誰もが予期できなかった2020年の新型コロナウイルス感染拡大。その中で、有効求人倍率は下降か横ばいを示しています。もともと2007年をピークとしてリーマンショックで減少していた転職者数は2011年から増加に転じ、2019年には351万人と過去最高の数値(総務省 統計局ホームページ)を示していました。そうした転職者の多くが利用したのが求人媒体。仕事も働き方も多様化が進む中、求人媒体も多種多用になってきています。そこで、各求人媒体の特長・違い・選び方をわかりやすく解説していきます。

求人媒体とは

求人媒体とは、「人を採用したい企業」と「仕事先を見つけたい求職者」の間をつなぐ媒体(メディア)をいいます。人々の働き方も多様化が進む中、求人媒体も多様化しています。

どんな人をどのように採用したいのか。時間や予算など様々な条件を考慮しながら、最適な求人媒体を選んでいただくために、ここで各メディアの種類や特長、選定ポイントをご紹介します。

求人媒体の種類

一般的に世の中の人が、どんな媒体(メディア)を使って、転職活動をしているのか。メインとなるのは、「Web」「紙(雑誌・新聞)」という求人媒体(メディア)によるものです。求人媒体以外では、「人材紹介」や、厚生労働省設置法に基づく「公共職業安定所(ハローワーク)」、知人や家族からの「紹介」、「ヘッドハンティング」といった方法で転職活動が可能です。近年ではスタートアップ企業などを中心にSNSなどで自社の求人情報を発信し、そこに集まった人材と双方向での情報を交換し、採用をするといったことも行われています。求人を目的としたセミナーなどもSNS上で見かけることも多くなりました。日常的にSNSを使いこなし、ITスキルの高い候補者を採用したい場合はこういった手法は有効になってきています。ですが、やはり転職者の多くがWeb媒体や人材紹介、そしてハローワーク経由で転職していることから、それらの利点(メリット)と注意点(デメリット)を理解するのは採用戦略の上では非常に重要です。

求人サイト(転職サイト)の特長

Webで求人を行うという意味では、企業の自社サイトでの採用情報もありますが、ここでは、転職サービスを行っている求人サイトの特長を明記していきます。Web媒体は、最も多くの求職者が転職の際に利用するサービスです※。求人企業も求職者も、「人を採用したい」「仕事を探したい」という時、世の中の情勢を知る意味でも、まずは身近なパソコンやスマホで求人サイトを閲覧する方が多いです。

Webマーケティングによる、バナー広告なども見かける機会が多く、世の中には多くの求人サイトが存在します。求人サイトごとにメリット、デメリットがあり、特長が異なっているので、きちんとその違いを把握する必要があります。

出典:リクルートワークス研究所 求職トレンド調査2015

求職者メリット

  • スマホ・タブレット・パソコンなどで求職者は無料でいつでも閲覧できる
  • 求人の情報量が圧倒的に多い
  • 職種×勤務地×年収といった、転職者が希望する条件で求人の検索が可能
  • UターンIターン転職希望者など、全国各地の求人情報が得られる
  • 職務経歴書の専用フォーマットに1度入力すれば、使い回すことができるため、応募の手間が減る
  • 比較的気軽に応募できる
  • ダイレクトメール(DM)を受け取ることができる

求人企業メリット

  • 誰もが気軽に閲覧していることで、「いいところがあれば転職したい」という転職意欲の潜在層にも訴求できる可能性がある
  • 転職サイトによっては、専門の求人広告制作担当者が企業を取材して、広告を出稿できる
  • 転職サイトの営業や広告制作担当者の「眼」を通し、思いもかけない自社の魅力や、その逆の部分も第三者的な視線で指摘してもらうことができる
  • 情報量・情報の種類も多彩にあるので、仕事の魅力を伝えやすい
  • 転職サイトのデータベースを活用し、DMなどを送ることができる

求職者デメリット

  • 検索の仕方によっては、希望している企業と出会えない可能性がある
  • 転職サイトによっては、地方の求人に弱い場合がある

求人企業デメリット

  • 有料掲載がメイン。数万円~数十万円と価格帯の幅がある
  • 費用に見合った分の効果が必ず得られるとは限らず、有料広告でも希望にかなった採用ができない場合もある
  • 転職サイト側の広告制作者が原稿を作るので、1~2週間、求人広告出稿までの時間がかかるケースがある
  • 求職者にとって気軽に応募できる分、面接の直前キャンセルなどがある

おすすめポイント!

