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転職で後悔したくない…|よくある後悔パターンと対策【失敗事例つき】

転職 後悔

「転職したいけれど、後悔したくない」「転職に失敗するのが怖い」と考え、転職活動に踏み出せないまま悩んでいる人もいるでしょう。今回は、転職活動で後悔する人のパターンや対策、後悔しないためにやっておきたいことなどを人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント粟野友樹氏に伺いました。失敗事例や、すでに後悔している人にお勧めの対処法なども紹介するので、今後の転職活動の参考にしてみましょう。

選考で失敗して後悔する人のパターンと対策

「転職で後悔したくない」と思っているなら、まずはどのような後悔パターンがあるのかを知り、対策も把握しておくことが大事です。ここでは「選考で失敗して後悔するパターン」を解説し、それぞれの対策も紹介していきます。

応募書類で自分の強みをアピールできていない

多くの企業に応募しても、書類選考になかなか通過できずに自信を失ってしまうパターンは少なくありません。選考に通過しない要因としては「応募書類で自分の強みをアピールできていない」「最初に作成した応募書類の内容をそのまま使い回している」などが挙げられるでしょう。

対策

応募書類には、これまでの職務経歴をただ書けばいいわけではありません。自分の強みを明確にし、その企業・職種のどのような領域で貢献できるのかを伝えることが大事です。
応募企業の仕事の進め方や経営理念などの情報収集をきちんと行い、自分が発揮できる強みと貢献できることを考えた上で、アピールする内容を整理すると良いでしょう。また、書類選考に落ちた際には、どのように内容を改善したらいいのかをきちんと考えることも大事です。書類の内容をブラッシュアップしていくことで、選考の通過率を高めることができます。

志望動機に具体性がない

イメージだけで企業を選んだり、給与・待遇・ワークライフバランス・福利厚生などの条件面のみに魅力を感じて志望したりするパターンです。その企業で働きたい思いに説得力がないため、面接選考に通過しにくいと言えるでしょう。

企業や仕事に対する憧れのみで応募している場合は、ミスマッチによる早期離職を懸念される可能性があります。また、条件面のみで志望している場合は「ほかの企業でもいいのでは?」と受け取られ、入社意欲や定着性などに疑問を抱かれることもあるでしょう。

対策

自分のこれまでの経験・スキルや仕事に対する価値観などを含めて、説得力のある志望動機を書くことが大事です。まずは自己分析で自分が転職先で実現したいことを明確にしましょう。その上で、応募先の企業研究を行って「その企業でなくてはならない理由」を整理してまとめることがポイントです。

応募企業が求める経験・スキルにマッチしていない

キャリアの棚卸をしていないことで、自分の経験・スキルのレベルや発揮できる強みを把握できていないパターンです。求める人材像にマッチしていない企業に応募すれば、選考に通過する確率も低くなります。20代などの若手層の場合は、ポテンシャル採用を行うケースも少なくはありませんが、企業が求める経験・スキルの水準を満たしていない場合は、書類選考を通過できず、面接選考までたどり着けない可能性もあります。

対策

自分のキャリアの棚卸をしっかり行った上で、転職市場の相場観なども把握し、どのような企業に採用の可能性があるのかを考えることが大事です。現状の経験・スキルにマッチしていない企業や職種を目指したい場合は、まずは必要な経験・スキルを身につけられる企業に転職し、能力を高めてからチャレンジした方が採用の確率を高められるでしょう。

希望を満たす転職先が見つからない

転職先に求めることが多く、全てを満たす企業を探し続けているパターンです。面接選考に進み、内定を得ても「自分の希望とは違う」「もっといい企業があるはず」と考えてしまい、マッチする転職先が見つからないまま転職活動が長引くケースも少なくありません。

対策

大前提として、全ての希望を満たす企業が見つかる可能性は低いと考えたほうが良いでしょう。自分が転職先に求めることに優先順位をつけた上で、応募先の候補となる企業を比較・検討することが大事です。

