「ピアボーナス®」は、従業員がお互いの仕事を称賛し、報酬を贈りあう制度です。数字に表れづらい仕事の成果や、会社への貢献などを可視化できる「第三の給与」として注目されつつあります。「ピアボーナス®」導入のメリット、デメリット、またどのような企業が向いているのかをご紹介します。

ピアボーナス®とは

「ピアボーナス®」とは、Peer(仲間)と Bonus(報酬)を組み合わせた言葉で、従業員同士が互いの仕事を称賛し報酬(少額の現金、ポイント、社内通貨など)を贈りあう制度のことです。従来の報酬制度は、人事担当や部署の管理職が査定を行うのが一般的で、どうしても売上や達成率など定量的な指標が重視されがちでした。「ピアボーナス®」は、
「〇〇さんは自分も忙しい中で、私の企画書の作成を手伝ってくれて助かった」
「他の部署の〇〇さんから教えてもらった情報を顧客に教えたら、すごく喜んでくれた」
「〇〇さんが作ってくれた便利ツールのおかげで、仕事が効率的になった」

など、数字として表れない取り組みや、会社や働く仲間への貢献を可視化できる新しい報酬制度として注目されています。
※「ピアボーナス®」はUnipos株式会社の商標です。

ピアボーナス®の導入メリット

では「ピアボーナス®」を導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

コミュニケーションの活性化

お互いの仕事に興味を持ち賞賛や感謝の気持ちを伝えることで、自然と社内のコミュニケーションも活発になります。また所属の部署内だけでなく部署を超え報酬を贈り合う機会も多くなり、部署間の連携も良くなるメリットがあります。感謝や称賛の言葉が多いコミュニケ―ションが図れ、組織風土が前向きなものとなります。

モチベーションの向上

売上数字などに表れない取り組みや、上司の目が届かない組織への貢献が認められることで、仕事に自信が生まれ従業員のモチベーションの向上が期待できます。また従来の賞与やインセンティブなどの報酬制度は1ヵ月、3ヵ月または半年に1度というケースが多いのですが、「ピアボーナス®」はリアルタイムに送り合うことが可能です。褒められる機会が多くなり、モチベ―ションを維持する効果もあります。

h3ワークエンゲージメントの向上

「ワークエンゲージメント」とは、「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)、「仕事に誇りとやりがいを感じている」(熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)の3つが揃った状態として定義されています。「ピアボーナス®」制度により、今まで可視化されていなかった会社への貢献が認められ、報酬も得られることで会社への信頼感が高まります。また仲間から賞賛されることで、組織から必要とされていることを実感でき、ワークエンゲージメントの向上につながります。

離職の防止

従来の報酬制度は、売上や達成率などの定量的な業績で決められる傾向にあります。一方「ピアボーナス®」は、業務の効率化など数字で表しづらい取り組み、顧客満足度が高まる対応などの会社への貢献も認知されやすくなります。納得度の高い報酬をもらうことが従業員の満足度向上につながり、結果、離職率の低下にもつながります。また管理職が今まで認識していなかった従業員一人ひとりの取り組みを知る、いいきっかけとなります。

ピアボーナス®の導入デメリット

では「ピアボーナス®」導入のデメリットとしては、どのようなことが考えられるでしょうか。

運用コストが発生する

「ピアボーナス®」を導入するにあたり、専用のサービスを利用すれば初期費用や利用料などのコストが発生します。また「ピアボーナス®」の報酬を現金として支給する場合、報酬のための原資を確保する必要があります。

適切な運用ルールの設定が難しい

報酬を現金にするのか、ポイントにするのか。また公平で明確な基準設定や報酬を贈るタイミング、誰が誰に何を贈ったかの履歴をどのように管理するのかなど、運用に際してのルール設定が必要です。ルールを設定したら従業員に対して「ピアボーナス®」の導入目的とあわせて周知しましょう。運用開始後も定期的に見直し、従業員が利用しやすいルールに改善したり、たとえばある一定期間でいちばんポイントが高かった人を表彰したりするなど、楽しく持続的に運用できるような工夫も必要です。

