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コラム転職徒然草 - 採用する側の論理編

大手企業の新たな悩み (2013年11月6日)

1年ほど前、大手金融A社の新事業部チームリーダーに、異業界(商社)出身の転職者を充てる人事があった。監査役や非常勤役員なら、財界著名人を異業界から招聘することがこれまでもあったが、現場を仕切るポジションを外部に頼るのは、A社として異例のことであった。

「プロパー社員から不満の声が出てくることは分かっていますが、スピード感を持ってビジネスを前に進めるには、ノウハウを持った人材が必要でした。それに、この人事は経験年数を重ねていけば、自動的に上にあがれると思っている若手に向けたショック療法でもあるのです」
A社のある管理職は、当時、我々にそう話をしてくれたのだが、こうした採用は一回限りの特例というわけではなくなってきている。以前なら、生え抜きの社員で固めていたはずのポジションに、外部から転職者を補充するケースが増えているのだ。

そして、その結果、奇妙な現象も起き始めた。

例えば、B社の管理部門にC社からXさんが内定する。すると今度はC社から求人が来て、D社からYさんが入社。そのD社にはもともとB社にいたZさんが…というように、椅子取りゲームのように、転職者が動くケースが発生したのだ。

実は、こうした横滑り的な転職は、外資系企業間では以前から珍しいことではなかった。日本法人のトップや、財務などでは一定のサイクルで人が入れ替わり、結果的に2つの会社で経営が交換されたような格好になったりすることもあった。
日系・外資系の採用が似てきた、それはつまり、両者の求人が競合する例が増えたことを意味している。

前述のA社の管理職いわく
「もちろん、A社にも優秀な人材は多くいます。内部で育成することもできますが、それではスピードが遅いのです。グローバル競争では、いや日本国内の競争でも、一歩の遅れが致命的になることがある、そうした事案が次々と出てきて、もはや外部からの人材登用に反対する人はA社にもほとんどいません」

こうして様々なポジションで採用の門戸を開くようになったA社、現在の課題は、採用力をいかに高めるか…、これまでA社があまり考えずにきたことだ。
「手前味噌になりますが、A社は日本有数の巨大企業グループ、内定を出せば、たいていの人は喜んで入社してくれるものでした。社風の好みで同業他社を選ぶ人はいても、A社の採用力を気にかける必要はなかったのです。
しかし、国際的に活躍している人の選択肢は広い。まったく別の事業を営む外資系企業と比較された時に、競り負けてしまうことも多くなりました。どうやって、A社の魅力を伝えるか、それを学ばなければいけません」

A社が転職エージェントを積極的に利用するになったのは、人材紹介もさることながら、転職市場においてA社のブランドイメージを高めるにはどうしたらいいのかというコンサルティングの必要性からだった。
転職者の優先順位や面接フィードバックを参考にしながら、A社は採用力のレベルをあげようとしている。

面白いのは、A社がリサーチを進めるなかで分かってきたのは「A社のブランドイメージは、さほど問題でない」という事実である。
A社が「採用したい」と思う転職者が最も注目しているのは仕事内容の魅力。A社は、いかに自社をよく見せるかに腐心してきたが、実際は「この仕事なら、こういうことができます。あなたのキャリアにこういうプラスになります」とアピールすべきだったのだ。

出された結果を前に、A社人事は腕組みをした。
「A社ブランドが問題でないというのは、有り難い反面、状況はより複雑になったようですね」
「と、言いますと?」
「欲しい人材を確保するには、ひとつひとつの仕事・ポジションを他社に比べて魅力的にしなくてはいけない。これは、A社という組織を差別化してアピールするより、ずっときめ細やかな仕事です」
「そうですね。しかし、そのために転職エージェントのような仕事があるのだと思いますよ」

A社人事はこれを聞いて、エージェントさんは商売上手ですねと笑っていた。

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