応募企業を限定している

応募企業を大手企業などに限定していたり、第一志望の企業のみに絞って活動していたりするパターンです。人気のある企業の場合はライバルも多いため、選考になかなか通過しないケースも多くあります。また、1社のみに絞った活動をする場合は、選考に落ちてから再度スタートするため、活動が長引きやすいと言えます。落ちた後のショックも大きくなり、立ち直るまでに時間も掛かってしまうでしょう。

対策

転職活動では複数の企業に応募し、選考を並行することが非常に大事です。応募社数を増やすことで、面接のスキルが向上して受かりやすくなるケースもあります。また、複数の企業の選考を受ける中、それぞれの条件を比較・検討することができるため、マッチする企業が見つかりやすくなるでしょう。

「今の仕事をやめたい」だけが転職したい理由になっている

やりたいことがわからずに「とにかく今の仕事をやめたい」と考えているパターンです。転職先で実現したいことが明確になっていないため、転職先に求める希望条件もはっきりしていないと言えます。「とりあえず目に留まった企業だから」と応募してみたところで、志望動機や自分の強みが明確でないため、企業も「入社意欲があるのか」「活躍できる人材なのか」を判断しにくく、なかなか採用に至らないでしょう。

対策

「今の仕事を辞めたい」という思いを転職のきっかけとすることに問題はありませんが、自己分析をしっかり行い、転職先で実現したいことを明確にすることが大事です。やりたいことがわからない場合は、自分の経験・スキルを活かせる企業・職種などから探してみることもできます。

会社を辞めてから転職活動を始める

「やめてからの方が転職活動に集中できる」「今の仕事をとにかくやめたい」と考えて、転職活動を始めるために会社を辞めてしまうパターンです。収入に不安があるため、転職先が決まらないことに焦りを感じ、早く内定をもらった会社に入社した結果「自分には合わない」と感じて後悔するケースも少なくありません。また、転職先がなかなか決まらず、活動期間が長引いて後悔するケースもあります。

対策

転職活動と現職の仕事を並行することが大変だと感じて会社を辞めてしまうケースもありますが、焦って自分に合わない会社を選ぶ可能性もあることを理解しておきましょう。会社を辞めなければ安定した収入を失わずに済むため、納得のいく転職先が見つかるまで活動を続けることも可能です。また、希望に合う転職先が見つからなかった場合には、現職の会社にとどまることもできます。

転職先の選択で後悔する人のパターンと対策

転職先がスムーズに決まっても、入社後に「失敗した」と感じて後悔するケースは多くあります。ここでは、転職先の選択に失敗し、後悔する人のパターンと対策を紹介します。

社風・企業文化になじめない

仕事内容や給与・待遇などの条件のみを重視して転職先を選択したパターンです。入社後、社風や企業文化が合わないと感じ、働くことが辛くなって後悔するケースは少なくありません。前職と比べて給与や待遇が良くなった場合でも「毎日働く職場の雰囲気が合わないことが辛い」「会社の考え方と自分の価値観が合わず、仕事にやりがいを感じられない」などと感じて、再度の転職を目指すケースもあります。

対策

社風やカルチャーをつくり上げるのは、その企業の「理念」「価値観」なので、応募前や内定承諾の前に、企業理念や「ミッション・ビジョン・バリュー」をきちんと確認しておくことが大事です。企業の採用ページで経営理念や先輩インタビュー、経営者のインタビューなどをチェックし、共感できるかどうか考えてみることがポイントです。また、内定を得た後に、職場見学や先輩社員との面談などを設定してもらうこともできるので、自分の目と耳で確かめてみるとより安心できるでしょう。

仕事の進め方になじめない

応募する職種・仕事内容について、仕事のスタイルや進め方などの情報収集をしていないパターンです。例えば「チームワーク重視」「個人の成果主義」など、企業や職場によって重視していることは違うものです。同業・同職種に転職した場合でも、働き始めてから前職との違いに気づくなどの失敗パターンはあります。入社後に「自分の能力を発揮できない」「自分に合わないことでストレスが溜まる」などと感じて後悔するケースは少なくないでしょう。

