2023年10-12月期 転職時の賃金変動状況

更新日:2024年2月20日

リクルートエージェントにおける2023年10-12月期の「転職時の賃金変動状況」を報告します。「転職時の賃金変動状況」では“転職者の賃金は転職前後でどのように変化しているのか”という点に着目し「前職と比べ賃金が明確に(1割以上)増加した転職者数の割合」の経年変化を観察していきます。

サマリ

「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者数の割合」は35.0%
(2021年同期差:+3.5pt、2022年同期差:+1.6pt)

全体

10-12月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は35.0%。
新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年1-3月期を起点に大きく水準を切り下げたが、翌年
2021年1-3月期には概ね感染拡大前の水準に復した。以降、最高値※1を更新しながら上昇を続けている。
足元2023年10-12月期は前四半期に記録した過去最高値と概ね同水準にある。

※1「全体」の統計の始点(2002年4-6月期)以降の最高値。

職種別

ITエンジニア

10-12月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は39.3%。
2019年頃より幾分減速感が見られていたが、2021年に上昇基調に復し、足元2023年10-12月期は、
2023年1-3月期に記録した過去最高値※2と概ね同水準にある。

※2「各職種」の統計の始点(2008年4-6月期)以降の最高値。

機械・電気・化学エンジニア

10-12月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は31.6%。
2019年以降、下落基調が続いていたなか、2020年10-12月期を底として反発。以降は上昇基調に復し、
足元2023年10-12月期は、2011年4-6月期に記録した過去最高値※2と概ね同水準にある。

※2「各職種」の統計の始点(2008年4-6月期)以降の最高値。

営業職

10-12月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は33.9%。
新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年1-3月期を起点に大きく水準を切り下げたが、翌年
2021年1-3月期には概ね感染拡大前の水準に復した。その後、一時的に弱含むも、以降は上昇基調に復
し、足元2023年10-12月期まで、感染拡大前を大きく上回る水準での推移が続いている。

事務系専門職

10-12月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は32.0%。
2017年以降、弱めの動きが続いていたなか、新型コロナウイルスの感染拡大も重なり、2020年頃にかけ
ては幾分水準を切り下げた。2021年4-6月期以降は上昇基調に復し、足元2023年10-12月期は前四半
期に記録した過去最高値※2と概ね同水準にある。

※2「各職種」の統計の始点(2008年4-6月期)以降の最高値。

接客・販売・店長・コールセンター

10-12月期の「前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者の割合」は37.6%。
新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年1-3月期を起点に大幅に水準を切り下げたが、その後
は2020年7-9月期を底として反発し、2023年1-3 月期には過去最高値※2を更新。足元2023年10-
12月期も、引き続き、高い水準を維持している。

※2「各職種」の統計の始点(2008年4-6月期)以降の最高値。

■解説者:株式会社リクルート 特任研究員 高田 悠矢
2010年
日本銀行 入行
経済指標の推計手法設計や景気判断など、マクロ経済・金融領域における統計分析業務に携わる。
2015年
株式会社リクルート 入社(統合前はリクルートキャリア所属)
経営統括室、事業開発室、人事部、広報部を兼務し、戦略策定のための分析や、リコ
メンドエンジンの開発、人事課題に対する統計分析の適用、⾃社データを活用した経
済指標の作成・発信など、データ起点のさまざまな取り組みの企画・実⾏を担う。
2021年
Re Data Science株式会社 創業 / 株式会社リクルート特任研究員 就任
2018年より、総務省 統計改革実行推進室 研究協力者

調査概要

【算出方法】前職と比べ賃金が1割以上増加した転職決定者数/転職決定者数合計×100(単位:%)

  • 前職(転職前)の賃金は時間外労働等の「変動する割増賃金」を含む一方、転職後の賃金にはそれらが含まれないため 「前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者数の割合」は実態よりも低めの値となる傾向があります。