採用手法

営業職を採用するには?優秀な営業人材の見極め方・転職理由を紹介

営業職の市況データ

新型コロナウイルスの影響に伴い、2020年の全体の有効求人倍率は1倍を下回る月もあり、大きく低下しています。しかし営業職においては、同様に低下はしているものの、全体と比較すると未だ1.5倍を超える高い有効求人倍率を維持しています。
また、求人数も他職種と比べて多いため、採用競争も激しく、単に募集を行うだけでは、応募を獲得できない可能性があります。しっかりと中途採用の成功に向けたポイントを押さえることが必要です。

出典:「一般職業紹介状況」(厚生労働省)の職業別一般職業紹介状況[実数](常用(除パート))(PDF:212KB)より抜粋。営業職の数値を参照

営業パーソンを採用する際の2つのポイント

書類や面接では魅力的に見えても、入社後なかなか結果が出ないというケースもよく聞きます。営業職といっても、扱う商材や営業スタイルが様々です。前職で高い営業成績を上げていた人が、転職後も結果が出せるとは限りません。では、どのように見極めたらいいのでしょうか。

1.自社で活躍する営業職を分析する

まずは、自社で活躍している営業職を分析して、どのような行動特性や思考を持っているのかを明確にすることが大切です。適性検査などを活用して、ハイパフォーマーとローパフォーマーの特性を分析してみるというのも一つのやり方です。高い実績を収めている人材の共通項を明文化し、自社のコンピテンシーモデルを作成できれば、ハイパフォーマーとなりえる人材を採用しやすくなります。

2.自社が求める営業職の人物像を具体化する

先程のコンピテンシーモデルなども考慮しながら、実際に今回の採用で求める営業職の人物像を具現化していきましょう。まず大きくは経験者か、未経験者か。同業界同職種の即戦力人材を求めるケースもありますが、採用市場と照らし合わせながら、どれくらいの人数がいるのか、採用ターゲットと自社の給与レンジが合うかなどを把握しながら、調整をしていく必要があります。
営業未経験者を採用する場合は、どのようなスキルや行動特性をもつ方なら活躍できそうか、明文化していきましょう。よく挙げられるのが「コミュニケーション能力」ですが、この言葉が意味する幅はとても広く、深く掘り下げていくと「口ベタでも傾聴力がある人」や「失敗を恐れずに勇気を持ってはっきり伝えられる人」など、各企業によってその定義は異なります。こうした自社で求められる要素を具体的な表現に落とし込んでいくことで、より自社で活躍する営業を見極めやすくなります。

営業パーソンの転職理由・求めているポイント

営業職の求職者の転職理由は、主に「ワークライフバランスの改善」と「スキルアップ」の2つに分類されます。
まず「ワークライフバランスの改善」ですが、休日数が少なかったり、ノルマ達成に向けた長時間労働が発生していたりするケースがあり、その改善を求める傾向が強くあります。
また「スキルアップ」については様々な種類があります。主なものは、自分が経験したことのない領域に挑戦することで「商材・提案の幅を広げたい」、より金額の高い商材や難易度の高い提案をすることで「提案力を高めたい」、プレーヤーとしては経験を積んだので、次のステップアップとして「マネジメントスキルを身につけたい」といったものがあげられます。
こうした転職理由の根本にある、現状の不満や不安の解消、期待の実現ができそうだと候補者に感じてもらえる情報提供をしていくことが大切になります。

優秀な営業パーソンに自社を選んでもらう5つの方法

売り手市場が続く転職マーケット。優秀な営業職の採用に向けて、自社を選んでもらうための5つのポイントをお伝えします。

1.自社の魅力を整理する

「自社らしさや魅力とは何か?」「競合他社と差別化できるポイントはどこか?」採用担当者や面接官がしっかり認識できているでしょうか。営業職は求人数も多いため、明確にわかりやすく自社の魅力を求職者にアピールしていくことが重要になります。
ぜひ上記でもあげた営業職の転職理由で多い「ワークライフバランスの改善」と「スキルアップ」から確認してみましょう。残業時間、年間休日日数、有給取得率などの働きやすさ、扱う商材や営業スタイルの特徴、研修制度、評価制度、キャリアアップ体制など、採用ターゲットにとって魅力に映る部分がないか、他社と比較しながら探してみてください。選考では候補者が自社で働くイメージをより明確に持ってもらうことが採用成功の鍵となりますので、情報を整理していく際は、抽象的にまとめず、数字や具体的な事実で記載していくことがポイントです。