対策

業種・職種は同じでも、仕事のスタイルや進め方は企業によってさまざまなので、確認しておくことが大事です。企業によって、上司の指示や顧客の要望を受けて対応することが得意な「受け身型」、自分のアイデアと裁量で行動を起こしていきたい「攻め型」などがありますが、自分にマッチしていることがポイントだと考えましょう。

企業の採用サイトで先輩社員インタビューをチェックする方法があります。中途採用のページで見当たらない場合でも、新卒採用のページに掲載されていることはよくありますし、仕事の流れの解説などが掲載されているケースもあるので、そちらも参考にしてみると良いでしょう。また、面接の場では、具体的な仕事の進め方、個々のメンバーが任せられる範囲などについて確認することも大事です。

仕事内容や雇用条件などが思っていたものと違っていた

応募前や内定後に、仕事内容・労働環境・雇用条件などをきちんと確認していないパターンです。求人情報に掲載されている内容や条件のみしかチェックせず、入社後に「思っていたものと違う」と後悔するケースはよくあります。また、求人情報に記載された給与額を見て「現職よりも条件がいい」と考えて転職した結果、手取りと額面の違いを理解していなかったために「思っていたより少なかった」と後悔するケースもあります。さらに、内定後にも、最終的な雇用条件をきちんと確認せず「入社前の条件と違う」と後悔するケースもあります。

対策

企業の採用サイトで情報収集したり、面接の際に労働状況の実態などを確認してみたりすることが大事です。同じ職種でも、企業によって仕事内容や役割が異なるため、自分が抱いているイメージと実際の仕事にギャップがあるケースは少なくないものです。同業・同職種に転職する場合でも、思い込みを捨てて具体的な仕事内容を確認しましょう。

また、ベンチャー企業などの場合は、事業方針の変更スピードが早く、事業撤退や新規事業の立ち上げなどで配属先が変更されるケースもあります。希望する職種でキャリアを積んでいきたいと考えている場合は、面接時に「その部門・職種に必ず配属されるのか、変更・異動の可能性はあるのか」をきちんと確認しておくことが大事です。

さらに、内定後には必ず「内定通知書・条件通知書」を発行してもらい、各種条件面が事前の話と異なっていないか確認することを忘れないようにしましょう。

職場の人間関係になじめない

職場の雰囲気や人間関係などをきちんと確認していないパターンです。配属先の職場で特定の人を苦手とするケースもあれば「体育会系のような上下関係に厳しい規律があることが苦手」「個人の成果主義のもと、競争しなくてはならない風土が合わない」など、人間関係におけるルールや風土が合わないと感じて後悔するケースもあります。

対策

企業の採用サイトなどで職場の風土を調べておきましょう。また、面接の場で「職場では、社員同士が名前や役職で呼び合っているのか」「どのような言葉づかいをしているのか」などを質問し、そこから社員同士の関係性へ話を広げて探ってみる方法もあります。「前の会社は○○な雰囲気があり、△△などの場面でやりにくさを感じたのですが、御社ではいかがでしょう」など、具体的な質問をしてみても良いでしょう。

内定後には、配属先の複数名のメンバーと面談を設定してもらったり、職場見学をさせてもらったりすることもできます。リアルな雰囲気を掴むために役立てると良いでしょう。

キャリアの方向性が合わない

キャリアの方向性を明確にしないまま企業を選択したパターンです。入社後、自分のスキルを発揮できなかったり、仕事にやりがいを感じられなかったり、成長できる環境や目指すキャリアを実現できる環境がなかったりして後悔する人は少なくありません。キャリアの棚卸をきちんとせず、これまでの経験・スキルを活かせない転職先を選べば、入社後に思うような活躍ができない可能性もあります。また、年収アップやワークライフバランスなどを重視した結果、転職後の仕事そのものにやりがいを感じられずに後悔するケースもあるでしょう。