求人サイトの最大のポイントは、データベース活用にあります。近年特に、求人サイト経由で入社し、企業で活躍している人材からは、「この会社からDMをもらったので、検討して応募した」という声が多く聞こえます。

大手求人サイトでは、公称会員数は数百万人~1000万人超というところもあり、企業側は求人広告を出稿し、そこから応募を「待つ」だけという時代ではなくなったといえます。求人広告を出稿することでデータベースを活用する機会を得た、と考えて多くの欲しい人材に働きかけることが可能です。データベースで登録会員の属性を絞り込み、自社の広告を見てもらえるようにDMを送信したり、募集条件に合った人材に面接確約などのスカウトメールを送ったりすることもできます。求職者側も自ら求人広告を見て応募するよりも、DMをもらうことで応募への自信がつき、積極的になれる部分もあります。

まずは求人広告を掲載しないことには、データベースを利用することもできません。ネット・スマホ時代のデータ活用は、転職に限らず世の中のスタンダードとなっているので、ぜひ検討してみてください。

紙媒体の特長

紙媒体とは、街やコンビニで無料配布されているフリーペーパーや、新聞などの折り込みチラシを指します。地方では、地域特有の求人誌などもあります。都市部や全国レベルで配布されている紙媒体は、Web媒体と連動していることも多いです。

求職者メリット

  • アルバイトやパートなど、「今すぐ自宅近くで働きたい」方に向いている
  • 無料で気軽に情報が手に入る
  • 紙なので、手に取って保存できる

求人企業メリット

  • アルバイト・パートの求人に適していることが多い
  • 特定地域で集中して、人材募集を行える

求職者デメリット

  • 急募案件が多く、媒体配布も週単位のケースがあり、募集がすぐに終わることがある
  • 地域に密着した求人広告が多いので、他地域での転職を考える場合、全国各地の求人と出会える機会は比較的少ない
  • 都市部メディアでは特に、正社員募集よりもアルバイト・パートの求人が多い傾向がある

求人企業デメリット

  • 有料であることが多い
  • フリーペーパーなど地域で配布されるので、広いエリアの募集では掲載費が増加する
  • 情報量が少ないので、自社の魅力を伝えにくい

おすすめポイント!

Web媒体に比べて、地域の採用ニーズに即した媒体だといえます。また、掲載数が比較的少ないため、一件一件、じっくりと求人に目を通してもらえる可能性があります。
アルバイト・パートの採用で、できるだけ早く人材確保したい、特定のエリアでの採用など、紙媒体に適した募集もありますので、ぜひ検討してみてください。

人材紹介の特長

厚生労働大臣の認可をうけて職業紹介を行っている民間の「転職エージェント」と呼ばれるのが人材紹介です。自社が求める人材の職種、スキルなどを伝え、条件にマッチする人材を紹介してもらう方法です。紹介者を採用した場合に料金が発生する成功報酬型が多く、相場は採用した人材の年収の35%前後が一般的です。 

求職者メリット

  • 登録料は無料
  • 一人ひとり、キャリアアドバイザーがついてくれて、転職相談ができる
  • エントリーシートの書き方や面接方法まで、アドバイスがもらえる
  • 「残業はしたくない」「土日休みは譲れない」といった、条件に合った企業を紹介してもらえる
  • Web媒体などに掲載されていない求人情報と出会える

求人企業メリット

  • 成功報酬型の場合、人材採用が成功して初めて料金が発生するので、納得いくまで採用活動ができる
  • 希少な資格や技術を持った人材など、ピンポイントの人材と出会える
  • 人材紹介企業によっては、会員からの紹介だけでなく、希望に合った人材のヘッドハンティングサービスもある

求職者デメリット

  • おすすめされた企業が、自分の希望と合わないことがある

求人企業デメリット

  • 成功報酬型のため採用したい人材の年収によっては、一人当たりの採用コストが高くなるケースもある
  • 紹介会社の会員数によっては、求職者の紹介人数が希望通りにならない場合がある

おすすめポイント!

人材紹介の良さは、求職者も求人企業も最初は無料であるケースが多いので、利用のハードルが低いことです。人材紹介ごとにサービス内容・料金・強みは様々です。成功報酬型の場合、初期費用がかかりませんので、例えば大手+専門特化というように複数の人材紹介を活用することをおすすめします。募集職種に対する知識が豊富で転職市場に精通していることはもちろん、自社の理念やビジョンに共感し、「何のための採用なのか」という目的をしっかり把握し、採用チームの一員として取り組んでくれる人材紹介を選びましょう。

求人媒体の選び方/求める人材に適した媒体とは?

それぞれの求人媒体の求職者側・求人企業側のメリット・デメリット、そして筆者としてのおすすめポイントを述べてきました。採用担当者の方は、求人媒体(転職サイト)を提供している各社の営業担当と、じっくり話をして決めていくことが重要です。その際、自社が欲しい人材の会員数がどのくらいいるのか?各社のデータベース上の数字を聞いてみることをおすすめします。求人媒体は時代の流れに合わせて、新しいサービスが誕生したり、サービス内容をリニューアルしたりしているので、各社特長があり、強い分野、弱い分野を持っています。求める人材が最も多いメディアに求人広告を出し、データベースをフル活用することが、今の時代では採用成功の近道になっています。求めている人材、人数によっては求人媒体だけではなく、人材紹介を同時に併用することで効率的に採用活動を行うことができます。自社の採用戦略をきちんと設計した上で、最適な募集方法、求人媒体を選びましょう。

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