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転職で年収アップを実現するためのポイントと注意点、増額の相場を解説

転職 年収

転職で「年収アップ」を実現しようとする方は少なくありません。では、転職で年収アップを実現するためには、どのような企業や職種を選び、どのようにアピールすればいいのでしょうか。組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタントの粟野友樹氏に、転職で年収アップするポイントや注意点、増額の相場観や年収交渉のタイミングなどを伺いました。

転職で年収アップした人は39.3 %

転職支援サービス「リクルートエージェント」の2025 年4-6 月期の「転職時の賃金変動状況」データでは、「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者数の割合」は39.3%という結果になっています。これは、この調査での過去最高値であり、転職が決まった方の約40%は1割以上の年収アップを実現しているということになります。

年収がアップした転職決定者数の割合は、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた 2020 年 1-3 月期を起点に大きく水準を切り下げましたが、翌年2021 年 1-3 月期には概ね感染拡大前の水準に戻っています。以降、上昇基調を続けており、2025 年 4-6 月期の前年同期差は+3.3ptと、高い上昇基調を維持しています。

(※)出典:「2025年4-6月期 転職時の賃金変動状況」(株式会社インディードリクルートパートナーズ)
※データは公開時点の情報です。

転職での年収アップの相場額は?

転職で年収アップする際の相場額は、業界や職種、求職者や企業によって異なるため、一概に言うことはできません。内定時に提示される年収は、応募企業の「給与テーブル」と「人材ニーズ」、そして求職者の「実績や能力」と「前年収・希望年収」で総合的に判断されるのが一般的です。そのため、企業からの評価が高く、給与テーブルに応じて年収を設定した結果、年収が100~200万円アップするケースもあります。

一方で、企業からの評価が高くない場合は、年収アップを希望しても応じてもらえない可能性があります。また、評価が高く好印象で企業としてはぜひ採用したい人材であっても、希望年収が給与テーブルを大幅に超えている場合は、採用を見送るというケースもあります。

転職で年収アップを実現するケースとは?

転職で年収アップを実現するには、給与水準が高い業界・企業、または成果重視の仕事を選ぶという方法があります。また、転職市場での希少性が高く企業ニーズも高い職種を目指すという方法もあります。転職で年収アップを実現しやすいと考えられるケースをご紹介します。

給与水準が高い業界・企業

業界や企業ごとに「給与の相場」があると言われています。厚生労働省が発表している「令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況」の「第5-1表 産業、年齢階級別賃金及び対前年増減率」によると、「電気・ガス・ 熱供給・水道業」の給与が最も高く437.5万円、次いで「金融業,保険業(410.6万円)」、「学術研究,専門・技術サービス業(401.8万円)」という結果になっています。一方で、最も給与が低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の269.5万円で、最も高い産業と比べると、168万円の開きがあります。

(※)出典:「令和6年賃金構造基本統計調査」(厚生労働省)

また、リクルートエージェントに掲載されている求人票の想定年収ランキングを見ると、想定年収が高い業界は、「監査法人」や「シンクタンク」などが上位となっています。給与水準が高い業界・企業を目指すことが年収アップ転職の方法のひとつですが、給与水準が高い業界や企業は専門性を求められることも多いため、未経験からチャレンジする場合は転職の難易度が高くなると考えられます。

転職 年収アップ

(※)出典:「想定年収ランキング」(株式会社リクルート 現:株式会社インディードリクルートパートナーズ)
※データは公開時点の情報です。

成果・実績重視の仕事

未経験から年収アップを目指したい場合は、基本給に加えて成果や実績に応じてインセンティブが支給される制度がある営業職を選ぶという方法もあります。さらに高い年収を実現したい場合は、基本給の割合が低く実績が報酬に連動するフルコミッション型の仕事もあります。目標に対するプレッシャーが大きくなることも考えられますが、実績を重視するために経験不問である傾向にあり、年収アップにチャレンジしたい・成果がダイレクトに報酬につながる仕事がしたいという方には向いているでしょう。

