人材募集については、「求人媒体や人材紹介以外に、どんな求人方法があるの?」、「採用ターゲットをどう設定したらいいのか悩んでいる」というお声をよく聞きます。主な採用手法である求人媒体から、人材紹介、最近注目を集めているソーシャルリクルーティングまで、多くの選択肢の中から、自社に最適な方法を選び取っていただくため、各手法の特徴やメリット・デメリットをご紹介します。

人材募集を成功させる12の手法

公共職業安定所(ハローワーク)から、今注目されているSNSを活用した求人まで、ここでは主要な12種類の求人手法について説明します。

1.ハローワークについて

ハローワークでは、各企業が求人情報を通じて人材募集を行っています。全国544カ所のネットワークがあり、身近な相談窓口として親しまれているのがハローワークです。求人情報を掲載するには、管轄のハローワークで事業所登録シートと求人申込書を記入する必要があります。そうすることで、求人情報として最大3カ月公開されるほか、Webサイトへの公開も可能です。

メリット

・無料で掲載できる
・条件によっては助成金の給付を受けられる

デメリット

・求人情報の内容が就業条件のみで情報量が乏しい
・ハローワークを間に挟んで企業とやりとりを行うため、面接調整など選考に時間がかかる場合がある

こんな企業の採用におすすめ

・採用予算を安く抑えたい企業

2.求人媒体(Web媒体)

求人媒体に求人情報を掲載し、応募者を集める求人手法です。就業条件のほか企業の強みや魅力、仕事の面白さなど多くの情報を盛り込め、写真やサイトによっては動画も使用できるため視覚的に会社の雰囲気も伝えられます。求職者側もスマホやパソコンで時間や場所を問わず検索でき、24時間応募することも可能です。多くの求職者にアプローチできます。

メリット

・場所や時間を問わず、多くの転職希望者にアプローチできる
・検索機能を利用してより求める要件にマッチした求職者に情報を届けられる

デメリット

・採用できなくても広告掲載料としてコストが発生する(一部成果報酬型を導入している媒体もあります)

こんな企業の採用におすすめ 

・一定以上の人数を採用したい企業
・より多くの母集団の登録者に求人を見てもらいたい企業

3.検索エンジン

Web上の採用の求人情報や、リクナビNEXT、リクナビといった求人サイトに掲載されている求人情報を検索できる求人情報専門の検索エンジン(Indeedなど)を利用する求人手法です。たとえばIndeedの利用者は日本国内で月間訪問数4,140万(調査:Similar Web 総訪問数より。2022年3月時点)で、さまざま求人情報を掲載しており、検索エンジンを利用することで多くのユーザーに出会えます。有料掲載と無料掲載があり、有料掲載の場合は料クリック数に応じて課金される形態です。

メリット

・無料で掲載できる
・多くの求職者の目にとまる
・有料掲載の場合、効果に応じて予算を増やしたり、減らしたりと柔軟な運用ができる

デメリット

・SEO対策など、効果アップのための運用に手間がかかる
・無料掲載だと上位表示されない

こんな企業の採用におすすめ

・採用予算を安く抑えたい企業
・自社サイトや採用ページ(採用サイト)を有している企業

4.自社ホームページ、採用ページ(採用サイト)

自社のホームページやホームページ内の採用ページに企業のアピール情報や求人情報を掲載して、求職者を募集する求人手法です。求職者は、応募の段階や選考の過程で、興味のある企業のホームページを閲覧し、情報収集しています。求人媒体では伝えきれなかった従業員のインタビューや職場の雰囲気、沿革や企業理念など魅力を掲載することで、より応募意欲やマッチングの精度を高めることが期待できます。

メリット

・自社の魅力を十分に伝えることができ、表現の自由度も高い

デメリット

・HPにアクセスしてもらえない場合応募にはつながらない
・コンテンツの制作などで工数がかかり、リリースあとも常にデータを更新する必要があることで手間がかかる

こんな企業の採用におすすめ

・長期的な視点で採用を行っていく企業
・採用ブランディングを行いたい企業

5.SNS(ソーシャルリクルーティング)

Facebook、Twitter、InstagramなどのSNS媒体を採用に活用していくソーシャルリクルーティングと呼ばれる求人手法です。SNSの普及により、新たな採用手法として取り入れている企業も増えてきました。求職者とタイムリーに、気軽な双方向のコミュニケーションがとれるほか、拡散や口コミなどの効果も期待できます。