対策

転職先で身につく経験やスキルは、今後のキャリアへとつながっていく重要なものです。成長できない環境や、自分がイメージする将来と大きく違うキャリアパスしかない企業を選べば、時間を無駄にしてしまう可能性もあると考えましょう。

条件面を重視している場合でも、自分が目指したいキャリアの方向性をしっかり考えることが大事です。その上で、面接の際には「自分のキャリアビジョンを実現できるようなキャリアパスがあるのか」「目指す仕事を任せてもらえるまでにどのくらいの時間が掛かるのか」「社内において、自分の求めるキャリアを実現した実例はあるのか」を聞いて、入社後の実現性を確認すると良いでしょう。

求められるレベルに実力が追いついていない

面接の場で過剰に経験・スキルをアピールしてしまい、実力以上の期待をされてしまったパターンです。入社後に実力が追いついていないことが判明して後悔するケースもあります。また、内定の際に「大幅な年収アップ」の交渉をしたことで、入社後、成果を期待されるプレッシャーを感じて後悔するケースもあるでしょう。

対策

面接の際に、経験やスキルを「盛って」伝えたり、実際にはサポートで参加したプロジェクトを自分主導で進めたように伝えたりするのは避けたほうが良いでしょう。また、自分の実力に不安を感じている場合は、面接の際、求められている経験・スキルや入社後の業務についてしっかり確認することでミスマッチを防ぐことができます。

年収アップの交渉については、自分の経験・スキルを踏まえた上で転職市場の相場観に見合う金額とする場合は問題ありません。相場観や企業の提示する金額を大きく上回るような交渉をする場合には「より多くの成果を挙げることが求められる」ということを理解した上で交渉に臨みましょう。

希望の職種に就けたが自分に適性がない

やりたい仕事や希望の職種に転職したものの、入社後、自分自身に適性がないことに気づくパターンです。入社後に「仕事内容が合わない」と感じて後悔するケースもあれば、能力を発揮できず精神的に追い詰められてしまうケースもあるでしょう。

対策

やりたい仕事と自分の能力が一致しているとは限らないので、キャリアの棚卸をしっかりと行った上で「その職種・仕事にどのようなスキルが必要なのか」「自分の能力を発揮できるのか」をきちんと考えることが大事です。

面接の際には「入社後の業務において、どの程度のレベルが求められるのか」「この仕事における大変さや難しさはどんなところにあるのか」などを確認してみると良いでしょう。また、応募する仕事・職種に就いている知人や友人などに直接話を聞いてみる方法もあります。

転職後に「前の会社のほうが合っていた」と気づいた

「今の仕事をやめたい」と考え、転職することが目的になっている人に多いパターンです。仕事内容や職場の人間関係、ワークライフバランスなどの面で「前の会社の方が自分に合っていた」と感じ、戻りたいと思って後悔するケースは少なくありません。

対策

転職先で実現したいことや転職理由を明確にした上で転職活動を行うことが大事です。その上で、内定を得た際には現職の会社との比較検討を行い「転職したほうがいいのか」「現職にとどまったほうがいいのか」をきちんと考えることがポイントです。

転職活動で後悔した失敗事例を解説

転職活動で後悔した人の失敗事例を紹介します。背景や選考の結果、失敗の要因などを知り、今後の参考にしていきましょう。

【背景】安定した環境を求めて大手企業を志望

独立系SIerで、ネットワークエンジニアとして働いていたOさん(27歳)は「現職ではネットワークの案件が少なく、このままでは今以上の経験が積めない」と考えて転職を決意。転職エージェントに相談し、仕事内容やキャリアプランなどを軸に「ネットワーク案件を多く手がけている企業」を第一志望としました。

