効率よく採用を行いたい、よりよい人材を確保したい、低コストで採用活動をしたい場合の選択肢として、SNSを利用している求職者にアプローチするソーシャルリクルーティングがあります。この記事では、ソーシャルリクルーティングとは何か、その方法やメリットなどについて解説していきます。

ソーシャルリクルーティングとは

ソーシャルリクルーティングとはFacebookやInstagram、YouTubeなどのソーシャルネットワーキングサービスといったSNSのアカウントを用意し、活用して応募者を募る採用手法のことを指します。人材紹介などを介さずに直接求職者とコンタクトできる、SNSを通して自社の情報を広く発信することができるなど企業にとってさまざまなメリットがあります。

ソーシャルリクルーティングの進め方

ここではソーシャルリクルーティングを導入する具体的な進め方について解説していきます。

目的とターゲットの選定

ソーシャルリクルーティングを始める前に、明確な目的とターゲットの人材要件を決めておきましょう。どのようなスキル・能力・特徴のある人材を何名採用する必要があるのか、具体的な採用要件をあらかじめ明確にしておくことで、投稿内容の良し悪しを決める基準も明確になります。

利用するSNSの選定

目的とターゲットを明確にしたら、次は自社に合ったSNSの選定に移ります。それぞれの特徴を比較しながら、自社の採用ターゲットが利用していると思われるSNSを選ぶのが大切です。1つに絞る必要はありませんが、複数媒体を同時に開始すると管理が複雑となり、投稿内容のクオリティが下がる可能性もあるため、1〜2つほどで運用を開始するとよいでしょう。複数人で運用する場合は媒体ごとに担当者を決めて連携し、各SNS間でも投稿内容の統一性を保ちましょう。

運用ルールの決定

利用するSNSを決定したら、運用ルールを決めます。投稿内容、更新頻度、禁止事項やチェック体制をどうするかなどについて検討し、無理なく運用できる体制を整えます。
投稿文の作成担当者は、余裕を持って内容のチェックなどを行うためにも複数人いるのが理想です。誤字脱字などの校正担当者、事実確認や法律的、社会通念的な観点などから間違いがないかをチェックする校閲担当者を決めておくほか、上司のチェック、必要に応じて法務部門もチェックを行う体制を整え、リスクヘッジをすることが不可欠です。

発信内容の作成と定期的な更新

運用ルールが決まったら、発信する投稿内容の作成と更新を始めます。発信内容はできるだけ社内の様子が伝わる内容にしましょう。具体的には実際の業務内容や企業のメッセージに加えて、従業員が働いている仕事の様子や、従業員同士のやりとりなど職場の雰囲気が伝わる情報があるとよいでしょう。中途採用をした従業員のインタビューや1日の仕事の流れなど、求職者が具体的に働くイメージを持てるような内容にするとより効果的です。

候補者の採用

定期的な発信をして求職者からコンタクトがあった場合は、積極的にコミュニケーションを取りましょう。お問い合わせがあった場合は、早いタイミングで返信をする必要があります。また、ソーシャルリクルーティングでは情報の発信だけではなく、直接求職者にアプローチすることも可能です。求職者のニーズを的確に捉え、選考、採用とプロセスを進めましょう。

SNSの種類と特徴

ソーシャルリクルーティングで活用ができるSNSは複数あります。以下に特徴を紹介します。

Facebook

基本的に実名登録で利用する日記形式のSNSです。顔写真やプロフィールが公開されていることも多く、個別に連絡が取りやすいといえます。主に面識のある人(友人、仕事関係の知人など)を中心としてのつながりが多いです。

Instagram

主に若年層の利用者が多く、文章ではなく画像や短い動画の投稿で利用が多いSNSです。ファッションや美容関係の投稿が多いです。拡散力はやや欠けるために、「#(ハッシュタグ)」を活用する必要があります。

X(エックス:旧ツイッター)

X(エックス:旧ツイッター)は主に若年層の利用者が多い、140文字程度の短い文章で気軽に投稿ができる形式のSNSです。情報が非常に早く拡散されやすい特徴があるため、投稿頻度を高くする必要があります。

ソーシャルリクルーティングを効果的に活用している企業事例

実際にソーシャルリクルーティングを活用している企業の事例を紹介します。

事例1

電機・電子機器を製造販売している企業では、Instagramを活用したソーシャルリクルーティングで成功に至っています。製品の短い動画や採用情報をInstagramに定期的に投稿していたところ、興味を持った求職者から企業説明会に参加したいと希望が寄せられ、無事採用につながりました。そのあともSNS採用を継続して実施しています。

事例2

日本酒、ウイスキー、ビールなどの製造販売をしている企業では、X(エックス:旧ツイッター)を活用して、ソーシャルリクルーティングに成功しています。自社の製品を国内だけではなく、海外にも輸出しており企業の将来性を感じさせる投稿をしています。また、日本各地で開催されるフェアなどのイベント参加情報の投稿をして、認知度を高めた結果、企業ホームページよりお問合せがあり採用へと至っています。