メリット

・双方向のコミュニケーションがとれ、ミスマッチが防げる
・採用コストが抑えられる

デメリット

・定期的なコンテンツの投稿など手間がかかる
・成果に結びつくまで一定の時間がかかる

こんな企業の採用におすすめ

・長期的な視点で採用を行っていく企業
・採用ブランディングを行いたい企業

6.人材紹介

厚生労働大臣の認可を受けて職業紹介を行っている民間の「転職エージェント」と呼ばれる人材紹介会社に、自社が求める人材の職種・スキルなどを伝えたうえで、要件にマッチする人材を紹介してもらう求人手法です。紹介者を採用した場合に料金が発生する成功報酬型が多く、相場は採用した人材の年収の35%前後が一般的です。

メリット

・初期投資が不要である
・日程調整など候補者との連絡の手間がかからず、求める人材に効率的に会うことができる

デメリット

・年収帯によっては採用コストが高くなる

こんな企業の採用におすすめ

・工数をかけず効率的に採用したい企業
・求める経験やスキルが高い人材を採用したい企業
・非公開で採用活動を行いたい企業

7.人材派遣

人材会社に自社が求める人材の職種・スキルなどを伝えたうえで、要件にマッチする人材を派遣してもらう求人手法です。人材派遣には、業務の期間だけ就業する「一般派遣」、ゆくゆく正社員としての雇用を予定する「紹介予定派遣」という2つの種類があります。派遣する人材に関しては派遣元に一任されており、派遣会社が自社の従業員や登録スタッフの中から、派遣先企業が求める人材を選出します。派遣会社と労働派遣契約を結び、時給×実働時間を派遣料金として支払います。

メリット

・必要な期間だけ、求めるスキルを持った即戦力の人材を確保できる
・採用費、人件費を削減できる

デメリット

・自社雇用ではないので長期的に働いてもらうことは難しい
・業務内容によっては利用できない

こんな企業の採用におすすめ 

・期間限定でスキルをもった人材を必要としている企業

8.採用イベント

求職者と接点を持つためのイベントなどを開催し、会場に訪れた求職者に対して直接会社の魅力や仕事のやりがいなどを伝えることで採用につなげていく求人手法です。イベント会場では、求人企業がブースを設置し、求職者は会場を回りながら興味を持った企業のブースを訪問し、採用担当者からの説明を聞くスタイルが主流です。第二新卒、UIターンを狙ったものやエンジニア限定といった職種を絞ったものなど、さまざまなイベントが開催されています。

メリット

・求職者に対して直接会社や仕事の魅力を伝えることでコミュニケ―ションを取れる
・会場を回遊している求職者に対して直接会社のアピールをすることができる

デメリット

・来場者数が少なかった場合、採用効率が悪くなる
・来場者のブース訪問率を上げるための事前準備に時間がかかる

こんな企業の採用におすすめ

・採用担当者のコミュニケーション力が高い企業
・経験やスキルよりもポテンシャルを重視した採用を行いたい企業

9.求人チラシ・ポスティング

求人のチラシやポスターを作成し、飲食店などであれば店内に掲示したり、店頭で配ったりなどで人材を募集する求人手法です。別途コストが発生しますが、新聞折り込みやポスティングなどで、多くの人に情報を届けることも可能です。

メリット

・コストがかからない(社内制作の場合)

デメリット

・大きな効果は見込みづらい

こんな企業の採用におすすめ

・採用予算を安く抑えたい企業

10.リファラル採用

在籍する従業員から知人や友人を紹介してもらう求人手法です。「リファラル採用」と呼ばれており、最近では多くの企業が取り入れています。自社の仕事や企業文化、候補者の人柄を理解している従業員が紹介するためマッチングの精度が高く、離職率も低い傾向にあります。

