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フォローアップとは?具体的なやり方、タイミング、ポイントを解説

フォローアップとは

フォローアップとは、「特定の事柄を徹底させる、もしくは強化する目的で、効果や進展状況を定期的に確認し、目的を達成するための面倒を見る(フォローを行う)対応を行う」ことです。

ビジネスで使われるフォローアップとは

ビジネスでは、主にマーケティングと人事の分野でフォローアップという言葉が使われることが多いでしょう。

マーケティングにおけるフォローアップ

マーケティングにおけるフォローアップとは、一般的に、取引に関する問い合わせや商談を実施した相手、自社の商品やサービスを購入した相手などに対して後日連絡を入れて、状況の確認や新たな提案を行うことを指します。
契約の成立を促す、顧客満足度を向上させる、新たな購買に結びつけるなどの目的で使われることが多いでしょう。

人事におけるフォローアップ

人事におけるフォローアップとは、一般的に、新たに採用した従業員や教育訓練を実施した従業員などに対して、後日、本人の意識や教育訓練を受けたことの習得、発揮状況を確認し、それに対するアドバイスや新たな教育訓練を実施することを指します。

フォローアップが重要な理由

人事におけるフォローアップは、「従業員の能力を確実に向上させることで組織の生産性を高める」「従業員の帰属意識を高めることで社内に定着させる」ことを主な目的として行われます。

※生産性に関しては、以下の記事をご参照ください
【事例付き】労働生産性を向上させるには?計算方法や業界ごとの違いを解説

従業員の能力を確実に向上させる

従業員に対する教育訓練は、会社が必要としている成果を実現させるために行われることがあります。
そのため、まずは必要な能力を習得させた上で、業務を遂行する過程でその能力を発揮させる、という流れが一般的です。

しかし、習得したはずの能力を業務で発揮できないというギャップはどの組織にもあり得ます。
なぜなら、習得した能力を業務で発揮するためには、応用力を働かせる、状況に応じた創意工夫を行うなどの対応が求められるからです。
それらの感覚を身につけさせ、成果に結びつく能力発揮を促すためのフォローアップができれば、従業員の能力を向上させる要因となるでしょう。

従業員を定着させる

新たに採用した従業員が定着せずに辞めてしまった場合、企業は再度採用を行わなければなりません。また、定着させるための教育の見直しも必要になってくるでしょう。

近年は、新卒者を採用し、一から育てながら戦力化させる取り組みを行う中小企業も増えてきました。しかし、若年者の就労に関して「仕事が自分に合わなかったため」が離職理由の一位だったという調査結果もあります(※)。

※出典:内閣府「特集 就労等に関する若者の意識」

このような事態が起こることを防止するためには、本人の意思を把握してそれに合った能力を開発できるようにフォローアップを行い、定着化を促すことが対策の一つとして必要となるでしょう。

フォローアップの具体的なやり方

人事におけるフォローアップの具体的なやり方には、たとえば次のような方法があります。

  • 人事担当者によるフォローアップ
  • 上司によるフォローアップ
  • 先輩社員によるフォローアップ
  • 研修によるフォローアップ

それぞれご説明します。

人事担当者によるフォローアップ

人事担当者とフォローアップ対象者が面談する形式で行われます。
人事担当者が対象者から「現状における自社で働くことに対する意識」「労働環境上の問題点」「キャリアアップに対する希望」などをヒヤリングし、それに対してアドバイスを行うとともに、必要に応じて対象者の職場の上司にも報告します。

上司によるフォローアップ

直属の上司とフォローアップ対象者が面談する形式で行われます。
上司が仕事上での対象者の言動などを観察しながら、悩みや相談に耳を傾け、その都度解決方法をアドバイスします。
その中で、仕事の目標やキャリアアップを実現させるための具体的な方法などをアドバイスすることで、信頼関係も生まれてくるでしょう。

先輩社員によるフォローアップ

社内の先輩社員とフォローアップ対象者が面談する形式で行われます。
面談時に、先輩社員が対象者から悩みや相談を聞き、それに対して具体的なアドバイスを行うものです。このような対応を「メンター制度」といいます。
対象者が話しやすくするために、先輩社員は異なる部署の社員が務めることが一般的です。

※メンターに関しては、以下の記事をご参照ください
【人事必見】メンターとは?OJTとの違い、導入ステップ、成功させるコツを紹介

研修によるフォローアップ

入社してから一定期間経過した後に研修を実施する形式で行われます。
対象者が一堂に会し、入社直後に受けた研修内容の振り返りや定着の確認、悩みの解決や成功体験の共有などを行います。
社内で新入社員全員を集めて行うケースもあれば、社外の教育機関で他社の新入社員と一緒に研修を受けるケースもあるでしょう。

