
やりがいのある仕事に転職したいと思っているけれど、「自分にとって、やりがいがある仕事や向いている仕事がわからない」と悩んでいる人もいるようです。
仕事のやりがいとは何か、そしてやりがいのある仕事を見つける方法ややりがいを感じられない理由などについて、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
仕事のやりがいとは?
仕事における「やりがい」とは何を指すのか、解説します。
仕事に取り組むことで得られる充足感のこと
一般的に、仕事における「やりがい」とは、前向きに仕事に取り組むことで得られる「充足感」などを指し、大きく次の2つのタイプに分けられることが多いようです。
- 仕事で成果を上げ評価されたことによる充足感
- 「仕事に意欲的に取り組める」「達成感がある」など仕事そのものや取り組むプロセスから得られる充足感
人によって感じるやりがいは異なる
仕事のどのような部分や要素にやりがいを感じるかは、人それぞれです。役割やポジションなど、その人が置かれた状況によって変化する可能性もあります。また、「仕事で成果を上げ、評価されることにやりがいを感じるのはもちろん、裁量権を持ち自身で創意工夫できる点にもやりがいを覚える」など、複数の要素にやりがいを感じるケースもあります。
やりがいのある仕事に就くメリット
やりがいのある仕事に就くことには、主に次のようなメリットがあります。
モチベーションが上がり、成果を上げやすくなる
やりがいを感じる仕事に就いてモチベーションを高められれば、おのずとパフォーマンスも高まり、成果も出しやすくなるでしょう。その結果、周囲からの評価を得やすくなり、収入やポジションアップを実現できる可能性もあります。
また、自分の成長を感じることで、達成感や充実感を味わいながら働くこともできるでしょう。
不満やストレスを感じにくくなる
やりがいある仕事に就くことで、不満やストレスを感じにくくなる人は少なくありません。ポジティブに働くことでイキイキと日々を過ごせる上、壁にぶつかっても乗り越えるモチベーションがあるため、できることも増えていくでしょう。それに伴い、新たにやりたいことが見つかったり、自身の可能性の広がりに気づいたりすることもあるでしょう。
仕事にやりがいを感じるのはどんなとき?主な5つのケース
仕事にやりがいを感じるときの例を5つ、ご紹介します。
自分の成長を感じたとき
仕事を通じて自分の成長を感じたときに、やりがいを感じるケースがあります。これまではできなかった業務を一人でできるようになったり、目標を達成できるようになったりした瞬間にやりがいを感じる人は少なくありません。その結果、キャリアアップができて、自分の思い描いていたビジョンに近づけたりすると、よりやりがいを感じやすくなるでしょう。
周囲に褒められたり認められたりしたとき
自分の働きが評価され、上司や同僚に褒められたり社内で表彰されたりする際にも、やりがいを感じやすいでしょう。また、社内の関係部署や取引先、顧客などから頼りにされる存在になることで、自分の能力に自信を持てるようになり、よりモチベーションを高めていくことができるようです。
成果に応じて納得感のある報酬が得られたとき
人によっては、報酬そのものがやりがいにつながるケースもあります。自分の働きが認められ、仕事に見合った報酬を得られることは大きなやりがいにつながるでしょう。企業によっては、従業員にやりがいを感じてもらうために、インセンティブを設定し、成果に応じた対価を得られるようにしているケースもあります。
目標や夢を実現できたとき
仕事を通じて自分の目標を達成したり、夢を実現したりすることも可能です。自分なりの目標を掲げそれを達成していく過程で、自己肯定感が高まり、自分の能力に自信を持ってイキイキと働くことができるでしょう。「○○に挑戦したい」「○○を実現したい」という夢がある場合は、それを実現できたときに大きな喜びを感じられるでしょう。
人に感謝されたとき
クライアントや顧客など、仕事で関わった人から感謝されることで、自分の力が人に役立つ喜びや介在価値を感じ、自分自身の存在意義を実感することができるでしょう。また、職場の上司や同僚、関係部署の人々などに感謝されることで、信頼関係を築く喜びを味わえるケースもあるようです。
仕事にやりがいを感じられない主な理由
一方で、なぜ仕事にやりがいが感じることができないのか、よくある理由について解説します。
成長が感じられない
