企業は事業を推進して利益を上げ、右肩上がりで成長していくことを求められます。その成長スピードを高めるために取る戦術の一つが、戦力増強としての人材採用です。採用とは何か。新卒・中途、どちらを採用すべきか。さまざまな採用手法には、それぞれどんな特長・メリットがあるのか。基本的な採用用語を含めて説明していきます。

採用の意味と目的

企業活動における経営資源は、「ヒト・モノ・カネ・情報」です。中でも特に重要な資源がヒトです。多くの人が「企業力」を判断する場合、売上高など財務指標に加え、従業員数も重要な判断材料になります。その「ヒト」を雇い増やしていくために、さまざまなことを考え、実行していくことが採用活動です。ここでは「採用」という言葉や意味、目的などを細かく考えてみます。
採用の意味と目的が明確になれば、「求める人材像」が具体的にわかり、採用成功につながっていきます。

「採用」の言葉の意味

採用という言葉そのものは、「適切であると思われる人物・意見・方法などを、選択肢の中から選び、とりあげて用いること」という意味です。つまり、自社にとって「どのような人材が必要か」を明確にして、候補者の中から、適切な人材を「選んで」いくことです。
言葉の持つ本来の意味、本質をとらえて考えると、採用とは何か、がわかってきます。

採用を行う目的

ここでいう採用とは、「人材採用」です。人材採用を行う目的は、もし、人材採用を行わなかったらどんなことで困るのか、と逆説的に考えると明確になります。
人材採用を行わなかったら…

  • 定年や自己都合退職で欠員が出るので、業務に支障が出てしまう。
  • 欠員により人手不足になると、既存の従業員の負荷が増える。
  • 人材が固定化し変化に乏しくなると、新しいアイデアや発想が先細りする。
  • 5年先10年先にリーダーとなる人材がいない。

など、代表的な事象を並べましたが、これらを解消するのが人材採用であると言えます。

採用の目的

企業活動を滞らせないために、そして、次なる発展のために人材を増やしていくことが人材採用の目的です。人材採用では、単に採用数を増やせばいいのではなく、「なんのために人材が必要なのか」を明確にすることが必要です。
考えられる例をいくつか挙げていきます。

欠員補充

従来5人で行っていた業務において、1名の欠員(退職や異動等)が生じた場合、残された4人の負荷が大きくなることで、業務の生産性や品質が低下し、それを補うための残業が増える等の悪影響が生じます。そのため、欠員補充の場合は、退職(もしくは異動)した人と同等か、それ以上のスキルを持つ人材を採用する必要があります。

課題解決

例えば、小売業を営む企業が売上アップの施策としてECサイトをもっと強化したいが、自社にECサイトのノウハウが不足しているケースです。既存の社員にノウハウを学ばせるよりも、既にその経験がある人材を新規に採用した方が、施策実施までの所要時間も、既存社員の教育コストも削減できることが多くあります。

新事業・新拠点への対応

企業の売上アップや組織規模の拡大において、新しい事業のスタートや、支店・営業所など新拠点の展開は欠かせません。
組織が増えるのですから、組織をまとめる人、業務を遂行する人など、相応の人数を増やすことになります。前述した課題解決ともつながりますが、新しい組織にどういった人が欲しいのかによって、採用の条件や難易度も大きく違ってきます。例えば、新規分野に進出していく場合、関連業務の経験・知識を持つ人材の採用が必要となるケースがあります。

5年先10年先のリーダー・幹部候補

経営者は常に組織の5年先10年先を考え、将来のビジョンを明確に示していくことが重要です。その時に、創業者や経営者の思いを引き継げる、あるいは、経営層に新たな思想を持ち込める人材がいるかは、必ず考えが及ぶでしょう。自社の人材に次代を任せられれば良いですが、必ずしも適当な人材が自社内にいるとは限りません。そのようなケースにおいては、幹部候補の採用が必要になります。

