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コラム転職徒然草 - 転職する理由編

統合疲れ (2013年9月4日)

金融グループA社で働くMさん(37歳)は、なかなかユニークなキャリアを持っている。

入社から数年後、親会社の合併により、A社も他社と統合されることになり、総務部に配属されていたMさんは社内規約やクライアント向けのサービス統一のためのプロジェクトチームにアサインされることになった。5年間、その業務に専従したあと、今度はアライアンス企業とのサービス内容の線引きや契約書の策定に携わる。社内か社外かという違いはあるが、複数の会社の業務をまとめあげるという意味で、キャリアが継続したわけだ。

Mさんの統合業務はさらに続く。数年前、海外の金融グループから日本支社の一部を営業譲渡され、スムーズなサービス継続のための社内調整役となった。
それまでのキャリアが認められ、このときは実務のサブリーダー役として活躍、大いに力を発揮したようなのだが…。

我々のところにやってきたMさんは、キャリアの話を終えると
「本音を言いますと、もう統合の仕事はしたくないのです」
と、切り出してきた。
「そうなんですか?しかし、Mさんのキャリアの一番の強みですよ?そこを外してしまうのは…」
「この仕事は板挟みの連続。しかも、だれからも感謝もされず、損な役回りなんですよ」

統合業務では、双方のメンツやエゴが激しくぶつかる。本来なら『両社の良いとこ取りをして、サービス改善をする』ことが出来るはずなのだが、原則通りに物事が進むことは滅多にない。それどころか、『悪いところ取り』になってしまうことすらあるのだとか。
「良くなったというけれど、こんなに急にサービスを増やしてしまったら、お客様が対応できない。サポートセンターの身にもなってくれ」
「どうして格下の会社の仕様に合わせないといけないのか?こちらの方が認知度が高いのだから、向こうに合わせさせろ」
といった理由で反対が出てくるのは、まだ良い方。

「仕事(利益)はこちら、責任は向こう。そういう線引きをしなくちゃ。それを上手くやるのが君の仕事だろう?」
「30年前、社長が作ったものが跡形も無くなっているじゃないか。いや、本人が残せと言っているわけじゃないが、そこは気を利かせるところだよ」
といったメチャクチャな理由で改悪を迫られることも多々あるのだ。

こうしたいろいろな圧力と戦い、どうにか妥協点を見つけて形にしても、大半の社員からは
「どうして今まで通りに出来ないの?仕事を増やさないで欲しい」
「わかりにくい。経営陣の主導権争いの結果、中途半端なものができたのだろう」
といった反応しか返ってこない。

Mさんが今回、転職を考えるようになったのも、統合業務のなかである役員の言い分を通さなかったために、人間関係をこじらせてしまったからだという。
「その人のメンツをつぶそうと思ったわけではないんですよ。『あちらを立てれば、こちらが立たず』でやむを得ず…。しかし、そこを分かってくれる人がいないんです」
細かい話を聞くと、統合業務の不条理さは聞きしに勝るものだった。石を積んではそれが壊される賽(さい)の河原のような日々。「何のために仕事をしているのか分からない」というMさんの主張ももっともだと感じるのだが、問題はそれを転職で解決できるかどうかである。

「お話はよく分かりましたが、今の時代、どの会社でも統合ということは起こりえると思うのです」
「…たしかに。でも、たとえば寡占が進んでいて、これ以上の統合は考えにくい業界もあるでしょう?」
「そうした会社でも、事業拡大に伴う事業買収のようなことはあり得ますよ。統合関連の仕事は、Mさんのキャリアの主軸になっていますから、いざとなったらMさんに白羽の矢が立つのは間違いないでしょう」
「やはり、そうですよねえ」
「統合業務の実績をアピールして転職する場合、そうでない場合では選択肢の幅も大きく違ってきます。正直なところ、年収面にも響いてくるかもしれません」
「なるほど…。少し、考えさせてください」

こうして、2か月ほど月日が経過したのだが、最近になってMさんから「統合業務を積極的にアピールして、転職活動してみたいと思います」という連絡が届いた。
そういうことなら早速と、会社紹介を始めた我々だが、Mさんの心境の変化が気になり、その点を聞いてみると、こんな返答があった。

「考えたのですが、統合というのは、いわば結婚のようなもの。たしかに理不尽なこともありますし、妥協の連続ですが、それもポジティブな目的のためです。少なくとも、離婚よりはずっとマシなんだなと痛感いたしました」

行間を読むと、どうやらMさんのプライベートに変化があったらしい。残念なことではあるが、そのことで自分のキャリアに自信が持てたのなら、人間万事、塞翁が馬と思うよりほかあるまい。

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