面接と面談の違いとは？目的、形式、話すこと、当日の流れ、注意点まで解説

面接と面談について、「それぞれの違いがわからない」「どのようなことを聞かれるのか、何を話せば良いのか」「どちらも採否に影響するのか」などの疑問を持っている人もいるでしょう。

面接と面談の違いや、それぞれの目的や形式、その場で聞かれることや話すこと、当日のおおまかな流れ、注意点などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。

面接と面談の違いとは？

面接と面談の違いは「選考・採否判断を行うかどうか」という点にあるでしょう。
面接は「選考」を目的に行われます。履歴書・職務経歴書をもとに、主には企業側から応募者に質問を投げかけます。
一方、面談は「相互理解」を目的としています。基本的に、応募書類の提出は求められず、企業からの説明、相互に質疑応答を行います。
「面接＝面談」と考える人もいるかもしれませんが、具体的には以下のような違いがあります。

【面接と面談の違い】

以降で、面接と面談の詳細についてより詳しく解説していきます。

面接とは？

面接とは、採用企業が応募者に直接質問を行う選考の場であり、採否の判断を行うことを目的としています。
応募書類のみでは確認できない経験・スキルなどの適性や、人物像や志向性などが自社にマッチするかどうか、入社意欲・熱意の高さなどを評価した上で、「募集要件に合致しているか」「入社してほしい人材か」を判断します。これをもとに、社内稟議で最終判断を行った後、内定を出すことが一般的です。

面接の場では、職務経歴や実績・スキル、志望動機、自己PR、転職理由などについて聞く傾向があります。また、中途採用の面接については、一次、二次、最終面接といった形で、段階を踏んで実施されるケースが一般的です。面接の段階ごとに、人事担当者や現場社員・責任者、経営層など、面接担当者のポジションが変わることもあり、選考過程によって、質問内容が変わる可能性があるでしょう。

面談とは？

面談とは、求職者と企業が互いについての情報交換する場であり、相互理解を深めることを目的としています。そのため、合否の判断は行わないことが前提となっています。
面談は、応募前の段階で行うこともあり、その場合は、履歴書や職務経歴書などは基本的に求められません。

応募前に面談を行う場合は、企業は仕事内容や社風・企業文化、福利厚生、入社後のキャリアパスなど、自社の魅力を求職者に伝えてマッチングを図る傾向があります。一方、求職者は自分の経験・スキルや強み、目指す仕事内容・キャリアなどを伝えることに加え、入社後の具体的な仕事内容や働き方、職場環境、キャリアなど、気になる点について聞くこともできるでしょう。

応募後に行う場合、選考過程の中で前述の内容と同様の面談を行うケースもあります。また、内定を出す応募者を対象に、採用条件の擦り合わせや確認をするために行う面談もあります。入社後の待遇や労働条件、配属先、福利厚生、入社時期などの詳細について最終確認を行います。求職者によっては、年収条件や入社時期などの希望を伝えて交渉を行うケースもあります。
以降で、面談の形式や内容について詳しく解説するので、そちらも参考にしてみましょう。

面談という名の面接を行うケースはある？

「面談と言われたが、実際には面接なのかもしれない」「面談なのに、面接のように選考を受けることもあるのでは？」などの不安を抱く人もいるかもしれません。
しかし、企業が“面談”と称して“面接”を行った場合、求職者に不信感を与える可能性があります。企業にとっては、選考を辞退されたり、クレームや採用ブランディングへの悪影響などにつながったりする恐れがあるため、意図的に、面談と偽って面接を行うケースは考えにくいと言えるでしょう。

とはいえ、コミュニケーションの過程で相互に誤解が発生することもあるため、「面談のはずが、面接だった」という結果につながるケースもあるかもしれません。また、企業が面談を通じて「この人物にぜひ入社してほしい」と考えた場合は、積極的に応募を勧めるケースも見られますが、こうした場合でも、採否についてはあくまで面接選考を経てから決定すると言えるでしょう。

面接・面談の主な形式を解説

ここでは、面接・面談を実施するときの主な形式について解説していきます。

面接の形式

企業によっても異なりますが、面接では、一次面接、二次面接、最終面接を行う傾向が見られます。それぞれの面接の特徴を以下で解説していきます。

一次面接

一次面接は、人事担当者や現場社員などが担当する企業もあります。募集要件に対し、経験・スキルがマッチしているか、職場の雰囲気や企業文化に馴染める人材なのかを確認する傾向が見られます。

二次面接

二次面接は、現場の責任者が担当する企業もあります。一次面接で確認した経験・スキルをより深掘りし、入社後の担当業務に適性があるか、どのような活躍可能性があるかを確認する傾向が見られます。

最終面接

最終面接は、役員などの経営層が担当する企業もあります。業界の展望や自社のビジネスに対し、より深い質問をする傾向も見られます。また、入社意欲の高さなどを確認する傾向もあるようです。