ソーシャルリクルーティングのメリット・デメリット

ここではソーシャルリクルーティングのメリット・デメリットについて解説していきます。

メリット

採用コストを抑えられる

SNSを活用した採用は、自社のスタッフだけで運用することができれば、求人広告などの外部に払う費用が発生しないため、費用面のコストを大幅に抑えることが可能です。

幅広い層にアプローチできる

企業の情報を自由に発信できるため、自社に興味を持ってくれた求職者からの共感を得られれば情報を拡散してもらうことができ、自社を知らなかった幅広い層の求職者と出会うことができます。

入社後のミスマッチを防げる

SNS上では自社の魅力を自由に発信することができます。興味を持ってくれた幅広い年齢層の求職者からコメントでリアクションをもらえることもあります。リアクションをしてくれた人に対して返信をすることで、個別にコミュニケーションや接点をもつことができるようになります。企業の本質を理解し、応募してくれるのでミスマッチを防ぐことが可能な場合があります。

※採用ミスマッチに関しては、以下の記事をご参照ください
採用ミスマッチが起きる理由とは?防止策、定着方法を解説

デメリット

短期間での効果が見込みにくい

ソーシャルリクルーティングでは、求職者と気軽にコミュニケーションができ、接点が持てますが、すぐに応募につながるとは限りません。効果が出るまでには一定の期間がかかるという事を認識しておく必要があるでしょう。

定期的な情報の更新が必要

自社のアカウントを作成しても採用をするためには、定期的に自社のアカウントの情報を更新して投稿を行うことが必要です。求職者がせっかく自社のアカウントを見つけても情報が古く、あまり更新がされていなければ求職者の興味関心が薄れてしまう可能性があるからです。情報の更新頻度を高めることでアカウントへの信頼性も高まってくるでしょう。

SNSのノウハウ、知識が必要

ソーシャルリクルーティングを成功させるためには、SNSの運用に詳しい人材が必要となります。社内に詳しい人材がいない場合は、書籍や外部のセミナーに参加するなどして情報を得なければなりません。正しい情報を得てから運用を実践し、改善を繰り返しながら自社の知識を増やし、ノウハウを高めていく必要があるでしょう。

ソーシャルリクルーティングを成功させるポイント

次にソーシャルリクルーティングを成功させるポイントについて解説していきます。

求める人材を明確にする

ソーシャルリクルーティングは自社の認知度を高め、幅広い層の求職者との接点を持つことができます。そのためには先ず自社が求める人材像を明確に設定しておくことが大切です。その人材像のニーズに合う情報の発信をする必要があるからです。社内で十分に求める人物像を検討し、情報を発信しましょう。

最新の情報発信に努める

自社に興味関心を持ってもらうためには、常に最新の情報を発信する必要があります。特に求職者が求めている情報を適切に発信することが重要です。また多くの求職者に関心を持ってもらい続けるには、SNSのコンテンツを充実させることも重要です。社内で働いている従業員の様子や社外の風景などさまざまな情報を発信していきましょう。

長期的な視点で運用継続に努める

ソーシャルリクルーティングは短期間で効果を期待できる採用手法ではないといわれています。そのため継続的に自社の情報を発信し続けることが必要となります。最新の情報を定期的に発信することで、求職者に自社を見つけてもらいやすくなります。時間のかかる作業ですが、長期的な視点に立ってSNS運用を継続していきましょう。

ソーシャルリクルーティングを実施する際の注意点

次にソーシャルリクルーティングを円滑に進めていくための注意点について以下に解説していきます。

SNS運用のガイドラインを作成する

SNSは自由に自社の強みを発信でき、幅広い潜在層と接点をもつことができるメリットがある一方で、発信する内容次第では企業のイメージを損なってしまうこともあります。そのため、ソーシャルリクルーティングを実施する際は発信内容項目の確認リストを作成するなどガイドラインを設けておくことが必要でしょう。

定期的に情報の更新を行う

自社の発信内容を確認して、定期的にどのような情報が求職者に興味を持たれているのか、届いているのかを知るために、閲覧回数や反応数などを分析することが必要です。分析結果を元に発信内容を最新の情報にアップデートしていき、認知度を高めていきましょう。

ソーシャルリクルーティングのやり方やメリット、デメリットなどについて紹介してきました。SNSを活用して行うソーシャルリクルーティングは、幅広い年齢層の求職者との接点を持つことが期待できる採用手法の1つです。採用コストも抑えられ認知度の向上に役立つ一方で、実施するには定期的な最新情報の発信など手間もあります。しかし、ソーシャルリクルーティングを上手く活用することにより、SNS活用のノウハウを自社に蓄積することができ、常に新しい情報の発信が容易にできるようになるため、発信力の強化、認知度を高めることにつながります。
自社に合ったSNSを選び、正しく運用するためのガイドラインを作成して上手に活用しながら、求める人材の確保につなげていきましょう。

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