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20代後半の転職は厳しい?未経験・スキルなしでも異業種転職を実現させるポイント

20代後半 転職

20代後半で今後のキャリアを見つめ直したとき、「今の仕事を続けるより、転職したほうがいいのだろうか」「20代後半で転職するのは厳しいのでは?」「スキルに自信がないから転職できるのか不安…」などの悩みを抱える人もいるでしょう。今回は、組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏が、20代後半の転職市場の傾向や転職を実現させるために大事なこと、20代後半で未経験・スキルなしでも転職できる可能性などを解説します。

20代後半からの転職は厳しい?未経験での転職は可能?

「20代後半の転職は厳しいのではないか?」と考える人もいるようですが、実際のところはどうなのでしょうか。ここでは、20代後半の転職市場の傾向や可能性について解説していきます。

調査によると、転職先が決まる人が最も多いのは「20代後半」

株式会社リクルート(現・株式会社インディードリクルートパートナーズ)の調査データによれば、リクルートエージェントを利用して転職先が決まった人の平均年齢は「36歳」となっています。年齢別の割合を見ると、「20代後半(25~29歳)」が35.38%を占めており、全年齢層の中で最も多い結果となりました。

次に多かったのは「30代前半(30~34歳)」で21.84%という結果に。以降は「40代(40~49歳)」(14.93%)、「30代後半(35~39歳)」(12.39%)、「20代前半(20~24歳)」(7.33%)という順に続いています。
調査データから見ると、20代後半で転職を実現している人は、ほかの年齢層と比べて多いことがわかります。

(※)出典:「転職データ 転職の平均年齢」株式会社リクルート(現・株式会社インディードリクルートパートナーズ)

「20代後半の転職は厳しい」と思われることがある理由とは?

20代前半の場合は、一般的に言われる「第二新卒(※)」に当たることもあり、経験・スキルより成長性を求めてポテンシャル採用を行う企業が見られます。

一方、20代後半になると、第二新卒よりも社会人経験が長いケースもあるため、「そのぶん、経験・スキルを求められるかもしれない」と考え、自分の経験・スキルに自信が持てず不安を感じる人もいるようです。また、より社会人経験が豊富と考えられる30代・40代などの応募者と比較すると、「自分よりも経験・スキルを持っているのではないか」と感じ、転職そのものが厳しいと考えてしまう人もいるかもしれません。

しかし、年代に関わらず、応募企業の求める人物像にマッチした自分自身の経験・スキルをしっかりアピールすることで希望の転職を実現している人は少なくありません。

(※)学校(高校、専門学校、短大、高専、大学、大学院)卒業後、おおむね3年以内の人(学校卒業後すぐに就職する新卒者は除く。また、職務経験の有無は問わない)。

20代後半は「未経験の職種や業界への転職に挑戦しやすい時期」とも考えられる

20代後半は、一定期間の社会人経験を積み、ビジネスの基本をひと通り身につけている方が多いと考えられます。プロジェクトの責任者を任されたり、リーダーなどのポジションを経験したりするケースも出てくる年代と言えるでしょう。
なおかつ、第二新卒に近い世代であるため、新しい職務や組織に順応できる柔軟性も十分にある年代と見られる傾向もあるようです。

企業は「成長へのポテンシャル」「リーダー・マネジャー候補」などに期待してさまざまな意図で採用を行う可能性があるため、未経験の職種や業界に挑戦しやすい時期と考えることもできます。

株式会社リクルート(現・株式会社インディードリクルートパートナーズ)の調査によれば、20代後半(25〜29歳)でリクルートエージェントを利用して転職した人のうち、「異業種×異職種」に転職した人は42.8%、「異業種×同職種」は30.1%、「同業種×異職種」は11.0%となっていました。調査の結果を見ると、未経験から異業種や異職種への転職を実現した人が全体の8割超を占めていることがわかります。

(※)出典:「「異業種×異職種」転職が全体のおよそ4割、過去最多に 業種や職種を越えた「越境転職」が加速」株式会社リクルート(現・株式会社インディードリクルートパートナーズ)

20代の平均転職回数は?