面談の形式

面談の形式は主に3種類あります。それぞれの特徴を以下で解説していきます。

カジュアル面談

「選考ではなく、まずはお会いして情報交換しませんか？」「転職先を検討しているなら、まずはお話してみませんか？」など、応募意思がまだ固まっていない段階で設定されるのがカジュアル面談です。その名称のとおり、「気軽な」「くつろいだ」状態で行われます。

採用担当者は「当社はこのような会社です」と自社の概要や魅力について紹介し、求職者は「このようなキャリアを描いています」「このような観点で企業を選んでいます」などの意向を述べるなどして、情報を交換しながらお互いに相性を見ていきます。企業側には、面談を「自社への応募意欲を高めるための情報提供の場」として捉える傾向もあるでしょう。

リクルーター面談

近年、求人媒体や転職エージェントなどを介さず、求める人材に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」に力を入れている企業も見られます。その一環として、社員が知人や自分のネットワーク内にいる人物に声をかけて自社への応募を促す「リファラル採用」なども行われています。

中途採用における「リクルーター面談」とは、このようなダイレクトリクルーティングにおいて利用される面談形式であり、「カジュアル面談」の内容と大きな違いはないでしょう。

オファー面談

内定を出す応募者に向けて実施する「オファー面談」は、採用条件の擦り合わせをしたり、入社判断に必要な情報を提供したりすることが目的です。採用担当者が採用条件や待遇などについて説明を行い、配属先の仕事内容、入社後のキャリアイメージ、給与、福利厚生などの詳細を伝えますが、入社時期などの確認・調整を行うケースもあります。内定承諾する前の段階で、疑問点や不安点などを解消することを目的としているため、気になることについて質問・確認することができるでしょう。

応募前に面談を受けるメリット

応募の前に面談を受ける場合のメリットについて紹介します。

自分に合う企業かどうか判断しやすくなる

面談では、企業の採用担当者など、実際に働いている社員に直接話を聞くことができます。求人票や企業ホームページのみでは得られない情報を収集できるでしょう。企業の風土や職場の雰囲気、具体的な仕事内容、仕事の進め方、評価体制、入社後の待遇や将来のキャリアなどについて聞くことで、自分との相性や求める環境があるかどうかの判断材料を集めることができるでしょう。自分に合う企業かどうかの判断がしやすくなるため、ミスマッチな企業への応募を防ぐことにも役立てられます。

志望動機や自己PRなどの作成に役立つ

応募前に企業と仕事への理解を深めておくことで、志望動機や自己PRなどの説得力をより高めることができます。仕事の進め方や企業が求める人物像などを理解した上で、入社後にどのような強みを発揮できるのかを伝えれば、よりアピールにつながりやすいでしょう。
応募書類を作成する前の段階で理解を深めておけば、書類選考の通過率を高めるためにも役立てられます。

面接・面談の当日の流れとポイント|話すこと、聞くこと、服装は？

面接・面談について、それぞれの当日の流れやポイントについて解説していきます。

面接の流れ

面接の一般的な流れは以下の通りです。

この流れの中で、企業側からの募集内容の説明や待遇・条件面の確認が行われることもあります。

面談の流れ

面談の一般的な流れは以下の通りです。

面接とは異なり、企業側からのプレゼンテーション、求職者からの質問への回答に多くの時間が割かれるのが一般的です。

面接のポイント

面接を通過するためには、採用担当者が「入社後の活躍をイメージできるか」がポイントとなります。自分の経験・スキルを伝えるだけにとどまらず、その経験・スキルを応募企業でどのように活かせるか、どのような貢献ができるかを伝えることが重要です。
応募企業が求めている人材像を理解した上で臨めば、よりアピールしやすくなるため、事前の企業研究も必要となるでしょう。

企業からは、自己紹介、転職理由、志望動機、自己PR、入社後のキャリアビジョンなどを質問される傾向があるため、それぞれについて話す内容の要点を整理しておくことがポイントです。また、逆質問を求められる傾向もあるため、応募企業や応募職種について興味のあることや確認したいことなど、何を聞くのかまとめておきましょう。

面接に臨むときの服装

面接の場には、スーツやビジネスカジュアルなどで臨むことが一般的です。
求人票に「面接の服装自由」と記載されている場合は、ビジネスシーンにふさわしい服装で臨むと良いでしょう。服装・髪型ともに清潔感を意識することが大事です。

面談のポイント

面談は、企業と求職者が相互に理解を深める場なので、過度に相手の顔色をうかがったり、遠慮したりするのではなく、しっかりとコミュニケーションをとることが大事です。また、面談は面接に比べてリラックスした雰囲気で行われますが、あくまでビジネスシーンであることを忘れないように注意しましょう。

