
時間をかけて作成した履歴書や職務経歴書であっても、封筒の書き方などマナーが適切でないと、採用担当者の印象を損ねてしまうかもしれません。この記事では、履歴書を入れる封筒のチェックリストや宛名の書き方、送付や手渡しする際のマナーなどについて、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
履歴書を入れる封筒のチェックリスト
下記は、履歴書を送付する前に確認しておきたい項目です。履歴書を送付する際は、チェックリストを参考に、不備のない状態か確認しましょう。
<送付用封筒 チェック項目>
| □ | 送り先の住所・宛名・発送元に誤字・脱字がないか、確認する |
| □ | 適切なサイズ(角形A4号もしくは角形2号)の封筒を用意する |
| □ | 赤文字で「履歴書在中」や「応募書類在中」などと の左下に書く |
| □ | 添え状(送付状)を用意する |
| □ | 応募書類を添え状(送付状)・履歴書・職務経歴書・その他書類の順に並べる |
| □ | 応募書類をクリアファイルに入れる |
| □ | のり付けした閉じ口の部分に「〆」マークを書く |
| □ | 送付に必要な金額の切手を貼る |
<履歴書 チェック項目>
| □ | 住所・学校・会社名など、固有名詞は正式名称で書 |
| □ | 記入必須の項目は全て埋める |
| □ | 誤字・脱字の確認をする |
| □ | 書類に汚れがないか確認する |
| □ | 写真が剥がれないようのり付けし、まっすぐ貼る |
| □ | 押印する(必要がある場合) |
| □ | 面接準備や備忘のために履歴書のコピーを取っておく |
履歴書を入れる封筒の書き方
履歴書を送付する際に使用する封筒の書き方を下記3つのパターンに分けて紹介します。
企業の組織宛に送る封筒の場合
会社など組織宛に送る場合の、封筒の書き方見本をご紹介します。
企業の組織宛の封筒の見本例

- 社名は略さず正式名称で記載する
- 敬称は「御中」を使用する
企業の組織宛の封筒の避けたい例

- (株)など、社名が略して記載されている
- 敬称に「御中」を使用していない
企業の個人宛に送る封筒の場合
企業の個人宛に送る場合の、封筒の書き方見本をご紹介します。
企業の個人宛の封筒の見本例

- 敬称は「様」を使用する
- 「社長様」「部長様」のように役職名+敬称の表記は二重敬語に該当するので避ける
企業の個人宛の封筒の避けたい例

- 部署などの組織名に敬称が記載されている
- 敬称の「様」が抜けている
手渡しする封筒の場合

- 履歴書は汚れや破れを防ぐため、封筒に入れて持参する
- 封筒の表面左下に「履歴書在中」と記載する
- すぐに確認できるよう、封筒の封は閉じない
- 誰の応募書類なのか示すため、封筒の裏面左下に自分の郵便番号、住所、氏名を記載する
履歴書を入れた封筒を送る際のマナー7選
ここでは、履歴書を入れた封筒を送る際に気を付けたいマナーについて説明します。
履歴書を郵送する時は、次に紹介する7つのマナーを意識しましょう。
- 書類は「送付状→履歴書→職務経歴書→その他書類」の順に書類を並べる
- 書類を無色透明のクリアファイルに入れる
- 封筒に宛先を書く時は都道府県から書く
- 封筒に宛先などを書く時は油性ペンを使用して書く
- 封筒の表面に赤文字で「履歴書在中」の文字を添える
- 応募締切日を確認する
- 送付完了を連絡する
書類は「送付状→履歴書→職務経歴書→その他書類」の順に書類を並べる
封筒に書類を入れる際は、上から順に「送付状→履歴書→職務経歴書→その他の書類」と重ねることが一般的です。見開きの履歴書はA3→A4またはB4→B5になるよう、記載面を表側にして中央で二つ折りにしましょう。
送付状を一番上に並べる理由は、どのような書類が入っているのか一目で分かるようにするためです。また履歴書→職務経歴書→その他書類の順に並べる理由は、採用担当者にとって確認優先度の高い順だからです。履歴書で基本情報を確認した上で、さらに細かく経歴や経験、スキルについて確認を進めていくことができます。

