
転職エージェントが合わないと感じても、「率直に不満や要望を伝えにくい」「担当のキャリアアドバイザーを変更してほしいけれど言い出せない」「このまま転職支援を任せていいのだろうか」と悩んでしまう人もいるでしょう。
本記事では、転職エージェントが合わないと感じる要因と対処法、担当変更を申し出る方法などについて、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
目次
転職エージェントが「合わない」と感じるのはなぜ?よくある理由を解説
転職エージェントが合わないと感じてしまうのは、主に次のような理由によるものと考えられます。
紹介される求人が希望とズレている
紹介される求人が「希望条件を満たしていない」「自分の経験・スキルを活かせると思えない」「興味を持てない」など、自分にマッチしていないものばかりだと感じた場合は、「自分の転職に対する考え方や価値観を理解してもらえていない」という不満を抱きやすくなるようです。
担当者の対応・姿勢に不信感を抱いてしまう
期待値を下回るサポート内容だったり、キャリアアドバイザーの対応や姿勢、言葉遣いに違和感を抱いたりした結果、「合わない」と感じることがあるようです。
例えば、書類選考のサポートをしてほしいのに、職務経歴書へのアドバイスをあまりもらえなかったり、応募したい求人があるのに「○○さんの経験だと難しいですね」と応募を止められてしまったりして、不信感を覚えるケースもあるようです。
コミュニケーションが噛み合わない・温度差がある
キャリアアドバイザーに質問したことと、回答内容にズレがあり、知りたい情報が得られずストレスを覚えることがあるようです。
すぐに教えてほしいことがありメールしたにもかかわらず、数日経っても返信がなかったり、内容が薄く淡白な回答だったりと、キャリアアドバイザーとの温度差に違和感を覚える人もいるようです。
押しが強く、断りづらいプレッシャーがある
キャリアアドバイザーの押しが強く、紹介された求人への応募を強く勧められて断りづらくなるケースがあるようです。応募後も、面接の日程調整を急かされるなどして、自分のペースで転職活動が進められず、不満を抱える人もいるようです。
価値観が合わず話していてストレスを感じる
キャリアアドバイザーとキャリア観や転職に対する価値観が異なるため、会話が噛み合わず苦労するケースもあるようです。
例えば、「長く腰を据えて働きたいので、社風や職場環境を重視したい」と思っているのに、キャリアアドバイザーはさらなる転職を前提に「まずは市場価値を上げられる環境を選びましょう」と勧めてくるなど。価値観とズレた提案ばかりされた結果、強いストレスを覚える人もいるようです。
自分のキャリアを理解してくれていないと感じる
求職者のこれまでのキャリアをあまり理解しないまま、求人紹介に進んでしまうキャリアアドバイザーも中にはいるようです。
一人ひとりへのヒアリングが浅く、仕事内容や経験・スキル、実績などをよく理解していないと、適切な市場価値が判断できず、マッチ度の低い求人を紹介してしまう恐れがあります。そういうキャリアアドバイザーが担当になり、転職活動そのものに不安を抱えるケースがあるようです。
「なんとなく違和感がある」ケースも
「転職エージェントが合わない」と感じる人の中には、決定打となる大きな理由ではなく、小さな不安や不満が積み重なって、違和感を覚えているケースもあるようです。
例えば、「面談には時間をかけてくれたけれど、希望条件を掘り下げてくれなかった」「○○業界担当というが、業界知識が少し浅いと感じた」「メールへの返信は早いが、質問に対して抜け漏れがある」など。ちょっとした不安・不満を感じる機会が多いことから、モヤモヤを感じる人も少なくないようです。
合わないと感じたとき断る?続ける?迷ったときに考えるべき判断軸
「この転職エージェント、合わないかも…」と感じたとき、サポートを断るか、続けるかの判断基準について解説します。
転職エージェントを断ったほうが良いサインとは?
次のようなケースの場合は、求職者目線に立ったサポートやアドバイスは期待薄と考えられ、断ることも検討しましょう。
- 希望に合致しない求人ばかり紹介する、「希望に合わない」と伝えても改善されない
- 質問に対する返事が遅い
- 質問に対してズレた返答をされるなど、コミュニケーションがうまく取れない
- 対応や扱いが希望に合わず不誠実に感じる
- 面談等で話した内容(スキル・経験、キャリア観、希望条件など)を覚えていない
- 強引にスケジュールを進められる(応募先の選定、日程調整など)
転職エージェントとの関係が改善できそうなケースとは?
