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残業が多いと感じたらどうする?残業が多くなる理由と今すぐできる対処法

残業 多い

残業が多くて辛い…このようなとき、どのように対処すれば良いのでしょうか?この記事では、残業が多くなる理由と残業を減らすための方法などについて、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

平均残業時間は1日1時間以下

まずは自分の残業時間はどれぐらいなのか、基準を知って比較してみましょう。
厚生労働省では、常時5人以上を雇用する事業所に対する調査「毎月勤労統計調査」を発表しています。令和6年度の同調査によると、一般労働者の平均残業時間は月13.4.4時間という結果でした。そして、直近の令和7年7月速報では13.2時間となっています。したがって、残業時間が月13時間を大きく越えていたら、平均と比べて残業が多いと言えるでしょう。

ただし、令和6年度調査の出勤日数(月平均19.3日)をもとに1日当たりの残業時間を算出すると、令和6年度の残業時間の平均は「1日あたり約42分」であり、かなり少ないと感じる人が多いかもしれません。この調査は事業者に対して行われているものであり、労働者側が認識している残業時間とはズレが生じている可能性もあります。

(※)出典:「毎月勤労統計調査」令和6年度分結果確報(厚生労働省)
(※)出典:同・令和7年7月分結果速報

適切な業務時間と残業の目安

働く個人の事情に応じて多様で柔軟な働き方を自らが選択できるようにするために、政府は働き方改革を推進しています。その一環として、「時間外労働の上限規制」も法律で規定し長時間労働を是正することで、ワーク・ライフ・バランスの改善を目指しています。

労働基準法で定められた労働時間の限度は「1日8時間および1週40時間」であり、これを超えるには36協定の締結や届出が必要です。さらに、時間外労働の上限規制は原則として「月45時間、年360時間」で、特別の事情がなければ超えることはできません。厚生労働省が定めている上限規制を超えているかどうかが、自身の残業時間が多すぎるかどうかを判断するうえでの一つの目安となるでしょう。

(※)出典:「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)

残業が多くなる主な理由とは?

残業が多くなるのにはいくつかの理由があります。主な理由をご紹介しますので、ご自身の環境や自分に当てはまるものがないか確認してみましょう。

業務量が多すぎる

残業が多い職場は、慢性的に人手不足となっている可能性が高いでしょう。業務に対して人材が足りていないため、一人ひとりが負担する業務量が多く、結果的に残業が増えている状態です。
そのような環境下で、仕事を抱え込みすぎてしまう人もいるようです。業務量が多いからこそ、「自分がやったほうが正確で早い」「他の人に任せると不安」「自分しか分からない」などの理由から一人で抱え込んでしまい、残業が多くなるというケースもあるようです。

業務の優先順位をつけていない

仕事を効率的に進めるには、タスクの優先順位をつけることが重要です。優先順位をつけないと、目の前のタスクから処理することになるため、期限切れのタスクや「待ち」の時間が発生して、業務効率が悪くなり、残業時間が増えてしまいがちです。
これは個人だけでなく、組織にも当てはまります。属人的な仕事が多く業務改善が進んでいない職場も、業務の優先順位が不明瞭であり、残業が多くなる傾向があります。

職場の体制に問題がある

上記の「業務量が多すぎる」と重複する部分もありますが、明らかに人手が足りていないのに人員補充しない、残業を容認する社風など、職場の体制そのものに問題がある場合も少なくないようです。
中には残業を前提とした組織運営や業務設計がされていて、長時間残業が常態化しているケースもあるようです。

残業を減らすための5つの対処法を紹介

残業の多さが恒常化している状況で、残業を減らしたいと考えている場合の、代表的な対処法を5つご紹介します。

無駄な作業がないか見直してみる

自身の日々の業務を一つひとつ見直し、無駄な作業がないか洗い出してみましょう。普段は気づかなくても、改めて見直してみると重複している作業や非効率な作業が意外と見つかるものです。ちょっとした無駄をなくすだけでも、業務効率が向上し、残業時間の削減につながるでしょう。

