人材育成

LMSとは?eラーニングに必要な学習管理システムのメリットや役割を解説

LMS(学習管理システム)とは?

「LMS」とはLearning Management Systemの略で、学習管理システムともいわれています。eラーニングを実施する際のベースとなる学習効果の向上や、管理の効率化を目的としたシステムで、「eラーニングシステム」や「eラーニングプラットフォーム」などと呼ばれることもあります。通常はWEBブラウザ(Google Chrome、Safari、Microsoft Edgeなど)を用いたWEBサービスとして提供されています。

eラーニングとは?

「eラーニング(e-learning)」とはパソコン、モバイル機器、DVDといった技術を利用して行う学習方法のことです。インターネットを使った学習方法もeラーニングに含まれます。eラーニングが学習形態を指すのに対して、LMSはeラーニングを包括した仕組みのことで、教材の配信から受講者の管理までを実現できるシステムを指します。

※研修全般については以下の記事をご参照ください。
中途採用後に実施する教育・研修の必要性と基本的な内容やポイントを紹介

eラーニングの問題点

受講者が時間、場所の制限がなく自由に学べるというメリットがあるeラーニングですが、問題点としてどのようなことがあるのでしょうか。

受講者のモチベーション維持

どのように学習していくかは受講者の意思に任されており、モチベーション維持が難しいという実状があります。

コスト・工数の発生

教材の作成には技術や工数が必要であり、eラーニングのためのパソコンを用意するなど導入のための初期コストも発生します。

セキュリティ対策

受講者以外が勝手に教材を閲覧きないようにブロックするなどセキュリティ面で対策も必要になるため、管理者にはイターネットやサーバーに関する専門的知識・キルが求められます。

LMS(学習管理システム)のメリット

このような問題を解決するために作られたツールが、LMSです。LMSのメリットについてご紹介します。

進捗を把握し、学習効率を高める

LMSは目標設定、学習の進捗、テストの結果など、学習状況を把握できる機能を持っていることが特徴です。受講者にとっては目標に対して現時点でどれだけ進んでいるのか進捗を把握したり、自分の得意・不得意を認識できたりするメリットがあります。管理者側は、学習の進捗が遅い受講者をサポートしたり、不得意分野に対しての改善点を示したり学習効率を高められるメリットがあります。

管理者の負荷を軽減できる

LMSは教材を簡単にアップロードでき、複数の教材を一元管理できるため、受講者の進捗や得意・不得意にあわせて教材の追加をカスタマイズできます。また運用や保守が楽になるメリットがあります。

LMS(学習管理システム)の役割・機能

LMSにはさまざまな種類がありますが、共通する機能としては、「教材の管理」「受講者情報の管理」「学習進捗の管理」の3つです。

教材の管理

教材の追加や削除、受講者の進捗、学習レベルにあわせてカリキュラムを設定でき、教材を一元管理することが可能です。

受講者情報の管理

社内の受講者をLMS内に登録し、システム上で教材を割り振ることができ、どの受講者がどの教材を使用しているのかが把握できます。

学習進捗の管理

登録された受講者一人ひとりの学習進捗を可視化することができます。

LMS(学習管理システム)の種類

LMSはサーバーを使用します。サーバーは「オンプレミス」と「クラウド」の2つがあり、LMSもオンプレミス型LMSと、クラウド型LMSの2つの種類があります。

オンプレミス型LMS

自社の社内サーバーにLMSのアプリケーションをインストールする方式です。社内ネットワークで利用でき、他の社内システムと連携して設計することもできます。セキュリティについても自社の基準で設計することが可能です。導入後も自社で継続的に保守・メンテナンスをしていく必要があるため、コストとしては高くなる傾向にあります。

クラウド型LMS

サーバーやソフトウェアのクラウド化が進んでいますが、LMSでも主流となっているのがクラウド型です。自社内にサーバーを持たずインターネット経由でベンダーが持つサーバー上に自社専用のサイトを構築するものです。整備の初期コストを削減でき、インターネットが使えればどこからでもアクセスできるという利便性があります。またセキュリティ面では、各社さまざまな対策を行っています。

コンテンツの総合運用規格SCORM

各社のLMSはそれぞれ独自の仕様で作成されているため、たとえばA社の教材をB社のLMSで使用することはできません。その不便さを解決するためアメリカのADLという団体が作った標準規格がSCORM (Sharable Content Object Reference Model=スコーム)です。この規格に準拠したLMSはコンテンツの相互運用が可能となります。

LMS(学習管理システム)の使い方

導入目的を明確にする

どのような課題があるからLMSを導入するのか、何のためにLMSを導入するのか目的を明確にしましょう。目的が明確でないと、導入したのに学習効率が上がらない、利用状況が悪いという事態になり、使われないままとなってしまうケースも考えられます。

自社に適したLMSを選ぶ

LMSはさまざまな種類があり、各サービス提供会社が工夫をこらしています。若手社員なら学習しやすい動画コンテンツが豊富なもの、コミュニケーション重視ならチャットやSNS連携などの機能を持つものなど、自社の目的に応じたLMSを選んでいきましょう。
またパソコンやスマホ、タブレットなど、どのデバイスで利用する方が効率的かを必ず把握しておきましょう。

活用方法

コロナ禍もあり対面での研修を行うことが難しくなっているなかLMSを活用することで学習効率を高められます。全国に拠点がある企業の場合、 LMSを活用することで、いままで本社に集合していた研修を各自自由な時間にできます。また、時間をとるのが難しい管理職向けの研修などに利用することで、スキマ時間での学習や、学習スケジュールの柔軟な変更など、学びやすい環境が作れます。

運用体制の構築

社内での運用体制を決めておきましょう。教材は自社のものを使うのか、LMS会社が提供しているものを使うのか、受講者はどうやって選定するのか、問い合わせやメンテナンスはどのように対応するのか、具体的に決めてスムーズな運用を目指しましょう。

LMS(学習管理システム)の費用

LMSの料金体系は月額制のサブスクリプションを採用しているところが多い傾向にあります。初期費用、メンテナンス費用の有無などはサービス提供会社によってさまざまです。3社の例を紹介しますが、長く続けることで学習効果も高まりますので、自社の目的にマッチするいくつかのサービス提供会社から情報を集めて、長期的な視点で検討してみましょう。

ひかりクラウド スマートスタディ

東日本電信電話株式会社
これまで集合研修で実施していた社内研修のオンライン化が可能になるサービスを提供しています。クラウドを使用するためサーバー設置不要・専用端末不要です。初期費用最大11.000円/契約、基本機能:5500円/契約+オプション機能ライブ5500円/契約。月額利用料:受講者1名あたり1ID基本料金198円、オプション機能:ライブ配信利用料220円/時間(参加した1IDあたり)、コンテンツ言語変換:変換利用料ページあたり11円(日本語以外の言語)。通信料としてインターネット接続サービス、プロバイダーサービス月額利用料がかかります。

参考:NTT東日本「ひかりクラウド スマートスタディ」

Cloud Campus

株式会社サイバー大学
授業をすべてeラーニングで行う文科省認可の大学であるサイバー大学で、独自に開発されたeラーニングプラットフォーム。自社業務に直結したオリジナルのeラーニングコンテンツを、社内で制作することが可能。受講登録者数に関係なく月額固定の料金制です。

参考:株式会社サイバー大学「Cloud Campus」

コロナ禍のなかでeラーニングを効果的に使っていくことは、社員のスキルアップにとって重要になっていきます。LMSは多様なサービスがあり、サービス提供会社によって特徴や費用も様々です。自社に適したLMSを選んでしっかり活用していきましょう。