以下に当てはまる場合は、改善の余地があるかもしれません。より深くコミュニケーションを取り、転職に対する思いや希望を具体的に伝えることで、転職活動が軌道に乗る可能性はあります。
- 認識のズレがあるが、指摘すればすぐ修正してくれる
- まだ十分に対話し切れておらず、これから面談の機会がある
- 求職者をしっかり理解し支援したいといった熱意と誠実さを感じる
- スピード感はないが、じっくり丁寧に対応してくれる
判断に迷ったときに考えたい3つの視点
それでも判断に迷ったときには、次のような視点で考えるといいでしょう。
1.対応に熱意や誠実さを感じるか
キャリアアドバイザーの対応が誠実であり、求職者目線で物事を考えてくれるタイプであれば、改善の余地はあります。
対応に抜け漏れや不足点があったとしても、熱意や誠実さがあれば、こちらから希望を伝え続けるなど働き掛ければ、信頼関係が構築され、良いサポートが得られるようになるかもしれません。
2.「希望を叶えるパートナー」として信頼できそうか
中には耳の痛いことを言うキャリアアドバイザーもいるでしょう。厳しい物言いにストレスを覚える人もいると思いますが、求職者の希望に沿うために、敢えて歯に衣着せず発言している可能性はあります。
希望の転職を叶えるためのパートナーとして、厳しくも信頼できそうかどうか、言っていることに筋が通っているかどうか、冷静に判断すると良いでしょう。
3.自分の要求水準が高すぎないか
自身の希望する転職を叶えたいがために、難しい条件を提示した結果、転職エージェント側が対応し切れていない可能性もあります。
自身の経験・スキルに対して要求水準が高すぎたり、一方的な希望を伝えすぎたりしていないか、考えてみることも大切です。
転職エージェントの「担当者が合わない」と感じたときの対処法
転職エージェントの担当キャリアアドバイザーが「合わない」と感じた場合は、次のように対応すると良いでしょう。
担当者を変更してもらうことが可能
「どうしても転職エージェントの担当者が合わない」と感じたら、担当者を変更してもらうことも可能です。「利用している転職エージェントのサービスそのものには問題を感じていない」という場合は、まずは担当者変更を申し出てみましょう。
その際には、合わないと感じた理由や「もっとこうしてほしい」という要望なども併せて伝えることが大事です。より自分に合うキャリアアドバイザーに担当してもらえる可能性が高まるでしょう。
転職エージェントの担当者を変更してもらう方法
担当者を変更してほしいときには、次のいずれかの方法で申し出ると良いでしょう。
問い合わせ窓口にメールで申し出る
問い合わせ窓口から、メールで担当者の変更を申し出る方法があります。次の例文を参考に、お願いしてみると良いでしょう。
(例文)
件名 担当者様の変更のご相談
○○エージェント 問い合わせ窓口ご担当者様
いつもお世話になっております。
貴社の転職支援のサービスを受けております○○○○(自分の氏名)です。
ご多用のところ恐れ入りますが、
1点ご相談したいことがあり、メールいたしました。
現在、私は××様(現在の担当者の名前)にご担当いただいております。
これまでさまざまな角度からアドバイスやサポートをしていただいたと思っております。
しかし、××様が考えていらっしゃる転職のプランと、私が目指しているキャリアとの間にズレがあるように感じております。面談やお電話でやりとりする中で、考え方に相違があると思ったことが何度かあり、以前からその点を懸念しておりました。
もし可能であれば、担当者様の変更を検討していただければ、と考えております。
お手数をおかけいたしますが、ご検討いただけますよう、
何卒よろしくお願いいたします。
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署名
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電話で申し出る
転職エージェントの窓口となる電話番号に掛けて、担当変更を申し出る方法もあります。
窓口の電話番号が公開されていない場合は、現在の担当者の連絡先に電話することになります。担当者に問題を感じていた上で電話連絡をする場合は、ビジネスパーソンとして丁寧な言葉遣いを心がけ、感情的にならないよう注意しましょう。冷静に担当変更をお願いしたい理由や、今後の担当者に対する要望を伝えることが大事です。