【選考結果】書類選考は通過したものの面接選考で落ちた

転職エージェントから「第一志望の企業は、職場の人間関係が密接でイベントが多い社風がある」と聞いたOさん。人とのコミュニケーションが苦手な自分には、イベントなどで団結する社風は合わないと感じたものの、仕事内容が魅力的だったため、応募することに決め、書類選考を通過することができました。

一次面接に臨んだOさんは、自分の経験・スキルに自信があったため、イベント参加やコミュニケーションが苦手であることを隠さず、ありのままの自分で臨みました。その結果、二次面接に進む際、転職エージェントから「スキルは評価されているが、社風とのミスマッチを懸念されている」という話を聞きましたが「ありのままの自分を受け入れてくれないなら落ちてもいい」と考えました。

二次面接では、社内イベントへの参加意欲や仕事のコミュニケーションについて繰り返し質問されましたが「人とコミュニケーションすることが苦手である」と伝え続け、結果、選考に落ちてしまいました。

その後、Oさんは転職活動を続けながらも「第一志望の企業が、仕事内容やキャリアの面で最も魅力的であり、ほかに良い企業が見つからない」「無理をしても社風に合わせたアピールをしておけば良かった」と後悔し続けています。

【失敗の要因】どうすれば良かった?

Oさんが選考に落ちた要因は「社員同士の一体感」「団結力」などを大切にしている社風や企業文化に合わないと判断されたためと言えるでしょう。では、Oさんはどうすれば良かったのでしょうか。以降で失敗の要因とポイントを解説します。

1.自分にマッチしない企業を選択してしまった

そもそも自分にマッチしない社風の企業を選んだ点に失敗の要因があったと言えるでしょう。企業は長く定着して活躍・貢献してくれる人材を求めているため、社風や企業文化などが応募者にマッチしていない場合は、早期離職を懸念して採用を見送るケースも少なくありません。

また、選考に通過して内定を得ることができた場合でも、入社後に後悔する可能性が少なくないでしょう。ミスマッチだと感じた場合は選考を途中辞退する方法もあります。自分によりマッチする企業の選考に注力したほうが、結果的に後悔しない選択ができるでしょう。

2.自分の希望条件に優先順位をつけていなかった

転職活動においては、自己分析やキャリアの棚卸をきちんと行った上で、希望条件に優先順位をつけることも大事です。全ての希望を満たす企業はそう簡単に見つからないものなので、仕事内容、今後のキャリア、社風・企業文化、給与・待遇、ワークライフバランス、会社の安定性などの多様な面において、何を優先するのかを決めておくことで、自分にマッチする企業かどうかを判断しやすくなります。

Oさんの場合は「仕事内容」「今後のキャリア」を重視しましたが「社風・企業文化」なども含めてそのほかの希望条件にも優先順位をつけていたならば、また違う結果になっていたはずです。例えば「社風や企業文化も譲れない条件と考え、仕事内容や今後のキャリアなどの条件とバランスが取れる企業を探す」「社風や企業文化の面は譲歩し、面接では苦手なことも克服していく姿勢があることを伝える」「そもそも社風・企業文化は優先順位が低いため、落ちても後悔しないことを前提とし、ほかの企業の選考を進める」などの方法を取ることができます。

3.内定を得てから判断する方法もあった

内定を得るために無理をして企業に合わせた回答をしても、入社後にミスマッチであると感じて後悔してしまう可能性があるのでお勧めはできません。しかし、自分自身の選択肢を狭めないためには「まずは内定を得た上で、最終的な判断を下す」という意識を持つことも大事です。

Oさんの場合は、自分の価値観を重視するあまり、応募企業が大切にしていることを理解しようとせず、面接でも否定的な姿勢を取っていたと言えるでしょう。面接は企業理解を深める機会でもあるので、疑問に思う点については質問し、選考を進める中で自分にマッチするかどうかを判断していくことが重要です。

