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コラム転職徒然草 - 転職ノウハウ編

安定志向はいらない (2013年8月28日)

盛者必衰の理とはよく言ったもの、ほんの数年前、求人を出せば応募者が殺到していた大手企業が、なにかのきっかけでアッという間に経営危機に陥り、人減らしのリストラをしている…、そんな例も珍しくなくなっている。
大手企業も決して安全とは言えない時代、誰もが分かっていることなのだが、いざ自分が転職となると、転職者はキャリアを磨くことより、『寄らば大樹の陰』という考えになりがちだ。

一方、採用する大手企業の人事には、『安定志向の転職者はいらない』と言うところが少なくない。
「自分でビジネスを切り開いていく気概を持った人材でなければ」
大手金融サービスA社の人事担当者は、ここがポイントとばかり語気を強めた。
「極論すれば、自分で起業しようかと思っているような人が理想です。やりたいビジネスがあって、自分一人でやるか、それともA社というプラットフォームを利用してやるか、そこで悩むような人が良いんですよ」

A社の人事は、プロパー社員が組織人として完成されてしまって、なかなか殻を破ってくれるような人材が出てきてくれないと嘆いていた。
「会社としても手を打っていないわけではないんです。新規部署の社内オーディションをかけてみたり、中間管理職での抜擢人事を増やすことを発表したり。ただ、長年、ミスをしないことが第一とされる、いわゆる減点法の人事評価が続いてきましたから、急に真逆のことをしろと言われても、対応しきれないのも無理はないんです」
「その部分を補う人材が欲しいということですね」
我々の言葉に、A社人事は大きくうなずいた。

似たような趣旨で採用を行う大手企業は他にもあるが、A社の場合、特に安定志向の応募者を嫌う傾向が顕著だった。面接のなかで、少しでも安定を匂わせるようなことを口にしようものなら、すかさずチェックが入ってしまうのだ。

例えば、A社に対する印象を聞かれ、
「やはり、最初に思いうかぶのは伝統とそれに付随するブランドの力です」
などと答えると「第一に浮かぶのが伝統というのは、保守的な考え方の露れ」との評価。

別の候補者が、A社に入った後の仕事の展望を聞かれ、
「今は、会社の十分な後押しがないなか、数名だけで仕事をすすめています。A社ならばより良い環境で仕事が出来るので、すぐに倍以上の成果が出せるでしょう」
と抱負を述べると、
「A社のバックアップを期待する発言は、本人の自信のなさのようにもとれる」
との苦言が出てくる。

また、入社時期についてのやりとりで、いつ頃入社できるかを問われた応募者が
「今の仕事は一ヶ月あれば、なんとか引き継ぎができると思います。家族は、A社に転職となれば大賛成でしょうから、説得の必要はありませんしね」
と、A社を称えるつもりで言うと、「安定志向をうかがわせる」とやはりマイナスポイントに。

我々は、いくらなんでもセンシティブすぎるのではないかとそれぞれに反論を試みた。
「A社のイメージは伝統ある大手企業というのは一般的な見方。ご本人の性格はキャリアを見て判断すべきでは?」
「現職の思い通りにならない状況から出てきた発言。倍以上の成果を出すという発言は、自信が無ければ言えないでしょう」
「ご家族があるのだから、ある程度の安定を求めるのは当然だと思いますよ。保険を掛けずに突っ走るようなタイプでは、逆に困るはず」

それでも、A社人事は同意してくれはしなかった。
「エージェントさんのおっしゃることが常識的な判断なのかもしれませんが、今のA社に必要なのは、キャリア・能力があり、同時に少し型破りなところがある人材なんですよ。彼らの言葉には、その逆の傾向がみてとれます」
どの候補者も、上の一言だけで不採用が決まるということは無かったが、選考上プラスになっていないのは明らかである。
ベンチャースピリットを持った人材をほしがる大手企業の選考の場合、相手企業を好意的に表現したつもりの一言が、逆に評価を下げてしまうことがあるのだ。

ただ、一連のやりとりを振り返ってみると、A社人事が、自戒していた減点法で転職者をみているのが如実にあらわれていて、妙な気分になってくる。
「実は、人事こそ変わるべきなのでは?」との疑問も湧くものの、取りあえずは、このハードルを越えなくては内定がとれないのだから、面接を受ける側としては対応していくしかあるまい。

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