富山から世界へ。ものづくりを通じてワクワクする未来を創る。田中精密工業で描く変革期のキャリア

田中精密工業株式会社は、富山県富山市に本社を構える東証スタンダード上場企業であり、1948年の創業以来、自動車部品やオートバイ部品、汎用部品などの製造販売を手がけてきました。近年はEV・ハイブリッド車向け部品に加え、航空宇宙分野や自動化設備など、新たな領域にも挑戦しています。今回は、管理部人事総務課 課長の高長氏と、Uターンで入社した黒田氏に、同社の事業の強み、地方で働く魅力、中途入社者を支える環境について伺いました。

田中精密工業株式会社/管理部 人事総務課 課長

高長 勝之様

新卒で田中精密工業に入社。入社後はジョブローテーションを通じて複数の部署を経験し、現在は管理部人事総務課の課長として、人事・総務領域を担当。中途入社者やUIターン人材の採用、受け入れ体制づくり、教育・研修制度、キャリア支援などを通じて、社員が安心して挑戦できる組織づくりに取り組んでいる。

田中精密工業株式会社/管理部 人事総務課

黒田 航輝様

富山県立山町出身。大学進学を機に新潟へ移り、テレビ局の記者としてキャリアをスタート。その後、人事総務の仕事に関心を持ち、佐渡島のスタートアップ企業で採用支援業務を経験。Uターンで田中精密工業に入社し、現在は中途採用、教育・研修、株式業務、広報など幅広い業務を担当している。

富山から世界のものづくりを支える、田中精密工業の強み

── 田中精密工業さまの事業内容と、会社としての特徴について教えてください。

当社は、富山県富山市に本社を置き、自動車部品やオートバイ部品、汎用部品などの製造販売を中心に事業を展開しています。ホンダやトヨタなど国内を代表する自動車メーカーや、自動二輪車(バイク)メーカーとの取引を通じて、日本のモビリティ産業を支えてきました。主に手がけているのは、エンジン部品、トランスミッション部品、シャーシ部品、モーター部品など、車やバイクの性能を大きく左右する機能部品です。高い精度と品質が求められる領域で、技術を磨いてきたことが当社の基盤になっています。

一方で、田中精密グループ全体で新しい事業領域にも積極的に挑戦しています。たとえば、日本の労働人口減少という社会課題に対して、製造業の自動化設備や装置の開発及びデジタルものづくりにも取り組んでいます。また、少量多品種部品の製造にも力を入れており、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のH3ロケットに使われているエンジン関連部品や、F1レースの部品なども製造。さらに金属3Dプリンターを導入し、取り扱い品種の拡大を図っています。

従来の自動車部品製造だけにとどまらず、これらの領域への挑戦や、需要が拡大しているEV・ハイブリッド車向け部品の製造を進めていくことで、今まで培ってきた技術を未来の産業へ広げているところです。

── 富山に本社を置き、地域に根ざして事業を続けている背景についても教えてください。

富山に本社を置いているのは、創業以来の歴史とも深く関わっています。創業者の田中儀一郎は、富山でアパートを借りて事業を始めた人物であり、”全国中小企業団地の第1号である富山機械工業センターの造成”にも関わりました。地域産業の発展に貢献したいという創業者の精神は今も当社に受け継がれています。2000年には上場を果たし、現在も富山に根ざしながら、地域の産業と世界のものづくりの双方に貢献する企業でありたいと考えています。

地元に戻ることが目的ではなかった。挑戦できる環境を求めて

── 田中精密工業さまに入社されるまでの経緯を教えてください。

私は富山県立山町の出身で、大学進学を機に新潟へ移りました。新潟では約10年間を過ごしましたが、最初のキャリアとして選んだのはテレビ局の記者です。その後、人事総務の仕事に関心を持つようになり、2社目では佐渡島のスタートアップ企業で採用支援業務を経験しました。約2年間、企業の採用や組織づくりに関わる中で、人事総務という仕事への興味がより明確になっていったと感じています。

次のキャリアを考えるうえで大切にしていたのは、「自分が何に挑戦できるか」という点でした。佐渡島での勤務はもともと2年間と決めていたため、その後の転職活動では、人事総務として幅広く経験を積める環境を探していました。そうした中で出会ったのが、地元富山にある田中精密工業です。