企業が行う説明としては、自社の魅力や事業の強み、募集職種の具体的な仕事内容、求める人物像、募集背景、配属先の職場の雰囲気や人員構成などについて話す傾向が見られます。
求職者は、企業や仕事などに対する不明点や疑問点、より理解を深めたい点について質問できるので、事前に聞きたいことをまとめておくと良いでしょう。

また、企業からは、自社に興味を持った理由、これまでの経験・スキルや転職活動の状況、転職を考えたきっかけや背景、今後のキャリアビジョンなどについて聞かれる可能性もあるので、それぞれ話す内容を整理しておくことがおすすめです。

面談に臨むときの服装

面接よりもカジュアルな場ではあるものの、「あくまでもビジネスシーンの一場面である」という意識を忘れないようにすると良いでしょう。不安な場合は、企業の担当者に事前に相談してみるのも一案です。また、カジュアルな服装で臨む場合でも、面接と同様に清潔感を意識することが大事でしょう。

面接・面談の前に準備すること

面接・面談の前に準備することの一例を紹介します。

面接の前に準備すること

先に紹介した「面接でよく聞かれる質問」に対し、要点を整理して簡潔に話せるように準備しておきます。これらの準備をするにあたり、次のことを実践すると良いでしょう。

キャリアの棚卸し

経験・スキルの棚卸しを行い、自分の強みやアピールできることなどを整理しましょう。これまでの成果と、その成果を挙げられた要因をストーリー立てて語れるようにしておくことをおすすめします。

自己分析

「なぜ転職したいのか」「転職で実現したいことは何か」を明確にし、その背景にある考え方などを整理しておきましょう。志望動機や転職理由などの回答に役立ちます。

企業研究

応募企業のビジネスや業界、仕事の進め方、企業文化、ミッション・ビジョン・バリューなどの企業理念、求める人物像などを確認しておきましょう。
転職理由や志望動機、逆質問などに役立てることができます。

面談の前に準備すること

一般的に、カジュアル面談の時点では、履歴書や職務経歴書の提出を求められることはないため、情報収集と割り切って自然体で臨んでも良いでしょう。しかし、「面接ではないから」と、一切準備をしていなければ、お互いにとって有意義な時間にならない可能性があります。

面談の前には、企業のホームページやSNS、メディアの記事などに目を通して下調べを行い、気になる点や確認したいポイントを整理しておくことがおすすめです。自分が知りたいこと・相談したいことを事前に伝えておけば、企業も回答の準備をした上で臨むことができるため、よりスムーズに情報を得られるでしょう。

面接・面談を受けるときの注意点

先にも述べた通り、面接・面談を受けるときには「ビジネスの場であること」を意識し、社会人としてきちんとした振る舞いをすることが大前提となります。それぞれの注意点を紹介します。

面接を受けるときの注意点

面接では質問されたことに対し、口頭で簡潔に回答することが重要になります。文書としてまとめていたとしても、その場でうまく話すことができず、アピールしたい内容を伝えきれないケースも見られるため、事前に話す準備をしておくことが大事です。話し方や声のトーンなどで与える印象も変わってくるため、鏡の前などで回答の練習をして改善につなげることもおすすめです。

また、面接では応募書類に記載した内容をベースに質問される傾向があるので、面接前には応募書類を再度確認の上、アピールしたいことを整理しておくと安心できるでしょう。一次、二次、最終面接で話す内容が大きく変化した場合、「一貫性がない」と判断される可能性もあります。それぞれの面接の前に振り返りを行うことで、一貫性のある回答がしやすくなるでしょう。

面談を受けるときの注意点

カジュアル面談やリクルーター面談で話した内容は、応募後、面接担当者に引き継がれるケースも見られます。「面談では合否の判断をされないから」と油断し、意欲的に臨んでいない場合は、「入社意欲が低い」という印象を与えるかもしれず、その後の面接にも影響する可能性もあります。面談後に応募するかどうかは自分次第ですが、面接を受ける可能性があることも踏まえておきましょう。

一方、オファー面談については、それまでの面接選考と同様に、真摯な姿勢で臨むことを意識すると良いでしょう。オファー（内定）が出たことで強気な態度に変化し、選考中の姿勢や振る舞いと大きなギャップを感じさせたり、提示された年収などの条件に対し、大幅な引き上げを要求するなどの交渉を強く行ったりすることで、企業の心証が悪化する可能性もあります。こうした場合は、仮にその企業に入社しても職場に馴染みづらくなってしまうことが考えられます。

面接・面談に不安がある場合は、転職エージェントに相談を

「面接に向けて、具体的にどのような準備をすれば良いのかわからない」「企業から面談の申込を受けたが、どのように進めたら良いかわからない」という場合は、転職エージェントに相談するのも一案です。
転職エージェントでは、求職者の希望や経験・スキルに合う企業の紹介を行うため、「自分では探せない」という場合にも役立ちます。また、応募書類の作成や面接対策などのサポートを受けられる転職エージェントもあるので、活用してみるのもおすすめです。