転職市場でニーズの高い職種

業界・企業の年収水準もありますが、年収は転職市場での需給バランスも影響します。企業からのニーズが高く、かつ求職者が少ない職種は年収が高くなる傾向があります。そのため、まず自分の経験・スキルの転職市場価値を把握することが重要です。企業ニーズの高い職種にキャリアチェンジする、経験の幅を広げる・専門性を深めて価値を高めるなど、自分の市場価値を確認することで、今後のキャリアの方向性が見えてくるでしょう。ただし、転職市場の動向や自身の市場価値は、一人では把握しにくいため、転職エージェントなどに相談するといいでしょう。

転職で年収がアップした事例

応募企業にどのようにアピールすると年収アップが実現できるのでしょうか。年収アップ事例をご紹介します。

年収70万円アップ(コンサルタント)

人材系企業の営業(年収500万円)→コンサルティングファームの営業(年収570万円)

人材系企業で営業リーダーをしていたAさんは、30代を目前にして年収アップを実現するために転職活動を始めました。人材系企業では、人材開発の価値を経営層に提案することが多かったため、中小企業へのトップアプローチ実績をアピールしていました。その結果、経営コンサルティングを行っているコンサルティングファームに経営層向けの提案営業力を評価され、70万円アップで転職を実現しました。

年収100万円アップ(営業)

機械メーカーの営業(年収350万円)→外資IT企業の営業(年収450万円)

新卒入社したメーカーで営業をしていたBさんは、3年が経って営業活動にも自信を持ち実績も出していたことから転職を決意。学生時代に短期留学経験があり、語学力を磨くために英会話も続けていたため、年収アップを目的に外資系企業を中心に応募していました。

面接前には企業研究をしっかりと行い、志望意欲の高さや実績をアピールした結果、年収100万円アップで内定を獲得しました。

年収150万円アップ(SE)

SIerのSE(年収500万円)→SIerのSE(年収650万円)

新卒入社した小規模SIerでプロジェクトをリードし、30代半ばには会社のエースとして頼りにされていたCさん。PLとして様々なプロジェクトを抱え忙しい日々でしたが、立場や忙しさに給与が見合わないと感じるようになりました。転職活動を始めたところ、PL経験と高い技術力を評価されて複数の企業から内定が出ました。内定が出た企業のうち、最高額だった年収650万円の中堅のSIerを選択。なお、提示された年収は、将来的なPM候補としての評価も加味されています。

年収200万円アップ

日系IT企業の営業(年収400万円)→外資系IT企業のコンサルタント(年収600万円)

新卒入社した日系IT企業では、若手ながら持ち前の成長意欲と素直さを評価され、部署内でトップクラスの営業成績をあげていたDさん。日々忙しく仕事にやりがいを感じていましたが、年功序列に近い評価制度であることで、次第に自分の給与・評価に疑問を持つようになりました。現職で年収アップを実現するには、長い時間がかかります。それならば、実力主義の環境で切磋琢磨した方が、スピーディに年収アップとスキルアップが実現できると考え、転職を決意しました。成果主義の外資系を選んで応募したところ、現職での実績や成長意欲などを評価され、年収200万円アップで転職を果たしました。

転職で年収アップを実現するためのポイント

年収アップを実現するために、事前に知っておきたい転職活動のポイントを解説します。

経験・スキルの市場価値を把握しておく

年収アップを図るために年収交渉を行う場合は、転職市場における自身の経験・スキルの市場価値を理解しておくことが大切です。市場価値に見合う年収で交渉すれば、企業も受け入れやすくなりますが、市場価値に見合わない年収を希望すると、交渉が難航する可能性が高くなるでしょう。交渉が難航するだけでなく、他に同程度の経験・スキルを持ち、市場価値に見合う希望年収を提示した応募者がいた場合は、そちらを優先されてしまう可能性も考えられます。

なお、市場価値を正しく把握しておけば、「自分はもっと評価されていいのでは?」「希望年収が高すぎるかもしれない」などの不安や迷いが少なくなります。企業から提示される年収の納得度も高くなり、転職先を決めやすくなるでしょう。

