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自己PRがない場合はどうする?アピールポイントの探し方と自己PRの作成方法、例文を紹介

自己PR ない

転職活動では、応募書類や面接の場で「自己PR」を求められることがあります。自分の強みを伝えられるように準備しておくことが大切ですが、「自分には自己PRできることがない」と悩む方もいるようです。

自己PRがないと感じる理由、アピールポイント(強み)の探し方、自己PRの効果的な伝え方について、組織人事コンサルティングSeguros、代表コンサルタントの粟野友樹氏が解説します。自己PR作成のテンプレート、強みごとの例文も紹介しますので、参考にしてみてください。

「自己PRがない」と感じる理由

応募書類の作成や面接に向けて準備をしているとき、「自己PRできることがない」と、焦りや不安を感じることもあるかもしれません。しかし、実際にはアピールする強みが「ない」のではなく、「自覚できていない」「言語化できていない」だけであることが多いものです。

例えば、次のような理由から「自己PRができない」と考えてしまうケースがあるようです。まずは思い込みを取り払うことから始めてみましょう。

深く考えすぎている

自己PRとして伝えるのは、「突出したスキル」「輝かしい成果」「表彰実績」など、特別なものだと思い込んでいるかもしれません。確かにそれらは分かりやすいアピール材料ですが、採用担当者は「日々、どのような工夫や努力をしているか」「どのような姿勢で仕事に取り組んでいるか」に注目しているものです。

例えば「ミスを防ぐための工夫」「コミュニケーションにおいての心がけ」「学ぶ意欲・行動」といったものも、十分に自己PRの要素となるでしょう。特別な成果を探すのではなく、自分が日頃意識して行ってきたことや、困難を乗り越えた経験などをじっくり振り返ってみましょう。

短所しか浮かばない

自分に自信が持てず、「短所しか思い浮かばない」「自分の長所が分からない」と感じている方もいます。しかし、それは本当に長所がないのではなく、自分の特徴をネガティブな角度から見てしまっていることも多いようです。

短所と長所は表裏一体です。短所の裏側にあるプラスの側面を見つけて表現を転換することで、強みが浮かび上がることがあります。自身の特徴を、別の角度から見直してみると良いでしょう。

強みを言語化できない

「なんとなく得意なことは分かっているけれど、うまく言葉にできない」ということもあります。頭の中では自分の強みを理解していても、具体的なエピソードに落とし込めていないことも考えられます。

例えば、「人と話すのが得意」と認識していても、「どのような場面で役立ったのか」まで言語化できていないと、自信を持ってアピ―ルできないかもしれません。これまでの行動と、それによって何が変わったかを振り返って書き出してみましょう。

アピールポイント(強み)の探し方

面接での自己PRで伝えるアピールポイント(強み)をどのように見つけるか、複数の方法をご紹介します。

経験やキャリアを深掘りして考える

自己PRを考えるとき、「大きな成果」や「目立つ実績」を探してしまうかもしれません。しかし、自分の強みとは「成果」だけに表れるものではないでしょう。これまでの経験を振り返って、「こだわりや信念を持って取り組んだこと」「やりがいを感じたこと」「自分らしさが発揮できたこと」などを思い出してみましょう。

また、上司や同僚に褒められた経験にも着目してみてください。自分では当たり前だと思っていることが、周囲から見れば強みであることも多いのです。

弱み・短所を言い換える

短所は強み・長所として言い換えられる可能性があります。例えば、「優柔不断」は「周囲に配慮ができる」、「せっかち」は「スピード感を持って動ける」などが挙げられます。以下に言い換えの例を紹介します。

<短所・長所の言い換え例>

短所 言い換え例 長所
心配性 ←→ 責任感が強い、慎重に物事を進める、計画性がある
優柔不断 ←→ 周囲に配慮ができる、情報収集を怠らない
マイペース ←→ おおらか、人の意見に流されない、常に冷静でいられる
緊張しやすい ←→ 常に周到に準備する、物事に真剣に取り組む
負けず嫌い ←→ 向上心が強い、目標に向かって人知れず努力できる
せっかち ←→ 行動力がある、スピード感がある、ものごとへの対応が早い
協調性が足りない ←→ 常に堂々と主張できる、信念を貫こうとする
頑固 ←→ 信念を持っている、粘り強く取り組むことができる
視野が狭い ←→ 集中力がある、得意なことを追求する、探究心が強い
面倒がり ←→ 常に効率を考えて仕事をする、無駄を省くことが得意

