
仕事や会社に不満を覚えたことを機に、転職を考える人は少なくありません。ただ、不満の解消だけを重視して転職活動した場合、転職後にまた別の不満を抱いてしまう可能性があります。
この記事では、仕事や会社に不満を感じる理由や、不満への対処法などについて、組織人事コンサルティングSeguros代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
仕事や会社に不満を感じる10の理由
仕事や会社に対して不満を感じてしまう主な理由を10パターンご紹介します。今の自分に当てはまり、共感できるものがあるかどうか確認してみましょう。
1.仕事内容が合わない
仕事にやりがいや面白さを感じられず、不満を抱える人は少なくないようです。希望する業務に配属されずやる気を失っているケースや、ルーティンワークが多く飽きてしまったというケースもあります。
2.仕事で成長が感じられない
日々同じような業務の繰り返しで、新しい知識やスキルが身につかず、成長が感じられないことに不安や不満を覚える人もいます。新たな業務にチャレンジする機会がなく、モチベーションが下がっているケースも見受けられます。
3.意見やアイディアが通らない
組織が硬直的で、意見やアイディアが通らない、耳を傾けてくれる体制もないという職場もあるようです。指示通りに働くしかない環境に失望し、環境を変えたいと考える人は少なくありません。
4.労働環境が悪い
人手不足で激務すぎる、残業や休日出勤が多いなど、労働環境が悪いとストレスが溜まり、会社そのものに不満を感じるかもしれません。
5.給与が安い
給与水準が低い場合も、不満を溜め込みやすくなります。特に、努力や成果が反映されない給与体系の場合は、「頑張っても仕方がない」とモチベーションが低下してしまうでしょう。
6.人間関係が悪い
上司や先輩、同僚との相性が合わず、折り合いが悪い場合は、チームワークが取りづらく、仕事の成果も上げづらいでしょう。職場の居心地が悪く、辞めたいと思う人が少なくないようです。
7.社風が合わない
例えば「体育会の社風についていけない」「アットホームな会社が良かったのにドライで辛い」など、社風のミスマッチに悩むケースもあります。社風のミスマッチはストレスに直結しやすく、不満につながる可能性があるでしょう。
8.評価に納得がいかない
成果を出しているのに給与に反映されない、自分のほうが実績を挙げているのに他の人のほうが評価されている…など、評価に対する不満も大きくなりやすいでしょう。
9.希望のキャリアパスが実現できない
イメージしているキャリアを描ける見込みがないと、将来への不安が募り、やる気が失われがちです。思うようなキャリアを歩めないことへの不満から、転職を検討する人も多いようです。
10.会社に将来性がない
斜陽業界で市場がシュリンクしている、企業体質が古い、業績が低迷しているなど、会社に将来性が感じられず先行きが不安である場合も不満が溜まりがちです。そのような環境下では新しいチャレンジもしづらく、経験やスキルも積み上げにくいでしょう。
仕事や会社の不満に対処する6つの方法
仕事や会社に対する不満に、どのように対処すれば良いのでしょうか。代表的な6つの対処法について解説します。
上司や周囲の人に相談する
仕事内容や業務量への不満は、まずは上司に相談してみましょう。自身の希望や業務量のキャパシティなどをフラットに伝えることで、希望に合いそうな仕事を割り振ってもらえたり、業務量を減らしてもらえたりする可能性があります。
通したい意見やアイディアがあるならば、1on1ミーティングなどの機会を活かして上司に直接提案してみるのも良いでしょう。
仕事にやりがいを感じられないという場合は、社内で成果を出している人に、仕事の進め方や面白さを聞いてみるのも一つの方法です。それをもとに仕事のやり方や視点を変えてみることで、面白さを感じられるようになるかもしれません。
自分で工夫できることはないか考えてみる
自分の力で不満を解消する方法はないか、考えてみるのも有効です。仕事内容が不満なのであれば、今の仕事の中で面白いと思えることに注力し成果を上げてみる、仕事で成長が感じられないならば、セミナーや勉強会に参加したり副業を始めたりして自ら成長機会を探す、残業が多すぎるならば仕事を見直し効率化してみる…など。現状を見返し、できることに着手してみると、不満が薄れ好転する可能性があるでしょう。
現状のマイナス面だけを見るのではなく、プラス面に注目するというのも、自分で工夫できることの一つです。例えば「人員不足で自分1人に負荷がかかる」との不満を抱いている場合、「自分の考えで、マイペースで進められる」「経験値が高まり早期にスキルアップできる」などと捉えることもできるでしょう。見方を変えることで、目の前の仕事に前向きに取り組めるようになるかもしれません。
スキルアップに注力する
評価に対する不満については、さらに高い成果を上げることに集中し、社内トップレベルを目指すという方法もあります。周囲の誰もが「ここまで高い実績であれば評価されるべき」と思うぐらいまで成果を上げれば、自身の力で評価を得られるようになるかもしれません。
評価されるようになれば、意見や提案をしやすくなったり、責任あるポジションに抜擢されるようになったりするため、例えば評価制度を整備するなど、自ら不満の根本解消に動ける可能性もあるでしょう。
成果を追求する過程で、スキル・実績を積み重ねられるため、将来的に転職活動する際のアピール材料を増やせるというメリットもあるでしょう。
