自社に必要な人材を採用する方法として、ダイレクトリクルーティングが注目されています。求職者に対して直接的なスカウトを行うサービスを利用した採用手法のことで、学生の採用にも活用されています。今回は、ダイレクトリクルーティングの料金形態や費用相場、費用を抑えるための方法について解説します。

ダイレクトリクルーティングの料金形態

ダイレクトリクルーティングの料金形態には、主に採用人数によって料金が変動する「成功報酬型」と月額や年額など一定期間の利用料金が固定的に決められている「定額型」という2種類があります。

成功報酬型

成功報酬型とは、ご入社された人数に応じて料金が発生する変動型の料金形態です。

成功報酬型のサービスでは、スカウトした求職者に内定を出しその相手がご入社するまで費用が発生しません。そのため、多額の費用を拠出したが成果が得られなかったといったリスクを回避することができます。なお、成功報酬がベースとなる料金形態であっても、採用活動の準備のために自社でシステムを導入される場合の初期費用やデータベース利用料などの料金が別途発生する場合もあります。

また、成功報酬には、「入社者1名につき○○円」という定額で決定する方式と「入社者の理論年収の○○%」という定率で決定する方式があります。

理論年収とは、入社者が求人企業に1年間勤務した場合に得られる年収総額のことです。
あくまで一例ですが、毎月支給される基本給や諸手当の合計額に前年度の支給実績に応じた賞与額を加えた金額を理論年収としている場合もあります。

諸手当の計算に関しては、通勤手当は含まず、残業代は固定的に支給されている場合は含み、実残業時間に応じた計算を行っている場合は含まれません。

定額型

定額型とは、実現した内定者数に関係なくあらかじめ設定された固定的な料金のみが発生する料金形態のことです。

ベースとなる料金は月ごとのシステム利用料などですが、それ以外に採用活動の準備のための初期費用やデータベース利用料などの料金が別途発生する場合もあります。

定額型の場合、採用人数が多いほど採用単価が下がるという特徴があります。

定額型の料金計算例(月額利用プラン)

1カ月のシステム利用料30万円、利用期間6カ月間、初期費用50万円、内定者数5人であった場合、採用費用の合計は30万円×6カ月間+50万円=230万円となります。

これに関する採用単価は、230万円÷5人=46万円となります。

定額型の料金計算例(年額利用プラン)

1年間のシステム利用料300万円、初期費用なし、内定者数10人であった場合、採用費用の合計は300万円となります。

これに関する採用単価は、300万円÷10人=30万円となります。

ダイレクトリクルーティングの費用相場

ダイレクトリクルーティングは新卒採用と中途採用のそれぞれを対象とした求人媒体があり、媒体ごとに料金プランが設定されています。

新卒採用の場合

新卒採用に関しては、同一の媒体に成功報酬型と定額型双方の料金プランが設定されているのが一般的です。

成功報酬型

成功報酬型の場合、学生の就職活動が本格化する就職前年の3月以降(たとえば2024年卒の場合は2023年3月以降)のスカウトに対して料金が設定されることが多いようです。6月の選考解禁早々に内定を出したものの内定辞退があった場合の欠員補充や、もともと有名大企業より時期を遅らせている企業が活用するケースが多いようです。成功報酬額は、入社者1名につき30~40万円程度で設定されている場合があります。

定額型

定額型の料金プランでは、インターンシップや早期面談などの就職活動の初期段階に行うスカウトに対して設定されることが多いようです。

金額は採用予定人数によって異なりますが、60~250万円程度で設定されている場合があります。

中途採用の場合

中途採用に関しては、「成功報酬+別途料金」「定額料金のみ」など、媒体によって料金形態が異なります。

成功報酬型

成功報酬型に関しては、理論年収の35%程度、あるいは一定の金額の範囲内で採用成果に応じて金額を決定する方式が一般的です。

リクルートダイレクトスカウトでは、初年度のデータベース使用料が0円でスカウト送信数が無制限のため、導入時の初期費用が無料になります。かかる費用としては採用成功時の成功報酬手数料になりますが、こちらはエージェントサービスの半分程度に設定されています。またスカウト経由で入社が決定すれば翌年度のデータベース利用料も無料になります。※成功報酬の手数料はかかります。

初期費用を大きく削減できるため利用を検討してもよいでしょう。

定額型

定額報酬に関しては、契約期間の長さによって金額が異なりますが、総額80~400万円程度に設定されている場合があります。

※中途採用市場に関しては、以下の記事をご参照ください
【2023年|中途採用市場】15業界の最新状況を解説

ダイレクトリクルーティングを効率よく使用するポイントとは

ダイレクトリクルーティングを効率よく使用するポイントは、①採用単価が低くなるサービスを利用する、②採用ターゲットの属性に応じた最適なサービスを利用する、③採用ターゲットからの返信を高める工夫をする、の3つが大切です。

採用単価が低くなるサービスを利用する

成功報酬型の料金形態では内定者数に応じて料金が変動し、定額型では採用予定人数に関係なくあらかじめ設定された固定的な料金が発生します。そのため、採用予定人数が少ない場合は成功報酬型のほうが採用単価が低くなり、採用予定人数が多い場合は定額型のほうが採用単価が低くなる傾向があります。加えて、初期費用やデータベース利用料などの費用も媒体によって異なります。サービスごとに想定される採用単価と採用予定人数を想定したトータルコストをシミュレーションし、比較したうえで、自社に合うサービスを選ぶことが大切です。

採用ターゲットの属性に応じた最適なサービスを利用する

サービスごとに、登録する求職者の経験職種や年代などの属性に関する特徴が異なります。

たとえば、サービスによって、営業職経験者の登録割合が多い、エンジニア経験者の登録割合が多いなど登録者の経験職種に傾向があります。

そのため自社の採用ターゲットを強みとする人材データベースを保有するサービスを利用することが大切です。適切なサービスを選択することで、採用の確率向上や採用期間の短縮につながる場合があり、費用を抑えることが期待できます。

採用ターゲットからの返信率を高めるための工夫をする

求める人材を採用するには、採用ターゲットがスカウトメールを開封し返信する割合を高めることが大切です。

スカウトメールの開封率と返信率に関しては、それぞれを高めるための特別な機能を搭載しているサービスもあるため、事前に調査を行って検討するとよいでしょう。さらにスカウトメールの返信率は、自社のホームページやSNSを充実させて求職者の認知を高め、「この企業で働いてみたい」という意欲を掻き立てるコンテンツを発信することがポイントになるでしょう。

日本では生産年齢人口が減少し続けており、待つだけの採用活動では必要な人材を確保できないリスクが大きくなり続けています。こうしたことを背景に、企業自らが採用したい人材に直接的にアプローチし、アピールや交渉を行うことで必要な人材を確保するダイレクトリクルーティングに注目が集まっています。本稿をきっかけに、ダイレクトリクルーティングを採用戦略に組み入れるよう検討してはいかがでしょうか。

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