2.SNSを活用

SNSを駆使した情報収集を行うデジタルネイティブ世代が採用ターゲットとなる場合は、SNSの活用がおすすめです。メリットは、圧倒的な拡散力があること、転職潜在層にもアピールできること、採用コストを掛けずに始められること、自社のブランディングにもつなげられること。また、一方通行での情報発信ではなく、双方向のコミュニケーションにより、候補者の興味関心を知る手段にもなります。

一方で、長期的な運用には担当者の負荷が大きく、炎上や情報漏えいによる企業イメージダウンのリスクもあることも考慮する必要があります。

3.自社HPの充実

求職者の多くは、気になる企業があった場合、企業サイトや企業の採用ページを検索して情報収集を行います。採用ページからの応募が増えれば採用コストダウンができますし、直接応募につながらなくても、コンテンツの充実によって求職者の動機形成や選考離脱を抑制する効果もあります。検索エンジンからの発見性を高めるためにも、定期的に募集情報を更新したり、コンテンツを拡充したりしていく工夫も重要です。アクセス数が伸びれば、データの蓄積によって採用活動の改善につなげていくこともできます。

4.選考プロセスの見直し

優秀な候補者ほど忙しいものです。採用スピードが遅かったり、面接回数が多すぎたりすることで、先に内定の出た他社へと流れてしまうケースも少なくありません。大切なのは、自社の採用要件に合わせて面接で誰が何を見極める必要があるのかを明確にし、合理的な面接回数と適切な面接官を設定することです。 採用フローに正解はありません。常に結果を振り返り、どこのフローに課題があるのか、歩留まり改善のために何ができるのか、PDCAサイクルを回していくことが重要になります。

5.面接を意欲醸成の場にする

そもそも面接とは、何の為にするのでしょうか。「自社に必要な人材かどうか見極めるため」という認識の方も多くいます。けれど、本来の目的は「採用するため」なのです。優秀な候補者ほど数多くの企業から引き合いがあり、面接の時点では転職先候補の1社に過ぎません。候補者と直接会って話ができる面接は、入社動機を高める機会でもあるのです。
採用力の高い企業ほど、面接を意欲醸成の場と位置づけ、自社や募集ポジションの良さをプレゼンテーションして振り向かせるという意識で取り組んでいるところが多い傾向にあります。

営業パーソンの採用成功のポイント

営業職として入社後に成果をあげ、長く活躍してこそ、本当の意味での採用成功と言えます。だからこそ、活躍人材の定義を明確化し、仕事内容や待遇、企業理念、社風など多方面からのマッチングが欠かせません。入社後のミスマッチを防ぐためには、必要に応じてネガティブな情報も含めて伝えることも必要になります。伝えるには勇気が必要ですが、「いい面も悪い面も正直に伝えてくれたことで信頼が増した」という候補者の声もよく聞きます。

営業パーソンの内定承諾を増やす方法

出典:リクナビNEXT「転職活動に関するアンケート」より抜粋

リクルートキャリアの調査では、一人あたりの応募数の平均は7.5社、面接した企業の平均は3.4社、内定が出たのは一人あたり平均1.4社となりました。優秀な営業職ほど複数企業から内定をもらう可能性が高くなりますので、選考過程はもちろん、内定承諾に至るまで丁寧なフォローが重要になります。面接結果を可能な限り早く連絡し、候補者の状況や気持ちに寄り添ったコミュニケーションを心がけましょう。人材紹介サービスを利用している場合は、担当者との密な連携も欠かせません。
もし候補者が何か懸念点を感じている場合は、いち早く払拭していく必要があります。面接でのフォローのほか、配属部署の上司やメンバーとざっくばらんに話せる場を用意したり、オフィスや工場見学を設定したりすることで、入社意欲を高めることにもつながります。