自分に合わないと感じるポイントがあった場合でも、理解を深めたことで「そのような背景や考え方があるなら、自分としても納得の上で働ける」と感じるケースもあれば「それでもやはりこの企業に入社したいので、自分なりに努力しよう」と考えるケースもあるでしょう。そうした場合は、企業の考え方に歩み寄る姿勢や自分自身で改善できると思った点を伝えるなどで評価につなげることができます。例えばOさんの場合は「コミュニケーションが苦手でも入社後にはできる限り克服し、イベントにも参加していきたい」などの考えを伝えることで、選考を通過する確率を高めることができたでしょう。

内定を得た後は、再度、入社するかどうかを検討できます。入社前に社内見学や先輩社員との面談などを設定してもらうことも可能なので、最終的な判断に役立てれば後悔しない選択ができるでしょう。

シチュエーション別に後悔するケースを紹介

ここでは、大企業に転職した場合、勢いで転職した場合、前職の会社に出戻りする場合などのシュチュエーション別に後悔するケースを紹介します。

大企業に転職した場合

大企業への転職では「周囲のスキルレベルの高さについていけない」「会社の期待値に応えられない」などの後悔をするケースがまず挙げられます。また、組織が大きい場合は社内ルールも多いため、仕事の進め方が合わないと感じるケースもあります。決裁ルールが複雑であったり、決裁権が細分化されていたり、自分の提案を実現したくても社内稟議を通す時間も手間が掛かったりするなどの可能性もあるでしょう。さらに、企業によってはキャリア形成の面で年功序列の考え方が残っていたり、中途採用より新卒採用の社員の方が有利だったりするケースもあります。

後悔しないためには、ネームバリューや年収、福利厚生などの条件面だけに惹かれるのではなく、その企業で何がしたいのか、どんなキャリアを築いていきたいのかを考えることがポイントです。

大企業を辞めて転職した場合

大企業には給与水準が高いケースも多く、また、働きやすい制度づくりや福利厚生に注力している傾向もあります。そのため、転職先の給与が前職よりも下がったり、各種制度や福利厚生が充実していなかったりなどで後悔するケースも少なくはないでしょう。

また、歴史やネームバリューがある大手企業は倒産の可能性が低いとされ、給与水準が高いケースが多いため、転職後に車や住宅などを購入する際に社会的な信用度が下がってしまう可能性もあります。さらに、教育制度が整っていないケースや、仕事の裁量が大きすぎたり、任される範囲が広すぎたりなどで「合わない」と感じて後悔するケースもあるでしょう。

制度環境や条件面の水準が下がることなどは踏まえた上で、仕事のやりがいや今後のキャリア形成などを見据えて転職先を考えることをお勧めします。

勢いで転職した場合

先に挙げた後悔パターンのさまざまな例が当てはまるでしょう。勢いで転職活動をするケースでは、「今の職場が嫌」「今の仕事が退屈」「友達や同僚が転職し、羨ましいと感じた」など、一時的な感情がベースになっていることが多いと言えます。自分が転職先で何を実現したいのかが見えていないため、転職後も同じことを繰り返す可能性があるでしょう。

また「転職先の新しい環境に馴染めない」などで、前職の職場のほうが自分に合っていたと感じて後悔するケースもあります。勢いだけでなく、きちんと転職の目的を考えた上で、現職の会社と比較検討して「転職するかどうか」を判断することが大事です。

転職後、前の会社に戻ろうとした場合

「前職の会社のほうが良かった」と後悔した場合、出戻りで再雇用してもらう方法もありますが、必ずしも受け入れてくれるとは限りません。企業には人材採用計画があり、予算の問題などで採用を行わないケースもあります。かつての上司などに相談し「歓迎する」と言われて会社を辞めた結果、社内で合意が取れていなかったため採用してもらえなかったというケースもあるので注意が必要です。

また、退職時に人間関係を悪くしたり、引き継ぎをきちんとしなかったりする場合にも再雇用してもらうことは難しいと言えるでしょう。もしも再入社できたとしても、以前と同じ役職に就けないケースや、給与が下がるケースなどもあります。

