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経済評論家・山崎元が読み解く ビジネスパーソン1000名に聞く海外勤務の本音:海外勤務のメリット

海外勤務のメリット

表1 海外勤務のメリット

その他の選択肢 「役職や職位に対する魅力」「成長市場に接すること」「家族と離れ仕事に打ち込める」「ビジネス以外の自己成長」など

海外に行きたいと答えたビジネスパーソンは、何をメリットと考えているのだろうか。

最も多い回答は「自己のキャリア形成に有利」(23.9%)だった(表1)。ビジネスの国際化が進む中で、海外勤務経験は人材価値に対するプラス効果がある。現実的な答えだと思う。
キャリア形成は、自分の対外的な価値に着目しているが、「ビジネス以外の自己成長につながる」(10.8%)、「新しい文化を経験することが出来る」(14.5%)といった、自分の満足感の点から海外勤務に魅力を感じるとする回答も多い。
単独の回答として2番目に多かったのは「海外での仕事そのものの魅力」(19.0%)で、これも納得できる理由だ。経済が成長する環境でのビジネスはいいものだ。達成感が得やすいし、個人的としてのチャンス(出世、転職、起業など)も豊富だ。

海外赴任を嫌う理由として語学をあげる人がいる一方で、海外勤務のメリットとして「語学力の向上や発揮」(14.5%)をあげた人もいた。しかも、男性ビジネスパーソンについてこの理由をあげた人の割合を見ると、20代11.3%、30代14.1%、40代14.7%と年齢と共に増加している。
管理職登用の条件にTOEICの点数目標が課されるなど、30代、40代にとって語学(概ね英語)が、背に腹は代えられない重要課題になっていることが窺える。

希望と現実のギャップ

図3 海外勤務したい人の希望滞在期間

表2 海外勤務したい人の希望エリア

今回の調査はビジネスパーソンに本音を訊いたものだから、会社側から見たビジネスの事情に答えが合致しないのは仕方がない。
しかし、海外に「どのくらいの期間なら行ってもいいと感じますか」という問いに対して、「1年~2年」という回答が最も多く、42.2%もいたのを見ると、申し訳ないが少々がっかりした(図3)。

筆者が最初に勤めた会社は総合商社だったが、社内では、海外に赴任する社員について「丸2年ぐらい経つと本格的に戦力化する」と言われることが多かった。赴任地の差、仕事の内容差、個人差がもちろんあるが、お客としてモノを買う外国語ではなく、外国人にモノを売ることができるレベルの語学の習得には時間が掛かるし、現地の生活への慣れ、現地でのビジネス関係の構築などを考えると、確かに、ある程度時間が経ってからでないと、フルには活躍できまい。1~2年で帰国するのでは、企業側から見ると非常に効率が悪い。

語学が上達する2年くらいの期間海外生活を経験して、あとはなるべく早く日本に帰ってきたい、という本音は分からぬでもないが、現実のビジネスでは「自己都合」をある程度我慢して、現地で腰を据えて働く覚悟が必要だ。

勤務地に関しては、文化的に洗練されていて、生活環境も相対的に清潔な北米及びヨーロッパへの希望者が多い(表2)。
経済成長もあって、アジアへの赴任希望者も、かつてよりは増えている感じがするが、今後の成長市場を考えると、赴任地は当面アジア諸国が増えるだろうし、近い将来、今回の調査では希望者がごく僅かだったアフリカへの進出も考えられる。希望と現実は、なかなか一致しないことを覚悟しておく必要がある。

海外勤務の成功に「最も必要と感じるスキル」は何かという問いに対しては、予想通り「語学力」は多い(20.8%)が、「主張力」という項目が語学力を上回る回答数を集めている(23.2%)のが目につく。特に、30代男性(26.5%)、40代男性(24.5%)と、働き盛りの男性ビジネスパーソンがこの項目に多く回答している(20代男性は15.1%)。
今や国内にあっても、ビジネス全般で、「意見」(感想や希望ではなく)は、はっきり言う方がいいが、この年代のビジネスパーソンは日頃から自分が意見を十分言えていないと感じているのだろう。不況とも相まって、自信を喪失しているように見えて、少々心配だ。

個人的な希望

先にことわったように、この調査は、ビジネスパーソンの正直な本音を訊いたものだから、特定の「正解」はない。ベストと評価する答えは、企業、家族など関わる立場によって様々だろう。

だが、最後に敢えて筆者(経済評論家)として読みたかったベストアンサーを述べてみたい。

それは、「海外勤務で得たチャンスを活かして、自分でビジネスを起こして儲けたい!」というくらいの攻撃的で貪欲な回答だ。こうした答えが、皆無だったのは残念だった。

日本企業の進出先では、現地の外国人社員の中には、隙あらばノウハウを盗んで、自分で独立して儲けてやろうと狙っている社員がたくさんいる。彼らに対する対応は、企業の側ではマネジメント上の大きな問題だが、彼らの積極性と経済成長というチャンスへの態度は大いに評価できる。
日本人ビジネスパーソンは、今後、彼らと競争しなければいけないわけだし、それ以上に、成長する市場には成功のチャンスがある。
野心を持って、海外で大いに働いて欲しい。

山崎 元 氏

山崎 元 氏 プロフィール

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)
58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。

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