フォローアップを行う適切なタイミング

フォローアップには、日常的に行うべきものと一定期間経過後に行うべきものがあります。

日常的に行うフォローアップ

新入社員が抱える仕事上の悩みや課題は、その都度解決することが望ましいでしょう。
なぜなら、都度解決をすることで本人の成長速度が速まることが期待できるからです。
そのため、先輩社員によるフォローアップに関しては、対象者が相談したいときに都度実施することが一般的といえるでしょう。

上司によるフォローアップに関しても、成長の速度を速めるために、入社後1ヶ月間、毎日終業時刻前の10分間面談を行うというようなケースもあります。

一定期間経過後に行うフォローアップ

人事担当者によるフォローアップや研修によるフォローアップは、一定期間経過後に行うことがあります。筆者の知る限りでは、入社3ヶ月後、入社1年後のタイミングで行われていることが多く見られます。
入社3ヶ月後のフォローアップでは、社内の教育訓練や研修で学んだことを振り返り、定着できているのかを確認し、今後の仕事の進め方を整理するなどの内容で行われることが多いようです。
入社1年後のフォローアップでは、自己の成長度合いを認識し、今後の目標を立て、ステップアップしていくための道筋を整理するなどの内容が多く見られます。

これらの取り組みと連動する形で上司によるフォローアップを行い、日常の業務遂行に落とし込むための対応を明らかにすることができれば、効果が拡大していくでしょう。

フォローアップが上手くいかない理由

筆者の経験では、フォローアップが上手くいかない主な理由として、「フォローアップと人事評価が連動していない」「詰め込みすぎた内容で行っている」ことが挙げられます。

フォローアップと人事評価が連動していない

フォローアップは、対象者の成長を促し、その結果対象者が仕事上で成果を出し、評価されることで、取り組みとしての結果を生み出すと考えられます。
そのため、人事評価と連動していないフォローアップを行った場合、対象者が取り組むことへの意義を見出せず、良い結果につながらないこともあるでしょう。

※人事評価に関しては、以下の記事をご参照ください
人事評価制度とは?種類や基準の作り方など、コツを詳しく解説

詰め込みすぎた内容で行っている

内容を詰め込んだフォローアップを実施してしまうと、ついてこられなくなる対象者が発生し、本人のやる気が失われます。
そうなると、会社が目指すフォローアップの効果を得ることができなくなります。

※やる気の高め方に関しては、以下の記事をご参照ください
動機付けとは?ビジネスにおける「やる気」の高め方を徹底解説

フォローアップを効果的に行うポイント

筆者の経験では、フォローアップを効果的に行うポイントとして、「対象者がやる気を高めることのできる仕組みを作る」「対象者が話しやすい雰囲気を作る」「対象者が視野を広げられる環境を作る」ことが挙げられます。

対象者がやる気を高めることのできる仕組みを作る

対象者のやる気を高めるためには、本人が自身の成長を感じ取れる状況を作る必要があります。
それに関しては、PDCAのサイクルでフォローアップを行うことが効果的です。
自身が成長するための計画を立て、業務上で実践し、定期的に振り返りを行い、改善策を考えるまでの流れとなります。この流れを自分自身で取り組むように促すことで、対象者が成長を感じ取れるようになるでしょう。

対象者が話しやすい雰囲気を作る

フォローアップは、対象者が抱えている課題や悩みを解決しながら成長を促すことを目的としているので、対象者が話しやすい雰囲気を作る必要があります。
これに関しては、本題と関係のない話題で、対象者の気持ちを楽にして緊張をほぐすなどの対応を取ることが効果的です。

対象者が視野を広げられる環境を作る

対象者を成長させるためには、広い視野で物事を考え、自分自身で最適な答えを見つけ出すことを対象者に促す必要があるでしょう。
これに関しては、業務上でのつながりのない他部署の人と成功体験を共有したり、客観的な評価をもらえたりするような環境を作ることが効果的です。

採用した人材が活躍するかどうかは、採用企業のその後の経営に大きく影響します。
採用後、ミスマッチが起きれば採用や教育の見直しなどが必要になり、採用した人材が活躍すれば、企業が成長していくための道筋を描くことができるからです。
企業が成長するためにも、人材の成長をコントロールするためのフォローアップに力を入れる必要があるでしょう。