書類を無色透明のクリアファイルに入れる
書類は無色透明のクリアファイルに挟んだ上で封入しましょう。クリアファイルに挟んでおくことで、雨による汚れ、郵送時の折り傷を防止できるでしょう。
封筒に宛先を書く時は都道府県から書く
封筒の宛先や自身の住所は、都道府県から書き始めましょう。
履歴書は、公的な書類として扱われるため、履歴書を入れる封筒に関しても正しい表記が求められる場合があります。また全国的に知られていない市町村の場合、住所の把握に手間をかけてしまうことも考えられます。
封筒に宛先などを書く時は油性ペンを使用して書く
封筒に宛先などを書く時は、郵送・手渡し問わず、インクのスレやにじみを防ぐため、インクの乾きが早くにじみにくい油性ペンの使用を推奨します。
また、文字が細すぎて(太すぎて)読みにくくならないよう、適切な太さの油性ペンを使用するようにしましょう。
封筒の表面に赤文字で「履歴書在中」の文字を添える
履歴書を郵送する際は、封筒に「履歴書在中」と赤文字で記載すると良いでしょう。受け取った人や仕分けの際に重要な書類と気付いてもらいやすくするためです。
多くの会社では、日々たくさんの郵便物が届くものです。もし中身が分からない場合、開封を後回しにされてしまったり、誤って別の部署に届けられてしまったりする可能性もあります。「履歴書在中」と記載しておけば、確認を後回しにされてしまうリスクも低減できるでしょう。
応募締切日を確認する
投函前には、必ず応募締切日を確認しましょう。応募締切日を過ぎるとエントリーの受付を見送られてしまうこともあります。締切日が迫っている時は、速達を利用することも検討しましょう。
なお、応募の締切には「必着」と「消印有効」の2種類あります。どちらの締切が適応されるのかも併せて確認しておきましょう。
送付完了を連絡する
履歴書送付後、応募先企業に対して「履歴書の郵送が完了しました」と連絡する必要はありません。しかし事前にやり取りをしていた場合や、採用担当者から指示があって郵送した場合は、送付完了を連絡することで丁寧な印象を与えられる可能性があります。
なお、連絡は投函した日のうちに済ませると良いでしょう。
履歴書を入れた封筒を手渡しする際のマナー2選
履歴書を送らずに、手渡しする時にもマナーがあります。履歴書を手渡しする時は、下記2つのマナーを意識しましょう。
- 手渡す前に封筒から書類を取り出す
- 採用担当者から見て読める方向になるように持つ
手渡す前に封筒から書類を取り出す
採用担当者に直接手渡しする場合は、履歴書を封筒から出し、クリアファイルに入っている状態のまま、下に封筒を重ねて渡しましょう。封筒から書類関連を取り出すことで、採用担当者もすぐ書類に目を通せるでしょう。
もし受付で書類の提出を求められた時は、その場で履歴書に目を通すわけではないため、封筒に入れたまま受付に手渡しましょう。
採用担当者から見て読める方向になるように持つ
手渡す際、書類の向きは、採用担当者から見て正しい方向になるように持ちましょう。採用担当者にとって読みやすい向きで手渡すことで、採用担当者は受け取った後すぐに履歴書を確認できるでしょう。
履歴書の封筒の色とサイズ
履歴書に適した封筒の色やサイズについてご説明します。
色は茶封筒でも失礼にならないか?
茶色の封筒でも問題はありませんが、場合によってはカジュアルな印象を与えたり、他の郵便物に紛れてしまったりする可能性はあります。
一般的に、白色にはフォーマルな印象があるため、応募書類を入れる場合はどちらかと言えば白色の封筒を利用するほうが無難でしょう。
適切な封筒のサイズはどれか?
封筒のサイズは、二つ折りの履歴書がそのまま入れられる、「角型A4号」か「角形2号」が基本とされています。
職務経歴書など同封する書類が多い場合などは、角型A4号よりもやや大きい「角形2号」を選ぶと良いでしょう。

履歴書と封筒に関するよくある質問
履歴書と封筒に関するよくある質問をピックアップし、解説します。
封筒には折りたたんで入れてもいい?
履歴書の正しい折り方は「二つ折り」です。市販の履歴書の多くはA4サイズですが、これはA3サイズがすでに二つ折りにされたものです。ここから新たに折り目をつけないほうが良いでしょう。
三つ折りや四つ折りにしてしまうと、記載面に折り目がついてしまうため、読みにくくなったり、コピーや保管がしにくくなったりするデメリットがあるので、避けたほうが良いでしょう。
ただし、応募企業から郵送用封筒を指定されていて、折らなければ入らないサイズである場合は、三つ折りにしましょう。用紙の1/3の位置を正確に測ってから折ると、きれいに折りやすいでしょう。
速達や書留にしたほうが良い?
速達や書留で送る必要はなく、普通郵便で問題ありません。
締切が迫っている場合は 速達での送付が安心ですが、速達料金(300円~)がかかります。100グラム以内の定型外郵便物の場合、基本料金180円に加えて速達料金300円が加算され、計480円が必要となります。※2025年8月現在
なお、書留での送付は受け取りのために企業が受領印を押す必要があり、不在の場合は再配達の手間もかかるため、一般的には避けたほうが良いでしょう。ただし、企業から書留と指定された場合は、指示に従いましょう。
(※)参考:日本郵便株式会社Webサイト
何日前に投函すれば締切(必着)に間に合う?
普通郵便はおおむね、投函後1~2 日で到着します。応募書類の必着日が指定されている場合は、遅くとも3営業日前までに投函しましょう。離島や遠隔地の場合は4~5日以上前の投函が目安となります。
日本郵便のサイトでは、日数の目安を調べることもできます。
(※)参考:日本郵便株式会社Webサイト
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2023年03月17日
記事更新日:2024年12月02日
記事更新日:2025年09月18日 リクルートエージェント編集部
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。