これらを踏まえて、退職する際には人間関係を良好に保つことが大事だと考えましょう。また、出戻りで再入社したい場合は、信頼できる人物に相談し、採用の可能性や採用のステップなどをきちんと確認しておくことが重要です。

転職で後悔しないためにやっておきたいこと

ここまでに転職におけるさまざまな後悔パターンを紹介してきましたが、そうした状況に陥らないためにはしっかり準備しておくことが重要です。転職活動を進めるにあたってやっておきたいことを以降で把握しておきましょう。

自己分析で「転職の目的=転職先で実現したいこと」を明確にする

転職の目的を明確にすることで、転職先に希望する条件や企業選びの基準となる「転職の軸」も明確にできます。目的なく転職することはミスマッチの要因となるため、入社後に後悔するケースが多くあります。また、
明確な志望動機がなくては選考に通過しにくくなるため、転職活動が長期化する可能性もあるでしょう。

転職成功のポイントとして、きちんと自己分析を行った上で「転職先で何を実現したいのか」を明確にすることがまず挙げられます。先に挙げた事例でも述べた通り、仕事のやりがい、今後のキャリア形成、職場の人間関係、社風、年収、ワークライフバランスなどのさまざまな面から、自分なりに転職することで何を実現したいのかを考え、優先順位も決めておくことが大事です。

キャリアの棚卸しで、自分の経験・スキルを整理する

転職活動で選考に通過するためには、応募企業が求めている人材像にマッチしていることが大事です。過去の経験・スキル・実績を振り返り、自分の強みや活躍・貢献できる領域について整理しましょう。それにマッチする求人に応募することで採用の可能性をより高めることができます。

また、自分の強みを理解しておけば、応募書類や面接でもよりアピールできるため、選考の通過率や内定を得る確率を高めることにつながります。これまで経験してきた業務を書き出し、上司や顧客などから評価されたことも振り返ってみると良いでしょう。

情報収集をしっかりと行う

情報収集をすることによって、自分に合う企業を探しやすくなります。転職サイトで求人情報をチェックしたり、転職イベントに参加したりすることで実際にどのような求人・企業があるのかを知ることができるでしょう。興味を持てる企業が見つかったら、企業理念や働き方なども調べてみることがポイントです。自分の価値観によりマッチする企業を見つけやすくなるでしょう。

また、転職エージェントに相談してみるのも一つの方法です。転職市場の状況や相場観、自分の市場価値や採用の可能性がある求人・企業なども教えてもらえるので、より効率的に情報を収集できるでしょう。

労働環境や雇用条件、職場の風土などを確認する

入社後に「自分の想定と違っていた」と後悔するミスマッチを防ぐためにも、職場の風土、仕事内容や仕事の進め方、企業理念、労働環境や雇用条件、キャリアパス、年収などはきちんと調べておきましょう。面接の際に気になる点を聞いたり、内定承諾をする前に先輩社員との面談や職場見学を行ったりするなどで、実態についてもきちんと確認しておくとより安心できます。

また、さまざまな面から情報の収集と確認を行い、「転職先で実現したいこと」の優先順位をもとに比較検討を行うことで、より納得のいく選択ができるでしょう。

すでに転職して後悔している場合に乗り越える方法

「今すぐ、また違う会社に転職したい」と考えている人のために、さまざまなパターンの乗り越え方を紹介します。短期間で転職を繰り返すことは、今後の転職活動にも不利になる可能性があるので、以降の対処法を参考に、まずは現職のままできることから始めてみると良いでしょう。

新しい環境に馴染めない場合

仕事や職場に慣れるまでは時間が掛かるものなので、まずは現在の環境・状況を受け入れてみると良いでしょう。また、人間関係の構築に悩んでいる場合は自ら歩み寄ることも大事です。例えば「3カ月程度は、仕事を覚え、職場の人と関係性を築くために必要な期間と考え、しっかり取り組んでみよう」などと自分なりに目的・目標を決めて行動してみると良いでしょう。3カ月が過ぎるころには「実は良い環境だった」と感じる可能性もあります。

