
転職を「成功した人」と「失敗した人」は、それぞれどんなきっかけで、どんな方法で転職活動を進めたのでしょうか。
ここでは、転職にまつわる成功・失敗事例を通じて転職活動を上手に進めるコツをご紹介します。
上場会社でのキャリアを積みたい
転職事例:木村さん(32歳) |
前職は社員数名の小規模な会計事務所の会計士。アットホームな職場環境には満足していましたが、キャリアアップのために上場会社の経理をやってみたいという強い思いと、それに伴う年収アップを望んでいたため、転職活動をスタートさせました。
早速リクルートエージェントに登録し、面談に向かったのですが、キャリアアドバイザー(CA)さんからは「無理とは言いませんが、かなり難しいご希望です」と言われてしまいました。戸惑う私に、CAさんはその理由として以下の3つを挙げたのです。
まずは、基本的に上場会社の会計基準や会計処理を知っている人を対象に求人していること。次に、個人事業主や中小企業などの数百~数千万円単位の経理経験しかない人は、優秀ではあっても上場会社の何十億円という数字を扱うことに慣れていないため敬遠されること。最後に、20代であればポテンシャルでの採用もあり得るが、30代となると実務経験と、それに基づいた部署内でのリーダー的役割が求められるということです。
厳しい現実を突き付けられて納得する半面、それでも受けてみないと分からないではないかという思いも残ったため、CAさんから上場会社の求人をいくつか紹介してもらって応募してみることに。
結果は、残念ながらCAさんの言う通りでした。すべて書類選考の段階で落ちてしまったのです。
転職成功のポイント!
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上場前の会社への応募という選択肢

数社の選考に全て落ち、厳しい現実を思い知った頃、CAさんは新たな提案をしてきてくれました。
それは、上場準備中の事業会社への転職です。「会計事務所から事業会社への転職自体がまずキャリアアップに繋がりますし、この会社が上場を果たせば、自ずと夢が叶うことなります」。
既に上場している企業への転職が難しいと知った今、とてもいい話だと思いました。でも、上場を準備しているのなら、上場企業出身者を欲しがるんじゃないだろうか?そんな私の懸念に対して、CAさんは、こう返してきたのです。「そういう企業ももちろんあるかと思いますが、この会社は上場企業で細分化した業務の一つをやってきた人よりも、小さい規模であれ、会社全体の経理を担当してきた人材を欲しがっています。つまり、あなたのようなキャリアの方を求めているということなのです」。
一旦転職を諦めかけ、沈んでいた気持ちが再び盛り上がってきました。私は、CAさんに、この企業にチャレンジする意向を伝えたのです。
転職成功のポイント!
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入社後のやりがいに大満足
職務経歴書の書き方はもちろん、面接力向上セミナーなどを積極的に受けながら、これまで会計事務所で培った自分の強みをアピールする力を磨きました。
書類が通り、迎えた面接では、これまで企業の全体を見てきたという強みのアピールや、上場会社で経理をやりたいという夢についてしっかり語ることができ、先方から「いっしょに夢を叶えたいですね」という共鳴の声をもらうことができました。
数日後、合格の連絡が来ました。夢に大きく近づいた気がして嬉しかったですね。CAさんの意外な提案から始まって、すべて満足できる結果に繋がりました。
今、上場に向けて多忙な毎日ですが、同時に充実感を持って仕事に取り組めています。これはCAさんからよく言われたことなのですが、転職は入ることよりも、入社後にどれだけ活躍し成長できるかが大切だということを、ひしひしと実感していています。
担当キャリアアドバイザーより木村さんは会計士として高い能力をお持ちでしたが、希望の上場企業への転職は困難なものがありました。しかし、だからといって諦めることはありません。 今回、私が提案したのは上場準備中の事業会社への転職。ここなら事業会社でのキャリアが積める上、上場までのプロセスが体験でき、上場した暁にはしっかりと夢が叶うので、木村さんにとっては理想的な転職になると考えたのです。そして、この提案は、ご本人にも納得いただけ、素晴らしい結果を生みだすことができました。 |