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外資系企業への転職、メリット/デメリットと注意すべきポイントは?

外資系企業への転職を考えている皆さんの中には、英語のスキルや実力主義に不安を感じる人もいるのではないでしょうか。そこで、外資系企業の人事を経て、現在はグローバル人材の育成を手がける株式会社AT Globe 代表取締役社長・鈴木美加子さんに、外資系企業で働くメリットや特徴、注意点、採用動向、選考にあたり、どんなアピールをすべきかについて、解説していただきました。

「なぜ外資系に行きたいのか」を見つめ直す

「外資系に行きたい」というあなた、それはどういう理由からでしょうか。理由・目的によっては、外資系に限らず選択肢を広げたほうがいいということを、まずお伝えしたいと思います。

「実力主義・成果主義の風土で自分の力を発揮したい」

この目的であれば、たしかに外資系企業がフィットしています。外資では、入社3カ月程度で即戦力として活躍することを求められることが多いようです。20代の若手でも、能力を認められれば責任あるプロジェクトやポジションを任されます。成果を挙げれば、収入アップ、昇進・昇格に直結します。

「自由で風通しがよい風土で働きたい」

外資系に対する「自由度が高い」というイメージは、ほぼ間違っていません。服装、勤務体系、勤務時間、勤務場所などの面で自由度が高い企業が多く、デスクで食事していても文句を言われることはありません。ただし、企業規模や日本での歴史の長さ、事業特性、従業員の外国人比率などによっては、日本企業と風土が変わらない企業もあります。場合によっては、日本のベンチャー企業のほうが自由で風通しがよいケースもあります。

「裁量権を持って働きたい」

個々の経験・スキルが認められて仕事を任されるため、裁量権を持って働くことができます。ただし、新たな戦略やアイデアを出しても、決定権が本国にあり、実行に移せないケースがあることも多いため、その覚悟は必要です。裁量権を重視するなら、日本のベンチャー企業のほうが、より経営に大きな影響力を及ぼす裁量権を持てるかもしれません。

「グローバルで活躍したい」

世界中に展開している企業でも、実際のところ、「日本支社」は日本国内だけに閉じてしまう傾向も見られます。本国からの指示を受け、日本市場でそれを遂行する場合はそのようになりがちです。グローバルな活動を目指す人は、海外拠点や外国人社員との交流がどれくらいあるかを確認した上で企業を選んでください。

グローバルビジネスの醍醐味を感じたければ、外資よりも「グローバル展開する日本企業」を選んだほうがいいケースもあります。ただし、海外赴任しても、仕事も日常生活も日本人に囲まれている環境では、異文化体験ができず、グローバル感覚も身に付きません。企業を選ぶ際には、海外の人とのコミュニケーションや交渉をどれだけ経験できるかどうかを確認するといいでしょう。

外資系企業の採用の傾向・特徴は?

近年、外資系企業の採用は活発です。「これから日本市場に進出」というケースは少ないのですが、すでに日本に定着している企業が、さらなる成長を目指して人材強化を行っています。特にIT関連の企業が採用に意欲的。職種は幅広く、メンバークラスからマネジャークラスまで、さまざまなポジションの求人があります。

日本企業では、中途採用においても配属先・職種を限定しない「総合職採用」が多く見られますが、外資の場合は「ポジション採用」です。求めるポジションの経験・スキルにマッチする人が採用ターゲットとなります。とはいえ、全般的に採用難である中、同業種・同職種の経験者だけに絞っていては採用できないため、近い経験・スキルを持つ人が受け入れられることもあります。

外資系企業へ応募する際、どうアピールすればいい?

前述のとおり、外資は「経験・スキルがマッチするか」を最重視します。ですから応募書類では、自分がそれを備えていることをしっかり伝える必要があります。これまで挙げた実績についても、なるべく具体的な数字を記してください。また、「志望動機」が重視されるのは、日本企業と同様です。

職務経歴書は、一度作成したら、すべての企業に同じものを提出する人が多いのですが、合格率(書類選考通過率)を上げたいのであれば、相手企業が求める要素に合わせて、1社ごとにカスタマイズすることをお勧めします。

例えば、自身の職務経歴の中で、「A」よりも「B」の業務を長く経験しているとしても、応募先企業が「A」の経験を求めているのであれば、「B」よりも「A」の経験内容をより詳細に、強調して伝えるようにしてください。

そして面接では、「自分ができること」をしっかりアウトプットする姿勢が大切です。日本人は「謙遜」が美徳とされますが、外資には通用しません。外資の風土では、「アサーティブネス」=「自分の意見や感情をはっきり表明できる」ことが求められます。謙虚さはむしろマイナス評価につながりかねませんので、自分ができることは「できる」と明確に示しましょう。

外資系企業・気になるポイントQ&A

Q)日系企業から外資に転職できるの?

