近年は人材獲得競争が激化し、採用の難易度は増しています。そのなかで採用手法の多様化が進んでおり、自社に合った手法を選択することは採用活動の成否において非常に重要な要素になっています。ここでは、主に用いられている中途採用手法の概要とそれぞれのメリット・デメリット、選択するうえでの注意点などを解説します。

中途採用手法13選を比較

採用手法にはさまざまなものがありますが、最初に中途採用で用いられる主な13種類の手法をご紹介しましょう。

採用手法
特徴
転職サイト転職サイトに自社の求人を掲載して応募者を募る手法。
比較的短期間の準備で採用活動を始めることができ、応募があればすぐに選考できる。
人材紹介人材紹介業者の登録人材から、自社の要件に合った人材を紹介してもらう手法。
紹介業者に自社が求める人材要件やスキルなどを伝えることで、自社の紹介を対象となり得る人材にしてもらうこともできる。
転職イベント合同企業説明会など、転職希望者が集まるイベントに出展して応募者を募る手法。
主催者は大手転職サイト、地元企業、自治体などさまざまである。
求人検索エンジン求人に特化した検索エンジンに求人情報を掲載して応募者を募る手法。
求人情報を無料掲載できるものも多いが、検索画面上位に表示されて人材の目に留まりやすくなる有料掲載もある。
ソーシャルリクルーティングSNSの自社アカウントで採用関連の情報を継続的に発信して応募者を募る手法。
SNSを介して自社が求める人材を検索し、人材に直接アプローチすることもできる。
自社サイト(オウンドメディアリクルーティング)自社の採用専用サイトから直接応募してもらって採用につなげる手法。
応募者と直接やり取りができ、すべての採用プロセスを自社内で完結できる。コストは比較的安価である。
ダイレクトリクルーティング人材データベースやSNSを使用して、自社が求める人材に企業側が直接コンタクトを取りながら働きかける手法。 自社がリサーチした人材であるためミスマッチが少ない。
直接やり取りすることでスピーディーな対応ができる。
リファラル採用自社従業員から友人や知人などを紹介してもらって採用につなげる手法。
自社のことをよく知る従業員からの紹介であるため、自社の価値観や社風にマッチした人材を採用しやすくなる。
ヘッドハンティング専門のエージェントなどを通じて他社人材に直接アプローチし、自社に迎え入れる手法。
経営幹部やプロ人材など高スキルな即戦力の採用で使われることがある。
ミートアップ人材を自社に招き、社内見学や従業員との交流などを通じて自社への志望度を高めてもらう手法。
お互いがカジュアルに対話できる雰囲気のイベントで、一般的な企業説明会よりも気軽に参加しやすい。 また最近ではオンラインでの開催もある。
人材派遣人材派遣企業から自社での業務に従事するスタッフを派遣してもらう手法。
繁忙期や急な欠員があったときに即戦力となるスキルを持った人材をスピーディーに確保できる。
アルムナイ採用過去に自社を退職した人材を再び採用する手法。
自社での勤務経験があるため即戦力として採用できる。自社への理解度が深くミスマッチが起こりにくい。退職理由によっては再雇用が困難な場合がある。
カジュアル面談選考を行う前の段階で、企業と人材がカジュアルに情報交換するための面談。面談内容を合否判定に用いることはない。
企業説明やお互いの価値観などを話し合って相互理解を深める目的で実施し、自社への志望度を高めて応募につなげる。

転職サイト

転職サイトに自社の求人情報を掲載して、応募者を募る採用手法です。さまざまな業種や職種の求人を取り扱う「総合型サイト」と、特定の業種や職種、地域などに特化した求人を扱う「特化型サイト」の2種類があります。

メリット

複数企業の求人情報が掲載されていることから、多くの転職希望者が利用者しているので、より多くの求職者に自社の求人情報を認知してもらえる可能性があります。また、企業ごとに個別の情報ページが作成されるケースもあるため、掲載できる情報量が多く、自社の魅力のアピールなど差別化がしやすい点もメリットということができます。

デメリット

求人を掲載している企業の数が多いサイトの場合、知名度が高い企業に応募が集まってしまうなどして、自社の情報が埋もれて認知されにくくなる可能性があります。また、掲載によって課金されるイニシャル型料金のサイトでは、採用できなかったとしても料金がかかります。一部にみられる成果報酬型のサイトでは、採用者の理論年収を基に費用がかかることもあります。
応募者との面接日程調整などのやり取りを企業で対応する必要がある点も、デメリットの1つに挙げることができます。

人材紹介

人材紹介会社に自社が求める採用要件を伝え、人材紹介会社の登録人材のなかから、自社採用要件に合致した人材を紹介してもらう手法です。

メリット

人材紹介会社によっては、事前に採用要件に合致している人材か確認したうえで人材を紹介してもらえるため、自社の求める要件にマッチする確率が向上する可能性があります。
また多くの人材紹介会社が完全成功報酬型を採用しているため、その場合には採用できるまでは費用がかかりません。

デメリット

採用できるまでは費用がかからない反面、採用に至った場合にほかの採用手法に比べて比較的高額な成功報酬が発生します。
また採用プロセスを人材紹介会社にサポートしてもらうため、自社内に採用ノウハウが残りづらいところがあります。そのため人材紹介会社に丸投げするのではなく、適度にコミュニケーションを取りながら採用活動を進めていくことが需要です。

※人材紹介に関しては、以下の記事をご参照ください
中途採用エージェントの費用はいくら? 人材紹介サービスの流れ

転職イベント

合同企業説明会など、転職希望者が集まるイベントに自社ブースを出展し、来場者に対する企業説明などを行って自社への応募を募る採用手法です。

メリット

イベントに来場した多くの求職者に対して、直接アプローチができることがメリットといえます。短期間で多くの求職者と接することができ、直接話せることで動機づけがしやすいです。転職を検討し始めた転職潜在層が来場する可能性があり、接点を持ちづらかった人材とつながることが期待できます。

デメリット

イベントには数多くの企業が出展するため、自社情報が分かりやすい掲示物など、ブースに足を止めてもらうための工夫が必要です。

出展するためには事前の準備に時間を要し、イベントも終日または数日間にわたって開催されるため、自社の担当者への負担が大きくなってしまう側面があります。また、イベントそのものへの来場者が少ない場合は、費用対効果が悪化することもデメリットとして挙げられます。

求人検索エンジン

求人に特化した検索エンジンに求人情報を掲載し、そこから応募者を募る採用手法です。

メリット

求人掲載には料金がかからないものも多く、費用面でのメリットがあります。無料でも比較的多くの求職者に自社情報を見てもらうことができ、さらに有料掲載では検索上位に情報掲載することができるため、求職者の目に留まる確率を高めることができます。
職種ごとなど、詳細な条件で求人情報の掲載が可能な検索エンジンもあるため、求職者が求める条件での応募がしやすく、結果的に求職者とのミスマッチを抑える効果が期待できます。

デメリット

無料掲載の場合、他社の求人情報も多いことや有料掲載の情報が優先されることで、自社の情報が埋もれてしまう可能性があります。また、定期的に更新しないと情報の表示回数が減ってしまったり、掲載している職種名によって検索でのヒットのしやすさが変わってしまったりするなど、運用にあたっての知識やノウハウが必要な場合があります。

ソーシャルリクルーティング

SNSの自社アカウントから、採用関連情報の継続的な発信や、メッセージ機能を使った求職者へのアプローチなど、SNSを利用して応募者を集める採用手法です。

メリット

SNSの情報拡散力を通じて、自社の要件と合致する度合いの高い人材をターゲットにした情報発信ができます。アカウントの開設や運用は基本的に無料のことが多いため、コストを抑えることができます。

多くのSNSユーザーに情報発信することができ、SNSの利用頻度が高い若年層や転職潜在層へのアプローチも可能になります。

デメリット

SNSで自社の情報を埋もれさせないためには、継続的な情報発信が不可欠であり、そのための作業時間や工数を要します。
転職を検討していないユーザーなど、不特定多数のユーザーに向けた発信になるため、必ずしもすぐに採用に結びつくとは限らず、即効性は低くなります。また情報発信の仕方や内容を誤ると、投稿の炎上リスクがあるため、運用には注意が必要です。

自社サイト(オウンドメディアリクルーティング)

自社サイトに採用専用ページなどを作成し、そこから直接応募してもらって採用につなげる手法です。

メリット

自社サイトの中に求人情報を掲載するため、デザインや掲載情報の自由度が高く、求人媒体などでは伝えきれない情報や、自社の魅力を効果的に発信することができます。情報掲載や採用に関わる費用がかからないこともメリットの1つに挙げることができます。

デメリット

サイトの立ち上げや運用などをすべて自社内で行う必要があるため、それらに要する作業負荷がデメリットになります。社外にサイト構築や制作を依頼する場合は費用が発生し、常に最新情報を掲載しておく必要があることから、その運用に関してもコストがかかります。

ダイレクトリクルーティング

人材データベースやSNSを利用し、自社が求める人材に対して、企業側が直接コンタクトを取りながら能動的に働きかけていく採用手法です。

メリット

企業から人材に対して直接アプローチすることができるため、1人ひとりに自社の魅力や熱意を伝えやすくなり、採用につながる確率を高める効果が期待できます。

希望条件などを直接ヒアリングできるため、お互いの認識違いやミスマッチを低減することができます。

SNSなど無料もしくは安価なツールを活用することができ、採用コストを抑制することができます。

デメリット

求人情報の作成、スカウトメールの運用、応募者との日程調整やコミュニケーション、そのほかすべての採用プロセスを自社管理で行うため、採用に関わる業務負荷は大きくなります。採用活動のノウハウが少ない企業の場合は、成果が出るまで時間を要することがあります。1人の応募者に対応するためのマンパワーがかかるため、同時に多くの人材にアプローチすることが難しく、大量採用には不向きということができます。

社外の人材データベースを利用するような場合は、その使用料が発生します。

※ダイレクトリクルーティングに関しては、以下の記事をご参照ください
【2023】新卒・中途の採用トレンドとは?ダイレクトリクルーティングなど話題の手法をチェック!

リファラル採用

自社の従業員の友人や知人などから、自社の要件に合う人材を紹介してもらって採用につなげる手法です。

メリット

自社の事情をよく知った従業員からの紹介であるため、自社の価値観や社風に合った人材を採用しやすくなることが期待できます。従業員があらかじめ自社の要件に合う人材かどうかを判断しており、さらに従業員が候補者に対して自社の強みや弱みをありのままに紹介してくれることで、採用のミスマッチを低減して入社後の定着を促進することができます。

デメリット

採用選考の結果や入社後の状況によっては、紹介した従業員と紹介人材との関係に悪影響を与えてしまう恐れがあります。また、紹介してもらえる人数の予測が難しく、大量採用には不向きということができます。紹介人材の状況によっては、採用までに時間がかかる場合があります。

※リファラル採用に関しては、以下の記事をご参照ください
リファラル採用が失敗する、ありがちな理由。成功させるポイントを紹介

ヘッドハンティング

専門のエージェントなどを通じて、他社の中核人材や優秀人材に直接アプローチし、スカウトなどの形で自社に迎え入れる採用手法です。

メリット

一般的な採用市場ではほぼ出会えることがない、経営幹部や高スキル人材、専門人材にアプローチできることが、ヘッドハンティングのメリットといえます。

デメリット

業者によっては、成功報酬以外に着手金などを求められるなど、採用コストは全般的に高額になります。高い要件の人材のため、探索に時間がかかったり、該当者が見つからなかったりすることもあります。また、ターゲットとする人材が見つかっても、その人材がスカウトに応じるとは限らず、さらに採用条件で折り合いがつかないこともあるなど、スカウトが確実に成功するという保証はありません。

ミートアップ

人材を自社に招き、社内見学や従業員との交流などを通じて、自社への理解や志望度を高めてもらう採用手法です。
もともとは、アメリカのミートアップ社が提供しているプラットフォームサービスが名前の由来で、インターネットを通じてイベントを告知し、共通の目的を持った人たちが集まる交流会イベント全般を指す言葉となっています。また企業によってはオンラインで行われる場合もあります。

メリット

イベントでの交流を通じて、参加者の自社に対する理解を深めてもらうことが期待できます。選考ではないため、自社への志望度がまだ高くない人材にアプローチできる可能性があります。自社のイメージ向上や企業全体のブランディングにつながることも期待できます。

社外サービスなどを利用しない自社独自のイベントであるため、比較的低コストで開催することができます。

デメリット

どうしてもイベントとしての意味合いが強くなりがちであるため、必ずしも応募や採用につながるとは限りません。実施にあたっては企画や事前準備に多くの労力を要し、集客のための工夫も必要になります。

人材派遣

人材派遣企業の登録人材のなかから、自社の業務に従事するスタッフを派遣してもらう手法です。

メリット

繁忙期や急な欠員があったときに、即戦力となるスキルを持った人材をスピーディーに確保することができます。人手が必要な期間だけに限定して採用できることがメリットとなります。

デメリット

派遣従業員の採用にあたっては、事前の書類選考や面接が禁止されており、派遣される人材を選ぶことはできません。人材の詳細を把握しづらく、具体的な業務内容や必要なスキルなどを人材派遣企業に明確に伝えておかないと、要件に合わない人材が派遣される可能性があります。

派遣従業員の場合、自社への愛着や帰属意識が薄くなってしまう傾向があることも、デメリットの1つに挙げることができます。

アルムナイ採用

過去に自社を退職した人材を、再度雇用する採用手法です。

メリット

過去に自社で仕事をしていた経験があるため、即戦力としての活躍を期待できることがメリットです。自社の社風や働き方などを深く理解しているため、ミスマッチも起こりにくくなります。
多くの場合は、本人と企業の間での直接のコミュニケーションを通じて応募につながるため、費用はほとんどかかりません。

デメリット

退職理由によっては、既存従業員から好意的に受け入れてもらえないなど、再度雇用することが難しい場合があります。企業側から声をかけても、本人の状況によっては必ずしも採用に結びつくとは限りません。

出戻り可能ということが浸透してしまうと、在籍している従業員の安易な退職につながってしまう懸念があります。

カジュアル面談

選考を行う前の段階で、採用合否には関係ない形で、企業と人材がカジュアルに情報交換するための面談です。

メリット

面談を通じて相互理解を深めることによって、入社後のミスマッチや早期退職を防止することが期待できます。転職潜在層も含めた幅広い人材にアプローチでき、自社への志望度があまり高くない人材でも、マンツーマンで直接自社の魅力を説明することができるので、志望度の向上を図ることができます。

デメリット

採用選考に先立って実施するため、面談担当者の作業負荷は増大します。

また、面談自体は合否に関わらないものの、人材からは選考前に多くの情報を得ることとなるため、その内容が自社の求めるものと一致しないことが明らかな場合、選考に進んでも採用にはつながらない非効率なケースが発生する可能性があります。

中途採用手法のトレンド

ここまで見てきたように、中途採用手法は多様化してきていますが、その中でも比較的用いられることが多いトレンドのようなものが存在しています。ここでは、最近多くの企業の採用活動のなかで目につく中途採用手法の傾向について、いくつかご紹介します。

手法の多様化

中途採用手法は非常に多様化しており、それぞれの手法の特性やメリット、デメリットを理解し、それらを自社の状況に合わせて活用していくことが重要になってきています。そのため1つの手法に偏ることなく、さまざまな手法を組み合わせながら、採用活動をバランスよく展開していくことが必要となります。

オンラインと対面のバランス、自社リソースと社外サービスのバランス、量と質のバランス、緊急性と難易度のバランス、そのほかさまざまな要素がありますが、それぞれの採用手法の特性を考慮したうえで、多様な手法のなかから、自社の採用状況に応じた組み合わせを検討していく必要があると考えられます。

マッチ度を重視した個別対応への注力

転職サイトなどの既存サービスだけでは、自社の要件に合致した人材の採用難易度が高く、さらに応募人数を集めることも難しくなってきていることから、これまでのように、多くの母集団を集めて、そのなかから要件に合う人材を選別するような手法では、採用につなげることができなくなってきています。

このような環境下では、応募人数のような「量」には必ずしもこだわらず、自社の要件にマッチする度合いが高い人材に集中的、効率的にアプローチできる採用手法を導入するなど、「質」を重視する傾向が強まっています。

自社の情報を広く拡散するより求める人材に集中的に届けることや、採用選考の期間だけにとどまらない継続的な接触、画一的な対応でなくそれぞれの人材に合わせた個別対応に注力する企業が増えている様子が見受けられ、「ダイレクトリクルーティング」「ソーシャルリクルーティング」「リファラル採用」といった手法が活用される機会が増えている傾向が見られます。

これらの採用手法は、今後さらに導入する企業が増えていくことが考えられます。

カジュアル面談の増加

カジュアル面談をはじめとして、人材と企業がお互いにカジュアルな雰囲気で対話をして、相互理解を深めるような採用手法の増加は、最近のトレンドの1つとして挙げることができます。
採用面接のように企業が一方的に質問をするのではなく、お互いが質問し合うような双方向のコミュニケーションを行うことで、人材は企業についてより深く知ることができ、そこから興味や親近感が生まれて、求人への応募や採用につながることが期待できます。
また、選考の前段として合否判定がなく、応募書類なども原則不要とされる場合が多いことで、より本音に近いやり取りが可能になり、お互いの認識違いを低減してミスマッチ防止に効果を発揮することが期待できます。
カジュアルな対話によって、囲い込みのような印象を与えずに、企業から人材へのアピールをすることができ、当初は応募意思がなかった人材が、採用に至ることもあります。
選考前からお互いが相互理解を深めることで、選考中の辞退や入社後の早期退職など、ミスマッチによって発生する問題を減らす効果への期待から、カジュアル面談が増加していると考えられます。

採用ピッチ資料の活用

採用ピッチ資料とは、求職者に自社の魅力をアピールするために、コンパクトにまとめたプレゼンテーション資料です。社風、福利厚生、従業員紹介、そのほか企業が求職者に伝えたい情報やメッセージなどを体系的にまとめた資料を活用することで、求職者に自社で働く具体的なイメージを持ちやすくして、自社理解を深める効果が期待できます。

また、企業説明を効率的に進めることができ、質疑応答など本質的な対話時間を増やすことができます。

採用手法を選ぶ際の判断基準

中途採用手法にはそれぞれ特徴がありますが、それらを選ぶ際の判断基準の例を以下にご紹介します。

自社の人材要件に合った採用の可否

採用手法を選ぶ際に重要なことは、その手法を使うことによって、自社が求める要件の人材を採用することができるかどうかです。

それぞれの採用手法には特徴があり、職種や保有スキルなどの要件によって、強みを発揮できるものとそうでないものがあります。自社にとって、必要な経験やスキルを持った人材の採用につながる可能性が高い手法を選ぶことが大切です。

採用コストとマンパワー

採用活動を行うことによって、必ず何らかのコストが発生しますが、その費用は採用手法によって大きく異なります。

一般的には人材紹介やヘッドハンティングなどのサービス利用では、比較的高額な成功報酬が必要になり、自社サイトやリファラル採用など社内リソースの活用や、ソーシャルリクルーティングにおけるSNSなど、無料もしくは安価なサービスの利用では、比較的低コストで活動することができます。

一方、主に採用担当者にかかる作業負荷などのマンパワーも考慮する必要があります。

人材紹介やヘッドハンティングなどは、選考プロセスにおける事務作業の多くを業者に依頼できるため、社内での業務負担を削減することができますが、リファラル採用など社内リソースに委ねる部分が多い手法や、ソーシャルリクルーティングでの情報発信、転職サイトでの求人情報作成や応募者との各種連絡など、社内での作業量が多い手法では、採用担当者への業務負担が重くなる傾向があります。

採用コストとマンパワーのバランスを考慮したうえで、採用手法を選択することが必要です。

時間的な制約と採用難易度

欠員補充など緊急性があって時間的な制約が求められる採用と、「よい人がいれば」など比較的長い時間軸で考えられている採用では、選択する手法に違いが出てきます。

転職サイトや人材紹介などの既存サービスでは、比較的短時間で採用できる可能性があり、入社意欲が高そうなターゲットがいれば、ダイレクトリクルーティングが効果的な場合もあります。

一方、自社サイトやリファラル採用、ソーシャルリクルーティングなどは、現状で転職意欲が低い人であっても、時間をかけて相互理解を深めながら採用につなげる手法であるため、採用までに要する時間は長くなる傾向があります。

採用難易度が高い人材の場合は、時間的な制約があってもそれを満たすことは困難な場合が多いため、それを考慮したうえで採用手法を選択することが望ましいと考えられます。そのため人材紹介、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用、ヘッドハンティングなどの手法が中心になってくると考えられます。

中途採用を実施する際の注意点

中途採用を実施するにあたっては、適切な採用手法の選択と合わせて、活動を進めるうえでの注意点があります。以下に注意を要するポイントを挙げておきます。

自社の採用課題を把握する

これまで自社で行ってきた採用活動状況を振り返り、浮かび上がった採用課題を把握しておくことが重要と考えられます。

採用活動の課題としては、募集時、選考プロセス、人材要件や採用基準の設定などさまざまなものが考えられますが、これらの課題に応じた採用手法を選択して、活動方法を考えていく必要があります。自社の採用課題は、十分に把握しておくことが大切です。

1つの採用手法だけにこだわらない

過去の成功体験などから、1つまたは少数の採用手法に固執して活動する様子を見かけることがありますが、採用環境は以前から大きく変化してきており、過去の経験はどんどん通用しづらくなってきています。

ここでは、1つの採用手法だけにこだわらず、新たな手法に関する情報を集め、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、複数の手法を組み合わせていくことが好ましいと考えられます。

活動状況の定期的な振り返りと見直しを行う

新たな採用手法への取り組みを含め、採用活動の状況の定期的な振り返りと見直しを行い、それ以降の活動にフィードバックしていくことが必要と考えられます。

把握した自社の採用課題を基に、それぞれの課題の要因分析や採用手法の評価を実施し、新たな採用手法の実施や効果が高い採用手法への注力など、採用活動全体の見直しをしていくことが大切です。

採用課題別の効果的な手法

人材採用にかかわる課題は、それぞれの企業によってさまざまと考えられますが、ここでは採用活動のなかで一般的にみられる課題別に、どの採用手法がより適していると考えられるかご紹介します。

応募人数が集まらない

昨今の人材獲得競争の激化により、採用活動を行ってもなかなか応募人数を集めることができない企業は多くなっています。

一般的には、ほとんどの転職希望者に利用されていて、より多くの人材に自社を知ってもらうことができる転職サイトの利用が適切と考えられますが、多くの求人情報の中に自社の情報が埋もれてしまうなど、利用者の多さが必ずしも自社への応募人数の増加につながらないケースが見られます。

また、求める人材要件によっては、応募人数が増えても、それに比例してミスマッチが増えてしまう場合もあり、母集団の大きさが必ずしも採用にはつながらなくなってきています。

新たに生まれてきている採用手法の多くは、応募人数を獲得するというよりは、自社が求める人材と効率的に出会い、お互いの理解を深めながら採用につなげることを主眼としています。

応募人数に関しては、人材要件との合致度などを考えながら、ほかの複数の採用手法と組み合わせて考えていくことが必要と考えられます。

求めているような人材に出会えない

求めているような人材に出会えない、応募があってもミスマッチが多いといった場合には、ただ応募者数を集めるだけでなく、要件に合致する人材により効率的に接点を持つことが必要になります。
そのための採用手法として、まず人材紹介やヘッドハンティングでは、紹介会社が登録している人材の職務経歴や希望条件を基に、候補者を人選して紹介してくれるため、自社が求める人材に出会う確率を高めることが期待できます。また、求人票作成や応募者とのスケジュール調整などは紹介業者が行ってくれるので、自社の採用担当者の負担を軽減することができます。さらにダイレクトリクルーティングでは、自社で必要とする人材に直接アプローチできるため要件のミスマッチを減らすことが期待できます。

辞退率を下げたい

選考中や内定時の辞退については、これを低減したいと考える企業が大半ですが、そのためには、いかに自社への志望度を高めてもらうことができるかが重要になります。
たとえば、人材紹介やヘッドハンティングであれば、紹介業者という第三者を通じた動機づけによって、自社への志望度を高める効果を期待することができます。
ダイレクトリクルーティングでは、より直接的なアプローチによって自社アピールができること、リファラル採用であれば人脈を通じた信頼関係作りができることなど、同じく自社への志望度を高める効果が期待できます。
いくつかの採用手法を活用しながら、応募者との相互理解を深めていくことが重要と考えられます。

早く人材がほしい

退職者による欠員が出た場合など、早く人材がほしい、急ぎで採用したいという際には、実際に転職活動をしている人材の多くが利用していて、それらの人材との接点を持てる機会が多いと考えられる転職サイトの利用が適していると考えられます。

掲載するスペースの大きさや検索ワードの設定など、サイトによってさまざまなオプション機能もあるので、状況に応じて利用してもよいでしょう。

一方、自社サイトやソーシャルリクルーティングといった手法では、転職潜在層が多いなど、実際の採用につながるまでには時間を要する傾向にあるため、急ぐ必要がある採用活動にはあまり向いていないと考えられます。

ここまで見てきたように、中途採用手法は非常に多様化しており、それぞれ特徴も異なっています。

これからの採用活動においては、それぞれの採用手法のメリット、デメリットをよく理解したうえで、自社の状況やニーズに合致した手法を活用していくことが必要と考えられます。また、1つの採用手法だけに固執せず、さまざまな手法を組み合わせて利用していくことも効果的と考えられます。新たな採用手法にアンテナを張って情報を集め、どの採用手法が自社にとって最適なのかを検討しながら、採用活動を進めていくことが大切です。

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