応募企業の年収相場を理解する

企業の多くは自社が定めた等級(グレード)に応じた給与テーブルに従って、募集しているポジションの年収を設定しています。応募企業の給与テーブルを大きく超えた年収を希望しても、応じてもらえない可能性が高いため、事前に応募企業の年収相場を把握しておきましょう。求人には「想定年収」が記載されています。また、一部には「年収例」の記載がある求人もあります。例えば、「800万円/入社8年目(リーダー)」と記載されている場合は、一定の経験があるリーダークラスで800万円程度、と読み取ることができます。また、「450万円~600万円」と記載されている場合は、600万円以上の年収交渉は「難易度が高い」と判断することができるでしょう。

根拠を提示しながら年収交渉を行う

年収交渉は、根拠を提示して行うことがポイントです。例えば、「前職の年収がXXX万円だったので、維持したいと考えています」「○○経験と××実績があるので、年収XXX万円を希望します」など、応募企業に納得してもらいやすい理由を伝えましょう。また、年収の伝え方として、どうしても譲れない「最低希望年収」と、転職で実現したい「希望年収」を伝えるという方法もあります。2つの年収を提示することで、企業側も検討がしやすくなるでしょう。

年収交渉のタイミングは?

年収交渉のタイミングは企業によって異なりますが、一般的には3つのパターンが考えられます。

条件面を確認された時

一般的に、年収交渉を切り出しやすいのは、面接や面接日程の調整中に、応募企業から条件面を確認されたタイミングです。応募企業から「希望年収はどのくらいをお考えですか?」と条件面を確認されたら、「現職の年収がXXX万円なので、XXX万円を希望しています」など、根拠を交えて希望額を伝えるといいでしょう。希望年収を伝える際は、曖昧にせずに前向きなトーンで伝えることがポイントです。

内定前の条件面談時

内定通知直前や、内定を前提とした「条件面談」も、年収交渉を切り出しやすいタイミングのひとつでしょう。企業側が採用を視野に入れている段階で、待遇面の希望も確認しておきたいと考えています。年収の希望額がある場合は、根拠をもとに「希望としてはXXX万円を想定していますが、御社のご意向も伺えればと思います」と伝えると、柔軟で誠実な印象を与えられるでしょう。

なお、内定後の条件面談で年収交渉を切り出すという方法もありますが、企業の多くは年収も含めた勤務条件を考慮して内定を出しています。内定後の条件面談の場合は、大幅な年収アップは難しいと考えておきましょう。

いずれにしても条件面談での年収交渉は、一方的に希望を伝えるのではなく、「双方の着地点をすり合わせる」という姿勢が大切です。

1~2次面接の逆質問時

他に、逆質問の場を利用して待遇面に関する情報を探るという方法もあります。「年収はどのように決定されるのでしょうか?」「御社の評価制度についてお伺いしてもよろしいでしょうか」といった質問で、企業の考え方や制度を把握しておくと、希望年収を考えやすくなるでしょう。

なお、1次面接の段階で希望年収を伝えても、判断材料が少ないために交渉に至らないことが考えられます。希望年収によっては「年収へのこだわりが強い人」という印象を与えてしまう可能性もあるため、1次面接は待遇面の確認にとどめ、2次面接以降で切り出すタイミングを計るといいでしょう。

転職で年収アップを目指す場合の注意点

転職で年収アップを実現したい場合、入社時の年収に固執しすぎないことが重要です。面接でのアピールが功を奏して年収アップで転職を果たしても、大きな期待がプレッシャーとなって成果が出せず、入社後の昇給が伸び悩んでしまうケースも考えられます。一方で、年収アップができなくても、自分に合った企業・仕事を選んだことで大きな成果を挙げ、入社後に大幅な年収アップが叶うケースもあるでしょう。

特に近年は、定期昇給よりも「成果を挙げれば報酬に反映する」という人事制度・評価制度を導入する企業も見られるため、転職時の年収だけでなく、中長期的な視点で年収を上げられるかどうかも注目しましょう。面接時に、「どのような成果を挙げると、どの程度年収を上げられますか」と、評価と年収の相関について聞いてみてもいいでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏

約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

記事作成日:2019年10月31日
記事更新日:2024年10月17日
記事更新日:2025年09月11日 リクルートエージェント編集部

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

リクルートエージェントでは、応募した企業の面接で質問されることなどの傾向や、どんな候補者が評価されるかなどの情報をお伝えすることができます。面接対策にお悩みの方はぜひ相談に来てみてください。

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。