採用の種類

人材採用の種類は大きく「新卒採用」と「中途採用」に分かれます。

新卒採用

新卒採用とは、高校生や大学生など就業経験のない学生が対象となる採用のことです。同じ年に卒業予定の学生(一部就職浪人生もあり)に対して一斉に求人内容を公開し、ほぼ足並みをそろえて説明会や選考試験を行い、卒業してすぐ入社するのが一般的です。日本独自の採用手法と言われ、長く人材採用のスタンダードとなっていました。特に大手企業を中心に従業員の半数以上、企業によっては従業員のほとんどが新卒採用者というところもいまだ珍しくありません。

中途採用

中途採用とは、過去に就業経験がある人材が対象となる採用のことです。欠員が出た場合や、新規事業立ち上げ時の人員が明らかに不足している場合、事業の推進にあたり、ある特定の経験やスキルや資格を持つ人材が必要な場合に行われます。
(「第二新卒」は学校等を卒業後に一度就職したが、短期間のうちに転職を志す人材を指します。よって、第二新卒採用と中途採用は区別されることが多いです。)
中途採用人材に求められるのは、即戦力としての活躍です。

新卒・中途採用のメリット・デメリットを以下にまとめました。

通年採用

企業が1年を通して数回にわたり、さまざまなタイミングで新卒・中途の採用を行うことが通年採用です。新卒採用の場合、従来は日本の高校生や大学生が3月に学校を卒業して翌月の4月に一括入社するために、採用活動のスケジュールが固定化していました。ところがグローバル化が進む中、海外の大学の卒業生は日本のスケジュールと異なり、秋が卒業時期となるため時間的ロスが生じてしまいます。より優秀な学生を採用するために発想を転換し、海外の卒業生を秋に採用するなど、大手企業を中心に通年採用が浸透してきました。政府主導で「2020年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請について」が取りまとめられたこともあり、通年採用の活性化に一役かっています。
中途採用においても、著しく成長を遂げる大手企業や、世の中の話題に上る有名企業が優秀な人材を大量に採用するために通年採用を実施していることもあります。年間を通して定期的に採用キャンペーンなどを打ち出し、雇用市場を活性化させた企業なども存在します。IT企業やベンチャー企業など既成概念にとらわれない企業も比較的、通年採用を取り入れています。

臨時採用

臨時採用とは、雇用契約期間を限定した採用のことです。産休や療養などで社員や職員が一定期間出勤できない場合、その期間に限り、代わりの人材を採用することを目的の一つとしています。年間単位の契約社員とは違い、数か月単位という場合が多く、また短期間に即戦力となる人材が必要とされるため、臨時採用は教員免許など特定の資格者を対象とするケースが多いです。

〇〇採用を一挙に紹介

生活様式や物事の考え方の多様化、少子高齢化による労働人口の減少、急速なグローバル化に対応する国際人材への期待などを背景に、柔軟性のある採用方法が増えてきました。新卒採用・中途採用だけでなく、〇〇採用といわれる言葉を最近、目にすることも多くなりました。ここで、一挙にご紹介します。

リファラル採用

リファラル採用とは、自社の従業員から紹介された人材を採用する手法です。紹介された人材が採用に至った場合、仲介した従業員にインセンティブを支給している企業もあります。企業側からすれば、自社で活躍している従業員からの紹介のため、極力、自社にマッチしていることが担保されている点や、事前にある程度の企業理解がされている点が大きなメリットです。

SNS採用

SNS上での人材の情報収集、企業情報の発信、また人材との交流により採用を行うことが、SNS採用です。20代30代を中心に、SNSは社会インフラに近い働きを担っています。SNSで情報を発信する人も多く、フォローをすることで、その人の経験やスキルもわかる可能性があります。SNS採用を取り入れている企業は、採用専門のSNSアカウントを作成して積極的に情報を発信し、イベントや講演会なども行うことによって、自社にマッチする人材と出会える機会を増やしています。
SNS採用のメリットは、人材の人物像が事前につかめること、優良人材の採用コストが抑えられる可能性があることです。

