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コラム転職徒然草 - 採用する側の論理編

ダイバーシティ採用 (2013年9月11日)

知名度のない企業や新興業界の会社は、募集をかけてもなかなか人が集まらない。そのため『業界未経験者歓迎』『類似する業務の経験があれば可』などと条件をゆるめ、できるだけ間口を広くして採用を行うことが多い。

逆に言えば、人気のある大手企業は、業界経験者限定・業務経験者に絞って採用を行うのが通例であった。ところが、最近になって、有名企業・大企業が「むしろ積極的に異業界の人を採用したい」「業務未経験者でも、素養があれば構わない」と言い出すようになっている。

その背景のあるのはダイバーシティマネジメント。多様な人材を取り込むことで組織の優位性を保とうとする考え方だ。
「プロパー社員だけでは、どうしても考え方が画一的になりがち。キャリア採用で定期的に外部から人材を迎えることで、組織としての多様性を確保する」
というのが、経営サイドの人事戦略なのだが、現場の人事は苦労も多いようである。

商社A社の人事担当Kさんは、面接で手痛い経験をしていた。経営企画の求人に応募してきた大手金融グループ勤務の候補者に対して、担当部署の本面接前に、Kさんが一人で簡単な質疑をしていた時のこと。
仕事の説明のなかで、分からない言葉があったので、Kさんはなんの意識もせず、
「○○○というのは、何ですか?」
と、たずねた。すると、その候補者は驚きの表情をみせ、「失礼しました。私たちの業界で使われる言葉で…」と口では言いながら、『こんな基本用語も知らないようで大丈夫なのか?』と言わんばかりの視線を送ってきたのだ。

後日、この候補者は「A社に私の経験を理解してもらえるか、不安があった」という理由で選考を辞退。
Kさんは「他の要因もあるかもしれないが、あの時の呆れたような顔、それからこちらを値踏みするような視線は忘れられません。最有力候補だったのに…。私のせいでA社にマイナス印象を持たれたのは間違いないでしょう」と、自身の失態を嘆いた。

さまざまな職種を取り扱うのが人事の仕事だが、会社の業務すべてに精通しているわけではない。募集要項の記載が妙に的外れであったり、面接で意味のない質問をしてしまったり、選考に携わる者は少なからずそうしたミスを犯しているものだ。特に大手企業の場合、職種は多彩で、すべてを把握するのはとても無理であろう。

まして、分野の違う金融業界からやってきた候補者の使う専門用語が理解できなくても、責めることができない。
しかし、今、A社が採用しようとしているのは会社の中核になることが期待されるキャリアエリート、当然、仕事にプライドを持っている人が多い。面接に行って、自分が普段使っている言葉を分かってもらえないとなると
「この会社は、本当に自分に興味があるのだろうか?自分を必要としているのだろうか?」
と疑問を持たれてしまうのも事実だ。

本面接前に、人事が簡単な聞き取りをするのがA社の選考手順なのだが、Kさんは異業界からの応募者に対しては、うかつに質問できないので四苦八苦していると、我々にこぼしていた。

「先日は、コンサルティング会社からの面接に来た方がいたのですが、おしゃべり好きな方で、こちらが聞いていないようなキャリアの細かい点まで熱心に話してくるんです。
同じ失敗を繰り返したくないですから、分からない単語が出てきても、極力、聞き返さないようにしていたのですが、『あぁ、この言葉はこの業界でも通じるのだな』と思われたようで、本面接でも専門用語を連発、そのせいで会話の流れが悪くなってしまいました」
「聞いてもダメ、聞かなくてもダメ、では打つ手がありませんね」
「私の方で、応募者の方の仕事を下調べしておけばいいのかもしれませんが、次から次へと、いろいろな業界の方がきて、事前勉強も追いつきません。そもそも、付け焼き刃の知識で質問したり、あいづちをうったりしても、見抜かれてしまうでしょうし…」
Kさんの愚痴は、なかなか止まなかった。

人事Kさんが根掘り葉掘りは聞きづらいと感じているのと同様、転職者の方も、どうやって自分をアピールするか悩ましいところがある。プライドの高い大企業の管理職に、必要以上に丁寧な説明は見くびっていると思われてしまうし、逆に専門知識をひけらかすような態度も好感は持たれまい。

ダイバーシティという経営思想によって、有名企業でのぎこちない面接は、これからどんどん増えていくことになりそうだ。

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