メリット

・採用コストが抑えられる
・転職市場には出現していない潜在的な人材に出会える確率が高い

デメリット

・紹介者の入社意欲にばらつきがあり、入社までに時間がかかる
・紹介者と候補者の人間関係に配慮する必要がある

こんな企業の採用におすすめ

・採用予算を安く抑えたい企業
・企業文化にマッチする人材を採用したい企業

※リファラル採用に関しては、以下の記事をご参照ください

リファラル採用が失敗する、ありがちな理由。成功させるポイントを紹介

11.タレントプール

自社が今まで接点を持った求職者の中から必要な人材を選択しアプローチすることで採用を実現させる求人手法です。「採用したい人材だが社内のポジションに空きがない」「入社の時期が合わない」といったさまざまな理由で採用見合わせになった候補者のデータベースを作成し、定期的にコミュニケーションを取ることで、再びニーズが発生したときに採用につなげることができます。

メリット

・マッチングする可能性が高い
・転職を考えている層に対してタイムリーにアプローチできる

デメリット

・採用までに一定の時間がかかる
・定期的にコミュニケーションを取る必要があり、工数がかかる

こんな企業の採用におすすめ

・時間がかかってもいいので、よい人材を採用したい企業

12.ダイレクト・ソーシング(ダイレクトスカウト)

企業が人材会社などに登録されている求職者情報に直接アクセスし、データベースの中から採用候補者を探します。そして人材の経歴などに合わせて仕事内容や自社の魅力を伝えるスカウトメールを送信し、採用へつなげていく求人手法です。ビズリーチや、ミイダスなどダイレクトリクルーティングに特化したサービスがあります。

メリット

・求人媒体や人材紹介に登録していない人材に出会える可能性がある
・効率的に活用した場合、コストが抑えられる

デメリット

・レジュメの確認、スカウトメールの送信など工数がかかる

こんな企業の採用におすすめ

・採用難易度の高い人材を採用したい企業
・自社で採用ノウハウを蓄積したい企業

ほかにも、採用活動の一部を社外に委託する採用代行RPO (Recruitment Process Outsourcing)と呼ばれるサービスもあります。採用業務をアウトソーシングすることにより、採用以外のコア業務である人事制度の策定、組織開発などに人事のパワーを投入できます。

Web媒体と人材紹介の基本情報

現在、一般的な手法となっている求人媒体(Webメディア)と人材紹介について、詳しく説明します。

求人媒体(Webメディア)、総合求人サイトと専門型特化サイトがある

幅広い職種を掲載している総合サイトと、女性をターゲットにしたサイト、第二新卒に多く利用されているサイト、IT・Web系の20~30代の登録者が多いサイト、アルバイトに特化したサイトなど、それぞれの領域に強みを持つ専門特化型サイトがあります。

求人媒体(Webメディア)の料金形態

広告掲載に対して料金が発生する広告掲載型(応募や採用がゼロの場合でも料金が発生します)と、応募や採用に対して課金していく成功報酬型があります。掲載期間は2週間、または4週間が多いです。また、料金は掲載期間と広告サイズによってさまざまで5万~180万円などとなっています。年間回数券や各種キャンペーンなど、各社ごとにプランを工夫しています。

求人媒体(Webメディア)への求人の出し方

担当営業と打ち合わせを行い、人材要件、出稿の時期、広告サイズやオプション機能を決めます。そして広告作成のための取材を行い求人を掲載します。

求人への応募が集まり次第、各媒体の応募者管理機能を使い、候補者と入社までのコミュニケーションを行います。企業担当営業・広告制作スタッフと良好なコミュニケーションを築き、自社への理解を深めてもらうことが大切です。

求人媒体を取り扱っている業者としては、運営会社と販売代理店(専属、総合)があります。以下でそれぞれについて解説します。

運営会社(直販)

運営会社は直販と呼ばれています。直販は自社のサービスに精通しているため効果を最大化させる提案やサポートが魅力です。

販売代理店

また販売代理店としては、一社だけと契約する専属代理店と、さまざまなメディアを扱う総合代理店があります。総合代理店では、メディアの組み合わせや職種による使い分けが可能です。

人材紹介の種類

人材紹介には、「一般・登録型」、「サーチ型」、「再就職支援型」の3つの種類があります。

一般・登録型

「一般・登録型」の人材紹介会社は、事務職や営業職など幅広い業種・職種を扱うリクルートエージェントなど幅広い業界・職種に対応する大手と、メディカル、IT、保育士など、特定の業種・職種を専門に扱う企業があります。

サーチ型

「サーチ型」はヘッドハンティングとも呼ばれ、自社のデータベースだけでなく、その人材紹介会社やキャリアコンサルタントの独自の人脈などを使って、求める人材を探していきます。

