キャリアプランとは？考え方のポイントと年代・職種別の例文、面接の答え方を解説　

「キャリアプラン」は、長期的に仕事や働き方を選択していくために大切なものです。しかし、漠然と考えていたのでは、思いつかないこともあるでしょう。

キャリアプランの考え方、転職活動での応募書類の書き方に加えて、キャリアプランを面接で問われた際の答え方などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。年代別・職種別の例文も紹介しますので、参考にしてください。

キャリアプランとは

「キャリアプラン」とは、一般的に、自分が今後どのような経歴・生き方を積み上げるかという「具体的な計画や見通し」のことを指します。似ている言葉に「キャリアビジョン」がありますが、これは「将来はこのようなことを実現したい」「このような働き方をしていたい」など、将来のありたい姿や、理想像を指します。つまりキャリアプランとは「キャリアビジョンを実現するための具体的な行動計画」と言えるでしょう。

もうひとつ、似た言葉に「キャリアパス」がありますが、これは企業内で社員が目標とするポストや職務に就くために必要な経験・スキルなどの道筋を指すのが一般的です。

企業が面接でキャリアプランを聞く目的

企業は面接の場で、応募者にキャリアプランを聞くことがあります。その目的はもちろん企業によって異なりますが、多くの場合、次のような意図があると考えられます。

仕事の価値観が社風とマッチしているか

キャリアプランには、仕事に対する応募者の価値観や志向が表れているものです。そのため、キャリアプランを聞くことにより、自社の価値観や企業風土にマッチしているかどうかを確認しようとしている可能性があります。

自社でキャリアプランが実現できるか

応募者が描いているキャリアプランが、自社で働いて実現できる内容かどうかを判断しようとしていることもあります。自社の育成プランや、昇進・昇格・異動などに関する人事制度が応募者の希望に沿っていない場合、モチベーションの低下や早期退職につながる可能性があるからです。

h2: キャリアプランを立てるメリット

キャリアプランを立てておくことは、転職活動の選考対策としてだけでなく、さまざまなメリットがあると考えられます。一例として、次のメリットが挙げられます。

自律的なキャリア形成ができる

かつて「終身雇用」が一般的だった時代には、所属する企業が用意したキャリアパスをたどることで、多くの人が一定のキャリアを積めていました。しかし昨今はそうした構造が大きく変化しており、キャリア形成を会社任せにするのではなく、自身で考えて実行する「キャリア自律」が求められるようになっています。

キャリアを築くためには、働く人自らがキャリアについて中長期的な視点で考え、計画を立てることが重要です。キャリアプランを軸とし、それを実現するために主体的な選択や行動をすれば、納得感が高いキャリアを構築できる可能性が高くなるでしょう。

目標設定ができる

仕事にやりがいを感じられないときは、「何のためにこの仕事をしているのか」という目的が見えにくくなっていることもあるものです。キャリアプランを立てて「いつまでに○○をする」という目標ができれば、それを実現するために必要な中間目標や課題も見えるので、「今の自分に何が必要なのか」「何に取り組むべきか」も明確化しやすいでしょう。日々の業務が将来につながっていると感じられれば、仕事に対するモチベーションも高まると考えられます。

転職の判断軸になる

キャリアプランを立てておけば、転職活動をする場合、企業を選びやすくなるでしょう。求人収集や面接のプロセスでは、「この会社は自分に合っているか」「この会社に転職する意義はあるか」という判断を繰り返すことになります。キャリアプランは、このときの判断基準の1つになるものです。

キャリアプランを100％満たせる企業は見つからないかもしれませんが、目標に近づける企業を主体的に選択すれば、入社後も納得感を持って働ける可能性が高いでしょう。

キャリアプランの基本的な考え方

キャリアプランを立てるには、「Will」「Can」「Must」の観点で、次の3ステップを踏んで考えてみましょう。

ステップ1：Will（仕事で実現したいこと、ありたい姿）を明らかにする

5年後・10年後・20年後、さらにその先を見据えて、「どのような仕事をしていたいか」「どのような自分になっていたいのか」を思い描いてみましょう。

思い浮かばない場合は、身近にいる人をロールモデルとする方法もあります。「○○さんのような存在になりたい」「○○さんのような働き方がしたい」など、憧れや共感を抱く人を探してみても良いでしょう。

ステップ2：Can（できること）と価値観を明らかにする

次に、過去から現在に至るまでの自身のキャリアや経験について棚卸しをし、今自分にできること、今後に活かせる経験やスキル、自分が大切にしてきた価値観を整理します。具体的には、次のような点を洗い出してみてください。

• これまでどのような経験をしてきたか。
• これまでどのようなスキルを身につけ、何を強みとしているか。
• どのような人脈を築いてきたか。
• どのような場面でやりがいや面白みを感じていたか。
• 日々の業務で大切にしていたこと、心がけていたことは何か。

ステップ3：Must（やるべきこと）を整理する

Willを実現するために自分に足りないものを考え、これから身につける必要がある経験・スキルを考えてみましょう。また、働く上で自分にとって欠かせない条件も整理してみてください。

キャリアプランが思いつかない場合は？

先に挙げた「Will」「Can」「Must」のステップで、最初の「Will」が描けず、つまずいてしまう方もいるかもしれません。また、「Will」が遠すぎると、現在の自分とのギャップが大きすぎて、当面の行動プランが思いつかないこともあるでしょう。