同じ作業の繰り返しが多く、新たなチャレンジの機会が少ない職場では、成長実感を覚えにくいことが多いようです。最初は新鮮だった仕事も、刺激がなくなるとモチベーションが下がり、やりがいを感じにくくなるでしょう。特に、学習意欲が高い人や早く成長したいと考える人にとっては、成長実感が得られにくい環境がストレス要因となり、やりがいを感じづらいと考えられます。
仕事の目標やビジョンが見えない
目標に向かって突き進むことにやりがいを見出す人や、仕事の意義を重視するタイプの人にとっては、目標やビジョンが見えない環境はストレスになりやすいでしょう。
「何のためにこの仕事をしているのか」「何に向かって頑張っているのか」がわかりづらいと、日々の業務に意味を見出しにくくなるかもしれません。
努力や成果を正当に評価されない
企業によっては、評価制度が整備されていなかったり、成果が報酬に反映されない給与体系だったりするケースがあります。このような、努力をして成果を上げても正当に評価されない環境は、「頑張っても意味がない」「仕事で創意工夫しても無駄だ」などと無力感を覚えるケースがあるようです。
仕事による介在価値を感じられない
社内外の関係者からのフィードバックや評価がないと、自分の仕事が誰の役に立っているのか、自分が介在する価値のある仕事なのかがわかりづらく、やりがいを感じにくくなる可能性があります。特に、他者からの評価や感謝、仕事の社会的意義を重視する人にとっては、モチベーションが上がりづらいと考えられます。
仕事のやりがいを見つける方法
「やりがいを感じる仕事がわからない」という場合は、以下のような方法を試してみると良いでしょう。
好きなことや熱中したことを振り返る
好きなこと、熱中できることに取り組んでいるときには、何らかのやりがいを感じているものです。過去の経験を振り返り、好きなことや熱中して取り組んだことを洗い出していきましょう。その上で、どのような部分に喜びややりがいを感じたのかを考えてみると、自身のやりがいの源泉が見えてくる可能性があります。
人から褒められたこと、得意なことを考える
自分の強みを発揮し、活躍したり貢献したりできると、やりがいを感じやすくなる傾向があります。人から褒められた経験や、力を発揮できた経験を洗い出してみましょう。そのときにどのような達成感を得て、どの部分にやりがいを感じたのかまで考えてみることがポイントです。
自己目標を設定し小さな成功体験を積む
日々の仕事に張り合いを感じないという人は、自己目標を設定してそれに向かって努力するという方法も考えられます。例えば、「今日は昨日よりも早くデータ入力を終わらせる」「今週中に○本企画書を完成させる」などの目標を自ら設定すれば、それが張り合いになって仕事を頑張ることができ、達成できれば成功体験を得ることができるでしょう。
この「自己目標を設定し、達成する」という方法は、会社から与えられた目標が高すぎてなかなか達成できず、やる気を失っているという人にも有効と言えます。「今週中に○件のアポを入れよう」など独自の目標を設定して達成できれば充足感を覚え、仕事へのモチベーションも高められる可能性があるでしょう。
モチベーショングラフや四象限マトリクスで洗い出す
「モチベーショングラフ」とは、社会人になってからの自分の歴史を振り返り、仕事上のイベントと、その時の気持ちを曲線で表す手法です。どのようなことに前向きに取り組み、モチベーションが上がったのかを可視化することで仕事へのこだわりや姿勢、やりがいを明確にしましょう。
【モチベーショングラフの例】

「四象限マトリクス」を使い、「やる気が上がる・上がらない」「結果が出せる・出せない」で業務を4つに振り分ける方法もあります。これまで手掛けてきた業務をマトリクス化して書き出していきましょう。右上の枠に振り分けた内容が「やる気が上がる」「結果が出せている」ということになるため、自分にとって「やりがいのある仕事」に当てはまる可能性が高いでしょう。
【四象限マトリクスの例】

周りの意見を参考にしてみる
自分はどんなときに楽しそうに仕事をしているのか、どんな仕事に熱中していることが多いのか、周りに聞いてみるのも一つの方法です。自分自身では気づかなかった意外な一面がわかり、やりがいの源泉が見えてくるかもしれません。
転職の面接で仕事のやりがいを聞かれたときの答え方【回答例文あり】
転職の面接では、「あなたの仕事のやりがいは?」などと質問されるケースもあります。企業が仕事のやりがいを聞く理由や答え方のポイントをご紹介します。職種別の回答例文もぜひ参考にしてみてください。
転職の面接で「仕事のやりがい」を聞く理由