ポテンシャル採用

経験よりも、潜在能力を重視した選考を行うことが、ポテンシャル採用です。第二新卒を中心に、今よりも数年先の活躍が期待できる人材を採用します。人材不足に悩む企業が、この手法を取り入れ、入社後の教育に力を入れています。

自社採用

基本的には、自社サイトの採用ページを充実させて、そこからの応募を集める手法を指します。採用ページを充実させる専門コンサル企業もあるほど、近年注目されています。
また自社サイトの採用ページをSNSと連動させて採用訴求力を高めるために内容を充実させていく企業も増え、積極的に情報発信することで人材採用に繋げています。

ジョブ型採用

従業員のジョブ(職務)をベースに雇用する形態を指し、欧米で浸透している手法です。企業が従業員に対し、職務の内容(ジョブ)を職務記述書(ジョブディスクリプション)に明記し、職務・勤務地・労働時間など労働条件を明確にした契約を交わして雇用します。

スクラム採用

ラグビープレイに例えて、全社一丸となって採用業務に取り組むことを言います。現場社員が採用業務を手伝うだけではなく、主体となって求人作成や面接、選考、イベント、コミュニケーション、内定後のフォローなど採用活動全般に関わっていくことになります。

採用活動でよく出てくる用語とその意味について

以下、採用活動において欠かせない、基礎的な用語を取り上げました。

Indeed(サービス名称)

求人情報に特化した検索エンジンです。Yahoo!やGoogleの求人版と考えればいいでしょう。求人に関する情報を、求人メディアだけでなく新聞や企業の採用ページなどから独自にピックアップして掲載しています。日本では現在、月間1000万人のユーザーがいると言われています。

オウンドメディアリクルーティング

自社採用と同義語です。自社の採用ページやSNS上に、求職者が求める情報を積極的にアップロードする、能動的な採用の一つです。

採用マーケティング

どんな人材が必要か、どんな採用活動を実施していくかという一連の業務において、商品やサービスを売っていく時に行うマーケティングの手法を取り入れることを、採用マーケティングと言います。求める人材のニーズを把握した上で、効率的に採用活動を行うことができます。

採用マーケティングとは?今注目の理由&自社に取り入れて人材を採用する方法

採用ブランディング

採用活動において、自社の個性や魅力、信頼性がアップするような、企業の価値を高める活動を指します。「この企業に就職したい」「こんな企業なら働き甲斐がありそう」と思ってもらえる人を増やしていくことが目的です。

採用ブランディングの目的とメリットや成功させるポイントを紹介

母集団形成

求人媒体などを通して求人情報を発信し、自社に興味を持っている学生(新卒採用)や求職者(中途採用)の数を集めることを言います。多くの母集団を形成できれば、よりよい人材が集まる可能性もある反面、数が多いゆえ、選考が煩雑化することもあり、適節な母集団形成が採用活動には重要です。

ターゲット

ターゲットとは直訳すると「標的」や「まと」の意味を持ちますが、採用の文脈では、採用したい人材要件を持つ集団のことを言います。母集団形成のために、欲しい人材の要件、スキル、特性などを絞り込むプロセスをターゲティングと呼びます。
採用方法、仕事内容、事業内容、働く人などの中で、その企業の魅力をもっとも表す言葉やコンセプトを策定し、採用活動で多くの人の印象に残るようなブランドを構築していきます。

ペルソナ

マーケティング用語で、「サービス・商品の典型的なユーザー像」を指しています。採用の場合は、「ピッタリの条件を持つ架空の特定人物像」になります。採用マーケティングの手法として活用されており、年齢や性別、経験や志向、行動やプライベートの過ごし方などまで細かく人物像を想定し、その内容にそって採用活動を進めていきます。

ジョブカフェ

都道府県が主体となって若者の能力向上・就職促進を目的に、職場体験や職業紹介、就職セミナーなどのサービスを提供する支援施設です。さまざまなサービスを無料で体験できます。このサービスの中高年者向け支援の場所が、ジョブサロンです。

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