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山崎元のビジネス羅針盤

転職で失敗する5つの理由

2011年2月17日

世渡り一般の原則として、何でも弱気に考えるネガティブ・シンキングよりも、与えられた条件をチャンスだと考えるポジティブ・シンキングの方がいい場合が多いのだが、ものの仕組みを理解するためには、失敗のパターンを学ぶことが早道だ。今回は、転職で失敗する典型的な理由とパターンについてまとめてみよう。

筆者は、過去12回転職しているが、自分の転職の自己評価として7勝4敗1引き分け、というくらいに思っている。つまり、自己評価において失敗したと思う転職が4回はあるということだ。私の経験が読者の良い反面教師になると嬉しい。

その一

転職で失敗する最大の理由は、仕事の内容の確認が不十分であることだ。転職した先で、実際に自分がどのような仕事をするのかについて十分確認せずに転職した場合、仕事の内容に期待と現実の大きなギャップがあって、これに耐えきれなくなる場合が少なくない。
転職先で、自分が具体的な仕事としては何をするのか、どんな部署の、誰の監督下で仕事をするのか、といったことについて、できるだけ具体的に確認しておくことが是非とも必要だ。
しかし、求職者の側では、会社のブランドイメージのみで転職を評価したり、勝手に自分がやりたい仕事が出来ると思い込んだりする場合が少なくない。仕事に対して勝手な印象を持って入社しても、自分が関わる仕事がこの印象通りでない場合が多く、最終的には職場に対する不満につながってしまう。
また、求人側でも、人手を確保することに関心が集中して、求職者が何をやりたいのかを十分確認しないまま採用だけを先行して決めてしまう場合がある。この場合、求職者側でも採否のプレッシャーから早く解放されたいという心理が働くので、結局、求人側と求職側とが仕事の内容について別のイメージを持ったまま転職が決まる場合が少なくない。
「仕事の具体的な内容は、入社してから相談しましょう」というような了解で転職すると失敗の転職になる確率が大きい。求職者の立場から厳しい言い方をすると、募集している職の具体的なイメージをきちんと説明できない会社ないしマネージャーは、上手に人を使うことが出来ないのだと考えて敬遠すべきなのだ。会社のブランドイメージや報酬などに釣られて転職すると後悔する。

その二

転職後に自分を後見し指導してくれるような立場の人がない場合、或いはその人との相性が悪い場合も転職で失敗しやすい。
中途採用の場合、通常は、部下を採用したいマネージャーが採否の意思決定権を握り、その採用に対して責任を持つ形になることが多い。自分の採用を決めてくれる人物は、転職先における「親」のような存在になる。
転職者は時に孤独だし、注目されやすい分ストレスも感じやすい。仕事のあれこれを相談できるような「親」がいない状況で働くのはストレスが大きい。また、仮に転職の「親」的な人物がいるとしても、その人物との相性が悪い場合には、職場が楽しくないものになる公算が大きい。

その三

急いで決めた転職も失敗になる場合がしばしばある。転職しようと思う理由として、現職場の人間関係などが不快であるケースがかなりの割合を占めるが、こうした場合、早く現職場から足抜けしたいと思うあまり、転職候補先を必要以上に美化する場合が少なくない。慌てて転職を決めて、入社してから「こんなはずではなかった」と思ってまた転職しようと思う、という悪循環に入る可能性がある。慌てて転職を決める傾向のある人は注意して欲しい。
転職先で自分がどんな仕事をするのかを具体的に思い浮かべ、且つ、自分は今回の転職に何を求めているのか、ということを十分自問してから転職を決めるべきだ。転職に求めるものは、やりたい仕事、レベルアップした仕事、より多い収入、より良い職場環境、望ましい生活スタイルとの両立など、人によりケースによって様々だが、自分が少なくとも何を達成しようと思って転職するのかをはっきりさせておくことが重要だ。

その四

主に経済的な条件であることが多いが、転職の際に条件面をきちんと確認せずに、入社後に「期待と違っている!」と思うような場合がある。これは、入社前に条件をしっかり確認していないことが悪いのだが、金銭面の条件については、何となく話しにくい気分になる場合が少なくないので、十分気をつけておきたい。
同じ条件で働くにしても、入社前から納得ずくの条件で働くのと、入社してみてはじめて待遇を知るのとでは気分が違う。「これはちがう」と思う拘りは、仕事のモチベーションにも悪影響を与える。プロフェッショナルとしては、多少話しにくくても、経済的な条件をしっかり確認することが重要だ。ベースとなる給料、ボーナスの水準と決まり方、有給休暇、年金・退職金の規程、その他自社株の持株会の条件など、確認すべきことは少なくないので、入社の前にはっきり知っておくように努力したい。

その五

職場環境が合わない場合も失敗になりやすい。具体的には、人間関係が快適でなくて、「失敗した!」と思う場合が少なくない。
面接などの機会を通じて、職場の同僚や上司についてできるだけ知っておきたいところだが、面接で話すのと、実際に仕事で関わるのとでは、雰囲気が違う場合も少なくないので、率直に言って、この部分に関しては「運」の要素が大きい。入って、実際に働いてみないと分からないことが多いのだ。
とはいえ、人生は、不確実性を恐れていては何も出来ないものなので、選択にベストを尽くしつつも、実際に新しい職場に入ってみるしかない。
この場合、先に述べた転職の「親」のような立場の人と共感しあえる良い関係を作ることが出来れば、職場環境について相当に我慢が効く。「この人と働きたい!」と思えるような人と働くこと、そういう人物を見つけることに注力することと共に、冒頭に述べたように、仕事の内容をしっかり確認して決定することが、転職での失敗を減らすポイントになる。

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