その場合はステップ1とステップ2を入れ替え、まず自分の経験やできること（Can）の整理から始めてみましょう。その中で「この仕事が面白かった」「やってみたら適性があった」という気づきや適性が見つかれば、それを活かせるWillにつなげていくのも一つの方法です。

「自分ひとりでキャリアプランを立てられない」という方は、厚生労働省が提供している「ジョブ・カード（※）」を作成し、キャリア形成・リスキリング相談コーナーでジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを受ける方法もあります。原則として1回まで無料で受けられるので、検討してみましょう。

（※）出典:「マイジョブ・カード」（厚生労働省）

年代別のキャリアプランの考え方と例文

20代・30代・40代・50代、それぞれの年代のキャリアプランの考え方のポイントをお伝えします。キャリアプランについて応募書類に記載したり面接で聞かれたりした場合の伝え方の例文（営業職の場合）もご紹介しますので、参考にしてください。

いずれの年代も、キャリアプランを伝える際は以下の要素を盛り込んでまとめると良いでしょう。

1. 仕事における目標とゴールの時期
2. 計画（必要な経験・スキルなど）
3. 達成に向けて取り組んでいること

20代のキャリアプランの考え方

社会人経験が短い応募者に対しては、経験や実績よりも将来性やポテンシャルを期待して選考が行われる傾向があります。そのため、新しいことを吸収して成長したいという姿勢が伝わるキャリアプランを提示できると良いでしょう。身近な先輩社員、上司で優秀な人、成果を出している人などをモデルにするという方法もあります。

20代のキャリアプランの例文

30代のキャリアプランの考え方

30代は一般職、専門職ともに現場の中核となることの多い年代です。これまでの経験・スキル、専門知識を活かし、組織や業界に与える影響範囲を大きくしていく意思を伝えられると良いでしょう。例えば「より大きな組織をマネジメントする」「会社全体に新技術の導入をリードする」などです。

30代のキャリアプランの例文

40代のキャリアプランの考え方

40代は管理職としての役割を求められたり、専門職であっても後進の育成やチームのリードを期待されたりする傾向がある年代です。「組織を牽引する戦略作り」「環境変化に対応した事業創出」など、企業側の採用目的がよりピンポイントになる傾向があるため、それらとリンクする具体的な内容を伝えられると良いでしょう。

40代のキャリアプランの例文

50代のキャリアプランの考え方

かつて50代は役職定年を迎える世代でしたが、近年は培った経験を活かして異分野に転職するケースも見られます。他の世代と同様にキャリアプランを描くことが、自分のキャリアのためにも、転職を実現させる上でも重要と言えます。積み上げてきた経験・スキル、人脈を活かしつつ、新しいことに取り組む柔軟性や成長意欲、挑戦への熱意が伝わるプランを伝えられると良いでしょう。

50代のキャリアプランの例文

職種別のキャリアプランの例文

キャリアプランを応募書類、あるいは面接で伝える場合の例文を、「営業」「事務」「管理部門」「エンジニア」の職種別にご紹介します。

営業のキャリアプラン例文

事務のキャリアプラン例文

管理部門職のキャリアプラン例文

エンジニアのキャリアプラン例文

面接でキャリアプランを伝える場合のポイント

面接でキャリアプランを聞かれた場合は、次の3つのポイントを意識して答えると良いでしょう。

求人との接点を意識する

採用担当者は、キャリアプランの質問を通じて応募者の仕事の価値観や志向が自社にマッチしているか、企業が用意するキャリアパスに合うかどうかなどを確認していると考えられます。そのため、自分が描いているキャリアプランを正直に全て伝える必要はありません。

求人に記載されている仕事内容やキャリアパスなどを確認し、自分が描いているキャリアプランとの接点を探しましょう。面接でキャリアプランを問われた場合、求人との接点を意識し強調して伝えるようにすると、採用担当者も活躍イメージを抱きやすくなるでしょう。

現在の延長線上で回答する

「入社して何を実現したいか」という意図の質問に対して、今の自分が到達できそうもない高すぎる理想を語ってしまうと、説得力に欠けてしまいます。先述した「Will・Can・Must」を活用し、現在の自分の延長線上で「こうなっていたい」「こういうステップを踏みたい」と伝えると、企業に理解してもらいやすいでしょう。

応募企業で実現可能なプランにする

基本的に企業が知りたいのは、応募者が近い将来に実現したいと考えている目標についてです。「20年後に何をしていますか」「あなたの人生の目標は何ですか」といった聞かれ方をしない限りは、半年～数年後に達成できることなど、足元でできる具体的な内容に絞って伝えると良いでしょう。

キャリアプランに悩んだら転職エージェントに相談を

キャリアプランを立てる際は、自己分析を行い、将来の理想像を描いた上で、そこに至るための具体的なステップを明確化することが大切です。しかし、納得のいくキャリアプランを自分一人で考えるのは不安という方もいるようです。

転職エージェントは、転職市場の動向を把握し、転職支援実績があります。キャリアプランに迷ったときは、転職エージェントに相談してみるのも一つの方法です。自分では気づけなかった新たな視点や、的確なアドバイスを得られるかもしれません。