株式会社リクルート(現・株式会社インディードリクルートパートナーズ)の調査(※1)では、20代の平均転職回数は「1.8回」と発表しています。20代で転職を2回以上したことがある人は全体の37.4%を占めており、転職回数については「1回」が62.6%で最も多く、次いで「2回」が23.1%となっていました。

また、厚生労働省の調査(※2)によれば、20代後半(25〜29歳)で過去に転職経験がある人の転職回数は、「1回」が最も多く49.3%、「2回」が23.9%、「3回」が17.8%となっていました。

(※1)出典:「ー「就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022」第1弾ー 両極化する転職経験。50代も約4割が転職を考えている。 転職先が決まる前に前職を退職している人は4割以上」株式会社リクルート(現・株式会社インディードリクルートパートナーズ)

(※2)出典:「雇用の構造に関する実態調査 / 転職者実態調査 / 令和2年報告書 統計表 個人調査性・年齢階級・最終学歴・現在の勤め先での職種、転職回数別転職者割合」(厚生労働省)

20代後半の転職を実現させるために大事なこと

20代後半から今後の自分のキャリアに役立つ転職を実現させるために、大事なことを紹介します。

「キャリアの方向性」を定める

「今の仕事が不満だから辞めたい」「もっといい仕事に転職できれば…」などの不満や漠然とした理由で転職する場合、ミスマッチな転職先を選んだり、転職活動で苦戦したりするなど、後悔する可能性があります。

20代後半からは、将来目指したいキャリアを明確にし、その実現に向けて経験・スキルを積むことが大事と言えます。まずは自己分析をして、自分が仕事を通じてどのようなことを実現したいのか、何を大切にして働きたいのかをあらためて考えてみましょう。

この先の30代、40代以降に、自分として納得できる働き方を実現させるためにも、キャリアの方向性を定め、そこに近づけるような転職先を選択することがポイントです。

【キャリアの方向性の一例】

  • やりがいを味わえる仕事に就いて、充実感を得る
  • 仕事を通じて夢を叶えるなど、自己実現をする
  • より裁量を任されるポジションに就き、活躍の幅を広げる
  • プライベートも大切にできる働き方で思い描くライフプランを実現させる

自分の「キャリアアップ」の軸を明確にする

20代後半で転職する際には、将来を見据えて「自分にとってのキャリアアップの軸」を明確にした上で、中長期的なキャリアビジョンを描くことが大事です。

【キャリアアップの軸の一例】

  • 専門スキルやビジネススキルを磨き、人材市場での価値を高めること
  • 仕事の幅や裁量範囲を広げること
  • 収入やポジションを上げること

「今の仕事に対する不満を解消したい」「興味がある業界で働いてみたい」などの短期的な視点ではなく、3年後、5年後にどのようなポジションでどのような仕事をしていたいかを考え、さらに、10年、20年の長期視点でも目標を描くことがポイントです。これをもとに、必要とされる経験・スキルが身につく転職先を探してみましょう。

在職中に転職活動を始めてみる

転職を実現したいと焦るあまり、転職活動の準備を何もせずに会社を辞めてしまう人もいます。しかし、まずは現職の仕事を続けながら転職活動を始めてみることも良いでしょう。

20代後半の転職に必要なスキルとは?

「転職したいけれどスキルがない」と感じて、不安を抱いている人もいるかもしれませんが、20代前半と同様に、20代後半に対してポテンシャル採用を行う企業もあります。

その一方で、一定以上の社会人経験を積んでいることに期待し、これまでの仕事でどのような経験・スキル・実績を積んできたかを確認する傾向もあるようです。また、近い将来にリーダーや管理職として組織を牽引していけるような人材を求める企業もあり、リーダーシップやリーダー経験があるか確認するケースもあります。

いずれにしても、応募企業や応募職種を踏まえ、「入社後、どのような経験・スキル・強みを活かして活躍・貢献ができるのかをアピールすること」が重要と言えるでしょう。

20代後半で転職した人のリアルな事例を紹介

20代後半の方がキャリアアップを目指して転職した事例を紹介するので参考にしてみましょう。

【地方銀行の営業→大手都市銀行の営業】
地方銀行で納得できる経験・実績を積んだ上 、選択肢を広げるために転職。事業規模が大きな都市銀行に移り、さまざまな分野への専門性を深めるチャンスが増えた。
【事業会社の経理→会計コンサルタント会社】
経理の実務経験を活かし、会計、財務、税務に関する専門性を深めてスペシャリストを目指すためにコンサルタント会社へと転職。
【生命保険会社の営業→外資系食品会社の営業】
以前から「グローバルな働き方をしたい」と希望して英語の勉強を続けており、長期的に粘り強い転職活動を続けてその夢を実現。
【IT企業の営業→ITスタートアップの経営企画】
将来は会社経営に関わりたいというビジョンを描き、営業をしながら経営企画の経験も積めるスタートアップへ転職。
【広告代理店の総務事務アシスタント→IT企業の経理】
広告代理店で総務事務アシスタントを務める中、専門性の高い仕事で活躍したいと考え、簿記の資格を取得し、IT企業の経理職へ転職。