Webサイトで申し出る
Webサイト上に問い合わせフォームや申請ページを用意している転職エージェントもあります。メールや電話などで担当者の変更を申し出ることに気まずさを感じている場合に利用しやすいでしょう。しかし、問い合わせ内容に記載した「担当者を変更してほしい理由」などは本人にも伝わるので、ビジネスパーソンとして丁寧な表現を心がけることを意識しましょう。
担当の変更以外で転職エージェントの“合わない”を減らす具体策
転職エージェントとの「合わない」をできるだけ減らす方法をご紹介します。次の項目を意識することで、転職エージェントと良い関係性を築けるようになるでしょう。
希望条件・優先順位を整理して伝える
希望条件はもちろん、その優先順位も整理して伝えましょう。優先順位を明確に伝えておかないと、転職エージェントは複数の希望条件を並列で捉えます。その結果、認識のズレが生じ、希望の求人が紹介されない…といった事態に陥りがちなので、注意しましょう。
また、転職活動の途中で、優先順位が変わることもあると思います。その際にはただちに転職エージェントに伝え、軌道修正してもらうことが大切です。
受け身にならず自分から積極的に質問・確認する
受け身の姿勢で転職エージェントからのアクションを待ち続けた結果、「全然サポートしてくれない」と不満を抱える人もいるようです。ただ、転職エージェントも多数の求職者や企業などを相手にしているため、待っているだけでは希望のサポートが受けにくくなる可能性もあります。
自ら能動的に動き、希望を伝えることで、状況は変わります。例えばですが、「志望度の高いA社とB社について、それぞれ別に模擬面接を行ってほしい」などの細かい要望は、転職エージェント側にはなかなか気づけないものです。自身の転職活動をうまく進めるためにも、どんどん質問・確認し、要望を伝えるなど、自ら積極的に活用すると良いでしょう。
コミュニケーションスタイルの希望を伝える
コミュニケーションが円滑に進めば、「合わない」と感じる機会も減ると期待されます。求職者が希望するコミュニケーションスタイルがあれば、あらかじめ伝えておくとストレスが少ないでしょう。
例えば、電話よりもメールやチャットで連絡してほしい、情報提供は細切れではなく1回のメッセージにまとめてほしい、敢えて厳し目のアドバイスをしてほしい、メンタル面のサポートをしてほしい…など。コミュニケーションのギャップが減り、転職活動へのモチベーションも高められる可能性があるでしょう。
他社のエージェントを並行して使いリスクを分散する方法もある
転職エージェントによって強みや得意分野は異なるため、他社のほうが自分に合っている可能性もあるかもしれません。複数の転職エージェントをうまく活用することで、希望に合った求人への応募数を確保したり、転職活動へのサポートを充実させたりすることができるでしょう。複数を比較することで、より自分に合った転職エージェントを発見できるかもしれません。
転職エージェントを活用するメリット
転職エージェントにはそれぞれの強みや特徴があり、担当のキャリアアドバイザーにも強みや持ち味、個性があります。相性の問題は当然ながらあり、すべての転職エージェントが自分に合うとは言えないでしょう。
ただ、転職エージェントにはさまざまな活用メリットがあります。例えばですが、カウンセリングを通して自分の強みや価値観に気づけたり、自身の市場価値を掴めたりするのは大きなメリットです。非公開求人など思いもよらない求人に出会えたり、応募書類の添削や模擬面接など転職活動のサポートを得られたりするのも転職エージェントならではでしょう。内定後は、給与額などの条件交渉のアドバイスやサポートをしてくれるケースもあります。
このように、転職エージェントでは、希望の転職を実現するためのさまざまな支援を受けられます。第三者からのアドバイスや支援を得てスムーズに転職活動を進めたい場合は、転職エージェントの利用を検討してみると良いでしょう。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
記事更新日:2022年09月13日
記事更新日:2023年07月31日
記事更新日:2024年09月06日
記事更新日:2025年07月02日 リクルートエージェント編集部
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