
転職活動で、一次・二次面接では好感触を得たにもかかわらず、最終面接で不採用となるケースがあります。最終面接で落ちる理由、最終面接を通過するための対策について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。
「最終面接に落ちるフラグはあるか?」という疑問にもお答えします。
最終面接とは
最終面接は、採用選考において採否の最終判断を行う場です。多くの場合、役員以上が面接を行います。ただし、企業規模や方針によって面接担当者は異なっており、代表取締役社長が行うケースもあれば、配属予定部門の部長や人事部長などが行う場合もあります。
また、最終面接の位置づけや目的も企業によってさまざまです。例えば、一次・二次面接でほぼ採用選考は終わっており、最終面接を「役職者との顔合わせと、入社意思の確認の場」としている企業もあれば、「評価を最終検討する場」としている企業もあります。
最終面接で落ちてしまう理由
一次・二次面接では高く評価されたにも関わらず、最終面接で不採用とされることもあります。その理由としては、主に次のようなものが挙げられます。
求める人物像にマッチしていない
一次・二次面接では、「採用ポジションの業務を遂行できるか」「配属先部署になじめそうか」「定着して働き続けられそうか」といった点を見られる傾向があります。
一方、最終面接では、仕事やキャリアに対する価値観や志向を掘り下げて聞き、自社の文化・価値観にマッチするかどうかに注目する傾向が見られます。そのため、業務遂行スキルは高く評価されたとしても、「自社が求める人物像とマッチしていない」と判断されることがあるでしょう。
中長期的な目標やビジョンが見えない
最終面接では、一次・二次面接よりも長い視点で「自社で将来にわたって活躍し、成長や貢献が期待できるか」といった観点も加わり、総合的な判断が行われます。
そのため、「入社後にどのような目標を持って取り組みたいか」や、「3年後・5年後・10年後、どのようなキャリアを描いているか」といった質問に明確に答えられない場合、意欲や将来性に不安を持たれて不採用と判断されるケースがあるようです。
一次・二次面接での談話・姿勢とギャップがある
一次・二次面接をクリアし、最終面接まで進んだ段階で「内定は確実」と油断してしまい、それが原因で不採用になることもあります。
一次・二次面接では謙虚な印象だった応募者が、最終面接で急に強気な姿勢を見せたり、企業の許容範囲を超えた条件交渉を持ちかけたりすることがあります。そのギャップに不信感を抱かれ、採用を見送られるケースがあるのです。
また、自分を良く見せようとするあまり、一次・二次面接とまったく異なる話をすると、一貫性がないという印象を持たれてしまう可能性もあるでしょう。
最終面接を通過するための対策
最終面接の通過を目指すなら、次のことを意識して対策しておきましょう。
入社意欲の高さを伝えられるようにする
応募企業の研究をさらに深め、「志望動機」をより説得力を持って語れるようにしておきましょう。企業の「理念」「ミッション・ビジョン・バリュー」などに共感しているなら、「なぜ共感するのか」を、自身の体験エピソードを交えて伝えられると良いでしょう。
また、入社後に何を目標として、どのように成長していきたいのかも明確に語れるように準備し、最終面接で伝えられれば、入社意欲の高さが伝わりやすくなるでしょう。
これまでの面接内容を振り返る
最終面接に臨む前に、一次・二次面接で聞かれた内容を振り返っておきましょう。うまく答えられなかった部分を再度掘り下げ、考えをまとめておくことをお勧めします。
職務経歴について、踏み込んだ質問をされても対応できるよう、応募書類を見直しておくことも大切です。経験してきた業務について、「成功体験」「身につけたスキル」なども整理し直しておきましょう。
一次・二次面接で語っていたことと最終面接で語ることに矛盾がないようにするためにも、面接の振り返りが大切です。
一貫した姿勢で臨む
先にも触れたとおり、「最終面接まで行けば、ほぼ内定」と思い込み、油断してしまうことがあります。それまでの面接で良い手応えを感じていたとしても、 面接選考を受けている意識を忘れないようにしましょう。一次・二次面接と同様に緊張感を持って、最後まで気を抜かず、一貫した姿勢で臨むことを心がけてください。
最終面接に落ちるフラグはある?
最終面接の手応えによって、「最終面接で○○だったら、それは落ちるフラグなのだろうか?」と不安を抱く方もいるようです。しかし、不採用になる明確なフラグというものはなく、応募者本人の想像と実情が異なっていることも多いものです。「落ちるフラグなのでは?」と思われがちなポイントについて、考えられるケースをお伝えします。
いずれにしても、しっかり準備をして臨むことで、不安は軽減できるでしょう。
最終面接が早く終わった
最終面接が早々に終わっても、落ちたとは限りません。もちろん、不採用の判断を下したことで、「お互いの時間のロスを防ぐためにも面接時間を短く切り上げる」というケースもあります。しかし、これまでの面接を通じて採用を決めている場合、最終面接を「役員との顔合わせ」「最終確認」として位置づけており、比較的短い時間で終えるケースもあります。また、面接担当者のスケジュールの都合により、面接時間を短縮せざるを得なかった可能性も考えられるでしょう。
面接担当者の反応に手応えを感じない
フラットに個別選考を行うために、あえて大きなリアクションを控える企業や、面接担当者のキャラクターそのものが、もともと反応が薄いタイプであるケースもあります。相手の反応をうかがって気をもむよりも、質疑応答にしっかりと集中したほうが良いでしょう。
入社後の具体的な話がない
役員・事業部門長との最終面接では、先にも挙げたとおり「自社と価値観・志向がマッチしているか」「中長期的に活躍・成長できそうか」に重点を置く傾向があります。その場合、入社の手続きや入社後の業務内容、条件面の話題がまったく出ないことは珍しくありません。具体的な話については、内定後、人事担当者や所属部門の採用担当者と面談が設けられることもあります。他にも、複数の候補者が残っていて、まだ選考が継続している状況も考えられます。
面接に不安を感じたら転職エージェントに相談を
転職エージェントを活用すれば、経験・スキルの棚卸しを一緒に行ってもらえたり、面接対策のアドバイスを受けられたりすることがあります。転職エージェントによっては、これまでの支援実績をもとに「応募企業の面接担当者がどのような人物か」「どのような質問をされやすいか」「選考で重視されるポイントは何か」といった具体的な情報をアドバイスしてもらえる可能性もあります。
また、仮に面接を通過しなかったとしても、その理由について企業からのフィードバックを転職エージェントから聞けるケースもあるため、次の応募先の面接に活かせる可能性があります。面接の通過率を高めるためにも、転職エージェントのサポートを活用してみるのも一つの方法です。
組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏
約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。