自己分析を行う

自己分析により、自分の強みを発見しましょう。これまでの経験を振り返り、次の項目をそれぞれ洗い出してみてください。

  • どのような業界でどのような業務を担当してきたか。
  • 身につけた知識・経験・スキル。
  • 社内外のどのような人たちと、どのように関わってきたか。
  • 組織の中でどのような役割を果たしてきたか。
  • どのような成功体験があるか。成功した要因は何か。
  • どのような失敗体験があるか。そこから何を学んだか。

これらを書き出して整理していくと、自分の強みが見えてくるでしょう。経験年数が少なかったり、成果が思い浮かばなかったりする場合は、自分が工夫したことやこだわったこと、周囲から褒められたことなどを思い出してみましょう。

このほか、「モチベーショングラフ」を作成してみる方法があります。モチベーショングラフとは、これまで自分に起きた出来事や体験を時系列で振り返り、そのときに感じた心の充実度をグラフ化する手法です。自分がどのようなときに喜びを感じ、モチベーションが高まるかを認識することで、自分の強みが分かることもあるでしょう。

<モチベーショングラフ>

モチベーショングラフ

応募する企業が求める人物像から見つける

自己PRを考える際には、応募する企業について研究し、求めている人物像をつかむことも大切です。企業は、採用ページやSNSなどを通じて「どのような人と一緒に働きたいか」を発信していることがあります。また、公式サイトで掲げられている「企業理念」「ミッション・ビジョン・バリュー」などにも、自社社員に求める意識や行動が反映されていると考えられます。

それらの中に、自分の価値観や経験と重なる部分がないかを探してみましょう。例えば、企業が「主体性を持って行動できること」を大切にしている場合、過去に自分が自発的に提案したり行動したりした経験があれば、それが有効な自己PR材料となる可能性があります。

家族や友人など身近な人に聞いてみる

自分自身では気づいていない強みや特性が、身近な人には見えていることがあります。家族・友人・同僚などに、自分の良いところはどこだと思うか、聞いてみても良いでしょう。自分が思っているイメージと他者から見たイメージは異なっていることもあり、新たな発見につながる可能性があります。

他者の視点を取り入れることで、自分を客観的に理解でき、自己PRに活かせるでしょう。

簡単に作成できる「自己PRのテンプレート」

自己PRのまとめ方に悩んだら、テンプレートに沿って考えると作成しやすくなります。3つのステップに従って、自己PRを作成しましょう。

(1)結論となる「強み」

冒頭で端的に強みを伝えます。最初にエピソードを話してから強みを伝えるよりも、採用担当者が理解しやすくなるでしょう。

 例:「私の強みは○○です」

(2)根拠となる「具体的なエピソード」

強みを伝えてから、それを発揮した具体的なエピソードを伝えると、採用担当者は働く姿をイメージしやすくなります。エピソードはできるだけ具体的に伝え、実績や成果は数値を交えると良いでしょう。

 例:「現職(前職)では○○の業務において、○○に取り組みました。その際、○○が課題であると考え、○○や○○などの工夫をしました。その結果、営業目標を○%達成できました」

(3)強みを活かして「貢献・活躍できること」

最後に、強みが応募企業でどのように活かせるのか、どのように貢献できるのかをまとめます。採用担当者が、入社後の活躍イメージを描けるように伝えましょう。

例:「この経験を強みとし、貴社に入社後は○○領域で○○に役立つ力を発揮し、○○に貢献していきたいと考えております」

効果的な自己PRのためのポイント

自己PRの効果を高めるために、次のポイントを意識してみてください。

応募先企業のニーズを読み取る

採用担当者が「自社とマッチしている」「入社後に活躍してもらえそうだ」とイメージできる自己PRを作成するには、応募企業の人材ニーズを把握しておくことが重要です。求人や企業の採用ページの募集要項に記載されている「仕事の内容」や「必要な経験・能力」から、どのような人物が求められているのかを確認しましょう。

ただし、企業が求める人物像に無理に合わせる必要はありません。自分の強みと、応募企業が求めている要素の「共通点」をピックアップし、それを優先的に自己PRに取り入れましょう。

具体的なエピソードを交えてまとめる

自己PRで伝える強みが決まったら、強みを発揮した具体的なエピソードをまとめます。例えば「コミュニケーション力がある」とだけ伝えても、抽象度が高すぎて採用担当者はコミュニケーション力が業務でどのように活かせるのか分からないでしょう。

「メールだけで終わらせず、あえて電話で補足し温度感を伝えるなど、コミュニケーション方法を工夫した結果、関連部署を巻き込んでプロジェクトを進められました」など、具体的なエピソードと成果(結果)を交えて自己PRをまとめましょう。