スキルに自信がなくても転職を実現させるためにやっておきたい3つの準備

スキルに自信がなくても、転職活動の準備をしっかり行うことで、希望に合う転職を実現しやすくなります。以下で紹介する3つの準備に取り組んでみましょう。

1:キャリアの棚卸しで経験・実績を振り返る

過去の経験を振り返り、キャリアの棚卸しをすることが大事です。入社1年目、2年目など、時系列で担当してきた業務や携わったプロジェクトなどを書き出し、以下のポイントについて振り返ってみましょう。これまで身につけてきた経験・スキルや、自分の強み、取り組むべき課題などを洗い出すことができるでしょう。

【キャリアの棚卸しで振り返るポイント】

  • どのような業界でどのような業務やプロジェクトを担当してきたか
  • 社内外のどのような人たちと、どのように関わってきたか
  • 組織の中でどのような役割を果たしてきたか
  • 業務やプロジェクトを通じて身につけたことは何か
  • どのような成功体験があるか。成功した要因は何か
  • どのような失敗体験があるか。そこから何を学んだか

2:仕事で大切にしたいことを考え、将来のビジョンを描く

これまでの経験を通じて、「今の自分は、どのようなことを大切にして働きたいと思っているのか」を確認することも重要です。まずは、以下のポイントについて掘り下げ、自分の特性や価値観をできるだけ客観的に分析を行います。それをもとに、将来、目指したい姿や実現したいことなどのビジョンを描いてみましょう。

【自分の特性・価値観を知るためのポイント】

  • 周囲の人からどのような人物だと言われるか
  • 人とどのようなスタイルでコミュニケーションをとっているか
  • 仕事をする中で、どのような場面で喜び、やりがいを感じてきたか
  • 仕事をする中で、どのような場面で苦痛、ストレスを感じてきたか
  • 仕事をする中で、どのようなことを大切にしているか
  • 「自分もこうなりたい」と思える理想の人物像はどのようなものか

3:ビジョンを実現させる道筋を考える

思い描いたビジョンを実現させるために、「今後、どのような経験・スキルを身につけることが必要か」「どのようなキャリアを積み重ねればいいのか」を考えてみましょう。

今の会社のままでも必要な経験・スキルを積める場合や、希望を叶えられるキャリアパスが示されている場合は、会社を辞めず、現職のまま仕事を続けていく中で、目指すビジョンを実現させることが可能かもしれません。反対に、「現職のままではビジョンが実現できない」と感じたら、転職を検討してみるのも一案です。

20代後半で未経験の職種や業界への転職を実現させるポイント

未経験の職種や業界への転職を目指す場合に、押さえておきたいポイントの一例を紹介します。

キャリアチェンジのパターンを把握する

未経験からキャリアチェンジする場合、大きくは以下の3パターンに分かれることを知っておきましょう。

【キャリアチェンジのパターン】

1:同じ職種で未経験の業界へ転職
2:同じ業界で未経験の職種へ転職
3:業界・職種とも未経験での転職

希望条件に優先順位をつけ、応募先を絞り過ぎないようにする

即戦力を求めることが多い傾向にある中途採用では、一般的に実務経験者が優先される傾向があり、「未経験者にはハードルが高い」と感じるかもしれません。書類選考の時点で通過することが難しいケースもあるため、希望条件が多い場合は応募先を絞り込むことになり、転職の可能性を狭めてしまうことにもなりかねません。

希望条件に優先順位をつけ、譲れない条件を絞り込んだ上で、採用の可能性がありそうな幅広い企業に応募することも大事でしょう。特に、キャリアチェンジの転職では一時的に年収が下がるケースもあるため、自分が優先したい条件に対し、どの程度までなら年収条件を譲歩できるのかも考えておくこともポイントです。

希望の業界・職種で活かせるスキルを洗い出す

キャリアチェンジの転職では、応募企業の業界・職種で活かせるスキルをアピールすることも重要です。キャリアの棚卸しで振り返った経験・スキルについて「応募企業とどのような接点があるのか」「志望する業界、職種でどのような強みを活かせるのか」を洗い出しておきましょう。

「未経験だから知識もスキルもない」という場合でも、業種や業界を問わず活かせるポータブルスキルはあるものなので、それらを整理した上で、応募企業でどのような活躍ができるのかをアピールすることが大事です。

未経験者におすすめの業界・職種とは?