上司に現状を相談する

残業があまりに多いという場合は、上司にありのままの現状を報告することが重要です。部下の業務を管理し適切に業務を割り振ることは、上司の役割の一つですが、一人ひとりの業務量まで細かく把握できていない可能性もあります。
業務の分担の見直しや再検討などに動いてくれる可能性があるでしょう。

業務の優先順位を考える

残業を減らすには、業務の優先順位を付けることが必要不可欠です。担当している業務について、一つひとつ納期や重要度、緊急性などを考え、週単位、月単位でスケジュールを組み立てていくと、業務を効率的に進めやすくなるでしょう。

1日のタイムスケジュールを見直す

日々のタイムスケジュールを見直すのも有効です。例えば、一般的に午前中は、集中力が高まり作業が捗る時間帯と言われているので、その時間にクリエイティブな仕事や集中力を要する仕事を入れると良いでしょう。そしてルーティンワークなどは午後に回すようにすれば、作業効率を上げられるでしょう。
なお、タイムスケジュールを組み立てる際には、残業を前提に組まないことが大切です。就業時間内に終わるように計画を立てましょう。

ビジネスツールを活用してみる

仕事の優先順位付けが難しい、効率的に仕事が進めにくい…と感じている場合は、ビジネスツールを活用してみるのも一つの方法です。
例えば、スケジュール管理ツールやタスク管理ツールなどを導入することで、一つの業務にかかっている時間や業務の進捗状況を把握できるようになるでしょう。優先順位付けや効率化もしやすくなると考えられます。

それでも状況が変わらなければ、残業が少ない企業に転職するのも一つの方法

前述の方法などで残業を減らす努力をしても、会社の体制が変わらなかったり、「時間に余裕があるならば」と逆に業務を増やされてしまったりするケースもあるようです。そういう場合は、残業が少ない企業への転職を検討するのも一つの選択でしょう。
その際に大事にしたいポイントをご紹介します。

転職で実現したいことを考える

「残業を減らしたい」という思いだけで転職先を探すと、それ以外の要素や条件に目が行きにくくなり、入社後にギャップを感じてしまう可能性があります。
残業時間だけでなく、仕事内容やキャリアパス、条件や待遇、社風や文化など、他の要素も含め総合的に判断することが大切です。

なお、面接で退職理由を聞かれたときに「残業が多すぎたから」と不満だけを伝えてしまうと、せっかくの入社意欲や熱意が伝わりにくくなる可能性があります。もちろん、退職のきっかけとして残業の多さを伝えることがNGというわけではありませんが、不満だけを伝えるのではなく、「今回の転職で実現したいこと」を交えて説明し、前向きな思いをアピールするようにしましょう。

応募する企業を見極める

「残業を減らしたくて転職したのに、転職先も残業が多かった」という事態にならないよう、応募先企業の見極めは慎重に行いましょう。
企業によっては平均の残業時間や残業時間の目安などを、求人や採用ページなどに記載しているので、確認しておきましょう。「ノー残業デー」を導入している場合は、残業削減に注力している企業であると考えられます。

また、経済産業省では優良な健康経営を実践している企業を認定するための「健康経営優良法人制度」を推進しています。健康経営の項目の中に「過重労働防止」や「長時間労働者への対応」に関する取り組みなどが含まれているので、健康経営優良法人に認定されている企業は残業に注意を払っている可能性があるので、注目してみるのも良いでしょう。

(※)出典:「健康経営優良法人認定制度」(経済産業省)

可能であれば、実際に働く社員の声を聞くと、残業に関するリアルな情報が収集しやすくなります。知人などを通じてその企業に勤務している社員がいれば、直接話を聞いたり、会社説明会などの場で質問したりすると良いでしょう。もしくは、ある程度選考が進んだ段階で、「同じような業務をされている方の残業時間の目安を教えていただけますか?」などと逆質問する方法も考えられます。

転職エージェントを活用すれば勤務実態がつかめる可能性も

応募する企業の残業の実態を調べたくても、自分一人ではリサーチが難しいケースもあるでしょう。その場合は、転職エージェントを活用するのも一つの方法です。
転職エージェントによっては、企業ごとの勤務実態を把握しているところもあります。できるだけ正確な残業事情を知りたいという場合は、転職エージェントに相談することも検討してみましょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2024年6月27日 記事更新日:2025年10月21日

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

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