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ヘッドハンティングとは
ヘッドハンティングとは、企業が求める人材をヘッドハンティング会社が探して、コンタクトをとる採用方法のことです。現在は、外資系や大手企業だけでなく、中小企業にもヘッドハンティングの活用が広がっています。また、経営層だけでなく、特定のスキルをもつ技術者や専門職、ミドルマネジメント層など、対象も幅広くなってきました。
ヘッドハンティングの種類
ヘッドハンティングには、大きく分けて3つの種類があります。最初にそれぞれ特徴について解説します。
欧米型(エグゼクティブリサーチ)
CEOやCTO、取締役、重役、経営層などの企業の幹部クラス層をターゲットにしています。ヘッドハンティングの歴史の長い外資系ヘッドハンティング会社が得意とする手法です。
フルサーチ型
企業が求める人材をリサーチしハンティングします。対象となるターゲットは、ミドルマネジメント層や特殊なスキルや技術、キャリアを持つ技術者や専門職となります。すべての業界や職種からリサーチしますので、時間がかかりますが、希望する人材を獲得しやすい手法です。
業界特化型
特定の業界に強いヘッドハンティング会社です。IT業界、医療業界、化学業界、航空機業界などヘッドハンター自身が特定の業界出身者や経験者のため、その人脈を使って採用活動をします。ヘッドハンティング会社の持つ人脈が企業のニーズと合致すれば、時間をかけずに進めることができますが、合致しない場合、紹介されない可能性もあります。
引き抜きとの違い
現役の他社で働いている人材を自社に招くという意味では、ヘッドハンティングもいわゆる“引き抜き”も同じものです。異なる点は、引き抜きが自社や関連会社、取引先などの担当者が中心となって行うのに対して、ヘッドハンティングは、ヘッドハンティング会社のヘッドハンターが行います。希望する人材に対するアプローチは、その道のプロであるヘッドハンターのほうが慣れているので、当然成功率が高いものになります。
しかし、一番重要なことはトラブル対応です。引き抜きの場合、他社の欲しい人材に直接声をかけることになり、「○○から引き抜きの声をかけられた」などと業界内で噂になり、採用に至らなくても他社から注意を受けることがあります。ヘッドハンティングの場合は、秘密裏に進められるだけではなく、トラブルを回避するためにヘッドハンターが候補者に対してさまざまな注意喚起を行います。避けることのできるトラブルは避け、できるだけスムーズに採用することができるならそれに越したことはありません。
登録型人材紹介とヘッドハンティングの違い
著者の見解になりますが、登録型人材紹介とヘッドハンティングの大きな違いは、登録型人材紹介は、「求職者」を対象とするのに対して、ヘッドハンティングは「求職者以外」も対象とすることです。また、登録型人材紹介は「待ちの採用手法」、ヘッドハンティングは「攻めの採用手法」とも呼ばれています。では、この2つの違いをみていきましょう。
登録型人材紹介の特徴
登録人材紹介の特徴は、転職を希望している人に事前に氏名、職歴、スキル、資格、希望する条件などを登録してもらいます。企業から求人の依頼があった場合、企業の条件と転職希望者をマッチングします。紹介できる人材は、そのサービスに登録されている人材です。
※人材紹介サービスに関しては、以下の記事をご参照ください
中途採用エージェントの費用はいくら? 人材紹介サービスの流れ
登録型人材紹介のメリット・デメリット
登録型人材紹介のメリットは、以下になります。
- 多くの登録者に自社の求人を見てもらえる可能性がある
- 完全成功報酬型の場合、初期費用がかからない。
一方デメリットは、人材紹介会社に登録をしている人材からしか採用できないという点に尽きるでしょう。企業の希望に合う人材が登録していない場合や、経営層や専門的スキルを持つ技術者や専門職の登録者が少ない場合もあります。
ヘッドハンティングの特徴
ヘッドハンティングの特徴は、企業の代理人として、希望する人材を探しその人に対してヘッドハンターが直接声をかけてコンタクトを取る点です。そして、人材に対して企業の魅力や対象に選ばれた理由などを具体的に説明します。面談を何回も繰り返すことにより信頼関係を築き採用につなげていきます。
また、ヘッドハンティング会社を利用するのは、通常の採用活動では採用できない即戦力となる人材を獲得するためです。このような人材は、なかなか転職市場に現れてきません。そこで、ヘッドハンティングを活用することで、転職市場には現れない人材にもアプローチが可能となり、採用に至るようにヘッドハンターが交渉を企業に代わって行ってくれるのです。