企業の多くは、求職者が「仕事に対してどのような価値観を持っているのか」を知りたいと考えています。「仕事のやりがい」を聞くことで、意欲的に仕事に取り組んでくれそうか、成果を上げて活躍してくれる人材かどうかを判断していると考えられます。
また、求職者が感じる「やりがい」が自社で実現できそうかどうかを見ているケースもあります。実現できなさそうであれば、入社後ギャップを感じやすく、早期離職につながる可能性があるため、やりがいの源泉を知りたいと考える企業もあるようです。
「仕事のやりがい」を回答する際のポイント
仕事のやりがいを答える際には、まず結論となる「仕事のやりがい」について簡潔に述べた上で、その理由を伝えましょう。裏付けとなる根拠を示すために、具体的なエピソードを伝えると良いでしょう。そして最後に、そのやりがいをもとに、応募企業でどのような活躍・貢献ができるかを伝えることも大切です。
回答例文【事務職】
自分が創意工夫したことに対して、周囲から感謝されたときにやりがいを感じます。
現職では営業事務として、主に営業数値の管理・報告を行っています。営業管理ツールのカスタマイズ方法を学び、営業マネジャーが状況把握・判断を行いやすくなる項目を追加し可視化したところ、「わかりやすい」「改善策を考えやすくなった」などの感謝の言葉をいただき、自分の力が役立つ喜びを実感しました。ルーティン業務が多い中でも、より周囲に対して役立てることを主体的に考え、実践していく力は、御社の業務でも活かせると考えています。
回答例文【営業職】
大きな仕事を成し遂げ、組織の業績に貢献できたときにやりがいを感じます。
現職では、大企業向けの法人営業を務めているため、競合他社とのコンペに参加する機会も少なくありません。価格面や機能面では大きな差がない中、営業・開発・企画などのプロジェクトチームをプロジェクトマネジャーとしてリードし、顧客理解・関係性構築・チーム内の情報共有と意思統一を徹底し、受注を勝ち取ってきました。
リードタイムが長い大規模な営業案件は難易度が高いものですが、だからこそ大きなやりがいがあります。御社のような国内外の大規模案件を複数抱える環境で、現職での経験を活かしていきたいと思っています。
回答例文【エンジニア職】
私はシステムの課題や困りごとを迅速に解決できたときに、大きなやりがいを感じます。
社内SEとして社員からのITに関するあらゆる問い合わせに対応していますが、突然のトラブルに驚き、一刻も早く解決してほしいと願っている人が大半です。その思いに応えるためにも、まずは相手の話をしっかり傾聴し、状況を冷静に把握してトラブル解決の手段を考えるよう努めています。根本となる原因を突き止め迅速に対応できた結果、「ありがとう」「助かりました」と言ってもらえたときには、この上ない喜びを感じます。
御社においても、システムの課題やトラブルを冷静にひも解き、解決に導くことで貢献していきたいと考えています。
やりがいのある仕事を探すために転職エージェントを活用する方法もある
転職エージェントに相談することで、「やりがいある仕事」が見つかるケースもあります。以下を参考に、活用を検討してみるのも一つの方法です。
やりがいのある仕事を見つけやすくなる理由
自己分析やキャリアの棚卸しなど、転職活動のサポートを行っている転職エージェントもあります。自分がどのようなことにやりがいを感じるのか、どのような強みを発揮することができるのかを洗い出せる可能性があるでしょう。また、自分がやりがいを感じられる仕事について相談することで、それにマッチする求人も紹介してもらいやすくなります。
やりがいのある仕事への転職を実現するためにも役立つ
自身の希望を叶える転職を実現するためには、転職市場のニーズも考慮する必要があります。必ずしも希望条件に適った求人が見つかるとは限りませんし、条件に合致した求人があったとしても選考に通過できるとは限らないものです。「やりがいを感じる仕事」を軸にしながらも、転職市場の動向に合わせて条件を調整していくことも大事です。転職エージェントで客観的なアドバイスを受けることで、より希望に沿った転職を実現しやすくなるでしょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。
記事更新日:2023年09月20日
記事更新日:2024年04月18日
記事更新日:2025年09月30日 リクルートエージェント編集部
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。