「第二新卒」を対象にした求人や転職フェアがあるなど、「第二新卒」という言葉はすでに採用市場で定着している言葉です。では「第二新卒者」とは、具体的にどのような人材を指すのでしょうか。「既卒者とはどう違うのか」、「新卒採用なのか、中途採用なのか」、「どんな経験を持っているのか」、「どんな転職活動が一般的なのか」、「新卒採用と比べて採用のメリットは?デメリットは?」など、採用方法、注意点と合わせてご紹介します。

第二新卒とは?

「第二新卒」とは、一般的に大学・短大・専門学校・高校などを卒業後、企業に就職したのち3年以内に転職を考えている人材を指して使われる言葉で、実は明確な定義がある言葉ではありません。人材採用には大きく「新卒採用」、「中途採用」の2つがあり、第二新卒は中途採用に分類されますが、即戦力を期待する一般的な中途採用とは異なり、ポテンシャル重視で採用し育成するケースが多い傾向にあります。

似たような言葉で「既卒」がありますが、既卒は卒業後、「国家資格取得や公務員を目指していた」、「望んでいた企業からの内定が得られなかった」など、さまざまな理由で一度も就職せずに、就職活動を継続している人材のことで、第二新卒と既卒は、就業経験のある・なしで区別されています。明確な定義がないため、卒業後4~5年までは第二新卒と考える企業があるなど、各社により捉え方が異なっており、「第二新卒」といっても新卒同様から、ある程度のビジネススキルが身に付いている人材まで、多様な人材が含まれています。

第二新卒を採用するメリット・デメリット

少子化が進み新卒採用が難しくなり、企業の新卒採用数が、採用予定人数に満たないという傾向は続いていくと予想されます。また、就業観の変化や就活時のミスマッチが新卒者の早期離職に繋がり、離職率は20年間、30%以上で推移しています(※1)。「新規学卒者の離職状況」によると、平成29年3月に卒業した新卒のうち3年以内に離職した人は32.8%に上り(※2)、新卒入社した社員の約30%以上が3年以内に退職しています。その多くが転職市場に流入しており、「第二新卒採用」は人材が確保できる有効な手段の一つとなっています。

※1 出典:厚生労働省 「学歴別就職後3年以内離職率の推移」
※2 出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(平成29年3月卒業者の状況)

では、新卒や一般的な中途採用と比べて、「第二新卒採用」のメリット・デメリットは何でしょうか。

メリット

基本的なビジネスマナー・ビジネススキルが身に付いている

新卒と異なり、ある程度の就業経験がある人材が一般的です。新卒で入社した会社で基本的なビジネスマナーなど社会人としての基礎は身に付けていることが多く、新入社員研修の手間・コストが削減できることが多いです。

通年採用できる

新卒は4月入社が基本ですが、第二新卒の場合は通年採用が可能で、企業のニーズに応じた時期に人材を採用できるメリットがあります。また選考も、通常の中途採用と同じで、応募から数週間で内定・入社とスピーディに採用できるメリットがあります。

柔軟性があり、職場に馴染みやすい

前職の在籍期間が短い場合、会社や仕事に対しての固定概念がまだそれほどないため、自社の仕事の進め方や企業文化にも早く馴染むことができます。また考え方が柔軟で、ITスキルが高い人材が多いのも特徴です。

デメリット

早期退職を防ぐ対策が必要

理由はさまざまですが、早期に退職した経験を持っている場合が多いです。ミスマッチを防ぐため、面接では前職の退職理由、自社を選んだ理由はもちろん、就業観や描いているキャリアプランについて、じっくり話を聞き、自社で活躍できる人材かどうか、慎重に選考し、入社後もフォローしていきましょう。

中途採用と比べるとスキルが足りない面がある

通常の中途採用と比べると、スキル・知識の面では、どうしても不足しがちです。過度に期待をせず、前職で身に付けているスキルをベースに、自社で育成するという姿勢が、長期に活躍できることにつながります。

