、実際の物件を見ながら知識を増やしているところです。

少人数だから、判断も連携も早い

── 中村さんと菊地さんは、同じプロジェクトのなかでどのように関わるのでしょうか。

中村:例えば私たちが仕入れた案件を、菊地さんたちの推進側へバトンタッチします。仕入れの段階で「こういう事業にしよう」と考えたものを、その後の設計や施工を進めながら具体化してもらう形ですね。

菊地:受け取った時点の計画をもとに、設計や工事の方々と調整しながら進めていきます。実際にプロジェクトが進むと、当初の計画から変更が必要になることもあります。その都度、中村さんたちとも話しながら決めています。

── 現在は役割ごとに分かれていますが、ほかの領域の仕事を知る機会も多いのでしょうか。

中村:そうですね。今は仕入れと推進で担当が分かれていますが、人数が少ないので、ほかのグループが何をしているのかは見えやすいです。この7月には、それまで賃貸開発と分譲開発で分かれていた本部が一つになりました。会議も一緒になり、それぞれが持っている知識や経験も分かるようになってきました。将来的には担当を固定し続けるのではなく、複数の工程を経験しながら事業全体を見られる人材を増やしていきたいという話も出ています。

菊地:私もこれまでは賃貸マンションを中心に担当していましたが、今後は分譲マンションやホテルにも関わる予定です。賃貸で培った経験を活かせるところもあるでしょうし、新たに学ぶことも多いと思います。

── 少人数の組織で働くなかで、仕事の進め方にどんな特徴を感じていますか。

中村:仕入れでは、判断のスピードをかなり意識しています。不動産はスピード勝負なので、検討に時間をかけている間に、ほかの会社で話が決まることもあります。
髙松都市開発は経営層との距離が近く、案件を持ち込んだ段階から相談しやすい。取り組むかどうかの判断も早いので、案件を紹介してくださった方にも早い段階で方針をお伝えできます。きちんと判断して早く回答することが、相手との信頼関係にもつながっていきます。

菊地:私は、分からないことがあったときに、それぞれの分野に詳しい方へすぐ相談できるのが助かっています。工事経験が豊富な方もいますし、営業として不動産会社とのネットワークを築いてきた方もいます。最近は本部も一つになったので、これまであまり接点のなかった方と話す機会も増えました。「これはこの方に聞けばいい」と分かるようになってきたのは大きいですね。

── 髙松コンストラクショングループとの連携についてはいかがですか。

中村:これからさらに広げていく部分だと思っています。土地を仕入れる前には、「どのくらいの規模の建物を建てられるのか」「建築費はどの程度になるのか」を見極めなければ、事業性を判断できません。そうした検討の段階から、グループ内の建設会社の知見を借りることができます。グループには、新築工事だけでなく、リノベーションや解体など、それぞれ異なる専門性を持つ会社があります。開発する物件に応じて、そうした機能をどう組み合わせていくかも考えていきたいですね。

菊地:私は開発推進を担当しているので、髙松建設の工事部門と打ち合わせをする機会があります。設計や施工について自分だけでは判断できないことがあれば、専門知識を持つ方に相談しながら進めています。

完成された会社ではない。だから、つくれるものがある

── 中村さんは、なぜ髙松都市開発への転職を決めたのでしょうか。

中村:前職で在籍していた会社は堅実な事業方針で、安心感はある一方で、もう少しチャレンジングな案件にも取り組みたいと感じるようになりました。そんなタイミングで髙城社長と知り合い、「新しく会社をやるから来ないか」と声をかけてもらいました。新しい会社なので、不安はありました。ですが、髙松コンストラクショングループという基盤があり、そのうえで会社をつくっていく段階から関われる。これまでの経験を活かしながら、投資など新しい領域にも踏み込めると思い、入社を決めました。

── 実際に入社して、会社の立ち上げ期らしさを感じることはありますか。

中村:事業を進めるためのルールや業務フローは、まだ整備している途中です。前職ではすでに社内のルールとして決まっていたことも、ここでは一つひとつ「どう進めるのがいいか」と考える必要があります。案件を検討するときに、どの段階で何を確認するのか。誰に情報を共有し、どう判断につなげるのか。実務を進めるなかで課題が見えれば、その都度やり方を見直しています。会社ができたばかりなので、そうした仕事も今は必要ですね。

── 菊地さんは当初、専門知識の面で苦労することもあったのではないでしょうか。

菊地:ありましたね。基本的にはOJTで覚えてきました。今の上司がマンションを長く担当してきた方なので、一緒に現場へ行って、その場で教えてもらっています。最初は業界用語も分からなくて、とりあえずメモして、あとから調べたり聞いたりしていました。推進の仕事に移ってからは担当物件も持たせてもらっていて、今は協力会社に複数社見積もりをお願いして、金額や内容を比較したり、交渉したりすることもあります。少しずつ、「この時期にはこれをやっておかないといけない」という流れが分かるようになってきました。

── 周囲には、不動産業界で経験を積んできた中途入社者も多いそうですね。

菊地:人によって得意分野がかなり違います。工事に詳しい方もいれば、営業経験が長く、不動産会社とのつながりを多く持っている方もいます。工事出身の方と施工会社の方が話していると、すごいスピードで話が進むんです。私はまだ分からないことも多いので、会話を聞きながらメモして、あとで詳しく教えてもらいます。それぞれ専門が違うので、いろいろな方から学んでいます。

── 働き方についてはいかがでしょうか。

菊地:フレックスタイム制があるので、自分の予定に合わせて勤務時間を調整できます。上司も有休を取っていますし、早く帰る日は早く帰るので、こちらも休みは取りやすいですね。

中村:私も入社したころ、18時を過ぎて会議室から戻ったら、ほとんど人がいなくて驚いたことがあります。仕事が終われば帰るという切り替えは、はっきりしていると思います。

── 最後に、今のタイミングで髙松都市開発に入社する面白さを教えてください。

菊地:これから扱う物件の種類も広がっていくので、「こんな建物をつくってみたい」という思いがある方には面白い時期だと思います。私自身、これから富裕層向けの住宅やホテルなど、これまで経験してこなかった案件にも関わっていく予定です。担当してきた物件が実際に建物として完成すると、「自分が進めてきたものが、こういう形になったんだ」と実感します。これから経験する案件でも、そういう瞬間を増やしていきたいですね。

中村:新しい会社なので、経営との距離が近く、自分たちで決めていくことも多いです。その一方で、髙松コンストラクショングループという事業基盤がある。私自身、転職するときはそこに惹かれました。髙松都市開発は、髙松コンストラクショングループ直下の会社です。会社としてまだ成長している途中なので、これから入る方が中心になって担える仕事も増えていくと思います。

髙城:せっかく仕事をするならワクワクすることをやりたいと思っています。すでに誰かがやっていることを追いかけるのではなく、日本にまだないものを自分たちでつくる。よく「ファーストペンギン」と言っていますが、そんな仕事をしたいですね。まだ会社も立ち上がったばかりです。会社も事業も、これからつくっていくものがたくさんあります。その段階から一緒にやれるのは、今だからこそだと思います。

記事をシェア: