求職者が会社選びをする上で、第一印象を決める重要な存在が求人票です。求職者が「応募したい」と思えるような求人票や求人募集を作成したいけれど、コツがわからないという採用担当者も多いのではないでしょうか。そこで今回は、求人票や求人募集を作成するのに大事なポイントや失敗例、仕事内容や労働条件の書き方、求人広告における文言のコツなどをご紹介します。

求人票の定義

求人票とは、企業が求人を行うに当たって求職者に提供する情報のことで、企業情報や求人内容について記載したものを指します。
求職者にとっては、会社選びをする上で非常に重要な情報源となるため、正確かつわかりやすい記載が重要です。

求人票に記載する項目

2018年1月1日の職業安定法の改正により、求人票で具体的な労働条件の明示が義務付けられました。また、選考過程等で労働条件に変更があった場合は、可能な限り速やかに変更内容について求職者に知らせる必要があります。
必須項目は下記にまとめていますので、ご確認ください。

最低限明示しなければならない労働条件等

※参照先:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ」

労働者保護の観点から、求人票の記載内容に関する法的な制約や避けるべき表現があります。求人票を記載する際は、ルールをクリアしているかチェックしてみてください。

性別を限定する表現

男女雇用機会均等法では、「事業主は、労働者の募集および採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない(5条)」と定めており、具体的には厚生労働大臣の指針で、次の募集・採用方法が性差別として禁止されています。

  • 募集・採用に当たって、その対象から男女のいずれかを排除すること
  • 募集・採用条件を男女で異なるものとすること
  • 選考方法や基準について男女で異なる取扱いをすること
  • 募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること
  • 求人内容の説明など募集・採用に関する情報提供で、男女で異なる取扱いをすること

男女を限定するような表現は禁止されていますので、特に職種名や業務内容の書き方には注意が必要です。
(NG例)
「看護婦さん」→「看護師」
「保母さん」→「保育士」
「セールスマン」→「営業社員」
「ガードマン」→「警備員」

年齢を限定する表現

2007年の雇用対策法改正により、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないこととされ、年齢制限の禁止が義務化されました。形式的に求人票を年齢不問とすれば良いということではなく、 応募者を年齢で判断しないことが大切です。つまり、求人票は年齢不問としながらも、年齢を理由に応募を断る行為、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定する行為も、法の規定に反するものです。

「ハードな肉体労働だから」「若者向けの洋服販売だから」といった理由で年齢制限を設けて募集したい、という考えもあるかもしれませんが※、後述の例外事由を除いて、求人に年齢制限を設けることはできません。求人票では、年齢を問わない上で、具体的な業務内容や必要な能力が伝わるように工夫して記載する必要があります。
(例)
・長距離トラック運転手
長距離トラックを運転して、札幌から大阪までを定期的に往復します。50kg程度の資材を上げ下ろしする業務もあります。
・販売スタッフ
主に20代をターゲットにした婦人服を接客販売する仕事です。お客様とコミュニケーションをとりながら、コーディネートを提案してください。

ただし、原則として年齢制限は禁止されていますが、例外的に年齢制限を行うことが認められる場合があります。

※引用元:厚生労働省「年齢禁止制限パンフレット

労働者の募集および採用の際には、原則として、年齢を不問としなければなりませんが、
例外的に年齢制限を行うことが認められる場合があります。このとき、上限(65歳未満のものに限る)を定める場合には、求職者、職業紹介事業者等に対して、その理由を書面や電子媒体により提示することが義務づけられています。
※参考:厚生労働省「労働者の募集・採用における年齢制限禁止について」平成29年9月

特定の人を差別・優遇する表現

労働基準法では、求人広告に特定の人を差別または優遇するような表現を用いることが禁止されています。差別の意識の有無に関わらず、受け取り手が不快な思いや苦痛を感じるような表現や用語の使用は避けましょう。
NG例

  • 人種・民族・国家・国籍(NG例:日本国籍の方)
  • 心身的な条件や性格(NG例:明るい方、体力のある方)
  • 出身地・居住地・通勤時間での排除・制限(NG例:〇〇県出身の方)
  • 家庭環境に言及する表現(NG例:未婚の方)

求人募集求人票を作成するのに大事な3つのポイント

求人票とは、会社選びをする上で重要な第一印象を決めるもの。単に必要情報を埋めていくのではなく、求職者に魅力が伝わる記載内容を意識していく必要があります。そのためのポイントをお伝えします。

求人票を記載する前に求める人材像を明確にする

相手のことを知らなければ、相手に届くメッセージにはなりません。そこでまずは「どのような仕事やポジションを任せたいのか」「その仕事やポジションには、どのような経験や能力、資質が必要か」などを整理して、求める人材像を具体的にイメージしておくことで、応募資格の欄がより具体的に記載できるようになります。
さらに、この求める人材が「どのような情報を知りたいと思っているのか」までイメージできるとベスト。なぜなら、魅力的な求人票を作成するためには、求職者の目線に合わせることが大事なポイントだからです。

働くイメージが湧くような具体的な情報を記載する

求人票のゴールは、求める人材に「気になる」「応募したい」と思ってもらうこと、そして応募というアクションを取ってもらうことです。そのためには求職者が、実際に自分が働くイメージが持てるよう具体的な情報提供が必要です。
仕事内容はできるだけ詳細に、且つ箇条書きなどでわかりやすくまとめることが大切です。他にも募集背景、1日の仕事の流れ、組織構成、職場環境、キャリアアップなどの情報も必要に応じて記載できると、より求職者の理解が深まります。
また、応募という具体的なアクションを取ってもらうためには、不安を払拭する必要もあります。予め求職者にとって懸念点を想定し、例えば、未経験者向けの募集の場合は育成体制を丁寧に記載するといった、相手に合わせた情報提供が重要です。

労働条件は正確且つわかりやすく記載する

給与、休日休暇、勤務時間、勤務地などの労働条件は、求職者の利益に直結する重要な項目です。条件によってはアピールポイントになると同時に、正確に記載しなければ、入社後にトラブルを生じさせてしまう原因にもなりますので、注意が必要です。

基本の労働条件だけでなく、月平均残業時間、休日出勤の有無、賞与やインセンティブなども含めた年収例、最寄り駅からのアクセス、有給休暇や連続休暇の取りやすさなども記載することで、求職者がより具体的にイメージできるようになります。ぜひ採用競合他社と比較しながら、自社の労働条件のメリットを探してみることをおすすめします。

求人募集求人票を作成するときにやりがちなミス・失敗例

なかなか応募が来ないという場合は、求職者に魅力の伝わらない求人票や求人募集になっている可能性がありますので、今一度、内容を見直してみてください。

求める人材が明確になっていない

例えば「経験不問」だけでは、どのような人材を求めているのか求職者に伝わりません。実際に未経験者募集であっても、どのようなスキルや経験の持ち主か、といった採用ターゲットを明確にすることで、相手に届けたい情報も明確になります。

自社の強みや魅力が表現できていない

採用における自社の強みや魅力について把握できているでしょうか。もし、把握できていなければ、会社情報(事業内容、商品サービス、売上など)、仕事内容、募集条件などの観点で、採用競合企業と比較しながら、ぜひ自社の強みや魅力を見つけてみてください。多角的な視点で分析したい場合は、社員、特に他社からの転職者にヒアリングをしたり、人材紹介会社の担当者に聞いてみたりするという方法もあります。

専門用語や業界用語を使っている

仕事内容の説明など、自社でよく使う用語や専門用語をそのまま記載しているというケースもあります。求職者に正確に伝わらないだけでなく、難しそうと感じて、心理的ハードルを上げてしまうことにもつながりますので、一般的な用語に置き換えることも重要です。

いいことばかりを書いている

いいことばかりを書いている広告はなかなか信じられないもの。もちろん自社の強みや魅力を最大限にアピールすることは大切ですが、それと同時にネガティブな情報も隠さず伝えることも大切です。残業時間や休日出勤の有無、仕事の大変さ、入社後にぶつかる壁などを正直に記載することで、企業への信頼が増し、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながる場合があります。
入社後のミスマッチに関しては、下記の記事をご参照ください。

求人広告の文言とコツ

求人広告では限られた文字数の中で自社の魅力を伝え、応募というアクションまでつなげていくことが求められます。そこでより効果を高めるための求人広告のコツをお伝えします。

アピールポイントは目立つ場所に記載

求人媒体には、自社の募集以外にも、数多くの企業の求人が並びます。その中で、いかに自社の募集に目を留めて、興味を持ってもらうかが第一関門。職種名、企業名、キャッチコピーなどの目立つ場所に自社のアピールポイントを入れて、他社と差別化を図りましょう。

できるだけ数字や事実を使って伝える

抽象的な表現の場合、読み手によって受け取り方が大きくかわるため、記載できる場合は数字で伝えることをおすすめします。例えば、「残業ほとんどなし」ではなく「月平均の残業時間は10時間」、「ほぼ未経験スタート」ではなく「昨年入社した50名のうち45名が未経験スタートです」と記載した方が具体的にイメージできます。

検索条件を見直す

求職者が求人媒体を使用する場合、多くの求人情報の中から自分に合った求人を見つけるために活用するのが検索機能です。多くの求人媒体では、職種や勤務地などの他、さまざまな検索条件が用意されています。そもそも検索の設定がズレていると、求める人材に自社募集を見つけてもらうこともできませんので、設定項目はとても大切なポイントになります。

写真で職場の雰囲気を伝える

求人広告では、写真の方が多くの情報を伝えられる場合もあります。例えば「アットホームな職場です」と文章で記載してもなかなか具体的にイメージできませんが、和気あいあいとした職場写真を掲載することで「雰囲気の良さが伝わった」と応募につながるケースも少なくありません。写真を掲載できる求人広告の場合は、ぜひ写真にも工夫を凝らしましょう。
まとめると求人広告で他社と差別化を図るには、「アピールポイントは目立つ場所に記載」、「できるだけ数字や事実を使って伝える」、「検索条件を見直す」、「写真で職場の雰囲気を伝える」という4つのコツがあります。掲載するときは、ぜひ上手く活用してみてください。

合わせて読みたい/関連記事

基礎知識
基礎知識

紹介料とは? 中途転職における金額の相場やほかの採用手法と比較

基礎知識
基礎知識

スカウトとは? 転職を考えている人材に応募してもらうコツを解説

基礎知識
基礎知識

転職エージェントの手数料・費用の相場とは?他の採用手法と比較

基礎知識
基礎知識

転職エージェントの成功報酬はいくら? 相場を解説