転職理由や志望動機との一貫性を意識する

自己PRを考える際には、「転職理由」や「志望動機」との一貫性を持たせることも大切です。例えば、転職理由・志望動機として「幅広い経験を積みたい」と語りながら、自己PRが「一つのことに集中して取り組める」であれば、採用担当者に「この人は何を目指しているのだろう?」と思われるかもしれません。

どれほど魅力的な実績やスキルを語っても、転職理由や志望動機と方向性がずれていると、入社後の活躍に疑念を抱かれる可能性があります。自己PRと転職目的や応募先での活躍イメージとセットにして「これまでの経験で培った強みを、この会社でこのように活かしたい」と、一貫したストーリーとして伝えましょう。

【アピールポイント別】自己PRの例文5選

自己PRを伝える例文を5つ紹介します。これらを参考にして、自己PRの作成に役立ててください。

継続力の例文

私の強みは「継続力」です。食品販売の会社で5年間、商品企画を担当し続け、最終的に売上成長率を3年連続で10%以上伸ばすことに成功しました。この達成の背景には、日々の市場調査や消費者ニーズの分析、そして何度もの試行錯誤を経た商品改善があります。最初は手探りでしたが、日々の積み重ねによって傾向をつかみ、効率的な改善活動を実現できました。私のこの継続力を活かし、貴社の新商品開発や既存商品の売上拡大に貢献したいと考えております。

協調性の例文

私の強みは「協調性」です。アパレル業界でのチームリーダーとして、さまざまな性格や専門領域を持ったメンバーと共に新しいコレクションの立ち上げを成功させてきました。プロジェクトを進める際は、各部署の意見や要望を取りまとめ、スムーズなコミュニケーションの橋渡し役としての経験を積んできました。チームの輪を乱さずにプロジェクトを成功させることには自信があります。この協調性を活かし、貴社での新たなプロジェクトを円滑に進行させることで貢献したいと考えております。

計画性の例文

私の強みは「計画性」です。現職では、旅行代理店にて海外ツアーの企画・運営を3年以上担当しております。その間、○○以上のツアーをゼロから立ち上げました。それぞれのツアーでは顧客のニーズや安全対策、現地の状況を綿密に把握し、適切な計画によって成功へと導いてきました。前例のあることはもちろん、新規のプロジェクトにおいても徹底的な計画によって仕事を遂行してまいります。この計画性をもって、貴社のプロジェクト管理や新規事業の展開に貢献できると信じております。

学習意欲の高さの例文

私の強みは「学習意欲の高さ」です。税理士資格は取得済みで、現在は会計士資格取得を目指し日々勉強に取り組んでおります。現在は先輩社員や新入社員を含めた○名の部下を管理職として指導・育成に務めております。並行して、会計のスペシャリストとして税制のアップデートや豆知識をチャットツールで周知しております。経営戦略を学ぶ勉強会にも定期的に参加しており、知識・スキルの研鑽を行っております。これまでに培った知識や経験を、貴社においても存分に活かすべく、決算業務体制を整えて企業運営の大きな力となれるように努めてまいりたいと考えております。

課題発見力の例文

数値分析や課題発見を強みとしています。食品メーカーの営業として、自社ブランドの認知度・流通量の向上を目指し、スーパーマーケットを対象に営業活動を行ってきました。自社商品を案内するだけでなく、顧客店舗の利用者層や売れ筋などを分析し、販売戦略に対しても積極的に提案することに力を注ぎました。担当して1年半で、顧客店舗のうち複数社の売上が○○%程度伸び、信頼を獲得できました。この経験を通じて数値分析や課題発見が得意であること、経営改善の提案をしてお客様に喜んでいただける仕事にやりがいを感じることを実感しています。食品・流通業界に対するコンサルティングについては、過去の経験が活かせると考えております。

自己PRに悩んだら、転職エージェントに相談しよう

自己分析をして自分の強みを見つける作業は、一人だとなかなかうまく進まないこともあるでしょう。そのようなときは、転職エージェントに相談して、キャリアの棚卸しのサポートを受けてみてはいかがでしょうか。

転職支援のプロの客観的な視点を取り入れることで、自分では気づかなかった強みを発見できるかもしれません。応募企業に応じて、どのようにアピールすれば効果的か、アドバイスを受けられる可能性もあります。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2020年10月30日
記事更新日:2023年03月10日
記事更新日:2023年10月04日
記事更新日:2025年12月3日 リクルートエージェント編集部

※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。

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