再就職支援型

「再就職支援型」は、事業縮小や人員整理時に活用されます。

人材紹介への依頼の仕方

人材紹介会社の選定

自社の募集ポジションに応じて、人材紹介会社を選定します。企業により企業対応(リクルーティングアドバイザー)と候補者対応(キャリアアドバイザー)が分業化されているケース(片面型)と、すべてを一人の担当者が行うケース(両面型)があります。片面型はそれぞれの担当者が効率よく動けるため、たくさんの候補者を推薦してくれる反面、双方の連携が課題となります。両面型は、一人の担当者に情報が集約され、企業理解・候補者理解を深めることができるメリットがあります。一方で、業務量に限りがあるため推薦者の数は限られてきます。

求人情報の記載

人材紹介は、まず求人情報に記載されている情報が候補者との接点になります。 そのため、求人情報には職場の雰囲気や企業文化を詳しく記載し、求職者が実際に働くイメージを持てるようにすることが大切です。また、人材紹介会社に人材要件を明確に伝えることも重要です。

自社に適した人材募集の見極め方とは

採用活動を成功させるためには、自社に適した人材募集の手法を見極めることが重要です。著者の経験上、複数の手法を併用していくことが望ましいと思います。

以下でいくつかのケースで考えてみましょう。

IT企業などで専門性の高い人材を採用したい場合

「人材紹介」+「ダイレクトスカウト」

その分野を得意とする人材紹介会社へ依頼するとともに、経歴を確認してオファーできるダイレクトスカウトを利用し、ほしいターゲットにアプローチします。

新商品拡販のため短期間で大量の人数を採用したい場合

「総合型求人サイト」+「人材紹介」

総合型求人サイトと人材紹介を併用し、多くの母集団を形成します。選考を効率よく進めるため個別に選考するのではなく、自社で説明・選考会を開催し、多くの候補者と一度に接点を持ち、説明会と選考会を同時に行うことで採用までの期間を短縮する方法もあります。

人材募集を成功させる3つのポイント

1.人材要件の明確化

採用する際の基準となる、どのような人材を採用するかについて言語化したものが「人材要件」です。自社の経営理念・ビジョン、現場からヒアリングした必要な経験・スキル、職場にマッチする人物タイプを合わせ、MUST・WANTなど優先順位をつけていきます。担当者によって解釈が異なることのないよう、具体的な言葉に落とし込んでいきましょう。

2.採用ターゲットに適した採用手法の選定

求めるスキル、採用人数などの採用難易度、採用コストや人事のマンパワーの有無、労働市場の変化を含めて総合的に判断することが大切です。

3.自社の強みを明確化

求人媒体の広告制作、人材紹介での求人情報の記載、面接といった選考過程で、自社の強み・魅力を候補者に分かりやすく伝えることが大切です。そのためには、企業力、組織・風土、仕事の魅力などに分けてそれぞれの魅力を言語化し、採用に携わるすべての人が共有していくことが大切になってきます。また、自社の強みについて改めて言語化することは、従業員が自社の魅力を認識するよい機会となります。

無料でできる注目の人材募集

Twitter、Instagram、LINE、Wantedlyといったソーシャルメディアを採用に活かす採用手法を「ソーシャルリクルーティング」と呼びます。

SNSで優秀な人材を採用する方法

各メディアによってそれぞれ特徴があるため、情報を発信する際には、採用したい人材が利用しているSNSや興味のあるコンテンツなどについて考慮することが大切です。また、自社で活躍している人材の紹介や、画像や動画を交えて自社イベントの雰囲気を伝えるなど、幅広い表現が可能な点もSNSの魅力です。

SNSで採用成功させるコツ

更新頻度を高くし、採用ターゲットにとって魅力的な情報を発信し続けることが大切です。またユーザーからの反応に対しては迅速に反応し、ファンを拡大していくことが重要です。さらにSNSから自社のホームページや求人情報へ誘導するなど、ほかの採用手法と連動させることも効果的です。

SNSで人材募集するときに陥りがちな失敗

SNSでの発信は気軽に行うことができるため、個人情報の流出や著作権侵害など、企業イメージを損なう投稿が行われる恐れがあります。情報発信を行う担当者を決め、事前の教育やガイドラインの設定、社内のチェック体制を整えるといった対策を講じ、リスクを管理をしていくことが大切です。

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