その一方、デメリットもあります。こちらは著者の見解になりますが、ヘッドハンティングは登録型人材紹介と比べてコストが高くなります。ヘッドハンティングでは、最初に契約の時点で会社の活動費である着手金が必要となります。着手金は採用に至らない場合でも払い戻しされないため注意が必要です。そして採用が決まると成功報酬を別途支払います。また人材のリサーチや転職希望者でない人材に接触して、少しでも転職意欲を高めるために何度も面談をするため、採用に至るまでの期間が平均4~6カ月と長いのが特徴です。
ヘッドハンティングの採用フロー
ヘッドハンティング会社とヘッドハンティングを依頼してから採用にいたるまでのフローの一例をご紹介します。あくまで一例となりますので、こちらの記載と異なるフローとなる場合もあります。
1. ヘッドハンティング会社への依頼 | ホームページにあるお問い合わせフォームからヘッドハンティング会社へ依頼をする。 |
2.人材像の明確化 | ヘッドハンティング会社からサービスの説明を受け、企業の希望するスキルやキャリアなど具体的人材像を明確にする。 |
3.契約 | サービスに納得できたら契約を結び、着手金を支払う。 |
4.人材リサーチ | ヘッドハンティング会社による人材のリサーチが開始される。 |
5.人材へのアプローチ | 人材が見つかった場合、ヘッドハンティング会社がコンタクトを取りアプローチを開始する。 |
6.面談 | 採用候補者の転職への意向が確認できた場合、企業に紹介して三者間で面談をする。 |
7.入社条件のすり合わせ | 面談を繰り返して、採用候補者の転職への意向を高め、入社の条件をすり合わせる。 |
8.内定 | 採用候補者が入社を承諾した場合、ヘッドハンティング会社は、採用候補者が入社するまでの間に、退職や入社の手続きなどのフォローを行う。 |
ヘッドハンティングを効果的に活用する際のポイント
ヘッドハンティングは通常の採用活動では採用できない、即戦力となる人材の採用を目的に利用されることが多いです。ヘッドハンティングを効果的に活用するには、まず、どのような人材を希望しているのかを明確にすることが大切です。それが具体的でなければ、せっかくお金をかけたのに入社後「希望の人材とは違う」ということになりかねません。
「希望する人材要件が多いと人材が見つからないのでは」と心配し、あえて要件を絞って2、3つの要件だけで依頼する企業も見受けられますが、これは避けたほうがよいでしょう。多くの要件を出し、人材要件が明確になれば、ヘッドハンティング会社もピンポイントで探しやすくなります。確かに要件が厳しければ候補者を探すのは大変ですが、そこはヘッドハンティング会社を信頼し、真にほしい人材サーチを依頼するのをおすすめします。
また、登録型人材紹介会社との使い分けも大切です。経営層や特殊なスキルを持つ専門職、技術職を求めているのならヘッドハンティングでなければ対応できないかもしれませんが、事務職や営業職などであれば登録型人材紹介で対応できます。この業種は転職希望者が多いので、比較的コストを抑えて利用できるのもメリットです。
ヘッドハンティング会社を選ぶ際のポイント
ヘッドハンティング会社には、大きく分けて欧米型、フルサーチ型、業界特化型の3種類があります。どのような人材を希望するかによって選ぶヘッドハンティング会社は異なってきます。
著者の経験を基にヘッドハンティング会社を選ぶ際のポイントを下記に解説します。
幹部や経営層クラスの人材が欲しい場合は、外資系の会社が得意としています。
中間管理職、特殊なスキルや技術などを持つ技術者や専門職を希望する場合は、フルサーチ型のヘッドハンティング会社がよいでしょう。フルサーチなので、リサーチには時間がかかりますが、求める人材を採用する可能性が高くなります。
自社の業界に精通している人材が欲しい場合は、業界特化型のヘッドハンティング会社を利用しましょう。業界特化型といっても、それぞれ会社によって得意とする業界がありますので、調べてから依頼しましょう。
経営に詳しい人材がほしい、特殊な技能をもっている人材がほしいなど、希少な人材を求める場合、自社の採用活動では限界があります。そこで、コストはかかりますが、ヘッドハンティングを利用することで、希望する人材を採用できる可能性があります。求める人材に応じて採用方法を変えることは大切なポイントです。さまざまな採用方法をうまく使い分けながら、自社の採用活動に役立てていきましょう。