従業員の生活を守る「健康保険」「厚生年金保険」。企業として制度を正しく理解して加入し、保険料を負担するなどの義務を果たすことが必要です。事業所としての社会保険は従業員の数や業種などによって加入条件が異なっています。社会保険の加入条件や、未加入の場合の罰則などをご紹介します。

事業所としての社会保険の加入条件とは?

社会保険とは、「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」の3つの保険制度を指します。広義には、労働保険(労災保険・雇用保険)も含みますが、ここでは健康保険と厚生年金保険について紹介します。事業所としての「社会保険の加入の条件」は、従業員の数や業種によってそれぞれ異なっていますので、以下で詳しくご説明します。

社会保険の加入義務がある事業所とは

社会保険の加入義務がある事業所には「強制適用事業所」と「任意適用事業所」の2つの種類があります。
「強制適用事業所」とは、社会保険に加入しなければならない事業所のことです。
「任意適用事業所」とは、強制適用事業所には該当しないが任意で社会保険に加入できる事業所のことです。従業員の半数以上が社会保険の加入に同意し、事業主が申請を行い厚生労働大臣の認可を受ければ任意適用事業所となります。
事業所が社会保険の適用事業所となった場合でも、すべての従業員が加入対象となるわけではありません。週の所定労働時間などによって加入条件が決められており、条件を満たした従業員が被保険者となります。

従業員数等によって異なる社会保険の加入条件

従業員数等によって加入条件が違いますので、保険ごとにご紹介します。
「健康保険」とは、労働者やその家族が業務外の事由により病気やけがをした場合や亡くなった場合、あるいは出産をした場合など、必要な医療給付や手当金の支給をする保険制度。適用事業所は以下のようになります。

出典全国健康保険協会 「適用事業所とは?」

「厚生年金保険」とは、
労働者が高齢となって働けなくなったり、病気やけがによって身体に障害が残ってしまった場合や、生活を支えていた方を亡くし遺族が困窮してしまうなどの場合に、保険給付を行う保険制度。
適用事業所は以下のようになります。

出典:日本年金基金「適用事業所と被保険者」

介護保険については原則40歳から64歳までが第2号被保険者となり、健康保険と一体的に徴収されます。 事業主の加入条件は健康保険と同様です。

出典:厚生労働省 日本年金機構 「社会保険への加入手続きはお済みですか」

パート・アルバイトの社会保険の加入条件とは? 

勤務時間および日数が正社員の4分の3以上

1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上である場合は、社会保険に加入しなければなりません。

特定適用事業所で以下4点を満たす場合

「特定適用事業所」とは、同一事業主の適用事業所の「厚生年金保険の被保険者数(短時間労働者を除く)」の合計が1年で6ヵ月以上、500人を超えることが見込まれる企業のことです(複数の事業所があっても、それぞれの法人番号が同じの場合は合計して500人を超えるかどうかで判断されます)。
パート・アルバイト等の短時間労働者の勤務先が特定適用事業所の場合は、以下の4つの条件を満たせば社会保険の適用対象となります。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 賃金月額が8.8万円以上であること
  3. 雇用期間が1年以上見込まれること
  4. 学生でないこと(※夜間や定時制など、学生でも加入できる場合もある)

出典:日本年金機構 「短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の運用拡大が始まります」

令和4年10月からの健康保険・厚生年金保険に関する法改正について 

令和4年(2022年)、令和6年(2024年)と段階的に適用が拡大されますので注意が必要です。変更点は、特定適用事業所の要件と短時間労働者の適用要件の2つで、変更内容は以下のようになっています。今のうちから準備を進めていきましょう。

出典 日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」

事業所として社会保険に加入しなかった際の罰則 

社会保険の適用義務を満たしているにもかかわらず、加入手続きを取らない場合は法律で罰せられます。未加入は従業員の不利益になり、社会的な信用も失ってしまいますので、「認識が間違っていて、未加入だった」ということがないよう社会保険労務士などスペシャリストの知恵も借りながら確認しましょう。特にアルバイト・パートの方は勤務期間が人によってまちまちですので、注意する必要があります。

社会保険に加入するための手続き

具体的に社会保険に加入するための手続きをご紹介します。

健康保険、厚生年金保険

健康保険・厚生年金保険への加入手続きは、新たに従業員を採用してから原則として5日以内と定められており、速やかに手続きを行う必要があります。
提出書類…「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」
提出先…事業所を管轄している年金事務所または事務センター
また事業所を設立した際は、新設してから5日以内に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を管轄する年金事務所へ提出しましょう。

出典:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険新規適用届」

健康保険・厚生年金保険の必要書類

必要な書類は、日本年金機構のHPよりダウンロードが可能です。

出典:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 適用関係届書・申請書一覧」

相談窓口・手続き一覧

日本年金機構:全国の相談・手続き窓口

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