仕事内容や進め方に不満を感じている場合

前職の職場の仕事の進め方などにこだわらない意識が大事です。上司や先輩に仕事の意義や進め方の背景などについて聞くことで、納得感を持って仕事に取り組めるようになることもあります。また、仕事の中で自分なりに工夫できる点を考えたり、目標を定めたりしてみることでやりがいを感じられる可能性があります。仕事の進め方に不満がある場合は、上司に相談してみたり、職場全体で取り組める改善策などを提案してみたりするのも良いでしょう。

仕事内容や条件面が事前の話と違っていた場合

待遇や給与などの条件面が「入社前に聞いていた話と違う」と感じた場合は、まず労働条件通知書の内容を確認することがポイントです。記載されている内容と現状が違っていたら人事担当者に相談してみると良いでしょう。労働状況が著しく悪い場合などは、社内のコンプライアンス部署などに相談することもできます。

また、仕事内容が入社前の話と違っていた場合でも、一定の経験を積んでから希望の仕事に就ける可能性もあります。半年後、1年後などのキャリアステップや社内の先輩のキャリアパスなどについて調べ、希望の仕事に就ける可能性があるかどうか考えてみましょう。給与などの条件面についても、社内の年収事例などを調べてみて、今後の昇給の可能性について確認してみると良いでしょう。

実力が伴わずプレッシャーを感じている場合

上司や実力を発揮している先輩などに、仕事の進め方などについて相談し、アドバイスをもらうと良いでしょう。また、自分自身で「早く結果を出さなくてはならない」「大きな成果を挙げなくてはならない」と思い込んでしまっているケースもあります。一人で悩まず、上司に「いつまでに、どのくらいの成果を出すことが求められているのか」を確認してみることが大事です。その上で「現在の自分の能力では課された仕事の責任を果たせない」と感じた場合は、上司に現状を伝え、仕事の割り振りや責任範囲などに配慮してもらう方法もあります。

再度の転職活動を検討するタイミングは?

転職した直後は、多くの人が「合わない」「前の職場のほうが良かった」と思うものです。しかし、短期間で転職したり、転職回数が多くなったりすれば、今後の転職活動に不利になる可能性があります。「今すぐ転職したい」というその気持ちが、一過性のものなのかどうかを落ち着いて判断することが大事です。「転職したことが原因で心身に不調が出ている」という場合を除きますが、基本的には3カ月、6カ月などの期限を設けて自分にできることを実践してみた上で判断するほうが納得感を高められるでしょう。

先に挙げた対処法を実践してみた結果「やはり転職したい」と感じたら、転職で実現したいことや転職の目的、今後のキャリアやライフプランなどについて再度考えてみましょう。その上で「今の会社では実現できない」という結論が出たら、再度の転職活動で軌道修正を図ってみるのがお勧めです。

転職活動で後悔しないために転職エージェントを活用しよう

転職エージェントでは、転職準備に必要なことを全てサポートしてくれます。転職市場を熟知しているキャリアアドバイザーから客観的なアドバイスをもらえるので、自分にマッチする企業や仕事を見つけやすくなるでしょう。過去に見てきた後悔パターンの事例や、転職活動を進める中で失敗しないための注意点なども聞くこともできます。何をすればいいのかわからない人や、1人で転職活動を進めることが不安な人も、転職エージェントを活用することで転職を成功に導くことができるでしょう。

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント 粟野友樹氏


約500名の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルを行っている。

記事作成日:2019年12月2日 記事更新日:2023年3月16日

リクルートエージェントでは、応募した企業の面接で質問されることなどの傾向や、どんな候補者が評価されるかなどの情報をお伝えすることができます。面接対策にお悩みの方はぜひ相談に来てみてください。