チーム替えや異動願いを申し出る
仕事が合わないことに不満を抱えている場合は、希望の仕事に携われそうな部署への異動願いを申し出るのも一つの方法です。人間関係など職場環境が不満である場合は、チーム替えなどの希望を伝えることで、状況が変わる可能性があるでしょう。
異動やチーム替えが難しい場合は、社内公募などを利用したり、新たなプロジェクトに参画したりする方法を探してみましょう。
一時的に仕事を離れ気分転換する
業務量が多すぎる、労働環境が悪いなど、過剰なストレスによって心身ともに疲弊している場合は、一時的に仕事から離れることをお勧めします。有給休暇などを取得してリフレッシュし、気力・体力が回復すれば、不満解消のための取り組みもしやすくなるでしょう。
長期休暇を取って不満とじっくり向き合い、今後の対処法を整理するのも一つの考え方です。
転職を検討する
在職中に転職活動を始め、不満を解消できる仕事や企業があるか探してみるのも良いでしょう。情報収集する中で、転職市場の動きや自分の市場価値、採用の可能性がある企業などを知ることができるでしょう。今の会社・仕事よりも不満を感じずに働ける環境が見つかるケースもあれば、「いろいろ見てみたけれど、今の会社・仕事のほうが自分に合っている」と思い直せる可能性もあります。
転職エージェントに登録し、キャリアアドバイザーに相談してみるのも一つの選択です。キャリアアドバイザーとともに、今の会社や仕事への不満を整理したり、不満を解消できる企業選びの軸を明確にしたりできる可能性があります。
仕事・会社への不満を上司に伝える際の注意点
不満解消のため上司に仕事や会社に対して相談する際には、以下の注意点を踏まえておきましょう。
事実ベースで伝える
仕事や会社への不満を伝える場合、「客観性がない」「感情的になっている」などと受け取られると、公平に話を聞いてもらえなくなる可能性があります。きちんと聞く耳を持ってもらうためにも、あくまで事実ベースで伝え、客観的に状況や問題点を説明するよう意識しましょう。
不満だけでなく改善策も提案する
不満のみを伝えてしまうと、「不満を言うばかりで自分で解決する努力をしていない」「主張ばかりが激しくトラブルを起こしそう」などという印象を持たれてしまうかもしれません。自分なりに不満を解消するための課題や対応策などを考えておき、提案することが大事です。
直属の上司に不満がある場合は、さらに上の上司か人事に相談を
直属の上司に不満がある場合、関係性によっては本人に直接伝えないほうが良い場合もあります。思いをぶつけても信頼関係が崩れない場合を除いては、上司のさらに上の立場の人物に相談したほうが解決の糸口が見つかりやすく、トラブルにも発展しにくいと言えるでしょう。
仕事や会社が不満で転職する場合のポイント・注意点
現在の仕事や会社に対する不満がきっかけで転職活動することに何の問題もありませんが、面接などで退職理由を聞かれた際、不満をそのまま伝えてしまうとネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。転職活動の際には、次の点に気を配ることをお勧めします。
不満の内容を明確化する
仕事や会社が不満という人の中には、不満が漠然としていたり、複数の不満を抱えていたりするケースがあります。
まずは、自分自身の思いに向き合い何に不満を抱いているのか洗い出してみましょう。不満が明確になると、転職先に求めるものや条件が明らかになるので、転職活動を進めやすくなります。
不満解消だけでなく、転職で実現したいことに着眼する
不満解消が転職理由であっても、いったん不満から視点を切り替え、「転職によって実現したいこと」「転職先でやりたいこと」に目を向けましょう。
不満の裏には、必ず前向きな思いがあるはずです。例えば、「給与が安すぎる」という不満の裏には「成果が給与に反映される環境でやりがいを持って働きたい」、「人間関係が悪い」という不満の裏には「チームワークを発揮して皆で目標に向かって頑張りたい」などといった思いがあると言えるでしょう。不満に向き合い、その裏にある思いを言語化しておきましょう。
面接では「前向きな転職理由」を伝える
面接で退職理由を聞かれた際には、不満だけを伝えるのではなく、「転職で実現したいこと」もセットで伝えましょう。
仕事や会社に対する不満は、あくまで転職の「きっかけ」にすぎません。きっかけに加え、その裏にある「転職で実現したいこと・やりたいこと」をメインに話すことで、転職に対する意欲や熱意を伝えることができるでしょう。
イメージ的には、退職理由2割、転職で実現したいこと8割程度のバランスで、話す内容を組み立てると良いでしょう。
転職エージェントを活用する方法もある
転職エージェントを活用すれば、不満の解消につながる転職先を紹介してもらえる可能性があるでしょう。希望の転職を実現できるよう、キャリアの棚卸しや自己分析のサポートを受けられたりすることもあります。退職理由をどのように伝えれば良いか、ともに考えてくれる転職エージェントもあるので、相談してみるのも良いでしょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2023年09月14日
記事更新日:2024年07月16日
記事更新日:2025年10月21日 リクルートエージェント編集部
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