ピアボーナス®の代表的なサービス

Unipos(ユニポス)…Unipos株式会社

感謝と称賛のポジティブな体験が称賛文化を醸成し、強い組織をつくりだす「ピアボーナス®」を実現するWebサービス

特徴

  • SlackやChatwork・Workplace from Facebookなどとの連携が可能で、スマホやPCから手軽にピアボーナス®とコメントを贈ることができる
  • 投稿された「ピアボーナス®」や称賛コメントはタイムライン上にリアルタイムで反映され、皆に共有される
  • ハッシュタグ機能を使用することで、企業の行動指針や企業文化との紐付けが可能
  • 拍手機能が搭載されており、投稿された称賛コメントに第三者が「拍手(=いいね)」を送ることが可能。投稿した人、投稿された人にはそれぞれ「ピアボーナス®」が1ポイントずつ贈られる
  • ボーナスはAmazonギフト券やお菓子など各社自由な形で設定出来るため、企業文化に合った、満足度の高いギフトを提供することができる

料金

基本的な料金体系は「初期費用+月額料金+オプション」です。組織課題や利用人数によって違ってきます。
出典:Unipos 株式会社

RECOG (レコグ)…株式会社シンクスマイル

メンバー同士の「感謝」「称賛」をつうじて普段はわかりにくいみんなの「活躍」が見えるアプリ

特徴

・Slack や Chatwork、SmartHR、incentive point などのビジネスアプリと連携が能。スマホや PC からアクセスできる
・貢献への称賛メッセージが楽しく贈れる仕組みにより、称賛文化が定着し、メンバーの貢献意欲やエンゲージメントが高まる。
また、称賛メッセージとともに社内ポイントを贈れるため、たまったポイントはお好きな商品に交換が可能。
・メンバーそれぞれの活躍や貢献を可視化することができるため、マネジメント層はスムーズな現場の把握と、承認・称賛による心理的安全性が高い組織づくりにつながる。
感謝・称賛のメッセージは組織の垣根を越えて共有されるため、縦・横・ナナメのつながりや関係性の強化を実現可能。
・称賛メッセージと共に体現した行動指針のバッジが贈れるため、バッジを贈る・受け取る行為を通じて、どのような言動が企業や組織における行動指針・バリュー等の体現につながるかを、より自然な形で理解し定着させていくことができる。
・称賛メッセージを月間10通以上贈ると、世界中の子どもたちに給食一食分相当の支援が届く仕組みとなっているため、社会貢献にもつながる

料金

「初期費用+基本料金(月額利用料)+オプション料金」という構成になっています。

出典:RECOG

「ピアボーナス®」を導入するのに向いている企業

「ピアボーナス®」を使って解決したい組織課題が明確な企業の方が、成果があげやすいでしょう。以下のような課題を抱えている企業は「ピアボーナス®」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

組織が急速に拡大して従業員のコミュニケーションが不足している

急激に企業規模が拡大する中で中途入社者が多くなり、既存の社員と新しい中途入社者とのコミュニケーションがうまくいかなくなってしまうケースがあります。既存の社員と新たに入社した社員で会話がしにくい状況でも、「ピアボーナス®」によるコミュニケーションが社員同士の信頼関係の構築に役立ちます。

組織内のつながりが弱い

たとえば多店舗展開している企業や事業所を複数展開している企業で、店舗間、事業所間のつながりが弱いという企業にも「ピアボーナス®」は有効です。

企業理念を浸透させたい

企業が定める理念や行動指針を実践した社員の取り組みに対して「ピアボーナス®」を贈るなど、企業理念の浸透に利用している企業もあります。具体的な行動が見本となり、普段の行動に意識づけることも可能でしょう。各従業員の取り組みが共有されることにより、少しずつ企業理念が浸透していく効果があります。

「ピアボーナス®」は、今までの見過ごされがちだった従業員の頑張りや会社への貢献を可視化・共有することができる新しい報酬制度です。正しく運用すれば社内コミュニケーションが活発になり、組織風土の改善にもつながります。導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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