── Uターンを決めた理由についても教えてください。

正直に言うと、最初から「富山に戻りたい」と強く考えていたわけではありません。転職活動では、あくまで自分ができること、挑戦できる仕事を重視していました。その条件に合った会社が、結果的に地元の田中精密工業だったという感覚に近いです。

入社の決め手になったのは、人事総務の経験がまだ浅い段階でも、さまざまな業務を任せてもらえる環境があったことです。上場企業でありながら、役割を限定しすぎず、中途採用、教育研修、株式業務、広報などに関われる点にも魅力を感じました。富山に戻ることへの迷いはほとんどなく、佐渡島での生活を経験していたこともあり、富山市での暮らしはむしろ快適です。私にとってUターンは、地元に帰るための選択ではなく、人事総務としてのキャリアを広げるための前向きな選択になりました。

人事・総務として、ものづくりの現場を支えるやりがい

── 現在の業務内容と、仕事のやりがいについて教えてください。

現在は、人事総務課で大きく4つの業務を担当しています。1つ目は中途採用、2つ目は全社的な教育・研修、3つ目は株主総会関連を含む株式業務、4つ目は自社ホームページやSNS運営などの広報です。一見するとそれぞれ別の仕事に見えるかもしれませんが、実際にはかなり深くつながっています。

たとえば、採用は人材を迎え入れる仕事ですが、入社後に活躍してもらうためには教育や研修が欠かせません。広報活動では会社の魅力や挑戦を言語化し、対外的に発信しています。企業価値を高めるという意味では、株式業務とも関係します。

田中精密工業は、自動車部品を中心に培ってきた技術を、EV・航空宇宙・自動化といった新しい領域へ広げている会社です。その変化を推し進めるには、技術だけでなく、人材の採用、育成、情報発信、組織づくりも同じくらい重要になります。

── 複数の業務を担当することの面白さは、どこにありますか。

日々の仕事は変化が大きく、1時間後にはまったく違う業務に向き合っていることもあります。大変さはありますが、退屈することはありません。むしろ、幅広い業務のつながりを見つけながら取り組むことで、自分自身のスキルの幅も広がっている実感があります。

前職では、複数の企業を外側から支援する立場でした。今は一つの会社に身を置き、その会社をどう良くしていくかを考え続けています。ものづくりの現場で直接部品をつくる仕事ではありませんが、現場で働く社員が力を発揮できる環境を整え、会社の挑戦を人と組織の面から支えることが自分の役割です。

田中精密工業には、幅広い業務に関わりながら成長を促す風土があります。技術部門でも複数の開発テーマを持つことがあり、社内全体としてジョブローテーションや多様な経験を大切にしています。属人化を避けるだけでなく、一人ひとりが視野を広げ、会社の変化に対応できる人材へ成長していく。その環境の中で、人事総務としてものづくりを支えられることに大きなやりがいを感じています。

外部の経験を力に変える。挑戦を後押しする制度と育成環境

── 中途入社者やUIターン人材には、どのような活躍を期待されていますか。

中途入社者に期待しているのは、外部で得た経験や視点を社内に持ち込んでもらうことです。当社は富山県出身の社員も多く、長く働いている社員にとっては当たり前になっていることもあります。だからこそ、別の地域や会社で経験を積んできた方には、「本当にこのやり方でいいのか」と健全に問いを投げかけてほしいと考えています。

もちろん、これまでの文化を否定してほしいわけではありません。既存社員が積み重ねてきた技術や考え方に、外から来た方の知見が加わることで、新しい化学反応が生まれる。その積み重ねが、組織の変革や改革につながっていくはずです。特に今は「第二の創業」ともいえる変化の時期にあり、現状維持ではなく、会社全体をアップデートしていくことが求められています。

── 中途採用では、どのような点に魅力を感じて入社される方が多いのでしょうか。

最近は、技術営業や技術領域を中心に中途採用が増えています。会社説明や面接の場でよく聞くのは、「田中精密工業は思っていた以上にいろいろなことに挑戦している」「ワクワクする取り組みが多い」という声です。製造の上流工程に関わりながら、未来のモビリティや需要の高い部品開発に携われる点に魅力を感じる方が多いのだと思います。

2026年5月には、当社の存在意義を表すグループパーパス「心が動く、未来を創る-Next Solution, Next Smile.-」や、2035年に向けた長期経営計画「Next35」も発表し、そうしたワクワクするような挑戦を加速させていくことを狙っています。地方に本社を置く企業でありながら、未来の産業に関われる。その意外性が、外部から見た当社の魅力になっているのかもしれません。