経験・スキルがマッチしていれば可能です。ただし、カルチャーが異なる環境に飛び込むことになるため、企業は「柔軟性があるか」に注目します。年齢が若いほど、柔軟性があり風土になじみやすいと考えられていますので、なるべく早い段階で転職することをお勧めします。

Q)求人はどこで探せばいいの?

「リクナビNEXT」などの転職サイトで「外資系」というキーワードで検索すると、該当する求人情報が閲覧できます。転職エージェントに「外資系企業を紹介してほしい」と相談する方法もあります。あるいは、「外資系」+「転職サイト」「転職エージェント」などのキーワードで検索すれば、外資系に強い人材会社を見つけることもできます。

Q)やっぱりお給料が高いの?

日本企業と比較すると、給与水準が高い傾向にあるのは事実です。これは、徹底した実力主義・成果主義によるもの。年齢や経験、性別に関係なく、成果を出せば報酬に反映されます。若手であっても実力を発揮して高収入を得ている人が多く見られます。ただし、成果を挙げられなくなれば、報酬の引き下げもあり得ます。良くも悪くも変動があるということです。

Q)すぐクビになるの?

外資系企業では終身雇用は保証されていませんが、「成果を挙げなければすぐにクビ」ということは必ずしもありません。業績不振が続く場合は、業務改善プログラムにより、成果が挙がるように問題を解決するサポート体制があります。例えば、上司とともに改善に向けたゴールを設定し、アドバイスを受けながら30日後・60日後・90日後などに面談。改善が見られれば雇用継続されます。

Q)英語が話せないのですが…

英語力があるに越したことはありませんが、求められるレベルはポジションによって大きく異なります。営業職、エンジニア職においては、経験・スキルが重視され、英語力があまり問われないケースが増えています。部門長が外国人である場合、上司とのコミュニケーションや社内メールなどで英語を使いますが、多くの企業では営業先が日本企業であるため、営業職にそこまで高い英語力は求めません。

エンジニアは、プロジェクトが世界にまたがるケースが多いので英語力があればベターですが、入社時点では「英語にアレルギーがなく、英語力を磨く意欲があればOK」とする企業が多数。なお、応募時にはTOEIC600程度以上の英語力があれば、選考クリアの可能性が高まります。

Q)ダイバーシティは進んでいるのですか?

外資系企業では、男女・既婚・未婚に限らず、人種・宗教・障がい者・LGBTも働きやすい環境です。ポジションに必要な経験・スキルを持つ人材を採用し配置するという観点から、多様な人材が活躍しています。外国人と働く上で異文化が衝突することもありますが、それを良しとする風土が存在します。考え方・価値観が違う外国人がプロジェクトに参加することで、新しい発想が生まれることもあり、人材の多様性を活かして会社の成長につなげています。

株式会社AT Globe 代表取締役社長 グローバル人材育成プロデューサー
Lumina Spark & Leaderプラクティショナー ホフテード認定講師
鈴木美加子さん

大学時代から独学で英語を学び、22歳で英検1級に合格。日本GEに入社し人事部に所属後、製薬会社、証券会社、IT企業など外資系企業数社で人事・人事責任者を務め、2014年にAT Globeを設立。現在、個人向けには英国発のアセスメントツール「Lumina Spark」を用いた個別キャリア相談、転職支援などを行っている。著書に『やっぱり外資系!がいい人の必勝転職AtoZ』(青春出版社)。

リクルートエージェントでは、応募した企業の面接で質問されることなどの傾向や、どんな候補者が評価されるかなどの情報をお伝えすることができます。面接対策にお悩みの方はぜひ相談に来てみてください。