未経験者におすすめの業界・職種については、個々の希望やこれまでの経験・スキルが関係するため、一概にこれと言うことはできません。しかし、以下で紹介する方法を実践してみれば、未経験者も歓迎する求人が見つかりやすくなるでしょう。

人材不足の業界・職種に着目して探してみる

人材不足の業界・職種の場合は、未経験者も歓迎する傾向があります。例えば、IT業界はITエンジニアの人材が不足しているため、未経験から育成する企業もあります。また、介護業界なども人材が慢性的に不足しているため、働きながらの資格取得を支援するケースもあります。

豊富な求人を紹介する転職サイトや転職エージェントを活用する

転職サイトを活用する際には、求人を豊富に揃えているところがおすすめです。気になる業界・職種や希望条件だけで絞り込むのではなく、未経験者の応募を歓迎していることも条件に含めて検索してみることで、相場観がわかりやすくなるでしょう。

転職エージェントを活用する場合は、幅広い業界・職種の求人を持っている転職エージェントに登録することがおすすめです。転職エージェントでは、独自の求人を保有しているケースもあります。また、面談の際に、自身の経験・スキルと共に希望の業界・職種や条件を伝えることで、未経験でも採用の可能性がある企業を紹介してもらいやすくなるでしょう。「自分一人で探す自信がない」という人にもおすすめと言えます。

「できる仕事がない」「何がしたいかわからない」どうすればいい?

「スキルに自信がないから、できる仕事もないのでは?」「そもそも何がしたいのかわからない」という人は、以下を参考にしてみましょう。

スキルに自信がない場合は、キャリアの棚卸しが大事

スキルに自信がなく、「できる仕事がない」と感じてしまう人は、キャリアの棚卸しをしてみることで、応募先企業の選択肢を広げられる可能性があります。先にも述べたように、専門スキルに自信がなくても、幅広い仕事に役立つポータブルスキルをアピールすることができるので、まずはキャリアの棚卸しを行い、自分の強みを探してみましょう。

何がしたいかわからない場合は、自己分析と情報収集を

「何がしたいかわからない」「やりたい仕事がない」という場合は、自己分析や情報収集ができていない可能性があります。まずは、自分がどのような仕事に興味を持つのか、どのような強みを発揮して活躍できるのかを自己分析してみることから始めてみましょう。

また、転職サイトや転職エージェントなどを活用して情報収集をすることもおすすめです。さまざまな業界・職種の求人があることを知れば、興味を持てる仕事も見つかりやすくなるでしょう。採用の可能性がある企業を知ることで、挑戦してみようと思えるかもしれません。

転職せずに今の会社でキャリアを積む方法もある

今の会社を辞めずに、部署異動の希望を出したり、社内公募のプロジェクトに参加したり、リーダーポジションに挑戦したりするなどで、キャリアを積む方法もあります。経験・スキルに自信がない場合は、アピールできる経験を増やしてから転職活動を始めることもできます。また、新たな経験を積むことで、自分がやりたいことや向いていることなどが見つかる可能性もあるでしょう。

20代後半で今後のキャリアに悩んだら転職エージェントに相談を

いろいろ試してみた結果、「やっぱり自分の強みがわからない」「将来のビジョンが漠然としていて、どんな経験を積めばいいのかわからない」という場合は、転職エージェントを利用するのも一つの方法です。
今の自分の経験・スキルで採用の可能性がある企業を紹介してもらえたり、自己分析やキャリアデザインのサポート、転職事例の紹介をしてもらえたりと、さまざまなアドバイスを受けられる転職エージェントもあります。活用してみることで、今後のキャリアが見えやすくなるでしょう。

「やりたいことが見つからない」「何がしたいのかも、どのような仕事があるのかもわからない」という場合にも、まずは転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2021年03月26日
記事更新日:2024年07月03日
記事更新日:2025年05月15日 リクルートエージェント編集部

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

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