── 入社後に安心して挑戦できるよう、どのような制度や教育体制を整えていますか。

当社では、社員の自発的な行動を促すことを大切にしています。今の仕事だけを続けていれば将来も通用する、という時代ではありません。だからこそ、一人ひとりが自分の未来を考え、必要な学びに自ら向かっていけるよう、自律キャリアを支援する制度を整えています。

具体的には、キャリア支援金を一律で支給し、現在の仕事に直接関係するものだけでなく、資格取得や英会話、在宅勤務環境の整備などにも柔軟に活用できるようにしています。社員自身が「自分を高めるために何が必要か」を考え、行動に移すことを会社として応援する仕組みです。

教育面では、新入社員だけでなく、中途入社者に対してもフォローアップ研修を実施しています。若手の自律や自責思考を育む研修もあり、20代、30代の若手を対象にしたキャリア形成支援にも力を入れています。中途入社者には即戦力として期待する一方で、入社後に定着し、力を発揮するまでのフォローも欠かせません。採用して終わりではなく、入社後の活躍まで支えることを重視しています。

働き方の面では、スーパーフレックス制度や一部リモートワークを導入しています。製造業では珍しい部分もありますが、残業が発生する時期があるからこそ、有休の取りやすさや柔軟な働き方を組み合わせ、メリハリを持って働ける環境を整えているところです。富山は車社会でもあるため、通勤距離に応じた交通費支給や高速道路代金の補助、グループ会社を通じた車購入の優遇制度もあります。30歳未満の独身者には住宅補助制度も用意しています。

一方で、県外からの人材を受け入れる体制には、まだ改善の余地があるとも感じています。制度を整えるだけでなく、実際に入社した方の声を聞きながら改善していくことが大切だと考えています。最近では、中途入社者を対象にした座談会を開催し、入社前後のギャップや残業時間に関する率直な意見を聞く機会を設けました。

その声を受けて、面接時には仕事内容や働き方について、より具体的に伝えるようにしています。完璧な制度が最初からあるわけではありません。ただ、入社した方の声を聞き、必要な改善を重ねていく姿勢は大切にしています。中途入社者が安心して挑戦できる環境を、会社としてこれからもつくっていきたいと考えています。

「心が動く、未来を創る」。変革期をともに切り拓く人材へ

── 今後の展望と、読者の方にメッセージをお願いします。

これからの田中精密工業にとって、大きな軸になるのが「心が動く、未来を創る-Next Solution, Next Smile.-」というグループパーパス(存在意義)です。これは、当社がこれまで大切にしてきたDNAを言語化したものでもあります。日々の仕事や事業判断において、「それは本当に心が動く挑戦なのか」「未来につながる選択なのか」と立ち返るための共通の軸になると考えています。

現状維持は、変化の激しい時代においてはリスクにもなり得ます。だからこそ、誠実に仕事と向き合いながらも、新しいことに挑み、より良くするために考え続け、最後までやり切る姿勢を重視しています。

長期経営計画「Next35」では、これまでの自動車部品事業を土台にしながらも、新しい領域をさらに広げていく方針を掲げています。10年後、当社が今とはまったく違う事業を手がけている可能性もあります。製造現場だけでなく、管理部門も含めて、新しい事業や仕組みをつくる側として関われることは、変革期ならではの面白さです。

── 中途入社を検討している方へ、メッセージをお願いします。

こうした変革を進めていくうえで、当社には多様な人材が持つ知見が必要です。これまでの田中精密工業が積み重ねてきた技術や文化を大切にしながらも、外部で得た知見や新しい発想を取り入れることで、さらに可能性を広げていきたいと考えています。

中途入社の方には、これまでの経験を活かしながら、自分の強みを発揮していただきたいです。決められた枠の中だけで働くというよりも、会社の変化に関わりながら、自らのキャリアも広げていける環境があります。上場企業としての基盤を持ちながら、挑戦の余地が大きいことは、当社ならではの特徴かもしれません。

新しいことに関心がある方、これまでのキャリアの延長線上でさらに挑戦したいことがある方にとって、田中精密工業は可能性のある環境だと思います。ルーティーンワークは効率化し、社員にはより考える仕事、未来をつくる仕事に向き合ってほしい。富山に根ざしながら、世界のものづくりを支え、次の事業を生み出していく。その変化に主体的に関わりたい方に、ぜひ関心を持っていただきたいです。

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