第二新卒を採用する方法

通年で採用が可能な第二新卒ですが、主に企業の新卒採用数がある程度見込める7月~9月にかけて、また、新卒と研修を同時に行うため1月~3月にかけて募集する傾向があります。では、採用するためにはどんな方法があるのでしょうか。

求人媒体(求人メディア)

第二新卒との相性に優れるのがWebを活用した採用手法です。「リクナビNEXT」、「マイナビ転職」、「doda」、「エン転職」などの幅広い業界・職種を網羅した総合型サイトにも特集が設置されていますし、20代の転職者を対象にした転職サイト、会員数の9割以上が20代の第二新卒特化型媒体もあります。

転職イベント

「第二新卒」や「経験が浅い人材」に特化したイベントが開催されています。会場に訪れた求職者に直接、貴社の魅力、仕事のやりがいなどを伝えることができ、イベントによっては、その場で面接まで進めることも可能です。

リファラル採用

社員の知人・友人を紹介してもらう手法で、最近多くの企業が取り入れてきています。自社の企業文化や仕事内容をよく理解した社員からの紹介ですので、マッチ度が高い傾向があります。

人材紹介(転職エージェント)の活用

「リクルートエージェント」、「マイナビエージェント」、「doda」などの総合型エージェントや、20代・第二新卒に特化した「就職Shop」「Re就活」、「DYM就職」があります。専任の担当者が付き、企業の求める要件に合う人材を紹介してくれます。人材紹介は、成功報酬型が多く、その場合は初期費用が発生しないというメリットがあります。採用コストは、入社した人材の想定年収35%が一般的ですので、通常の即戦力を求めるキャリア採用よりはコストが抑えられることが多いです。

大学・キャリアセンターの利用

キャリアセンターは、在校生がメインではありますが、多くの大学が既卒者を受け入れています。費用は発生しませんので、興味のある大学や採用実績のある大学などに、求人情報をだし、ネットワークを作っておくのもよいでしょう。

新卒枠として採用

厚生労働省では「卒業後3年間は、新卒枠で応募可能にすることを企業の努力義務とする」という指針を示しており、新卒と同じフローで採用する企業もあります。研修を新卒と同時に行ったり、入社後も新卒と同期のような関係が築けたりするなど、早期離脱防止の効果もあります。

第二新卒を採用するときの注意点

メリットの大きい第二新卒採用ですが、入社後、定着し活躍してもらえる人材を採用するために注意すべき点は何でしょうか。

人材要件を明確に

第二新卒には明確な定義がないため、入社1年目で辞めてしまった新卒同様の人材から、ある程度の期間就業しスキルが身に付いている人材までさまざまです。自社でどのような第二新卒を、何のために採用するのかを明確にし、採用に携わる全員で共有していきましょう。

早期の離職を防ぐ

第二新卒が退職した理由はさまざまです。まだ就業経験がない学生にとっては実際に働いてみないとわからないことも多く、必ずしも「忍耐力がない」、「ストレス耐性が低い」ということではありません。リクルート 就職みらい研究所『就職白書2021』
によると、就職活動時において、「企業が採用活動で提供する情報と学生が就職活動で知ることができた情報を比較すると、39項目全てで『学生が知ることができた情報』が『企業が提供する情報』を下回り、企業が伝えているという認識と学生が実際に感じたことに乖離がある」というデータがあり、ミスマッチにつながる要因の一つだと考えられます。前の会社をなぜ辞めたのか、どんな職業観を持っているのか、将来のキャリアについてなど、面接でじっくり時間をかけて話を聞き、入社後のミスマッチを防いでいきましょう。

育成計画・処遇

ある程度のスキルは持っているものの、新卒採用と同様、ポテンシャルを重視した採用となります。一人ひとり持っているスキルや経験が異なりますので、入社後の研修なども柔軟に対応していくことが求められます。また中途採用と新卒採用の間に位置しがちですので、処遇についても、モチベーションが高まるような制度を設計していくことが重要です。

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