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活発化するスタートアップの採用。 異分野の能力をつなげ、新たな価値を生む出会いを創出

春日 将史
コンサルタント
エージェント事業本部 ハイキャリア統括部
ハイキャリア・グローバルコンサルティング1部

【プロフィール】
リクルートに新卒入社後、法人営業を担当。自動車、総合電機等メーカーを中心に、中小企業の事業承継やスタートアップ企業の中核ポジションまで広く支援。顧客企業に出向し人事としての業務を経験後、“人材のプロ”を志し、組織・人材開発領域の営業、個人事業主及びパラレルワーカー向けのサービス開発、マーケット開拓を手がける。上記過程においては自身も転職を経験(のちにリクルート(旧:リクルートキャリア)に再入社)。現在は主にスタートアップの採用・転職を支援。

目指すのは「本郷と渋谷の境界をなくす」

私が採用支援・転職支援を手がける「スタートアップ」領域では、異分野から人材を迎える採用が活発化しています。
一例を挙げると、

●成長中のIT・ネットベンチャーが組織の基盤固めやガバナンス強化のため、大手企業出身者を招く
●ハードウェア系企業が「モノ売り」から「コト売り」へ転換するにあたり、ビジネスモデルを作る人材をIT・ネットベンチャーから迎える
●ITベンチャーがクライアント企業の課題を解決する力を高めるため、さまざまな業界の出身者を採用する

このように、異分野で自社にない能力を培った人材を求める採用が増えているのです。
そうした企業と人のマッチングを成功させるために、私が心がけていること。それは、企業が抱える課題と、求職者の方が得意な課題解決の方法、それぞれを詳細に理解し、双方の共通点を見出すことです。
その意義は、以前、大手ネット企業とアパレル企業の役員の方をおつなぎした経験から学んだものです。ビジネスモデルも仕事の進め方も、一見するとまったく異なる。しかし「課題」と「課題解決法」が一致すれば、両者が手を結ぶことで、新たな価値が生み出されることがある。その点に注目し、「意外と合う」マッチングの可能性を探っています。

最近、私がお手伝いした転職の一例では、ゲームアプリ会社出身の方が、エレクトロニクス系の大学発ベンチャーにCFOとして入社されました。当初、「アカデミックな世界」に苦手意識を抱いていたその方は、優れた製品開発にひたむきに取り組む企業姿勢に打たれ、「成長に貢献したい」と入社を決められたのです。

私が目指しているのは「本郷と渋谷の境界をなくす」こと。本郷といえば東京大学の街、渋谷といえば先進的ビジネスも集まる若者の街。これはあくまで象徴的表現ですが、通常ならめったに交わることがない人や文化の垣根を取り払うことで、新しい価値創出に貢献したいと考えています。

「社会課題の解決に貢献したい」―新たなチャレンジを支援

私がお会いする求職者の方々からは、「社会の未解決課題に対し、自分の経験・スキルを活かしたい」というお声をよくお聴きします。今の時代はまさに、誰もやったことがないこと、解決手段がまだ世の中にないことにチャレンジできるチャンスが広がっています。

印象に残っているのが、Aさん(40代)の転職です。
現在、スタートアップではCFOや財務人材のニーズが高まっています。そこで私から、ネット企業でIPO経験も持つ財務スペシャリスト・Aさんにお声がけしたのです。Aさんは多くの企業から求められる人材。ちょうど次のステージを探しておられ、複数の選択肢をご紹介したところ、ネット企業を中心に8社ほどから内定を得られました。
Aさんが1社に絞ろうとしたとき、私は「ちょっと待ってください」とお伝えしました。そして、九州にある医療機器ベンチャー・X社に連絡し、「CFOにふさわしい人材がいますが、会ってみませんか」と提案しました。X社からCFOの紹介を依頼されていたわけではありませんが、「良いご縁になるのでは」と直感したのです。

実は、Aさんと対話する中で、「フードロス問題」「宇宙ビジネス」などのワードが度々聞かれました。Aさんは、まだ解決途上の社会課題に、強い興味を抱いていらっしゃったのです。
すでに内定を得た企業は、いずれも「勝ちパターン」が見えていました。一方、X社は医療分野に変革を起こそうとしているものの、資金調達に苦戦しています。両者のニーズがマッチするのではないかと考え、AさんにX社をご紹介したのです。
結果、AさんはX社と共にチャレンジすることを選ばれ都心のタワーマンションを引き払って九州に移住・転職されました。入社後すぐに執行役員となられ、X社がおっしゃるには「期待以上の大活躍。歴史に残る採用だ」とのことです。

Aさんのように、入社された方が活躍し、新しい未来を生み出す可能性を感じたとき、コンサルタントとして何よりの喜びを感じます。

根本的な考え方、価値観を大切にしたマッチングを

私が求職者の方と対話するにあたって、意識していることがあります。
その方がこれまでのキャリアを語るときの「選択のプロセス」に注目するのです。
例えば、「○○」のキャリアを歩んできた方であれば、「○○を選んだ理由」を聴くのではなく、「○○・△△・□□・◇◇という選択肢がある中で、どんな考えや想いを経て○○を選択するに至ったのか」をお聴きします。判断のプロセスにこそ、その方の考え方のクセ、根底にある価値観が見えるからです。
10人に満たないようなスタートアップへの転職においては、根本的な考え方や価値観がフィットすることが大切です。「**業界出身」「**社出身」といった経歴だけでは測れない、その人らしさを理解したいと考えています。

そしてもう一つ、大切にしているのは、提供する情報の「解像度の高さ」です。例えば、「この会社はコンサル出身者が多いから、コンサルの人なら合うだろう」といった安易なマッチングはしません。「どんなプロセスで仕事を進めるか」「ミーティングではどんな対話がなされているか」など、「日常」レベルまで落とし込んで情報提供することを心がけています。
「人肌を感じていただくこと」にこだわり、フィットする企業との出会いをお手伝いしたいと考えています。

頼れるコンサルタントが、あなたの転職活動に寄り添います。何でもお気軽に相談ください。
※お申込み時にキャリアコンサルタントの指定はできません。予めご了承ください。